平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 令和元年5月7日

(令和元年5月7日(火) 9:52~10:13  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 令和になって初めての記者会見ということですが、まずはアメリカ、ベルギー、スペイン出張に関しての概略のご報告をさせていただきます。
 科学技術政策、宇宙政策、IT政策担当の大臣として、5月1日から6日まで、日米科学技術協力合同高級委員会及び科学技術、IT、宇宙に係る要人と会談・視察等のため、米国、ベルギー、スペインに出張いたしました。
 米国においては、日米科学技術研究開発協力協定に基づく閣僚級会合である、第14回日米科学技術協力合同高級委員会に、柴山文部科学大臣とともに日本側共同議長として出席して、米国側共同議長であるドログマイヤー大統領府科学技術政策局長、クレイチオス技術政策担当大統領副補佐官らとの間で、科学技術・イノベーション政策及び宇宙政策分野に係る日米協力を推進すべく意見交換を行い、特にムーンショット研究開発、AI、量子等における連携・協力を今後強化していくことに合意いたしました。
 また、日米の官民関係者が参加する「AI and Governments」において基調講演を行いまして、我が国の「人間中心のAI社会原則」を説明するとともに、ペース国家宇宙会議事務局長との間で会談を行いました。
 ベルギーでは、アンシップ欧州委員会副委員長との間で会談を行い、双方のAI倫理・社会原則の考え方や内容が共通していることを確認した上で、これを国際的な共通理解とすべく、G20等を通じた日EU間の協力を一層推進していくことで意見が一致しました。
 また、モエダス研究・科学・イノベーション担当欧州委員との会談では、我が国のムーンショット研究開発制度とEUのHorizon Europeとの連携強化を今後進めていくことにしました。
 さらに、ナノエレクトロニクス分野における世界的研究拠点であるIMECを視察して、関係者との間で意見交換を行いました。
 スペインでは、欧州の名高いムーンショット研究開発機関であるアルファ社の幹部と、大きなインパクトを生み出す挑戦的な研究開発の進め方等について、意見交換をしました。また、我が国のスタートアップ・エコシステム拠点形成の推進に資するため、グーグル・キャンパス・マドリードを視察して関係者と意見交換をしました。
 このたびの成果を、科学技術政策、宇宙政策及びIT政策の更なる推進に役立ててまいりたいというふうに考えております。
 その場の雰囲気であるとか、会談について、私のフェイスブックを見ていただくと、全てタイムリーに上げております。また、英文のステートメントは、訳も付けて、現地で配布したのをもうお持ちかと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)ちょうど元号も令和に変わったということで、この令和の時代をどういうふうに大臣としてはしていきたいのか、そこら辺のお気持ちについて、教えてください。
(答)今回、ちょうど令和元年、1日から出張したんですね。ちょうどワシントンと日本の時差が13時間ありますので、5月1日は24時間プラス13時間、37時間、非常に長い、その間に日本の式典にも参列させていただいて、そのまま米国に行って、米国の皆さんから令和に対するビューティフルハーモニー、これもね、こちらが言わずとも向こうからそのように、非常に関心が高いんだなというふうに思いました。
 そんな意味で、1日という日に、特にアメリカの方々といろいろ率直な意見交換ができたということ、そして、そのままヨーロッパでEUは、今、EUが選挙に入る直前、各閣僚級の方々ですけれども、本音でいろいろな話をさせていただいて、改めて海外の方々から見る日本の目というようなものも、今回ある程度理解できたのではないかなと、そんなことを総合的に考えて、つまり、海外の人が日本に注目しているというのは、私はこれは意外だったんですけど、アメリカもそうです、ヨーロッパもそうなんですが、日本の高齢化に対して非常に注目しているということです。
