平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 令和元年6月7日

(令和元年6月7日(金) 9:14~9:27  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 まず、クールジャパン戦略担当大臣として報告します。
 昨日6月6日、丸の内の「JAPAN GALLERY TABIDO MARUNOUCHI」において、第1回「Create Japan WG」を開催しました。クールジャパン戦略については、デジタル化・グローバル化の進展も踏まえて強化するため、新たな戦略の策定に向けての議論を行いました。
 今回は、事務局から、これまでの取組を振り返った上で、「共感」というクールジャパンの目的が共有されていないなどの問題点やこのことを踏まえて新たな戦略において強化すべきポイントについて発表して、議論を行いました。
 出席者の方々からは、クールジャパンの目的、関係者のネットワーク化、外国人の働きやすい環境整備の必要性など中長期的な視点で活発な議論がありました。
 引き続き議論を深めて、クールジャパンが長期的に継続し発展するための基盤をつくっていきたい、そのように思います。第2回は6月11日火曜日に開催することになっております。この日は、私は参加できませんが、活発な議論が行われることを期待しています。
 また、WGの後に会場である「JAPAN GALLERY TABIDO MARUNOUCHI」の視察を行いました。凸版印刷さんの高度なテクノロジーや想像していたより素晴らしいコンテンツなど、クールジャパンの発信拠点の一つとなる可能性を感じました。
 フルオープンで議論をもう見ていただいているので、相当外国人の方々の意見というのは、我々の視点と違って、今回大いに役に立ったなというふうに思うし、考えさせられることが非常にあるなとつくづく思いました。
 2点目は、科学技術政策担当大臣として報告します。
 明日6月8日、静岡県浜松市を訪問して、浜松ホトニクス株式会社、光産業創成大学院大学を訪問・視察するとともに、「HIRAI Pitch in 浜松」を開催します。
 日本の光技術をけん引している浜松ホトニクス株式会社の中央研究所を訪問して、光情報処理・計測、光バイオ等の応用研究の現場の視察、研究者との意見交換を行います。
 また、光産業創成大学院大学では、光の各種機能の連携・融合、光技術と経営の融合に関する研究開発現場の視察及び卒業生・大学院生と意見交換を行う予定になっています。
 さらに、「HIRAI Pitch in 浜松」を開催して、浜松を拠点に活動するスタートアップや、その支援者らと意見交換を行います。「HIRAI Pitch in 浜松」については、取材は公開となっておりますので、お時間のある記者の方々はぜひ取材に来ていただければと思います。
 スタートアップの拠点という意味では、静岡は非常にユニークな場所だというふうに思っていますし、この浜松ホトニクスという会社は、もともと浜松テレビ関連で出てきた会社ですけど、よくぞここまでうまく新しい技術に取り組んで、オンリーワンの存在になったなと、こういう成功モデルはなかなかないと思います。
 それと、この光産業創成大学院大学というのも、こういう民間主導でつくる大学院大学で、しかも、基礎研究をやりながらスタートアップを目指すという、これもユニークだと思います。その意味で、浜松のこの出張においては、その辺り、どうしてそういうことができたのかというようなことも含めて、真剣に今回はまた話も聞いてきたいと思います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)昨日のクールジャパンのWGなんですけども、そこでいろいろ議論があったと思うんですけども、現在のクールジャパンの取組は、各省が何というかばらばらというか、それぞれやっていて、クールジャパン機構なんかも内閣府ではなくて経産省の所管になっていますよね。こういうのを次の新しい戦略では、政府が一体となってやるためにはどうしたらいいのか、そこら辺の仕組みについて、大臣、どのようにお考えでしょうか。
(答)クールジャパン戦略は、今まで総合的な戦略を内閣府がつくって、それぞれ所管する省庁にお任せしていたというところですけれども、必ずしも内閣府が十分グリップできていたとは思いません。そして、各省庁間の連携もできていたとは全く思えないので、このような話はクールジャパンに限らず、IT戦略にしても、その他のいろいろな戦略にしても同じなんですね。連携というようなものが十分できていないということと、内閣府自身が予算を執行するというようなことにおいて言えば、強い部分もややできてきましたけれども、ほぼ金のない状態で戦略をつくっているというようなこともあって、ここは考えなきゃいけないと思います。
