平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成31年3月8日

(平成31年3月8日(金) 9:39~9:57  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 まずは科学技術政策担当大臣として、3月6日付けで総合科学技術・イノベーション会議の3名の有識者議員を任命することとし、先ほど、閣議後、総理から辞令を交付させていただきました。
 具体的には、上山隆大議員、小谷元子議員については再任、十倉雅和議員の後任として、NTT取締役会長の篠原弘道氏を任命しました。
 いずれも今後の科学技術イノベーション政策を推進する上で、高い見識と経験をお持ちの方であり、統合イノベーション戦略の推進や「Society5.0」の実現に向けて、大胆なご意見・ご提言を頂けることを期待しております。
 まずこれが1点です。
 次は、クールジャパン戦略担当大臣としての報告です。
 クールジャパン戦略については、これまでいろいろなところでデジタル化やグローバル化の進展を踏まえて強化する必要があるという旨、お話をさせてきていただいたんですが、今般、クールジャパンの取組を強化するために、より進化したクールジャパン戦略の策定に向けた検討を開始しました。
 新戦略の具体的な内容については、これから検討しますが、新戦略策定の目的を一言で申し上げれば、「クールジャパンが一過性の取組で終わることなく、多くの方々の協力と連携の下で、長期的に継続し発展するための基盤作り」だと考えています。
 これまでクールジャパン戦略担当大臣として取り組む中で、例えば、日本人が良いと思うものを押し付けるというのではなくて、受け手となる世界の人々の目線で、マーケットインで発想することの重要性の問題意識を持っています。また、特に外国人の知見や視点をより積極的に活用することの重要性も強く感じておりました。
 そのため、新たな戦略の策定に対して、外国人の知見と視点を十分活用することとしております。新たな懇談会を開催することになるんですが、タイトルがEUREKA!(ユーリカ)懇談会、これギリシャ語とスペイン語が混ざるんですが、Amigos de Japon(「EUREKA!懇談会-Amigos de Japon-」)を今回開催します。外国人有識者を中心とした有識者の方々とクールジャパンの目指すべき方向や現状の問題点について、自由な議論を行いたいと思っています。
 第1回目は3月11日、大手町の「3×3 Lab Future」において、19時から開催します。フルオープンで議論させていただきますので、取材も可です。
 当日、3月11日ということで、ちょうど発災から8年、また我々、海外の方々からも、震災復興に当たり、大変な御援助も頂いたということで、東北の食材を賞味していただきながら、議論をしようというふうにさせていただいております。
 このEUREKA!(ユーリカ)っていう名前をつけた理由でございますが、懇談会に来ていただける方々は、何らかの日本での発見、要するにこれがいいという、これだっていうことを、それぞれお持ちの方ばかりに来ていただいていると。つまり、日本を好きになる理由はもういろいろあって、人それぞれで、それは何らかのきっかけでそういうものを見つけているというのが、恐らく今のクールジャパンのベースにはあるんだろうということも考えまして、彼らのそういう日本文化に出会いとか、そういうことについても、十分にお聞きしたいというふうに考えています。
 以上が私からでございます。

