平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成31年3月15日

(平成31年3月15日(金) 9:03~9:33  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。まず、私から3件。
 まず、IT政策担当大臣として報告します。
 本日の閣議で、「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案」、いわゆる「デジタル手続法案」を決定しました。
 本案は、「行政手続のオンライン化の徹底」や、「電子申請における添付書類の撤廃」を実現し、行政手続の利便性向上とともに、手続等に係る国民や企業の負担軽減を図るものです。
 また、これにとどまらず、国民に負担となっている引っ越し等の手続の大幅な簡素化を目指したワンストップサービスの充実や、附則ではありますが、政府情報システムの予算・調達の一元化に向けた検討など、日本のデジタル化を大きく前進させるものとなっています。本法案の早期成立に向けて、最大限努力をしてまいります。
 本法案の内容については、この後、事務方からブリーフィングを行いますので、そちらで聞いてください。
 次は、クールジャパン担当大臣としての報告です。
 3月18日月曜日、私が共同会長を務めております「クールジャパン官民連携プラットフォーム」の総会を開催します。
 総会では、皆さんもよくご存じのテレビ東京「YOUは何しに日本へ?」の番組プロデューサー、太田勇氏を招へいし、7年間にわたる訪日外国人20万人への取材を通じて分かった、「外国人にとってのクールジャパンの変化」についてお話を頂く予定です。
 また、昨年12月から開始しました「クールジャパン高校生ストーリーコンテスト」の最終審査会も総会の中でやります。本コンテストの募集では、チラシや公式ホームページだけではなくて、高校生の利用率の高いSNSを新たに活用するなど、幅広く高校生に身近な形で周知を行い、その効果もあってか、全国から61作品にも上る多くの応募がありました。
 最終審査では、これまでの審査で高い評価を得た3作品について、高校生自身に作品のプレゼンテーションを行ってもらい、「最優秀賞」1件、「優秀賞」2件を決定することにしております。
 クールジャパン官民連携プラットフォーム総会は、プレスフルオープンでございますので、是非お越しいただければと思います。
 次は、科学技術政策担当大臣として、ムーンショット型研究開発制度についての報告です。
 ムーンショット型研究開発制度では、未来社会を展望し、困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される社会課題等を対象として、国が野心的な目標(ムーンショット目標)を設定するとしています。
 このため、ムーンショット目標を議論するための有識者会議(ビジョナリー会議)を3月29日に開催します。
 有識者会議では、未来産業・社会や国際的な動向、新たな価値創造を担う次世代の感性といった観点から、お手元の公表資料4ページ目の有識者の方々にお集まりいただき、検討を開始していただく予定です。国会の状況にもよりますが、私も出席する予定にしております。
 また、有識者会議における議論と並行して、一般の方々からも本研究開発において挑戦すべき社会課題や、その克服に向けた研究、アイデア等を広く募集して、目標設定に向けた検討素材として活用させていただきます。
 今後、破壊的なイノベーションの創出に向けたバックキャスト型の研究開発を強力に進めてまいりますので、皆様方のご協力をお願いしたいと思います。
 この中の資料で大体スケジュール的なものも入っておりますので、ご覧いただければと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)デジタル手続法案のことなんですけれども、今回、閣議決定されてこれから国会で成立、施行されると、政府のデジタル手続はかなり進むと思うんですけども、一方で地方自治体のデジタル化というのは、市民社会にとって利用する身近なものですから、進めなきゃいけないなと思うんですけど、そこら辺については大臣、どのようにお考えでしょうか。
(答)まず、国が積極的にデジタル化に取り組み、そして当然、地方にも促す。一番もっと利便性を感じるのは、民間の要するに手続だと思います。
 その辺りが全部そろって動き出すのが理想だというふうに思っていますし、官民データ活用推進基本法のときも、都道府県には義務として計画を出せと。それ以外の自治体に対しては、努力義務だったわけですね。今まで、このような政策に関して、地方に対しては努力義務ということが一般的だと思います。
