平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成31年1月15日

(平成31年1月15日(火) 11:22~11:53  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 今朝、出張から戻ってまいりましたので、まずはアメリカ、マレーシア、シンガポール出張についての簡単な報告をさせていただきます。
 私の報告よりは、私のSNSを見ていただいた方が、一つの面談とかをやると、その場ですぐ移動中に全部上げるということを今回チャレンジしたので、相当スピード感のある更新ができたのではないかなというふうに思います。ただ、いろんなミッションが違うものをずっと続けてやるというのはなかなか私も今まで経験してなかったので、頭の切替えとか移動も今回は大変でしたが、無事に全てうまく成果を上げることができたというふうに思います。
 まず、米国、マレーシア、シンガポールということですが、デジタル化、科学技術イノベーション、宇宙政策の推進に向けて関連企業や、その研究機関等をまず訪問して、各国の事情に応じた取組状況を視察をさせていただきました。
 特に、今後の我が国のデジタル、科学技術、宇宙の各政策の推進や今後の連携の在り方について意見交換ができたというふうに思います。
 特に米国においてはマウスとかインターネット、Siriなど様々なイノベーションを生み出してきたSRIと、かつてアステロ・テラー氏を党のIT戦略特命委員会にも招いて意見交換したことはあるんですが、グーグルのムーンショットの研究機関の本拠地に乗り込みまして、どうやったらムーンショットの研究が進むんだと、どんなことをやっているのかというようなこととか、AIの戦略について相当突っ込んだ意見交換をさせていただきました。これ、Xは割と守秘義務もかけられるので、全てお話はできませんが、大変興味深い取組をしているなというふうに思いました。
 また、SRIは日本の研究機関や日本の企業も、現在でもいろいろ連携をしておりますが、DARPAの研究マネジメントのやり方とか、率直にこれはもう私の方から、日本が取り組むべきムーンショットについてアイデアとかヒントとかないのか、というようなことでいろんなお話も頂きました。今後の「ムーンショット型研究開発制度」の推進には大いに参考になる御意見を頂けたというふうに思ってます。
 そして、アメリカの後、1月12日のマレーシアにおいては、イノベーションセンターの「MaGIC」において、スタートアップに対する支援や人材育成等について意見を交わして、イノベーション創出におけるアクセラレーターやインキュベーター等のスタートアップ支援機能の充実の重要性等について意見交換をしました。
 マレーシアは、御存じのとおり政権交代をして、その前の政権でこの「MaGIC」というのは進んでいたんですが、大幅にまた中身も変えて積極的に前に進めようというようなことでございました。
 私は、想像していた以上のレベルの高い施設で、これも日本のいろんな分野のインキュベーターなんかとも連携ができるのではないかということで、またこれから「MaGIC」の方、また政府機関ともいろいろと情報交換等々をさせていただこうというふうに思います。
 そして、マレーシアは短い中に全部突っ込みましたので、クールジャパン担当大臣として、「クールジャパン発信イベント」に出席させていただきました。
 これは、ある意味非常に面白かったんですが、ステージイベントであるとかそういうものにも私自身が参加させていただいて、日本文化に詳しいインフルエンサーのマレーシアの芸能人や吉本から送られている芸能人なんかともその場でいろいろやり取りをやりまして、日本の魅力を伝えるというようなことができたと思います。
 そして、その同じ日なんですけど、サイフディン国内取引・消費者大臣、モハマディン観光・芸術・文化大臣と意見交換、その後、記者会見も用意をされておりまして、大臣と並んで記者会見にも臨みました。大変これ後で考えてみると、曜日は土曜日なのに2人とも大臣がきっちりそれぞれ時間を確保して、そして担当者も全部出席の下で意見交換ができたのは非常に良かったなというふうに思っています。
 そして、最後はシンガポールですが、シンガポールでは、港湾におけるコンテナ荷役の自動化状況を視察するとともに港湾のデジタル化について、これも突っ込んだ意見交換ができました。
 我々は今、サイバーポートという形で機関を立ち上げて今スタートをしておりますが、シンガポールの場合はもっと何と言いますか、スケールのでっかい港湾機能の移転、そして再開発も含めたプロジェクトが動いていて、世界で2番目の港と言われるシンガポールがやっぱり1番を目指していくんだなと、そのようなことを感じました。
 また港湾の方では、シンガポールと日本でLNGの戦略的な協力・連携について、これも話は順調に進んでおります。
