平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成31年1月22日

(平成31年1月22日(火) 10:51~11:03  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 まずは、科学技術政策担当大臣としての報告です。明日23日、大阪大学等の視察を行いまして、その上で「HIRAI Pitch in 大阪」を開催します。まず「株式会社ジェイテックコーポレーション」を視察します。同社は大阪大学が設立したベンチャー投資会社による出資案件の中で初めてIPO(新規株式公開)を行った好事例と聞いています。また、大阪大学では西尾総長と産学連携、ベンチャー支援の取組などについて意見交換を行うとともに、大阪大学と情報通信研究機構(NICT)の融合研究拠点である脳情報通信融合研究センター(CiNet)を視察する予定です。その後、グランフロント大阪では、「HIRAI Pitch in 大阪」を行い、関西を中心に活躍する起業家などとの意見交換を行います。この大阪のPitchに関しては全てオープンですので、取材される方はどうぞ取材していただければというふうに思います。
 そしてもう一つは、宇宙政策担当として報告します。宇宙関連予算が一応決着しました。平成31年度政府予算案における宇宙開発利用関係予算は、対前年度比2.2%増の2,972億円となり、平成30年度第二次補正予算案と合わせて5.1%増の3,597億円となりました。これは宇宙関係予算の集計を始めて以来、最大規模の予算になります。平成31年度の予算案の主なものとしては、JAXA関係の予算が1,518億円で12億円増、情報収集衛星関係費用、これは内閣官房ですけど621億円、0.7億円の増、準天頂衛星システム関係経費、内閣府ですが263億円、これが109億円の増ということになります。主な増えた理由といたしましては、準天頂衛星システム関係経費が263億円で109億円増えたということと、H3ロケットが228億円で15億円増えたということでございます。この予算案が国会で承認いただければ、宇宙政策担当大臣として各省と連携して、本予算を最大限活用しつつ、宇宙政策を推進してまいりたいと思います。また、個別の予算の詳細につきましては、宇宙開発戦略推進事務局に問い合わせていただければ、全てオープンにさせていただいておりますのでよろしくお願いします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)研究人材の流動化についてお聞きしたいんですけども、今まで研究人材の流動化は研究力向上につながるということで、いろいろ政策進めてきたんですけども、一方で退職金とか年金とか、そういうものが異動すればするほど損していくという、そういうような異動を促進しないような労働法制になっているんですけども、今後の改革について大臣、どのようにお考えでしょうか。
(答)重要な御指摘だと思います。これは分野、組織、セクターなどの壁を越えた人材の流動化を促進しようとしているんですが、セクター間の異動者の割合はこの10年間でほとんど変わっていないという現状があります。御指摘のとおり、従来の賃金体系における転職するほど退職金が減ることや、年金制度のポータビリティの問題などがあると指摘されています。文部科学省とか経済産業省においてクロスアポイントメント制度の促進をやっているんですが、これもなかなか進んでいないと。先週17日のCSTIの有識者議員懇談会でも、研究者として魅力を増すための安定性と多様なキャリアパス、研究者の質の向上、多様性、流動性の確保などについて、文部科学省や日本学術会議の方々とともに活発な議論が行われたと聞いています。
 内閣府としては、引き続き関係府省と連携して、研究人材の流動化に向けて検討しなきゃいかんと。大変重要な検討課題だというふうに認識しています。
(問)少し話変わりますが、通常国会で審議される見込みのデジタルファースト法案について質問します。
 法案は行政サービスの100%デジタル化や押印手続の簡略化を推進するものと思いますが、法案が施行された場合、印鑑の需要に影響を及ぼす可能性はあるでしょうか。
