平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 令和元年5月14日

(令和元年5月14日(火) 9:52~10:14  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 では、私の方から、まず科学技術政策担当として報告します。
 昨日の総合科学技術・イノベーション会議についてです。会議では、我が国の研究力強化に向けた方策について、議論を行いました。
 会議の中では、安倍総理から、私を含む関係大臣に対して、民間資金の積極的な活用のため、多様な形態の産学連携が可能となるよう、大学・国立研究開発法人による共同研究機能の外部化を可能とする仕組み、また、研究者が各種の事務に忙殺されることなく、自らの研究に専念できる仕組み、とりわけ、若手研究者が安心して自発的な研究に取り組める仕組み、という点を含めた、我が国の研究力を抜本的に強化するための「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」を、年内を目途に策定する指示がありました。
 また、総理の指示を踏まえて、イノベーション・エコシステムの中核となる全国各地の大学が、今後目指すべきビジョンについても、関係省庁と連携しながら、次期科学技術基本計画に向けて、年度内を目途に検討をいたします。
 更に、ムーンショット型研究開発についてですが、野心的な目標を早急に取りまとめて、その達成に向けて、速やかに実行していかなければならんということでございます。
 そして二つ目は、昨日開催した第4回目のクールジャパン戦略関連の「EUREKA!懇談会」についてであります。
 昨日、品川の「コクヨ東京ショールーム」において、第4回目の懇談会を開催しました。3月以降、「EUREKA!懇談会」を開催しており、今回はこれまでに出席いただいた外国人有識者9名にお集まりいただき、過去3回の意見交換で浮かび上がってきた論点を整理いたしました。
 具体的には、事務局から、これまでの議論により得られた気付きの点を踏まえた上で、戦略において強化すべきポイントについて発表し、議論が行われました。
 出席者の方々からは、外国人と日本人がクールジャパンを一緒に取り組むことの重要性、日本への親近感が増すようなプログラムの重要性、ビザ等の外国人の活躍を困難にしている日本の制度や慣習などに関して多くのインプットを頂きました。
 今後、本懇談会で得たいろいろなご意見も踏まえた上で、知的財産戦略本部の検証・評価・企画委員会の下に設置する「クールジャパンWG」において、戦略についての議論を深めた上で、この夏ごろに新たな戦略を策定することを目指していきたいと考えています。これがクールジャパン関連でございます。
 そして、次は知的財産戦略担当大臣としての報告です。
 本日、日本の音楽レーベルと日本の楽曲の海外展開を促進するために、経済産業省のコンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金、通称J-LODにおいて、音楽配信プラットフォームを通じて楽曲を世界のリスナーに届けるために必要な楽曲タイトルやアーティスト名などのメタデータの整備を支援対象に追加する旨の運用変更が公表される予定です。
 これは皆さんもご参加なさったかも分かりませんが、今年1月30日に開催された検証・評価・企画委員会のコンテンツ分野会合において、事業者のヒアリングの中で、日本の音楽は英語等のメタデータが整備されていないために配信事業者を通じて世界のリスナーに届かないという問題があることが判明しまして、私から知的財産戦略推進事務局の事務方に指示して、今回の経済産業省の方針が決定したわけでございます。そういう意味で、これは具体的な要望に応えた一つの成果というふうに思います。
 レーベルによる申請の受付開始は6月上旬を予定していると聞いていますが、詳細は本日14時に公表される経済産業省のプレスリリースをご覧いただければと思います。これで日本の楽曲がサブスクリプションモデルの中で海外でも拾われる可能性がまず出てきたということではないでしょうか。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先日、大臣も出席されたサイバーポート委員会で関係者から非常に多くの要望が寄せられたんですけども、要望に応えることで参加する会社を増やすことはできると思うんですけども、一方で要望に応えてばかりいると時間が掛かってしまうと。大臣としてはどういうストラテジーでこの両者のバランスをとっていくのか、そこら辺の考え方について教えてください。
(答)私、後半部分だけしか出席していなかったんですけど、それ以前にあれだけ利害関係者を一堂に集めた会議ですから、できるだけ幅広くヒアリングをしようということでいろんな意見が出たんだと思います。