 そして、さらにスマートシティということでは非常に積極的な取組をしているシンガポールにおいて、「スマート・ネーション」の取組について今後の展開、我が国との連携の可能性等について、これも意見交換をさせていただきました。ただ、シンガポールと日本と比べると、住宅の8割が公営住宅というような国で、やっぱり物事を進めるに当たって、もともと管理国家なので非常にやりやすいんだなということがよく分かりました。さりとて、我が国との連携できる面もあるというふうに思っていまして、高齢者対策とか健康・医療の分野をこのスマートシティにどう取り込むかみたいな問題に関しては連携できるというふうに思っています。
 さらに、シンガポールではナンヤンというんですか、南洋工科大学内の自動運転研究所を訪問しまして、実証実験やテストコースの状況を視察して、デンソーさんとかトヨタさんもその一部協力をしているんですが、自動運転の現状や今後の展開について意見交換を行いました。
 私は明日、つくばの方にも行って自動運転の視察もしますが、続けて比較もできるというふうに思っているし、自動運転に関してはレベル3、4、場合によっては5というようなものをどこでどのように実装していくのかというようなことがこれからテーマになってくるのではないかなというふうに思います。
 今回の訪問を通じて、それぞれミッションは違ったんですが、デジタル化やイノベーションをどうやって起こしていくかというようなことに関して、非常に各国共通するテーマもあり、クールジャパンに関しても、デジタルコミュニケーションをどうするかというようなところがやっぱり一番大きなポイントになるなというふうに思いました。アジアにおけるインフルエンサーをどのように取り込んでいくのかというのが非常に重要なポイントであることはもう間違いないというふうに思います。
 出張はそのぐらいでございます。また私のSNS等々を見ていただいて、御質問があれば聞いていただければというふうに思います。
 つくばに明日、宇宙政策担当及び科学技術政策担当大臣として出張しますし、つくばにおいては関係機関・施設の視察と、あそこの研究機関の中の、要するに、研究所発のベンチャー企業からHIRAI Pitchという形でPitchもやらせていただこうというふうに思っています。
 つくば市では3つの機関・施設を回る予定で、まずはJAXAの筑波宇宙センター、これは人工衛星やロケット、国際宇宙ステーションにおける実験施設・運用管制設備等を視察します。また、物質・材料研究機構(NIMS)において、世界最高水準の研究現場を視察すると同時に、研究成果の出口戦略や若い研究者の支援などについて、これは若い方々とランチミーティングをしようというふうに思ってます。さらに、日本自動車研究所、JARIですね、JARIにおいては、みちびきの高精度測位信号を活用した自動運転に使用しようというふうに思っています。そして、つくば研究支援センターにおいては、“HIRAI Pitch inつくば”ということで、筑波研究学園都市を中心に活躍する起業家などとの意見交換を行います。これは副知事、そして市長にも同席していただいて、オープンな形でPitchをやろうというふうに思います。
 そして、明日はつくばに行った後、宇宙政策担当大臣として、17日に打ち上げを予定されているイプシロンロケット4号機による「革新的衛星技術実証1号機」の打ち上げを、内之浦の宇宙空間観測所で立ち会おうということで、夜に鹿児島の方に移動させていただこうというふうに思います。
 この「革新的衛星技術実証プログラム」による最初の打ち上げなので、JAXAや大学のほか民間のベンチャー企業等による技術実証機も搭載されており、これは何としてでも無事に打ち上がることを期待してます。また、この「革新的衛星技術実証プログラム」を今後も続けていきますので、関係者ともまた意見交換をさせていただこうというふうに思っています。
 そしてもう一つ、科学技術政策担当大臣としての報告として、社会が留意すべきAI原則、AIの基本原則について、昨年5月より、「人間中心のAI社会原則検討会議」において検討を進めて、昨年12月27日、人間中心、セキュリティ、プライバシーなどの七つの原則からなる「人間中心のAI社会原則」の案を策定して公開しました。今日から1か月、このAI社会原則案に対するパブリックコメントを募集します。これは、日本だけではなくて国外からも意見を頂いて、3月までにAI社会原則を取りまとめた上で、G20やユネスコなどの国際会議の場も活用しながら、我が国と価値観を共有できる国との協調・連携を促進して、我が国のAI社会原則を世界に発信して、今後の国際的な議論をリードしていきたいというふうに思っています。
 ちょっと長くなりましたが、私からは以上です。

2.質疑応答