 ただ、国の手続が変わっていきますので、これはやらざるを得ない状況にはなっていくと思うんですが、ただ、地方っていっても、人がいる、いない、要するに全くそういうそのシステムに関して、人的リソースを持っていないようなところは、これは国が助けていくと。だから、地域情報化アドバイザーとして今も派遣しているんですが、そういう応援をしながら、結局、地方こそこれから人口が減少していくし、今の行政をそのままのサイズで維持できるかどうかというような問題もあるだろうし、そういう意味では地方こそデジタル化にもっと積極的に取り組むタイミングだと思います。
(問)大きく2点伺います。1点目は、今の関連で、今、地方についてのコメントがありましたけど、そもそもこの法案、大臣、これまでの作業を進めてこられて、今日の決定まで至っているわけですけど、この法案全体に対する改めて期待感といいますか、意義の部分をもう少し詳しく。
(答)全体の意義といいますか、経団連さんもSociety 5.0と言っていると。それをよくよく見ると、結局サイバーフィジカルな次の豊かな社会ですよね。そうなったときに、やっぱりデジタルの利便性というのが裏打ちされていないと、駄目だと思っています。
 その意味で、まず行政自ら手続のオンライン化を徹底して、添付書類というようなものは、当たり前に今までは思っていましたけれども、これは作業としてはばかばかしいと思います。そして、オンラインになると、もう受け付ける範囲においては、24時間365日ということで、将来インターネットバンキングによる手数料の支払というようなことになると、ものすごく便利になると思っています。
 今回のデジタル3原則ですね。コネクテッド・ワンストップ、ワンスオンリー、デジタルファースト、こういうことはこれからこのデジタル化の基本原則というのが、恐らく次の時代の社会全体の原則になっていくということが大きいと思います。
 一方で、これはやっぱりコストダウンというものが相当に、これから行政全体のコストダウンが図れるということと、一般の国民の方々から見ると、要するに、いろんなもので時間を取られなくなる、機会損失というんですか、それも大きいと思います。
 この行政コストの数字とか、機会損失みたいなもの、そして、それが経済にどのぐらいの効果があるかということを、これから数字を。
 ただ、これはデジタル化の出来具合にもよるんですよね。ですから、そういう意味で一番中途半端にやらずに、徹底的にその効果を求められると、相当大きな効果が得られるというふうに思います。そのためには、国民の理解が必要ということになるのではないでしょうか。
 それと、グローバル化とデジタル化がもう止まらないということも、多くの国民の方々はだんだん気が付いてきているのではないでしょうか。その中で、要するに、国民の生活を守っていくという意味で、この法律は非常に重要だというふうに思います。そういう意味では、ある意味で次の世代のための社会基盤をつくるという仕事だというふうに思います。
(問)もう1点、話題は変わりまして、先日、海賊版サイト対策について、対策強化のための改正案を国会に提出、見送る形になりました。
 これまで総合的な対策を進めるということでしたけど、まずはその見送られたことへの受け止めと、今回のことは何か対策の見直しとかがあるのでしたら、今後の対応も併せてお聞きします。
(答)このお話はもともと海賊版対策という、要望を受けての法制化の検討、というふうに聞いています。
 いろんなステークホルダーの方々からまたいろんな意見が出て、法案提出をとどめたというか、これはどうなるのか、私は法案提出担当者ではございませんので、そこのところはそう判断されたんだなというふうに思うんですが、実はそれ以外に海賊版対策といいますか、正規版の流通促進というか、そういう意味ではやらなきゃいけないことは随分あるわけですね。ですから我々もですね、有識者会議でやらなきゃいけないことというのは、著作権教育・意識啓発、正規版の流通促進、海賊版サイト対策の中心となる組織をつくるということとか、検索サイト対策、広告出稿の抑制、フィルタリングなど、残念ながら今回、リーチサイト対策とかダウンロードの違法化というのが見送られましたが、それ以外にすぐ実施できることをやろうというふうに考えていて、それを会議で再確認をする予定です。
(問)確認ですが、こういった方針を今後、有識者会議の場で確認していくと。
(答)そうです。これはもう当初からこれは合わせ技でやらなきゃいけないことで、ですから法案で出すこと、今後の検討、今すぐできること、大体この三つあると思うんですけど、今すぐできることをすぐやろうというふうにさせていただこうと思ってます。
(問)ムーンショット型の研究開発制度の目標設定についてお聞きします。大体のスケジュールとしてですね、目標を決定、それから取組の公募というものが分かりましたら教えていただければと思います。
(答)これはですね、その中に大体入ってますよね、配付資料の中に。いつから公募をするかというようなことですけど、提案・アイデア募集というのは、まず3月15日から4月15日とここに書いてありますけど、余りこれきっちりとは私は思ってませんが、どのぐらいの応募が来るかなというふうに。
