平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 令和元年6月4日

(令和元年6月4日(火) 10:13~10:33  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 よろしくお願いします。
 私からはまず3点、IT政策担当大臣として、「デジタル・ガバメント閣僚会議」について説明させていただきます。
 今日の閣僚会議で、デジタルを前提とした人に優しい社会を実現する上での重要な基盤であるマイナンバー制度と政府情報システムについて、新たに取り組むべき事項を決定しました。
 このうち、政府情報システム関係は、「政府情報システムの予算要求から執行の各段階における一元的なプロジェクト管理の強化について」ということで私が取りまとめました。
 具体的には、一般会計、特別会計を問わず、すべての情報システムを対象とした予算要求前から執行の段階まで年間を通じたプロジェクト管理や、政府共通的に利用するシステム等に係る予算の一括要求・一括計上を順次開始することになりました。
 こうした取組を着実に実施することによって、重複要求・重複投資の回避、情報システムの共用・集約化の進展による効率化、徹底的なユーザー目線に立ったシステム設計による国民利便性の向上、統一的なセキュリティ水準の確保、スケールメリットの享受、新技術の活用といった経済成長につながる分野への投資など、様々な効果が得られると考えていますので、引き続き、私が先頭に立って推進をしていきたいというふうに考えています。
 続いて、宇宙政策担当として、本日、総理を本部長とする、第19回「宇宙開発戦略本部」を開催して、宇宙基本計画工程表の改訂に向けた重点事項を決定しました。
 総理から、次の3点についての指示がありましたので、紹介します。まず1つ、新たな防衛大綱を踏まえて、専門部隊の新編などの体制整備や人材育成など、具体的な取組を更に強化すること。2番目が米国が進める月周辺の拠点計画「Gateway」について、我が国が戦略的に参画できるよう、具体的な参画方針の年内早期決定に向けて、内外の調整を進めること。3番目が来年5年目の折り返しを迎える「宇宙基本計画」について、新たな時代に沿ったものとなるよう、年度内改訂に向けた検討をスタートさせること。
 総理から頂いたご指示を踏まえまして、関係閣僚と連携し、年末の宇宙基本計画の工程表改訂、及び、宇宙基本計画の年度内改訂に向けて、着実に進めていきたいと考えています。これが2番目。
 最後は、クールジャパン戦略担当大臣としての報告です。
 今週の6月6日木曜日、丸の内の「ジャパンギャラリー旅道丸の内」において、新たな戦略について議論するためのWGの第1回会合を開催します。
 クールジャパン戦略については、デジタル化・グローバル化の進展も踏まえて強化するため、新たな戦略の策定に向けて、例えば、「EUREKA!懇談会」等において外国人も含め様々な有識者の意見も伺いながら検討を進めてまいりました。
 これまでに得られた気付きも踏まえながら、長期的に継続し発展するための基盤をつくれるよう、新たなクールジャパン戦略について議論するため、知的財産戦略本部の検証・評価・企画委員会の下に「Create Japan WG」という名称のWGを設置し、議論を行うことにしました。
 メンバーについては、クールジャパンについてこれまでの取組で得られた知見や外国人の視点を取り入れることも考慮しつつ、外国人6名と日本人6名の計12名といたしました。
 本WGはオープンな議論ですので、是非取材をお願いできればと思います。会議の後に会場視察も予定しております。凸版印刷の高度な技術を活用し、日本各地のコンテンツが紹介される施設があるというふうに聞いておりまして、クールジャパンの発信方法のバリエーションについて知見を深めたいと思います。詳細については本日プレスリリースを予定しておりますのでご覧をいただければと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)一部報道で自治体の行政システムを今後10年以内に同じ仕様に統一するという報道があったんですけども、その事実関係についてまず確認したいんですけども。