 今回クールジャパンというものを見直そうと思ったのも、結局これは一体何のためにやっているのかというようなことが各省庁、もう一回確認しないといけない時期に来ているんだなというふうに思います。
 その上で、今回、我々戦略をつくる上では、短期的なものではないだろうというふうに思っていて、原点に帰ると。そうすると、日本の国のソフトパワーをどのように強くしていくのかということになった上で、そして、そういう戦略を短期的なものと中長期的なもの、そして、ずっと持続可能性のあるものというバランスを考えながら、どう司令塔機能を発揮するかということについては、また今後考えていかなきゃいけないことだなというふうに思います。
 そういうことで、今回の戦略の見直しの中で、その辺りのことを整理させていただければと思います。
(問)関連して、そうすると、知財戦略事務局の強化ということもこれから考えていくということでいいですか。
(答)当然そうなりますよね、知財戦略がここまで重要課題になると。当初、知財戦略には相当な力を入れて取り組んでいた過去の歴史もあるんですが、ずっとやっていると、いろいろな状況の変化もあるので、ここは要するに次の成長戦略とかそういうことを見直す上で、今の科学技術系の司令塔の話とか、内閣官房、内閣府の行革の観点からの組織の見直しとか、いろいろなことを今同時進行で議論をしていただいているというふうに聞いていますので、そういう中で考えていく必要があるんだろうと思います。
(問)出張の関連で一つお聞きしたいんですけれども、中央研究所があって、大学も立てるような有名な研究の企業ですけど、第5期の科学技術基本計画の策定のときの議論の中で、企業の研究開発投資が伸びていないということと、企業は中央研究所を軒並みもう廃止してしまって、いわゆる民間企業の研究開発力みたいなのが落ちているのが問題だったという議論があった記憶がありまして、6期の策定の議論がこれから本格化していくと思いますけど、大臣の課題の認識としては、どのようにお考えですか。
(答)確かにかつてのように中央研究所が今あるところというと、NTTさんとかトヨタさんぐらいしかないのかなという私の印象ですけど、その分、大学にそういうふうなもっと力を出してもらいたいと。どうやったらそういうことができるのかということは、今議論しています。
 そこがもう既にその議論の過程の中で出てきた例の出島戦略なんかは正にそうだと思っていて、大学も変わらなきゃいけないけれども、企業も変わらなきゃいけないということで、当然そういう法律的な枠組みも変えなきゃいけないところがあるのであれば、そこは見直していきたいと、そのように思います。
(問)クールジャパン戦略についてなんですけれども、今お話し聞いていると、中長期的な視点というのが非常に大事だというふうに大臣おっしゃっていましたけども、逆に来年控えている東京オリンピック・パラリンピックに向けて、クールジャパン戦略で是非盛り込むべきとか、何かオリンピックを見据えた戦略とか視点というものを何か今のところお考えでしょうか。
(答)そういう国際的なイベントというのは、クールジャパン戦略の中におけるブースターみたいなものだと思います。だから、これからもそういう国際的ないろいろな広がりのあるものというものは、国としては誘致をしていくということになると思うんですが、そういう機会を最大限利用するということです。昨日の議論の中で「広さ」と「深さ」みたいな話もあったと思います。これらを戦略の中に、目的に応じて効果的に活用できるように検討していこうというふうに思います。
 昨日、その「広さ」と「深さ」の話をされていたのは国際オタク協会の佐藤さんで、つまりこのポップカルチャーとかオタク文化とかというのも、相当な部分は深いところもあるんだなというのを昨日、聞いていて思いました。
 ただ、クールジャパンの今回WGで外国人の方々を半分にして、なおかつ新しい方々、我々が持っていない視点を持っている方々を入れたということは非常によかったというふうに思います。いろいろな方々の目線でチェックしないと、特定の人、同じような価値観を持っている人だけで集まってクールジャパンをやってしまうと、戦略も偏るというふうに思うので、意見の違う方々の意見を広く聞きながら戦略をつくっていくということの大切さを改めて昨日は感じた次第でございます。

(以上)