 そして、それをSociety5.0という言葉で我々サイバーフィジカルな、豊かで安全で住みやすい社会ということになるんだと思うんですが、彼らはこれ、両方がおっしゃっていたのは、そこの点に関する日本がどうやっていくのかということに対する世界の注目度は、我々が意識している以上に大きいと。
 我々は日々生活しているとその変化というものに対して鈍感になることがあるんですが、海外から見てると、正に日本というのは高齢化の社会モデルをどうやって作っていくんだろうということに一番注目しているというふうに思いました。
 そこであえて私が、これ科学技術政策担当、IT政策担当ということで申し上げますと、高齢化はもう間違いなく進んでいきます。その後に続いて、ヨーロッパの多くの方々も全く同じスピードでついてきている状況の中で、何が変わるのだろうかというふうに、人口モデルは変わるんですが、デジタルが当たり前の時代になると。デジタルネイティブの若い人たちも同時に社会に出ていくと。そこで、恐らくビューティフルなハーモニーがちゃんとできるかどうかということがまず一つあると思います。
 そして日本が今回アメリカでもヨーロッパでも全て人間中心、ヒューマンセントリックで考えようと。人に優しい政策を進めていこうということを訴え続けていることに関して非常に共感を得ていて、日本が言うなら分かると。日本はそういう意味では、非常に人に優しい社会を目指しているということに関しての認識もあると。
 そうなると、私がやらなきゃいけないことは、人間中心のデジタル社会へどうやってスムーズに移行させていくかということが一点と、若い人たちの潜在能力をどうやって解放するか、この二つだと思います。
 つまり、若い方々がデジタル社会の中で、新しいビジネスモデルやいろいろなアイデアやイノベーションを起こしつつ、高齢者の皆さんがその恩恵も受けながら、新しく活力のある、年齢層の高い社会をつくっていくこと。そのときに機械任せではなくて、人間中心で、ベースは人に優しいということと、IT技術とかそういうものによって、これ以上格差を広げないということが一番重要で、そういう意味で令和という言葉、ビューティフルハーモニーというのは、もう正にドンピシャだなというふうに思いました。
 ですから、ちょっと長い話になってしまいましたけど、そういう社会になる基盤をつくるというのが私の役割だと自覚しておりますので、今やっていることを更にスピードアップをさせていきたいと、そんなふうに思います。
(問)今の質問でちょっと一つかぶってしまうのかもしれませんが、今回視察してきて、やはり日本にどんなことが課題があって、今後どんなことに政策に着手していかなきゃいけないなというふうに感じたのか、率直なご感想をお願いできればと思います。
(答)要するに、アメリカも、ヨーロッパも、日本とはやりたいと。一緒にやっていきたいと。要するに、英語ではlike-mindedというような言い方で、我々その会議で話していたんですけど、価値観を共有する、その国の皆さんは是非日本とやりたいと、そういう思いがあります。
 ヨーロッパは、日本とはやりたいと。アメリカも、日本とやりたい。さて、日本はどうするかということだと思うんですね。
 日本なりに、宇宙分野でも、科学技術分野でも、IT分野でも、日本というのはそれなりの老舗で、信用もあるし、技術もあり、人材もいるということを、海外の皆さんが認識した上で、一方で、例えばGDPRと個人情報保護法なんかがお互いに十分性を認定しているというようなことで、日本というのはそういう意味では、海外の方から見て非常に安心感があると。
 なので、そういう意味で、日本と海外はうまくやっていける。そのうまくやっていく体制を、どう作っていくかということがあると思います。
 ただ、私自身、日本の問題があるとしたら、スピード感。海外から見ると、もっと早いスピードで日本の高齢化とか、いろいろな社会問題の顕在化というようなことが起きているように見えているんですよね。ところが、日本にいると、なかなか皆さんそういうことを日々感じてはいないと。そこが今回思ったことで、今は正に時代の変わり目なので、政策のスピードアップを、その推進のスピードアップが必要じゃないかなというふうに思いました。
(問)もう一点、先日、インターステラテクノロジズというロケット打上げの会社が、宇宙空間にロケットを飛ばさせました。