(問)宇宙についてお聞きしたいんですけども、JAXAが内閣府、文科省、経産省、総務省の共管になっているんですけども、それぞれについて法人評価を行っていると。同じような法人評価をそれぞれの省で形式上やらなきゃいけないということで、JAXAにも結構負担が掛かっていると思うんですけども、こういう形式論的な無駄を省くために、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)私は、形式的な無駄というのを省くタイプなので、会議はこれ、できるだけ合同にしてほしいということと、重複のないようにするということ、そして、さりとて、これ年間(予算)1,800億円なので、ある程度しっかりした評価を行うことが必要だろうというふうに思っていて、その効率化というか仕事のための仕事みたいなことではなくて、ちゃんとした評価を行えるようにという形で今後とも指導していきたいと思ってます。
(問)一部報道で、海賊版対策としての接続遮断の法制化を断念したというものがありますけれども、事実関係をお願いします。
(答)事実関係。結局、海賊版サイトに対する総合対策を進めるということで、関係省庁との間ではもう意思統一ができていますので、できることから着実にやっていこうということだと思います。
 まず、これ目的はブロッキングの法制化ではないし、つまり目的は何かというと、やっぱりこの海賊版サイトの被害というものをなくしていこうということだと思うんですよね。そういう意味では、もう合意できている内容だけでも相当盛りだくさんで、次の国会に法改正、ですからリーチサイトや著作権法のダウンロードですね。あれの法改正もやります。また、いろいろ会議の中で合意した内容を全部やるのも相当大変なので、それを全部できることは全てやっていこうということでスタートしているというふうに認識しています。そういう海賊版の対策の一つとして、ブロッキングの法制化ということがあるということも事実です。しかし、今度の国会ではその法律は出さないということなので、それ以外のことを全部やるということだと思います。
(問)今の関連で、大臣がおっしゃった海賊版サイトに対する総合対策というのは、有識者会議が親会議に座長報告というのを出していると思うんですけど、そこに盛り込まれている対策という意味なのか、政府側として新たに何か総合対策をつくっているということなのか。
(答)いやいや、そこに盛り込まれている内容をもう全部皆さんでやろうというふうに関係省庁でもう意思統一できているというふうに私は聞いております。
(問)そうしますと、先程言及があった記事中に、接続遮断に関しては、それ以外の対策で効果が見られなかった場合には、必要となると明記というふうにあるんですけども、そのようなことを明記した文書というのは今まだ作成されていないということでよろしいんですか。
(答)というより、ブロッキングの法制化に関してものすごく何か関心を持たれているというふうに思うし、そこのところばかり報道されてしまうんですが、そうではなくて、まずは関係者のコミュニケーションをもっと密にして、そしてできることをすぐやっていこうと。
 これは法律だけで海賊版対策ができるわけではないんで、民間の通信事業者とかコンテンツホルダー皆さんの総合力と新たな連携で海賊版を撲滅していこうということなので、政府のできること、民間のできること、全部合わせて前に進めていこうというふうに私は思っています。
 そういう意味では、関係者の合意もできたので、各省庁もそれに沿ってできる法律から出していこうということだと思います。
(問)私も関連してですが、確認ですが、有識者会議の中でも中間まとめはなかなかうまくまとまらなかったものの、座長が意見を付した形で、一定のまとめのような形で意見が各省にまとまった、その中でも確かに大臣おっしゃるように総合的な対策を進め、ブロッキングというのも選択肢として今後、別に検討から除外するわけではないといった、その点を各省庁合意をとれたというような認識でいらっしゃるという。
(答)そういうことですね。
(問)それをもとに、政府として新たに何かこう文章を、新たに作成してというんではなくてということですね。
(答)ありません。いや、もう、やるべきことは決まっているので、それをそのままやると。やれることからやるというだけです。
(問)分かりました、ありがとうございます。別件でもう一点よろしいでしょうか。
 出張の件なんですけど、特にサイバーポートの関係で、昨年より設置をして、今検討を続けていると思うんですけど、具体的に何か日本で、これは取り入れられるんじゃないかみたいな知見の部分、もう少し具体的に何かあればお聞きしたいです。
(答)規模は、向こうはもう圧倒的に多いんですね。シンガポールと日本の港の一番の違いは、シンガポールは要するに8割がコンテナを積み替える。要するに国内じゃないんですね。