(答)私も報道を読みました。地方自治体システムの標準化については、総務省の有識者研究会の報告書において、地方自治体、事業者、所管府省が関与して個別行政分野のシステムの標準仕様書を作成し、地方自治体は5年程度の更新時期を踏まえて、遅くとも2020年代に標準に準拠したシステムを導入するような提言があったというふうに聞いています。
 今後の具体的な進め方に関しては、これ総務省がお考えになることだと思うんですが、まずは今回の私が担当している政府情報システムの一元化については、地方自治体が整備する情報システムを対象にしていません。内閣官房としても、デジタル・ガバメント推進標準ガイドラインを作成するなど、デジタル・ガバメントを推進する上で様々な知見があることから、必要に応じて、総務省の取組をバックアップしたいというふうに思っています。
 更新時期を踏まえて、今回の我々の考え方と同じようなことを皆さんお考えなんだろうというふうに思います。
(問)今日のデジタル・ガバメント閣僚会議でシステムの予算・調達の一元化が決定されたと思うんですけども、デジタル化はするだけじゃなくて業務改善、BPRをちゃんと進めないとあまり意味がないと思うんですけども、BPRを実質的に進めるためにどのような取組を行うのかについて教えてください。
(答)BPRはもちろん前提ですけども、BPRだけじゃなくて、今回もう一つそこにハードルを課したのは、UIですよ。要するに本当に使いやすいのか、使ってもらえるのかと。つくったけれども、使われないようなものだともう意味がないので、ただ業務の効率化だけでも意味がない。そういう意味では、今回更にハードルを上げさせていただきました。
 そういうことを今回、予算の中できっちりやっていきたいというふうに思っているのと、今回、予算の一括計上という中に普通特別会計は入らないんですが、特別会計型のシステムというのは実は大きいんですね、特会の方が。なので、そこのところはもう工程表をきっちりと管理して、要するに特会といえども変なことがあったら止めたいと、そんなふうに思っています。
(問)今日の工程表改訂の重点項目の中でデブリの対策がその中にあって、デブリ対策自体についても取組について報告があったと思うんです。工程表改訂の重点項目の中だと、ルールづくりに関しては取組を推進して、G20などハイレベルな議論の場などを活用するというのがありますけれど、宇宙政策の会合は多分ないと思うんですが、G20の本体会合とかの場などを利用してどういったことをお聞きしたいというふうに。
(答)これデブリ対策に対しては、展示をまず考えています。今、日本語、英語も全部含めて、デブリ対策はある意味日本が一番進んでいるので、各国に対して日本のスタンスをもう明確に知ってもらうと。今回どっちかというと、G20は海洋プラスチックの方のデブリの方なんですが、実は我々はこの宇宙デブリの方もそこでちゃんと知ってもらえるようにしようと思っています。
(問)改めてなんですけども、宇宙利用を拡大する中でデブリ対策の必要性について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)今ちょうど戦略本部もやっていますし、我々はタスクフォースでもフォローしていくんですが、デブリの観測・予測能力の向上、デブリの除去技術開発などのデブリ低減対策、あとは国際的なルール整備と広報・啓蒙活動、ここをまず進めていくということで、やっぱりデブリというのは、今後コンステレーションみたいに低軌道にたくさん、何千とやられちゃうと、これはもう本当に軌道を動かしたぐらいでは済まなくなる事態は近いと思います。いずれ静止軌道の方だってそうなるのかなと。まずは低軌道の方を我々は考えていて、日本の持てる技術を活かすため、例えばJAXAとかアストロスケールとかですよね、そのあたりを応援していきたいというふうに思います。
(問)あともう一点、工程表じゃなくて基本計画本体の背景についても最後、総理の冒頭発言もあったと思うんですけど、5年前に基本計画を策定したときは、たしかまず宇宙基本法自体があって、JAXA設置法の改正などの流れがあって、かなり安全保障の方とかを重視したような内容になっていて、折り返しの5年ということで、今回改定するところのポイントはどういうところだと。
