平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 令和元年6月11日

(令和元年6月11日(火) 10:07~10:22  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 私から、まず、IT総合戦略本部について。
 6月7日に開催したIT総合戦略本部において、「デジタル時代の新たなIT政策大綱」、「IT戦略」、「官民ITS構想・ロードマップ2019」などを決定しました。
 「デジタル時代の新たなIT政策大綱」は、猛烈なスピードで進展するデジタル時代を踏まえて、政府全体で「横ぐしを刺して」政策課題を絞った形で提示したものです。第1に、政府情報システム改革を進めるための「政府情報システム予算・調達の一元化」、第2に、デジタル時代の社会基盤となる「マイナンバーカードの普及促進」、第3に、今年はG20が開催されることも踏まえて、国際的なデータ流通に関する取組も提示しました。
 また、「IT戦略」は、各省とIT室が連携して取り組む農業や港湾のデジタル化などの社会実装プロジェクトを中心に、政府全体のデジタル政策をとりまとめたものであり、近く閣議決定を経て公表する予定です。
 少子高齢化が進展する中、日本が打ち出すデジタル政策に、世界の注目が集まっておりますので、今後、これらの戦略を「道しるべ」として、社会全体のデジタル化を強力に進めて参りたいと思います。
 次に、科学技術政策担当として、6月8日土曜日、静岡県浜松市を訪問し、浜松ホトニクス株式会社、光産業創成大学院大学を訪問・視察し、その後、「HIRAI Pitch in 浜松」を開催しました。
 創業当時から光を事業として展開をしてきた浜松ホトニクス株式会社の中央研究所を訪問して、スーパーカミオカンデに使われている光電子増倍管、世界の超大型計測装置にも使われているセンサーなど光情報処理・計測技術の紹介をうけ、またレーザー核融合技術等、これから社会を変えていくようなムーンショット的な研究の説明も受けました。
 光産業創成大学院大学では、実際に第二創業、新事業開拓等を目指している卒業生との意見交換もすることができ、大学院で学んだ知識、技術、人的ネットワークが今の会社での事業に役立っているという説明を受けました。
 さらに、「HIRAI Pitch in 浜松」では、浜松を拠点に活動するスタートアップや、その支援者らと意見交換を行い、外国人材も含めた人材の確保、大学内における起業活動の制限、適切な資本政策を相談できる人材の不足、といった課題について意見交換をさせていただきました。今日発表したスタートアップ・エコシステムの拠点形成戦略の具体等の中で、今後の政策に反映をさせていきたいというふうに思っています。
 そして、最後に、今日、第5回統合イノベーション戦略推進会議を開催しました。まず、「統合イノベーション戦略2019」の素案について議論しました。
 本戦略については、この1年間の情勢を踏まえて、スマートシティの実現に向けたSociety5.0の社会実装の強化をはじめ、総合的・抜本的な研究力の強化、国際連携の抜本的強化、また、AIやバイオなど個別分野の取組の強化を盛り込んでいます。
 次に、AI戦略及びバイオ戦略について説明をし、了承を頂きました。
 次に、創業については、私、世耕経済産業大臣、柴山文部科学大臣で「スタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」を取りまとめ、報告をいたしました。
 また、会議の中で、官房長官からは、私に対しまして、「統合イノベーション戦略2019」については、今後与党とも議論を深めて、速やかに本戦略を取りまとめること、特に、イノベーション関連の司令塔機能強化について早急に検討せよということでした。また、「AI戦略」、「バイオ戦略」については、関係大臣と協力して着実に実行せよと。創業については、「スタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」について政府一丸となって取組むこと。そして、「量子技術イノベーション」、「安全・安心分野」、「革新的環境イノベーション戦略」については、年末までに精力的に検討して、取りまとめよということでした。スマートシティについては、関係大臣と力を合わせて、官民連携プラットフォームを早期に立ち上げて、取組を加速化せよということです。
 今後、「統合イノベーション戦略2019」については、今月中旬のCSTIの本会議答申及び閣議決定に向けて、調整を進めるということになります。
 なお、本日の会議の詳細については、この後、事務局から説明をするということになっておりますので、資料も含めてどうぞよろしくお願いをします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先程の統合イノベーション戦略の素案なんですけれども、これを受けてこれから概算要求が各省で進んでいくかと思うんですけども、この概算要求の方で調整に当たって、大臣としてはどのような点を重視していくのか、そこら辺を教えてください。