(問)それといわゆるCSTIでのですね、目標を決定して具体的にムーンショット目標ですが。
(答)分かりました。そういうことですね。最終的にCSTIで研究開発目標を決定するのは、夏頃だと思います。
(問)その前で公募という形。
(答)はい、そうです。
(問)宇宙の関係で伺いたいんですけれども、宇宙の関係で、先日、月のゲートウェイ構想に関連して各国の技術分担案が示されまして、内容は大分伝えたかと思うんですけれども、改めて受け止めとですね、あとは正式な参加表明、日本の参加表明というのの時期の目途、見通し等あれば、是非お教えいただければと思います。
(答)はい、最終的にはですね、今後いろんな調整を進めて、宇宙政策委員会の意見や予算決定プロセスも踏まえつつ決めるということですが、まずこの話は非常に喜ばしい話だなというふうに思っております。先日のトヨタとJAXAの協業の話も、このゲートウェイと連携できる可能性もあると思ってます。
 この役割分担に関して報道もされておりますけれども、この分担案は、我が国の国際宇宙ステーション(ISS)や宇宙ステーションの補給機「こうのとり」での活動を通じた実績があってですね、今後重要な役割を果たすことができるものとして、これはこれまでのJAXAの提案が反映されてるというふうに思います。
 いつ頃参画するかということに関しては、今後、宇宙政策委員会で検討していくということと、各国の動向を踏まえて判断をするということだと思います。でも、大体いい役割分担ではないかなと、私は個人的に思います。
(問)デジタル手続に関してですけれども、大臣の言葉でお伺いしたいんですが、今までもデジタル手続のオンライン化の法律がありですね、従来と何が違うのという基本的なことと、法律が通っただけだったので、どういう推進の基盤、活動を進めていくのかというところを伺えればと思います。
(答)今まではですね、要するにデジタルでも出していいよというものがほとんどだったじゃないですか、紙がベースで。その原則が基本的に変わるということですよね。ここは、この法案が今までの法案と違うということだと思います。
 この進めてる体制というのは、全省庁にこれまたがることなので、要するに法案が通って、これ束ね法案でもあります。そういう意味で、これはIT戦略本部そして政府を挙げて国民の理解を得ながら進めていくということで、まずこのデジタル化がなぜ必要かということを、やっぱり国民に理解してもらうことが必要だと思います。そこが今まで一つ足りなかったところではないかと私は思うんですね。
 今までの行政手続のオンライン化法とか、そういう法律を制定したときと、世の中がもう変わってしまっているので、そういう意味で、この分野に関して既に海外で実現してるものも、我々が目指すものの目標の中に幾つかあるわけですよね。高齢化と人口減少という我々社会課題を抱える中で、人口が1億2,000万人を超える国家でするというのは、恐らく初めてのチャレンジだと思うんですね。そこが私は今回一番重要なところで、要するに少子高齢化、人口減少、それでも国民生活の利便性や社会の安心をちゃんと担保して、おまけに次の世代がそういう社会の中で効率化された中で、いろいろと新しい仕事に取り組んだり自己実現できるような、要するに総理がよくおっしゃいますよね。平成、またその次の時代、その先の時代というふうに思うんですが、その先の時代の基盤という位置づけで進めていこうというふうに思いますので、要するに単なるデジタルでいいよというようなものではないと、逆に言うと、これ私自身は思うんですが、これができないようだと、もうこの国は将来お先真っ暗だと思います。これをやり切れるかどうかというところが、実は非常に大きいところだと思うので、国民の理解が得られるように、またこれを委員会の審議も通じてですね、お話をさせていただこうというふうに思います。
(問)デジタル手続の関係でなんですけど、法案の中ではデジタル・デバイドの是正ということで、高齢者向けの支援というか検討があるんですけど、この項目が付されてることについて大臣のご所感というか、お考えがありましたら。
(答)これはこの法案をつくるときの、これはもうセットじゃなきゃ駄目だというふうに思ってるのは、皆さんやっぱりこれ、デジタルの世界にアクセスできる人とそうじゃない人っていう意味で言うと、相当これ不公平だと思うんですね。要するにあらゆる情報へのアクセスや今回手続もそうです、全ての面において。そうなりますと、やっぱりデジタル・デバイドというものが顕在化しないようにしなきゃいけないと常々考えていて、それはデジタルなものに対する、アクセスなんですよ。別にデジタルがそこに国民のストレスになったり、新たな負担になったり、無理やりにやっていただくものじゃないと思っているので、そこは要するに、社会全体でサポートして、そういうデジタルの利便性を国民の全てが恩恵を得られるようにするための政策が必要だと。これはもういろんな形のものがあると思います。
