平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 令和元年5月28日

(令和元年5月28日(火) 9:38~9:52  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 私の方から3点。まず一つは、IT政策担当大臣として、5月24日、デジタル手続法が参議院の本会議で可決され、成立しました。
 本法律は、行政の在り方の原則を、紙からデジタルに転換することにより、デジタルを前提とした次の時代の新たな社会基盤を構築するというものであります。
 これにより、国民の利便性や生産性の向上が図られるとともに、中長期的には財政再建にも貢献するものであると期待しています。
 また、今後、少子高齢化の先頭にいる我が国が世界に対して成功モデルを発信していくための第一歩としても、歴史的に大変大きな意義を持つものだと考えています。
 デジタル化に当たっては、全ての国民にデジタル化の恩恵が届けられることが重要です。このため、法律では、国の行政機関等に対し、デジタル・デバイドの是正を図るための施策を講ずる義務を課しています。高齢者なども含め、誰も取り残すことのないように取り組んでいきたいと思います。
 また、今後のデジタル社会では、政府の情報システムについて、データが標準化されて、情報システム間で情報連携が図られるとともに、法律や制度の改正といった変化に柔軟かつ簡単に対応できるように、省庁縦割りではなく、政府横断的視点に立って、再構築していかなければなりません。
 このため、法律の附則にも盛り込んでおりますが、内閣官房のリーダーシップの下、政府情報システムの予算・調達について、その一元化も含め、要求から執行までを一元的に管理する仕組みを進めてまいりたいと考えています。
 国会でのご議論も踏まえまして、私が先頭に立って、本法律を確実に実施して、ユーザー目線で人に優しいデジタル・ガバメントの実現に向けて、強力に取り組んでまいります。
 2番目は、宇宙政策担当大臣として報告をします。昨日開催された宇宙政策委員会において、本年の宇宙基本計画工程表改定に向けた重点事項が大筋でとりまとめられました。
 特に、重要な事項としては、昨日の日米首脳会談でも話題となりました、月探査における日米協力の加速化、新たな防衛大綱を踏まえた宇宙安全保障の強化、宇宙ビジネスの振興などがしっかり盛り込まれています。
 また、関心を集めているスペースデブリへの対応についても、今後の取り組み方針をまとめていただいて、重点事項にも位置づけております。
 本重点事項については、「宇宙開発戦略本部」においても報告し、今後関係府省と連携して夏の概算要求などに取り組んでいきたいと思います。
 次は、科学技術政策担当としての報告です。
 今日の閣議で、平成30年度科学技術白書を閣議決定いたしました。
 今般の報告では、基礎研究に焦点が当てられています。従来の延長線上にない破壊的イノベーションが世界で進展し、我が国の科学技術イノベーション能力の相対的低下が指摘される中、知の源泉となる大学等の研究力の強化とその成果の社会展開の促進が急務となっています。
 私といたしましては、現在取りまとめている次期「統合イノベーション戦略」の早期策定とその着実な実行、更には研究力の抜本的強化に向けた検討を通じて、我が国の科学技術イノベーション能力の向上に努めてまいりたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今、次期統合戦略の話も出たんですけども、そろそろ次期統合戦略をまとめて来年度予算要求に向かっていかなきゃいけない時期だと思うんですけれども、その中で科学技術予算を増やすためには国民の理解が大事かと思うんですけれども、国民理解を喚起するために大臣としてどのように取り組むのか、そこら辺を教えてください。
(答)全くそのとおりだと思います。国民の理解なしに大幅な予算増ということはできないと思っていますし、科学技術イノベーションというものが如何に国民の生活に関わって、どう貢献していくか、といったことをまず理解していただいた上で、皆さんとともに今後の科学技術の方向性について考えていくということが重要だと思います。
 内閣府では、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)シンポジウム、革新的研究開発プログラム(ImPACT)における成果報告会、これはImPACTシンポジウムと言っていますね、あとはオープンイノベーション大賞による好事例の表彰、また、ムーンショット型研究開発制度では、具体的な目標の策定に向けて、一般の方々からも、たくさんの意見をいただいたということも理解促進の上で役に立つのではないかと思います。