 会議では、令和2年までの構築を目指す「港湾関連データ連携基盤」の検討状況が報告されて、NACCSとの連携方針とか、多くの港湾関係者に利用いただくためのシステムに具備すべき機能などについてもいろいろな要望があったというふうに聞いてます。
 今後構築するシステムをしっかりと使っていただかなきゃいけないので、使う方々、つまり利用者目線でシステムの要件定義をしていくということになると思います。ほかのプラットフォームとの連携とか必要な連携を、これから情報連携というものを進めていこうということですが、いろいろな意見が出たとしても全体進む方向がはっきりしていて、このプラットフォームとデジタルのメリットを生かすと生産性が上がるということだけは皆さん共通認識としてあるので、まず全体最適化と要望を入れる部分最適化をうまくこれから調整をしながら進めていくということで、本来こういうものというのは今までの業務の在り方も見直すべき点もあると思うんですね。だから、そういうことも含めてこれから国土交通省港湾局をはじめ関係省庁と連携して、このIT総合戦略室ではそこのプラットフォームほか最新の海外の知見等々も提供しながら、最終的にスピード感を持って取り組んでいくということになると思います。
(問)もう一つ、先程のEUREKA!懇談会なんですけども、ビザ等の外国人活躍を阻害する制度や慣習に課題があると。これは法改正も含めてこれから検討するようなことで。
(答)何が問題なのかというと、要するに法改正というのはまだ検討するかどうかは分かりませんが、特に日本の文化にディープに関わっている人たちが、オタク系の方々が何度も来るとちょっといかがわしい目で見られるというようなことですね。そんな話です。それと一方で、何度も何度も来る人たちはやはりもう少し大事にしてくれてもいいんじゃないのという思いがあるんじゃないかなと。何度も来るということに対してのインセンティブみたいなものがあった方がいいというようなことで、直接ビザの問題ということでもなかったように思います。
(問)CSTI本会議の関係なんですけれども、研究に専念できる環境づくりを進めるという話で、大臣のプレゼン資料にもあったんですけど、教育職との分業というのを検討するというお話もあったと思います。そうしますと、研究に専念できる教員のメリットはあると思うんですけど、逆に教える方にはしわ寄せが来る可能性もあるわけですけれども、その処遇の在り方とかを含めてどのようなイメージを考えていらっしゃるのか教えてください。
(答)これはいろいろなご意見があります。橋本議員によれば、給料を下げてでも、その後は外部資金を得て研究に専念できるようにして、一方で教職をちゃんとやられる方は給与を保証するみたいな制度はどうか、とかね。
 あと、これから検討する「外部化」ということになった場合に、外部に出した先生は研究に専念できるというような形も考えられるでしょうし、落合陽一さんのように、外部化して給与はそっちから全部もらって、大学の方に教えに行くというようなモデルとか、いろいろあると思うんですよ。
 今でもやろうと思ったらできることなんですけど、さらに、各大学がそれぞれ研究者の要望を踏まえて、柔軟に対応ができることを後押ししようという趣旨で書かせていただいてます。
(問)冒頭のご発言で最後にあった音楽配信のプラットフォームなんですけれども、大臣、日本の音楽が海外にも広がるというようなご期待があるとお話ありましたけど、具体的に、これまでとどのように違うからこそ海外でも広がる可能性がより広がるのかっていうところ、もうちょっと具体的に教えていただけますでしょうか。
(答)これは経済産業省の方のプレスリリースをご覧になっていただいたら分かると思うんですが、今もはっきり言ってCDが売れる時代でもない。itunesのように、そういうもので買われる時代でもなくなったと。つまり、サブスクリプションモデルみたいなものがたくさん出てきて、だから、そういうところにまとめて契約をするという形態が普通になってきていて、そのときに、ワーナーとかユニバーサルとかソニーっていうメジャーはそれなりのいい条件で、そういう海外のサブスクリプションモデルと契約できてるんですが、それ以外は全部インディーズということになっていて、うまくその条件も整わないと。そういうものにつながっていくためには、まずは、楽曲やアーティストに関する英語のメタデータがないと、はっきり言って、そこのプラットフォームに乗っていくことさえもできないと。つまり、日本の場合はそういう英語のメタデータっていうのを、世界マーケット意識してたわけじゃないし、デジタルの世界がこんなに広がると想定してなかったので、そこがすっぽり抜けてる部分もあったので、そこは要するに海外につながれるように、これから補助金で協力をしようということです。つまり、海外で聞いてもらうためには英語のメタデータになってなきゃいかんということですね。