(答)結論からいえば、国民に広く普及している重要な本人確認の手段である押印が民間の商習慣において直ちに無くなることはないというふうに思います。ただ、皆さんも普段いろいろな手続をする上で、委任状の三文判とか、どこでも売っているようなハンコを押さなきゃいかんというような局面は一体何なんだというようなことは誰もが思っていることでありまして、やっぱり本人確認機能、公平で公正なシステムをつくっている上で、これからいろいろな選択肢を用意していかなければならないんだろうというふうに思っています。
(問)一部印章業界などから反発の声が既に上がっていることに対してはお受け止めはございますか。
(答)反発というようなことというよりも、まずは我々は国民にとって何が一番ベストなのかと。なおかつ公平、公正な行政がどういうものであるべきかということを一番に考えさせていただきたいという意味で、特定の業界にとって大きなマイナスがあるという話ではないというふうに思っています。
(問)クールジャパン戦略についてお伺いいたします。クールジャパン戦略、策定以来初めて見直すという一部報道がありますけれども、事実関係をお願いいたします。
(答)報道は見ておりますけど、見直しに関しては私、一言も今まで発言をしておりません。ただ、委員会等においては、要するにこれだけグローバル化とデジタル化が進行する中で、今までのやり方をやっぱり変えていかなきゃいかんだろうと、戦略を強化すべき点は多々あるだろうということは、ずっとお話をさせていただいておりました。特に物を伝えるという手段において例えばSNS等々は、これは不断の見直しをしてます。実際いろんなこともやってますし、海外のインフルエンサーを使った戦術みたいなものもやってますが、そういう戦術的な話もさることながら、やっぱりこれからオリンピック、万博等もあり、オリンピックの年には日本博というものも企画をしてるという状況の中で、クールジャパンというものを中長期的に見て、やっぱり国家にとってどういう意味を持つのかということも含めて、戦略を考えるべきだというふうな意見は持っています。それも全てこれから私のもとで検討を開始するかどうかということ、いずれにせよ、有識者の方々と積極的に意見交換を、今させていただいてるところだということでございます。
(問)宇宙関係で伺いたいんですけれども、NASAがですね、先日、月探査の取組で月の裏側に行った中国とも連携してることを明らかにしたというのがありまして、中国とアメリカ、宇宙関係だといろいろ対抗の話も報じられてますが、こういった連携策を明らかにしたことについて受け止めと、あと日本もいろいろ月探査について計画ありますが、諸外国との協力について改めてお考え等あればお聞かせください。
(答)御指摘の話は、中国の月探査機「嫦娥(じょうが)4号」の月裏側への着陸にあたり、NASAの月周回機「LRO」と中国の「嫦娥(じょうが)4号」が軌道情報等の情報交換を行ったというふうな報道でございますが、それはそうなんだろうというふうに思います。宇宙は競争する分野も非常にある、競争が基本原則ですけど、情報交換等々は、これは共同と、協力して動くという意味においては、そういうことはあるだろうというふうに思っています。
 我々はやっぱり宇宙開発利用の老舗なので、これまで培ってきた国際社会からの信頼をもとに国際宇宙探査の枠組みで、月近傍の有人拠点であるGatewayへの参加、参画の検討とか、月極域の探査を行う月着陸探査についての国際調整を行っていこうというふうに考えています。
(問)中国関係で別件なんですけれども、昨日いわゆるゲノム編集の双子の誕生を確認したと中国当局が明らかにしまして、以前も質問出たと思いますが、やはり倫理面や指針面についての国際的な再検討ですとか、もっと強い規定を定めるべきとか、いろいろ声はあるかもしれませんが、改めて大臣としてお考えをお聞かせください。
(答)中国当局の調査チームが事実として認定したという報道は知ってます。本件に関しては昨年11月30日の閣議後記者会見にて、臨床への応用は適切でないと申し上げたところであり、その考えに変わりはありません。また、その後ですね、ゲノム編集技術を用いたヒト受精胚を臨床応用することは容認できないとするCSTIが2018年3月にまとめた考え方を2018年末に改めて分かりやすい形でCSTIのホームページに掲載したところであります。国際的な枠組み、いろいろあると思いますが、これは我々からすると、やっぱりやってはいけないことだという認識でおります。

(以上)