平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成31年4月16日

(平成31年4月16日(火) 9:22~9:43  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 まず、宇宙政策担当として報告します。12日に「ALE社」と「ispace社」という2つの宇宙関連のスタートアップを視察しました。
 1回目の「ALE社」は、人工流れ星の放出サービスという、世界に類を見ない斬新なビジネスを計画するスタートアップです。1月のイプシロンロケット、これは革新的衛星技術実証の初号機の打上げに成功して、来年春に、広島・瀬戸内上空で、人工流れ星の放出イベントを実施予定とのことです。
 「ALE社」の世界初となる一大イベントの成功を期待するとともに、今後、瀬戸内海各地で実施される関連イベントを通じた地域振興にも協力していこうということで、私の地元の高松でも、これは見れるということが分かりましたので、徹底的に応援をさせていただこうというふうに思います。単に流れ星を見るだけじゃなくて、見るまでのストーリーを含めて、もう一回作り直したいなと、これはこちらからもいろいろ協力できる内容を提案したいなと思います。
 これもクールジャパンのコンテンツであることは、もう間違いないので、これはあとどのようにまた説明するかということだと思います。
 2社目の「ispace社」は、月面で水などの資源を開発し、深宇宙開発に利用するという画期的なビジネスに果敢に挑戦しているスタートアップです。2020年に月周回軌道に探査機を送り、2021年に月面に着陸するという予定です。
 今後、月面での資源開発に関するルール整備について、我が国として、国連などの国際的な議論の場に、積極的に参加していかなければならないと考えています。
 宇宙ベンチャーの取組が非常に活発化してますし、日本の技術力と長年携わってきた歴史、宇宙に関する老舗の強みみたいなものが今、花開こうとしてるのではないかと思います。
 今後とも、宇宙政策の推進に積極的に取り組んでいきたいと思います。
 もう一つは、昨日、ドイツ連邦共和国カルリチェク教育研究大臣による表敬を受け、会談を行いました。
 会談では、2月の日独首脳会談において、「Society5.0」と「Industry4.0」の協力や、自動運転、AI・IoT分野での共同研究強化が確認されたことも踏まえまして、AI原則や、スマートシティ、AI・バイオ・量子技術に係る我が国の戦略策定、自動運転、ムーンショット研究開発制度等に関して、今後の協力の在り方について意見交換を行いました。
 会談の成果として、カルリチェク大臣と私の間での会談録に、昨日は署名をさせていただきました。
 特に、人間中心のAI原則及び、スマートシティ政策について、両国でG20をはじめとした国際的議論を先導すること、また、我が国がEUとの間で連携を検討している、ムーンショット研究開発制度について、両国での協力を強化していくことなどについて確認をしました。
 今回の会談の成果を踏まえまして、科学技術・イノベーション分野における日独をはじめとした二国間、更には多国間も含む国際連携について、今後も推進してまいりたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先日、NISTEPの定点調査2018の結果が公表されまして、その中で日本の基礎研究からのイノベーション創出の力が落ちてるという指摘があったのと、あと、もう一つ、CSTIへの評価が2年連続で低下してるんですけれども、これについて大臣の受け止めと今後の取組について教えてください。
(答)先日、文部科学省科学技術・学術政策研究所、これをNISTEPと言うんですね、が公表した「定点調査2018」は、産学官の第一線の研究者を対象として、現場の声が反映された調査結果の一つであるというふうに認識してます。
 ご指摘のとおり、本調査結果では、日本の基礎研究の状況は悪化したとの認識が示されています。
 一方で、「若手研究者に自立と活躍の機会を与える環境整備」、「大学改革と機能強化」、「産学官の組織的連携を行うための取組」などの質問については、評価を下げた回答者と上げた回答者が共に多く、変化は生じている、という認識が示されていると考えます。