 ところが、日本は、デスティネーションなんですよね、物の8割以上、9割ですかね。そこら辺りで、その辺のロジスティックが全然違うんですよ、まず。
 ただし、共通化できるというふうに思ったのは、やっぱりAI化ということと、やっぱりシンガポールでもそうなんですけど、それぞれのセクションが持ってるデータ連携、これをどのぐらいちゃんとできるか。これはスピードアップ相当できるし、生産性を上げられる分野っていうのが非常に共通してあるんだというふうに思いました。
 今もですね、そのオートメーテッドのところと、人が関わってるところの組合せなんですね、全部、荷役のところは。そこをできるだけもっと効率的にしていくという意味では、そこのところのスピードは日本も負けているわけではないんですね。ですから、これをうまく連携していけば、特に情報連携基盤は向こうの方が進んでるというふうに思ったので、大いに参考にさせていただきたいというふうに思います。
 これは神成先生を中心にこれから、一緒に同行していただきましたので、そういうふうにやろうというふうに今検討を開始したところです。
(問)海賊版対策に戻るんですが、確認で、まず、ほかの総合的な対策を進めるということで、今通常国会に出さなくても、その後の臨時国会ですとか、そういった可能性というのは残した上で、今国会には出さないということなんでしょうか。
(答)いや、今度の国会にも法改正出しますよ。ブロッキング以外の法律を出すということで、まずそこからですね。
(問)まずそこからで。
(答)その後の予定は決まってません。
(問)分かりました、ありがとうございます。
(問)話題変わります。米国が技術輸出の規制に乗り出すとの報道がありますけれども、どう受け止めていらっしゃいますか。あと、日本の影響はどう考えますか。
(答)それって、最近の新聞に出てたやつですよね。技術規制。
 これね、アメリカにおいて、AIなどの先端技術14分野に関しては輸出・投資規制を強めるということだと思うんですが、結局これも、中国製品の政府調達の制限とか、サイバーセキュリティ、日本も随分大学からいろんな知財を盗まれてる、と言われますよね。いや、非常に防御が甘いんです、日本の大学。今、強化しようとしてますし。
 あと、投資管理協会みたいなこともやっているし、日本においても、海外の留学生が各研究機関でやっぱり重要な仕事をしていて、その後ですよね。そこでどのような知財が流出する可能性がないのかということだと思うんですが、日本においては、大学とか国立研究開発法人が外国の企業との連携に係るガイドラインをつくろうということを検討しています。この中でも貿易管理をはじめ、遵守しなければならない法令、規則等々、実務的な留意事項を明示する予定なんですが、この貿易の管理というようなことになると、これ、所管は経産省ということになりますので、経産省の方でも検討を始めるのではないかなというふうに想像しています。
 これも米国も今後どうするかというのは、ちょっと、よく分かりませんので、各省と連携しながら情報収集して、ちゃんと注視していこうというふうに思っています。
(問)また海賊版でお伺いするんですけども、昨年4月、政府決定ということで、関係閣僚会合を開かれたと思うんですけども、今後またそのような会合を開いていかれるおつもりがあるのかについて、すみません、まずお伺いさせてください。
(答)各省庁において、海賊版対策として、必要な施策を進めることで意思統一できていたので、改めて関係閣僚会議というものは開催する予定もないし、開いていません。
(問)意思統一についてなんですけども、これはどういう形でいつされたものかお答えできる範囲でお願いします。
(答)最終的に私のところに報告書が上がってきた段階で、各省との合意ができているというふうに報告を受けています。
(問)あと1点なんですけども、有識者会議の中で一つ議題に上がった静止画ダウンロードについて、それも進めていかれると思うんですけども、文化庁さんの方で文化審の小委員会で議論されたと思うんですけども、リーチサイトの方が2年ぐらい議論されて、この静止画ダウンロードは11月に議題になって、2か月ぐらいで向こうでやるということで決まってはいるんですけれども、少しIT担当大臣ということもおありで少しお伺いなんですけども、静止画まで広げてしまうと、例えばクリッピングとかぱっと、サイトの画面をスマートフォンで押さえてしまうと、それも引っ掛かるんじゃないかみたいなことで、懸念がいろいろ出ていると思うんですけども。
(答)あれ、非常に抑制的で、要するに違法ということを知りながらということですので、常識的に考えて、普通のそういうものをダウンロードして、それが法律に引っ掛かるというふうにはなりません。
 ですから、そこはほかにもこれは同様の法改正は既にしてあるので、何ら問題なくできるというふうに私は思っています。

(以上)