(答)結局、内閣府の予算というのと、あと、文部科学省などに頑張ってもらわなきゃいけない予算と、全体ということになるんですが、まず、この私が直接所管するということで言いますと、概算要求に向けては、Society5.0の実装のショーケースとしてのスマートシティ実現に向けた取組、そして「HIRAI Pitch」の中でできてきたスタートアップ・エコシステム拠点形成のための環境整備と、あとはイノベーション力を生み出す研究力の総合的・抜本的強化等について、予算を獲得していきたいというふうに思っています。
 あとは、重点分野のAIとかバイオとか量子、各省ここは頑張りどころだと思うので、皆さん予算要求に向けてこれから動き出すというふうに思います。
(問)あともう一つ、司令塔機能の強化なんですけども、今回、イノベーション総括官というのを新たに設けて、更に事務局の統合についても検討すると。これ、検討のスケジュールとしてはどのぐらいの感じになるのでしょうか。
(答)分かりませんが、事務局を統合するとかどうかということは今後あるにせよ、こういう人の異動に関する問題は、そのちょうどよいタイミングというのがあるのではないでしょうか。
(問)宇宙の関係で、NASAが国際宇宙ステーションの商業的な開放について、発表ありました。
 日本でも議論する上で、アメリカの動向ってかなり重要だと思うんですけれども、今後のISSの24年以降の取組について、今回のNASAの発表をどう思われたかということと、日本の議論にどう影響してくるかということを、どう見られるかという2点をお願いします。
(答)宇宙の話ですね。高いのか安いのかよく分からないけれども、運賃が60億円ちょっとで、1泊380万円で、おまけにこれは相当訓練も受けなきゃいけないし、大変だなと思いました。
 ただ、今回人が行くという話のほかに、商業利用に関して、これがまずあるんですよね、一番で。ここは日本ももうやっています。
 例えば、タンパク質の実験、これは有償利用でペプチドリームさんとか、超小型衛星放出サービス事業とか、これは日本はやっていると。
 NASAの方もISSの商業利用として、ちゃんとあるんですね。物品打上げ費がキロ当たり3,000ドルとか、物品回収費がキロ当たり6,000ドル。ただ、今回往復の運賃が63億円で、あと、滞在費用が1泊が3万5,000ドルということですが、私は行くことはないと思います。
 これ、相当これだけのお金払うだけじゃなくて、トレーニングしなきゃ行けないですよね。ただお金を払ったから行けるというものじゃないし。大変だけど、どうなんですかね。
 結局、こっちの方は大きな政策はGatewayの方にシフトしていくので、こっちの方で少しでも経費が浮けばいいのではないかなと思います。
(問)スタートアップのエコシステムの件で、改めてなんですけど、今このタイミングでこういう戦略を打ち出された狙いみたいなところをお聞かせいただきたいのと、あと、各拠点でユニコーン5社以上みたいな目標が掲げられているんですけども、それだけのポテンシャルが国内の企業というか、スタートアップにはあるのかどうかという、大臣の評価というか、お考えをちょっとお聞かせいただけますか。
(答)まず、この拠点形成をやろうという、至る経緯ですけど、いろいろな地域でいろいろな方々の話を直接聞いた上で、これはポテンシャルがあると、想像以上にあると判断をした上で、この政策を進めさせていただいています。ですから、ユニコーンが今のところ1社しかないという状況は、これはやはり十分に力を出し切っていないと思いました。
 だから、そういうポテンシャルはあるので、今ならこういう拠点形成することで、そういう方々が世界に伍していけるチャンスがあるんだと、特に、テック系はなかなか今まで進んでいなかったところを進められるチャンスがあるというふうに思いました。
 今、それぞれのいろいろなエリアである程度いろいろな、例えばバイオなんかも集積していますし、量子も集積していく可能性もあるし、そういうものとは別に、世界のマーケットを最初から視野にチャレンジする企業というのは、これからどんどん出てくると思います。
 そういう意味で、国やそのエリアが一緒になってそういうものを進めていくということと、潜在能力を開放してあげるためには、国の協力が要るなというふうに思っています。これは世界でも、中国を見ても、アメリカを見ても、そのほかの国を見ても、ある程度国がそのベースの政策で支援しているということがあるので、そういう意味では、今までも政策はありましたけれども、もっと情報共有とか、連携とか、融合分野への投資とか、最初から海外のマーケットを視野にした、例えば資金調達のやり方であるとか、つまり、世界で伍していくスタートアップ企業を創るためには、それなりのアクセラレーションプログラムも要るし、そういう人のつながりも当然お金が掛かるんですけど、やっていかなきゃいかんというふうに思っています。ですから、これもあと何年も経ってしまうとチャンスがなくなってしまうというようなこともあり、やるなら今だと、極端に言うとラストチャンスと思い、こういう形の政策を進めさせていただいています。

(以上)