 これはまた、これから詳細は検討するということになると思うんですが、つまり、誰も取り残すということがないような方向でやらないと、そのデジタル化というのは行き詰まると思っています。
 ですから、この項目が入っているのが重要だと。
(問)海賊版サイトについてお伺いなんですけれども、昨年のタスクフォースでブロッキングについて議論されて、ああいうふうな形で無期限延期ということで排除されてしまって、代わりにダウンロード規制というような話も浮上してきたというふうに理解をしております。
 その中で、いろいろな異論というか、有識者の方含めて、いろいろ反対の意見が出てきている中で、なかなか合意形成が難しい案件だったかと思うんですけども、そういう中で合意形成が結局できなかったということであると思うんですけど、こういうようなことで一連の政府の対応として、反省すべきものがあったとすれば、どういうものがあるのかということと、あとはこういうような合意形成を今後得なければいけない局面というのが出てくると思うんですけども、そのときにどういうふうに対応されていかれるおつもりか、お考えをお伺いさせてください。
(答)海賊版対策というのは、これはやらなきゃいけないということは合意があったと思うんですよね。そのやり方についていろいろ議論があったと。一方で、今回は創作活動に対する欲求というものに、インターネットというものがやっぱり欠かせないと。利活用が欠かせない。
 この話を私なりに思うのは、つまりは、全てがインターネットを使うことが前提になっている社会の中で、利害を調整するのが難しいということだと思います。
 ですから、いろんな法律は、この著作権法に限らず、要するに、関係者、ステークホルダーの利害を調整していくというのは、デジタル化とグローバル化がここまで社会で進んでいる中で、容易ではないということが一つの教訓だと思います。
 ただし、そういう中で、オープンな議論ができるということはよかったんではないかと。実際、あらゆる意見がフルオープンでやられたがために、こういうふうになったということだと思うのですが、やっぱり非常にいい面もあったのではないかというふうに思います。
 私は、この法案に関して、提出するという立場ではなく、海賊版対策を知財事務局としてやっていくというようなことで担当しているわけで、法案をどうするこうすることに関しての総括的な発言はちょっと御勘弁いただきたいと思います。
(問)漫画の世界なんですけど、今、中国とか韓国の方でもすごい勢いで、管理をして育成しようというふうな話があるというふうに考えておりますが、漫画の読まれ方もいろいろ変わってきていて、雑誌でというよりアプリで読まれてといったことが増えていて、韓国も国としてそういうことをやっていこうということで、いろいろしていると思うんですけども、漫画の環境が変わってきているという中で、日本政府として、本当にクールジャパンとして漫画による振興していくという意味で、かなり重要な局面かと思うんですれども、今後、大臣としてどのようにコンテンツ振興を図られていくのか、お考えがあればお願いします。
(答)昨日の平井ピッチで、IOEA(インターナショナル・オタク・エキスポ・アソシエーション)、この組織の代表の佐藤さんとも議論をさせていただいたんですけれども、間違いなく、日本の要するに漫画というものが、今のオタク文化の中心にあると。
 ですから、イニエスタが間違いなく、「キャプテン翼」で彼がそれを見たというようなことで、日本に来たらすぐに原作者に会いにいったとか。こないだもここで話したかな。イーロン・マスクが「君の名は。」を見たというのも、その前から日本のアニメを見ていたと。
 そんな、私が思っている以上に海外で、日本のアニメ文化に影響されている方々が非常に今多くて、その方々はもう既に、いい年になっているんですよね。これは約20年ぐらい、最初に日本に、何ていうか、惚れて。そういうところで、全国でいろいろ来ているコミケみたいなイベントの中で、やっぱりオタクイベントというのが日本のクールジャパンそのものなんですね。要するに、日本が中心のコンテンツで、それ以外のものもあるんですが、これは非常に我々にとっては有り難いと思っています。
 ただし、日本のアニメに影響された世代というのが、今世界でたくさんいて、これからどうだということになったときに、要するに、さっきお話のあったように、著作権の問題やらテレビとインターネットの関係やら、全部やっぱりゲームチェンジになっている中で、どうするかという作戦をこれからつくらなきゃいけないというふうに思っています。
 ある意味で、過去の我々の先人たちが築いてきた遺産によって、今、そういうものがあって、これが未来永劫続くかどうかとなると、やや不安もあるので、そこはクールジャパン戦略の見直しのときに、私が就任してすぐ決意したのは、このグローバル化とデジタル化がここまで進んで世の中が変わっている中で、今までの戦略をやっぱり強化しなきゃ駄目だということで、今、一生懸命新しい対策をつくるべく、最終的なヒアリングをやらせていただいているところでございます。

(以上)