 まだまだビジネスとしては遠いですけども、大きな一歩であることは間違いありません。これについて、大臣はどのように受け止めましたでしょうか。
(答)今回の成功については、私も出張中に知りまして、大きく報道されていたし、それなりに注目されていたんだなというふうに思いました。
 民間主導で開発したロケットが、日本では初めて高度100キロに到達したということで、過去二度でしたっけ、失敗してたのは。三度目の正直で、成功して良かったなというふうに思います。
 この民間による小型で安価なロケット打上げビジネスというものができたら、これは我が国の宇宙活動全体の底上げと活性化につながるなというふうに思っています。
 このインターステラテクノロジズに限らず、例えばispace(アイスペース)とか、ALE(エール)とか、スペースワンとか、これだけ何か宇宙ベンチャーというか、新しいものが日本で動き出すということはなかなかないと思います。
 ですから、宇宙産業全体が活性化する中で、この小型、安価な打上げができるベンチャーという存在も、非常に私は頼もしい存在だなというふうに思いまして、今までも経済産業省等で資金的な援助もある程度はしておりますが、引き続きできる範囲で支援をしていきたいと思います。
(問)ちょっと引き続き宇宙の関係で伺いたいんですけれども、向こうの出張でも話題には上がったのかなと思いますが、アメリカのゲートウェイ計画に関して、柴山文部科学大臣がその終わった後のブリーフィングというか会見で、日本政府としての正式表明をできれば今年中にもしたいというお考えを示されましたけれども、改めて大臣ご自身として、例えばそういったスケジュール感ですとか、お考えがあればお聞かせいただければと思います。
(答)これは柴山文部科学大臣も、記者会見の席でご本人の希望的なスケジュールということでお話しになったというふうに理解していますが、これはいずれ宇宙政策委員会、又は政府で調整をしていくという話だと思います。
 ただ、今回その米国側のペース事務局長とお話をしていて、その月面着陸日程を前倒しをするというような思い切ったことは、アメリカも宇宙政策というものを、もう一度政策の優先順位を上げていこうという政治的な意思を、官僚機構も含めて持ってもらうということでその発表をしたと思うんですね。
 ですから、これから一気にいろいろな組織がその前倒しのスケジュールというものに向けて動き出すという中で、日本も検討していかなきゃいかんだろうというふうに思います。
 柴山文部科学大臣が積極的な発言をしていただいたことは、私としては非常に有り難いし、宇宙政策委員会とか、関係者との調整というのをまたやっていきたいと、そんなふうに思います。
(問)先月26日の内閣委員会で、タブレット端末を答弁に利用されましたけど、それの所感と、ペーパーレス化が進まないこの日本の国会の現状について、大臣のお考えを改めて伺いたいと思います。
(答)私も思った以上に各社が報道されたので驚いたんですが、紙を読むか、タブレットを読むかでの違いしかないんですよね。
 そういう意味で、事務方の紙の枚数は相当減って、当日の理事会などでそういうことをお決めになって、私がそのタブレット端末を使用するという形になったんですが、これは4年以上前から自民党のIT戦略特命委員会では、完全にペーパーレスで全ての会議をしておりましたし、その後、自民党の政調審議会でも、そのタブレット端末を使っているというふうに聞いています。
 そうなりますと、これは結局現場の生産性をどのように上げていくかという観点で、そのタブレット端末はタブレット端末の利便性、良さもあり、紙は紙でその一覧性とか、軽いとかね、いろんなメリットもあろうかと思いまして、一方で、大量のコピーとか、そういうものに経費が使われている現状というのは改善すべきだと思います。なので、両方のいいところをこれからそれぞれ皆さん、国会改革の大きな流れの中で、ご検討なさることだというふうに思います。
 私はこの今の立場で、役所内でできるだけ仕事がスムーズにできるように、また、情報共有の在り方などについても、もっとうまくできるように、そういうデジタルデバイスをどのように使うかということは、今後検討していきたいとは考えています。

(以上)