 研究開発の成果をイノベーションに繋げることについて、産学官の繋がりを深める観点から、政府としては、統合イノベーション戦略に基づいて、国立大学の経営基盤の強化や人事給与マネジメント改革を通じた若手研究者の活躍機会の創出などの大学改革、競争的研究費の若手研究者への重点的な配分といった優秀な若手研究者への支援、新興・融合領域の開拓に資する挑戦的な研究、独創的な分野横断的な俯瞰力を備えた人材の育成など、革新的な研究開発が行われるための持続的なイノベーション創出の促進に取り組んでいるところであります。
 なお、CSTIについては、最新の取組として、基礎研究から社会実装・国際展開を一気通貫で実行するための「統合イノベーション戦略」の策定、昨年度補正予算において、初めてやりますムーンショット型研究開発制度を創設するための1,000億円の計上、また、本年度予算における科学技術関係予算は、昨年度と比べて10%以上増加して、平成7年の科学技術基本法制定以降、最大規模の4兆2,000億円余りを計上したことほか、夏に向けて、教育改革を含むAI戦略など重要戦略の策定に向けた検討が今進んでいるところであります。このような状況をちゃんと理解をしていただければ、更なる理解を得られるのではないかなというふうに思います。
(問)今まで、日本の科学技術政策としていろんなことに取り組んできて、ただ、結果としてなかなか現場が良くならないというのが今のところの結果だと思うんですけども、今までも若手への支援とか何とかといろんなことやってきたんですけども、でも、なかなか現場が良くならない、そのことについて、大臣どのようにお考えでしょうか。
(答)私はHIRAI Pitchをやっていなかったら、そのままそのご意見に対して、それは若手にもっと研究費を回さなきゃいけないというようなこととか、その働き方をもっと安定したものにするような政策を進めるとか、というような答えをすっとしてしまうんだと思うんですが、若い人たちや最先端の方々と直接バイアスのない情報の意見交換をさせている中で、最近気が付いてきたことは、要するに、マインドセットが変わった若い人たちが増えているということなんです。そのことは、多分数値には今表れていないんだと思います。これは自分たちが学生の頃とか、ここ十数年の世の中で見ても、若い人たちのマインドセットがここまで変わったというのは最近のことじゃないでしょうか。ですから、今回のこのNISTEPの調査で、例えばベンチャー企業の設立や事業展開を通じた知識移転や新たな価値の創出の状況とか、女性や外国人のこととか、起業家精神を持った人材の大学における育成状況、この辺りが今度はプラスになっているわけです。
 結局こういういろんな項目がある中で、その平均点を見て我々は物事を考える部分と、そうではなくて、幾つかの項目の中で大きな変化が生まれているものにも注視をしないと、今ゲームチェンジが起きようとしている時なので、全てその過去からのデータの延長線上で判断しては駄目だなというふうに最近思いましたので、日本の科学技術・イノベーション政策に関して言えば、これこそ本当にバックキャストで考えていける部分があると、そのシンボル的な予算がムーンショットだと思うんですが、若手の皆様方の、単純に働く環境とか待遇ということだけではなくて、もっとやらなきゃいけないことがあるんだろうなというふうに思います。
 それと、これは個人の私の見解として聞いていただきたいんですが、やっぱり物事全体をネガティブに見る風潮が続いているんだろうというふうに思います。全体としてそういうものが悪くなっていたとしても、幾つか良くなっているものもあって、その良くなっているものに更に注視することによって、その全体としてまた良くなっていくということもあり得る時代だろうと。ですから、ここらが時代の変わり目で非常に難しいところだと思うんですが、要するに、チャレンジングな方々を更に支援をするということで、昨日の委員会の質問でも、いろいろ選択と集中と、それが悪い結果を招いたんじゃないかというようなご質問が結構あったんですけど、その選択と集中というような分野ではないと思うんですね、この科学技術。そうではなくて、要するに、その基盤的なところをどうやって守っていくかというのと、競争やイノベーションのところをどう進めるかというバランスをどうとるかということをもっと考えるべきだと思っていて、それは、どっちかがいいということではなくて、どちらも必要な中で、今このゲームチェンジが起きようとしている中では、配分はどのようにすべきかという観点で考える必要があるんだろうというふうに思います。