2.質疑応答

(問)ムーンショット研究開発制度の件でちょっとお話を伺いたいと思います。CSTIでの議論の進捗状況、大きなテーマをCSTIで設定をするというお話があったと思うんですが、その進捗状況、できれば、議論の途中かもしれませんけれども、どんな項目が出るかも含めてお話をしていただければ有り難いんですか。
(答)もう正に、今議論の途中なので。申し上げることはできませんが、近々大体方向性は出てくるというふうに思います。
 今回はですね、社会課題とバックキャストをした研究課題というのは、これなかなか今まで慣れているようでやってないことなので、それともう一つ、やっぱり民間の資金も当然獲得していかなきゃ、1,000億円ちょっと、約1,000億円しかありませんので。ですので、そういう意味で、民間の方々の協力も得るという意味で、これ今、テーマを絞りつつあるという段階です、現在進行形と。
(問)3月中というのは、大体予定どおりになりそうですか。
(答)なればいいなと思ってます。ただ、これ急ぐよりも、やっぱり野心的なものもちゃんと出してもらえるように、そしてまたこのムーンショットという今回の我々の考え方に、今理解を得られつつある段階なので、少し時間が掛かるかも分かりません。
(問)国際リニアコライダーの件で伺いたいんですけれども。昨日、文部科学省が見解として、現時点での誘致表明には至らないが、関心を持って国際的な意見交換を続けるというステートメントを出しました。
 文科省の名前ではありますけれども、関係省庁と調整をして出されたということで、科技担当の大臣として、改めて受け止めをお聞かせいただければと思います。
(答)昨日の文部科学省の研究振興局から出されたステートメントは英語にもなっておりまして、海外の方々もそれを見たと、御覧になっていろいろ言われてるようでございますが、国内の科学コミュニティの理解・支持を得られるかどうかを含めて、正式な学術プロセスで議論することが必要だと考えておりますし、文科省はILC計画に関心を持って国際的な意見交換を継続していくというふうにお話しになっています。我々は文科省の継続の方針を注視するという立場でございます。
(問)先日、スペースデブリのタスクフォースというのが開かれましたけれども、改めてちょっと今この時期にですね、こういう場をつくられた背景と、あと今後、例えばどれぐらいの頻度で開催してですね、どういう成果、成果物を出すかどうかも含めて、どういう方向で議論を進めたいかということ、教えていただけますでしょうか。
(答)この間の会合で、大分情報共有ができたなというふうに思います。そして、これ自民党の方も非常に熱心でして、自民党の方にも、私も呼ばれていずれお話をしようというようなことにはなってるんですが。関係府省や民間と密に連携して、夏頃までに今後の取組について、議論を踏まえた上で、方向性が定まればいいなというふうに今思ってるところです。
 ただ、このデブリの問題に対する理解度がどんどん広がっているので、これは国内だけじゃなくて国際的にも共有できる部分があるんではないだろうかと、そのように思っています。この分野はこれからやっぱりいろんな意味で注目されていく、また、宇宙に、これからの開発をしていく上で大きな問題になってくることだけは間違いありませんので、特に低軌道の方は、混雑している状況になっているので、我々もやっぱりここはできるだけ議論を重ねていきたいと。会議の開催等については、それぞれタイミングを見極めてということになると思います。
(問)夏までに方向性とおっしゃったんですけれども、今の段階で方向性って何ですかって聞くのもちょっと変かもしれないんですが、この前、出ていた話として、一つちょっと拝見していて、要は今まで国というか政府が出してきたロケットは、国が責任を持って除去すべきだと。民間が出しているやつについては、民間主導の市場ができればいいというようなお話が、参加者の方からありましたけれども、その辺の考え方みたいなのが焦点になってくるっていう感じなんですか。
(答)あれは、アストロスケールの岡田さんの話をお聞きになったんだと思うんですけれども、要するに、あの会社はビジネスモデルとして、それを成立させようと、あれだけお金も集まっていますし、民間同士の契約のもとにすると思います。実際、JAXAの方も自分たちで衛星の軌道を修正しなきゃいけないという状況にもなっていますし、デブリ発生の抑制、衝突防護、除去についての技術開発等々に関しては、当然国が関与していかなきゃいけないし、一番重要なのはですね、国際ルールづくりだと思います。どこの誰がつくったデブリかというのは、ほぼほぼ全部特定されているので一体今後、どう取り扱っていくのか、国際的なある程度の合意がなければ、これはいけない部分だと思っています。持続可能な宇宙活動という観点からも、ここはやっぱり日本がある程度リーダーシップをとって国際議論を喚起したいと私は思っています。
(問)CSTIの人事なんですけど、上山さんの再任に維新を除く野党各党が反対していたと思います。これについて、なかなか反対があるっていうのは珍しいことなのかなと思うんですが、大臣としてどういうふうにお考えですか。
(答)理由は何でしたか、反対の。反対した理由が私自身が少し分からないんですが。私自身は上山先生は本当に大変頑張っておられるし、成果も出しておられると思うので、どの点で野党がそこに反対なさったのかということがちょっと定かではないので、今ちょっとコメントのしようがありません。
(問)冒頭あったクールジャパンの件なんですけれども、ちょっと確認なんですが、これは有識者会議の皆さんに新たな戦略案をつくってもらうということなのか、頭の体操的なことをしてもらうということなのかということ。
(答)結局、アドバイザリーみたいな形だと思います。要するに、これは海外の方ばかり集めて、このようにするというのは今までなかったことで、日本人がつくった舞台ではあるんですが、国籍も違うし、あれも違うということで、これははっきりしていて、それにプラスの議論ということになると思います。事務局機能は共有しているんですが、ただ、結局、これまで進めてきた戦略を見直さなきゃいけないということだけは分かっていて、海外の状況も非常に変わっている中で、今までの会議だけでは不十分なのではないかというような思いも本当はあります。なので、ステージを少し変えて、柔軟な意見を頂いた上で、そういうものを、またアドバイザリーボードや、そういうところにも諮りながら方向性を決めたいというふうに思います。
 これは余談ですけど、海外の方々が、日本についていろんな発信をしています。例えばイーロン・マスクさんが、「君の名は。」というようなものを彼らも大好きだと、「Your Name.」っていうのを書くと、ものすごい反響どころか、これはすごいし、アリアナ・グランデがやっぱり日本好きだと。日本語で発信したりすると、それはちょっと我々が想像以上の、要するに、反響があるわけです。
 ああいう方々は別に、誰かにお願いされて日本のことを発信しているわけでは全くありません。つまり、自分たちが日本の良さを発見して、それぞれの価値観に基づいてやられてると。
 これは今後も起きてほしいというふうに思うし、我々がこれどうですかというのではなくて、フラットな海外の視点でそういうものを見つけてくれて、それを自分がいいと思ったものを、いろんな自分の周りに、その影響力を行使しながら発信するというようなのは強力なサポーターだと思います。
 ただ、これはつくってつくれるものではありません。そこらのところを、要するに、どういうふうに今後なっていくんだろうかという基本的な、今回お呼びする方々は、そこまでの影響力はないにしても、それぞれ日本の良さを発見してる方々ばっかりなので、どういう戦略がつくれるかどうかということも、私、今はっきり言えませんが、ただ、何らかのそこにはやっぱり理由があるんだろうというふうに想定してます。
 そういうものを次の、要するに、クールジャパン戦略の中に、そういうものが起きると、要するに、海外の方々と日本の文化のセレンディピティみたいなものが起きるというようなメカニズムがどっかにあるんだろうと思ってて、それがあるんであれば、そういうことをどのようにしたらその確率が高まっていくのかなと。そこを戦略の中に入れたいということです。

(以上)