(答)これは、周りの環境が宇宙の、要するに各国の取り組むスピードとかそういうものが変わったということだと思います。そして、宇宙のデータの利活用とかそういうものの意義が非常に大きくなった、これはデジタル化の影響だと思います。そういう意味で、宇宙に対する各国の投資がどんどん増えてくるというのは、宇宙というものが我々の普通の生活とも切り離せないことになった、この安全保障のみならずですね。そういう意味で、5年で見直すというのは当然だというふうに我々も受け止めていて、総理の指示に従ってできるだけ早く、これ10年ではもう全く間に合わないということだと思いますので、そうしたいと思います。
(問)宇宙基本計画のことについて1点だけお伺いします。今日は総理の方から、先程言及がありましたけども、Gatewayについて戦略的に参画できるように調整を進めてくださいというご指示があったということですけども、これに関して、大臣のビジョンあれば教えていただけますでしょうか。
(答)総理より、Gatewayについて、我が国が戦略的に参画できるように、具体的な参画方針の年内の早期決定に向けて、要するに、早くやってちょうだいねというご指示だと思っておりますので、これから関係省庁と連携して調整を進めたいと。これ、予算とも関連するので、早急にやっていきたいと。ただ、アメリカとの調整とかそういう各国どのような形で協力なさるのか、これからの議論だと思いますが、日本は得意分野で貢献していきたいと、そのように思っています。
(問)ただいまの質問と関連するんですけれども、Gateway計画に関して早期に参画するという意義について、メリットについて、イニシアチブをとるとか平井大臣のお考えを伺えればなと思います。
(答)この宇宙に関していえば、日本というのはやっぱり老舗なんですよね。今まで宇宙ステーション、ISSで補給とか非常にいろいろな技術もある。一方で、月のデータについては「かぐや」によるデータも持っているし、21年には、今度は月のタッチダウンもやろうとしていますよね、我々。「はやぶさ」で培った技術もあり、そういう意味で、アメリカも日本の技術力とか今までの宇宙に対する取組の中で得た知見みたいなものを大変期待をしていただいています。そういう意味で、今回、有人で月に送るというのがちょっと早まった形で、本来考えていたGatewayというものとは少しアメリカの方針も変わってきているように思うので、そこに合わせて我々もまずできることから協力をするというふうに考えています。
(問)関連してなんですけれども、ちょっと昔の話なんですが、トランプさんが27日の日米首脳会談後に、我々は月に行く、そして火星にも行くということで合意したというお話をされていましたけれども、それに対する受け止めをお願いいたします。
(答)火星というのは、Gatewayの大分後だと思うんですね。そこはできて、そこを中継地点として今度は火星に行こうということだと思うので、トランプさんは、言っちゃったということじゃないでしょうか。
 月探査に対する協力について議論は加速するんですけど、火星に関していえば、その後、これがうまくいった次のステップではないかと思います。
(問)あともう一点、クールジャパン戦略担当相としまして、6日に丸の内で新たな戦略について議論しますよということなんですが、改めて、これ従来のクールジャパン戦略の展開についてお話をお聞かせください。
(答)要するに、社会の情報の伝播するいろいろな手段が変わってきたということもあると思うし、こっちが思っている伝えたいことを伝えるというより、魅力の発信とか発掘について、受け手である外国人の視点を起点として、外国人とともに一緒に取り組むということと、そういう方々を含む、緩やかなネットワークをつくって、自然な形で連携が図られる仕組みを作りたいと。
 結局、このクールジャパンの目標というのは、何か物を売ったりする、観光客の数を増やしたりすることではないなと。要するに、日本ファンの外国人をずっと増やし続けられるかどうかという、言わば国に対する理解を深めてソフトパワーを強化するという原点に立ち返ってもう一回戦略を見直そうということで、すぐ何か物を売るとか、持っていって展示会してというようなことではなくて、日本に対する共感というものをどのようにこれからサステナブルに作っていくかという、そういうことをもう一回取り組み直そうというふうなことが見直しの一番大きいところだと思います。
(問)先程言及のあったデブリの中で展示を考えていると。今の段階で結構なんですけど、どういった場所で、どういった展示をしたいと。
(答)詳細は今ちょっと検討中なので、また事務局に確認します。

(以上)