(問)CSTIのことでまたお聞きしたいんですけれども、大学が今後目指すべきビジョンの話を、今後議論とか策定をして、科技基本計画に盛り込みたいというお話だったと思うんですけれども、例えば大臣ご自身としては、その策定に当たって、そのビジョンの策定で、議論の課題というか、どこに重点を置いてビジョン形成を考えるべきかとか、どのようなお考えあるか、お聞かせいただければと思います。
(答)それはそれぞれ皆さん、大学がお考えになることだと思うんですね。文部科学省と相談をしながら、そういう大学の戦略を後押しするということだと思いますが、私自身がこっちをやれとかっていうようなことは特に申し上げるべきではないかなというふうに思います。
(問)最終的なイメージとしては、そのビジョンに基づいて、大学側が戦略なり経営方針、思想なりをつくってほしいと、そういうことが着地点でしょうか。
(答)そうですね。要するに、今、世の中が大きく変わっていると。それは、やっぱりデジタルトランスフォーメーションで、目指すべき我々社会像をSociety5.0というふうに言ってると。その中で、これは今、上山議員を中心に議論をしてるんですが、それぞれ地域との協力みたいなものもより強化をしていく時代になるだろうというふうに思うし、スタートアップとの連携とか、いろいろあると思うんですよ。ここに来て、いろいろな環境が変わる中で、大学が自主的に、次の時代に自分の目指す方向を決められるようにしたいと。全体としては方向は一緒だとしても、今はいろんな分野で新しいことが起きているので、それぞれ自分の得意とする分野を決めて、そこに戦略的に人の配置等々していくんだろうと、そういうことを後押ししていこうということだと思います。これはなかなか大変ですけど、今、上山議員の方で国公私立大学のビジョンで、イノベーションシステムという観点で、今整理をしていただいていて、これはこれから本当に重要だと思います。
 昨日、上山議員の方がお配りしたデータなんかを見ると、それぞれ、国公立とか、私立とか、大学の分布なんか見ると非常に興味深いなと思ってます。日本もそういう狭い国土ではありますけれども、そういう分布もあるし、それぞれ自主的にお考えになることではないのかなというふうに思っています。
 アメリカ型、ヨーロッパ型、その中間型なのかなというふうに思っていて、キーワードは、地域の特性というのが今後出てくるのではないかと私は思います。
(問)同じくCSTIの関連で、ムーンショットの提案が、締切り延長したこともあってか、1,800件程度集まったってことですけど、その数とか内容に対して、受け止めみたいなものがあったらお願いします。
(答)はい、今回、ムーンショットに関して、一般の方々から、挑戦すべき社会課題や、その克服に向けた研究アイデア等もたくさん頂きました。1,800件という話をさせていただきましたが、まず、関心を持っていただいて、たくさんの提案を頂いたことに、まずは感謝を申し上げたいと思います。
 これからなんですけど、一般からの提案内容を当然踏まえてですね、各省庁の中堅幹部を集めた作業チームにおいて、その検討した複数の目標候補を提示するという方向になっていくんではないかというふうに思います。
 ただ、会議で女性が少ないとか、いろいろ指摘も受けて、なるほどそうだなというふうな思いもあって、省内でもですね、できるだけ女性の方々の意見を聞こうというふうには思ってます。
(問)それで、早急に目標は取りまとめたいということでしたけれども、その候補をまずどれぐらいの数に絞るかとか、あと、スケジュール感があればお願いします。
(答)その数についてはまだ、これから検討するということになるんですけど、今月23日のビジョナリー会議では一つの提案を出していこうというふうに思って、それを議論する素材は提供しなきゃいかんというふうに思ってます。最終的にいろいろな意見が出ると思うんです。その上で、夏を目標に決めていきたいと思います。
(問)今の関連でですね、ムーンショットなんですけども、今回、アクセラレーター協議会をつくるということが新たに決まったかと思うんですけども、その中にVCを、関係省庁や産業界だけじゃなくてVCを入れてるんですけども、大臣の思いとしては、これ、VCを入れたのって、どういう狙いがあってVCを入れたか。
(答)ムーンショットに関して、1,000億円というのは基本的にはシードマネーっていう考え方です。ですから、最終的に、その研究開発の方向性でPD等々が決まってきたときに、民間の資金というものがそこに投入されていくのが理想的だろうということで。これからそういうふうになればいいのではないかというふうに考えてます。

(以上)