 科学技術担当大臣としては、非常に難しい局面での担当になったなと。要するに、単純に過去の延長線上で全て判断するということではもう駄目なんだなということを認識しておりまして、また更に勉強もさせていただきたいと思います。
(問)冒頭のムーンショットの件で、ドイツの話の中で、EUとの連携というお話があったんですけども、すみません、勉強不足で恐縮なんですけれども、ムーンショットの研究開発型の研究開発制度ですけれども、それで国際連携というのをちょっと私記憶がないので、ちょっと簡単に教えていただければというふうに思うんですが。
(答)野心的・挑戦的なテーマを掲げて、そして、それは世界のいろいろな研究者にも協力してもらって進めようということで、アメリカに私が出張してきたときに、向こうのXとか、あとはSRIとか、そういうところとも話をしてまいりましたし、スペインのアルファとか、つまり、ムーンショットというのに取り組んでいるのは日本だけではなくて、アメリカ、ヨーロッパもムーンショット的な取組もしているということで、もはや一国だけで進められるようなテーマというのがあまりないんですね。ですから、おのずと国際連携というものは生まれてくるという中で、そういう方向を確認をさせていただいて、そのテーマによって、今後決まっていくテーマによってそのフォーメーションは変わってくると思います。
(問)いわゆる具体的にEUと契約を結んだというか提携したとかという具体的な、いわゆる国と国ととか、国と地域とかという形のものもあるという理解でよろしいんですか。
(答)そうではなくて、要するに、共に進められる分野があったらやりましょうね、ということです。
(問)それから、大臣おっしゃったように、一国ではできないような大きな課題に向けて挑戦をするという研究の枠組みだということは理解しているんですが、一方、やはり国益という部分とのバランスというのが必要なのかなという気がして、結局、成果は全部他国に持っていかれてしまうということになると、全く日本の研究力の底上げにはならないと思うんですけども、その辺とのバランスはどう考えていらっしゃるんですか。
(答)プログラムマネージャー(PM)というものが非常に重要だというふうに思っていて、まず日本が主導権を取りながら進められることがベストだと思います。ただ、掲げる目標によっては、日本だけではなくて世界に貢献できるということもあるので、その海外の方々と連携していくということは当然必要だと思います。
 昨日ちょっと合間をぬって午前中、理研のAIPセンターに行ってきたんですね、日本橋にある。AIの最先端の研究をしているという状況で、幾つかの野心的な話も聞かせていただいたんですが、あそこにいる研究者の方々も、海外の方々は結構おられます。理研のあの状況を見ていても、日本人の研究者だけでは、その最先端の研究が進まないという現状があることも事実なんですね。ただ、それが日本の日本橋の理研のAIPでやっているということの意義が非常にあるなと思いまして、これは国益を考えるという話と、研究開発を世界的なレベルに引き上げるというのは非常に重要なポイントだと思いますが、日本は何とか引っ張っていく先生方が今いるんだなというようなふうに思いました。
(問)今のムーンショットにちょっと関連して、公募の締切りが延長されましたけれども、そちらの今後のスケジュール感に何か影響はあるのかということと、あとは、アイデア公募の締切り延長になったことで、是非こういうものが来てほしいとか、また何か期待感があればお聞かせください。
(答)影響は特にないと思いますが、ただ、私がネットでムーンショットについて、News Picksでちょっと書かせていただいたことに対しての書込みを見ていると、ムーンショットに対する期待が大きいことと、非常にポジティブに皆さん考えていただいているんですね。だから、結局、これから具体的な内容を決めていく段階では非常に難しいと思うんですが、やっぱりそういう何か新しいブレークスルーみたいなものを多くの方々が望んでいて、要するに、単なる基礎研究の延長線上でこれができるという話ではない、何か未来を引き寄せるような、今回テーマが設定されたらいいなと思っています。私自身も、どういう内容かまだ全く見ていませんので、今後、ビジョナリー会議の皆さんと、そこは前向きに議論していきたいなと思っています。
(問)話題変わりますけど、週末に、21日から靖国で春の例大祭が開始されますけど、大臣、今のところ参拝などのご予定とかってありますか。
(答)ありません。

(以上)