 科学技術予算が各国、今しのぎを削って増やそうと、またムーンショットをやろうというのは、やっぱりこのままでは何かが足りないと皆さん思っているのと、基礎研究のベースがなければ破壊的イノベーションが起きない、狙って破壊的イノベーションが起きるものではないけど、基礎研究の分野がベースになければ、それこそ何も起きないわけで、そういうことが世界共通の認識になってきているんではないかというふうに思います。
(問)一般国民、直接今のシンポジウムとかで公開するのもいいですけど、同時にメディアを通じていろいろなことを情報発信するというのも大事かと思います。それで最近、各種会議が結構非公開のことが多くて、例えば先日、大学支援フォーラム(PEAKS)の発足式をやって大臣もご出席されたと思うんですけれども、そのときも冒頭だけ公開で、あとは非公開。出席したCSTI議員とか産業界の何人かの社長とか、あるいは大学関係者に聞いても、何で非公開にするのかが全く理解できないというレベルで、むしろ公開した方がみんなに知ってもらって良かったんじゃないかという話もあったんですけれども、大臣どのように思われますか。
(答)私もずっと最初から最後まで出席していたわけではありませんが、相当部分は公開されているというふうに理解をしていますが、発言しやすいという環境で、これも参加者のご意見も踏まえて、運営の仕方についても現場でもう一回確認してみたいなというふうに思います。隠し事は何もないので、ただし、マスコミの皆さんが一生懸命関心を持つと、参加者の方も思い切ったことが言えなくなるということがあるのかどうなのか、その辺りもちょっと私の方でまた聞いてみます。
(問)宇宙分野ですが、昨日、日米首脳会談が行われまして、その後の会見の中でも特に月探査の議論、先程お話もありました加速化させることで一致したと、トランプ大統領も重要な項目と位置付けているというお話でしたけど、担当される大臣としての、まず昨日の会談の受け止めと、今後それに向けて具体的にどのようにしていくのかお考えがあったらお願いします。
(答)まず、昨日の日米首脳会談において、安全保障・探査・産業の各面での宇宙協力の強化が確認されました。そして、月探査に関する協力について議論を加速することで一致したと聞いています。
 今月の私のワシントン出張でも、アメリカは宇宙分野の協力における大変重要なパートナーであるということを確認してまいりました。
 今後、とくに米国が構想している月近傍有人拠点「Gateway」について、我が国が戦略的にどのように参画していくか、国際的な調整を進めてまいります。今回の首脳会談の成果も踏まえつつ、宇宙分野における日米間の協力がより一層強化されることを期待しています。
 今回、私の印象でも日米首脳会談における宇宙分野ということに対する協力の確認はちょっと異例なほど大きかったというふうに思っていますので、それに向けて我々も頑張っていきたいと思います。
(問)関連してなんですけれども、念のため確認なんですけど、この宇宙分野について大臣ご自身とトランプ大統領で宮中の昨日は晩餐会とかもあったかと思うんですけれども、そこで何か直接お話しされたりとか、そういったことはあったんでしょうか。
(答)宇宙分野について、特に大統領と直接話しするということはありません。晩餐会の場で話すというようなことは普通ありませんので。
(問)今回の月探査の協力の合意の件なんですけれども、例えば月面着陸を急ぐ米国に合わせて、例えばGatewayより先に着陸技術などへ参加するとか、そういった具体的な部分のところまでの構想としてイメージとしてあったりされるんでしょうか。
(答)イメージというのは今ちょっとここでお話しするのはどうかと思いますが、いずれにせよ協力についての議論をこれから加速化していきたいというふうに思います。我が国の得意分野等々については米国もよく分かった上で、今後どのように協力していくかということを年内には大体決まっていくと思います。
(問)すみません、勉強不足でもしかするともう出ているのかもしれないんですけれども、科学技術がどのようにSDGsに貢献するかということで、ロードマップを作るということを政府はやるということを言ってきたんですけれども、G20に向けて情報発信ということで、この件というのは今、どういうふうになっているんでしょうか。
(答)SDGsはちょっと範囲が広いので、だから今、調整すると。
(問)一応策定はするということで、ロードマップの策定を。
(答)ロードマップの策定はする方向です。
(問)科技の大臣会合というのが設定はされていないですよね、今回は。
(答)ないです。
(問)どういうところで発信をしていくのかなということを。
(答)それぞれ個別のテーマで前回から引き継がれているもの、例えばAIであるとか、あといろいろな分野に関してそれぞれを継続して審議するという中で、科学技術を全部一つにくくってということにはならないほど範囲が、例えば5Gにしてもそうですし、AIにしてもそうだし、範囲が広がっているということだと思います。

(以上)