平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成30年12月28日

(平成30年12月28日(金) 10:23~10:41  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 今年最後の記者会見ということで、10月2日の就任以降、皆様方には本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 幾つか新しい取組もしましたが、約3か月間である程度自分なりには仕事ができたのではないかなというふうに思います。
 HIRAI Pitchも想像以上のペースで行いましたけれども、やっぱり今57機関の招へいと大臣室でも24回、地方版は福岡、渋谷、麻布、日本橋も行いました。
 改めて思うのは、やっぱりこういう世の中の変化が激しい時代は、情報共有のルールをきっちり決めて、それをうまく活用していくことが必要だというふうに思いました。
 オープンイノベーションのためには、やっぱりその情報というのが大事で、今のところということですが、まず、HIRAI Pitchをして思うところは、これから学生によるベンチャー起業の奨励といいますか学生のスタートアップ支援を促進したいということが一つ、そして起業家とか投資家だけではなくてアクセラレーター、インキュベーション、インキュベーターなどのスタートアップの支援の機能を充実させていくということと、民間側で言うと異業種・異分野の融合・連携、ネットワークのコネクションを更に拡大していきたいということ、また大企業の目利きの能力を高めるためにはどうしたらいいか。失敗から学んだ価値をポジティブに捉えて、また何度でも挑戦できるような社会環境をどうやったら実現できるかというようなことが現時点での問題意識です。
 私自身が、このPitchを通じて、パブリックなアクセラレーターみたいな役割を幾つか担うことができたということも成果ではなかったかなというふうに思います。
 そのほかにもいろいろあるんですが、年明けになりますと具体的に皆様方にもお知らせできるんですが、IT総合戦略本部を開催して、デジタル時代の新たなIT政策の方向性ということを決定・公表しました。最新技術の採用による質の向上とか、1者応札みたいなものがない競争性の確保による経費・予算の削減に向けて、IT調達・予算の一元化の検討を開始したいというふうに考えています。
 その後、そのほかには、私のカウンターパートの大臣というのは、エストニアのデジタルサミットでも何人かお会いしましたが、IT担当というよりはデジタル化推進担当という肩書の方々が多いし、実質そこが私の今一番重要な仕事ではないかなというふうに思います。
 また、港湾の電子化、サイバーポートの推進の委員会も立ち上げました。そのほかシェアリング検討会議も開いて、さらに、オリンピックを見据えながらシェアリングエコノミーをどうやって進めていこうかという議論を進めています。
 そして、科学技術・イノベーションではもう何度もお話ししましたが、AI国家戦略の策定というのが来年の一番大きな仕事だと思っています。AIの社会原則の国際的な議論も推進したいと思っています。
 そして、CSTIの本会議において、大学改革についても議論を進めています。これはこれから本当に大変だと思いますが、国立大学運営交付金の在り方の全体的な見直し、それと国立大学法人の統合による一法人複数大学化を可能とする法案を次期通常国会に提出されるというふうに聞いています。
 また、平成31年度の予算案に盛り込んでいますが、「大学改革支援産学官フォーラム」を通じて、国立大学における民間資金の獲得のためのインセンティブ付与の仕組みの導入に取り組みたいと思っています。
 そのほか、ムーンショットは予算を獲得することができました。ですから、ムーンショット型研究開発制度を創設していきたいというふうに思います。平成30年度第2次補正予算案として約1,000億円、そして、31年度予算案として20億円で1,020億円を確保させていただいておるところであります。
 あとは、宇宙は宇宙基本計画の平成30年度の工程表を改定しました。あと、宇宙関係の予算ですけど、平成31年度予算案262.5億円、平成30年度補正予算案151億円を計上して、合計で413億6,000万円という大幅な増額を実現することができたというふうに思います。
 宇宙に関しては、各国相当力が更に入ってきたなというふうに思いますので、負けたくないと思っておりますし、これからも、「みちびき」がやっとサービスインしたので、利活用促進タスクフォースを更に開催して、いろいろ広げていきたいというふうに思います。
 あと知的財産戦略ビジョンに関する専門調査会に出させていただきました。クールジャパンも非常に重要な局面に来ておりますし、これ、オリンピック、アフターオリンピック、万博等々もありますが、そこら辺りでやっぱりクールジャパン戦略というものを更に地に足が着いたような形でやっていきたいと。
 それと、この間、これは文化庁が中心になりますが、日本博も、これはある意味クールジャパンそのものだと思います。縄文時代から今までの悠久の歴史、そして日本人と自然と、これは正に日本の特徴であるクールジャパンの根本的な分野ではないか、そう思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今のお話にあったんですけれども、今のお話で、まず、デジタル化に関しても情報共有が必要だと。一方で、科学技術・イノベーションに関しては、大学改革なんかもやっているということなんですけども、国民との情報共有である情報のオープン化というか広報対策の強化というか、例えば大学改革なんかですと、今回10%を競争的に配分する。ただ、そのプロセスの議論が全く見えなかったという問題があるかと思うんですけども、今後こういう大きな政策決定のプロセスについて、オープン化についてどのようにお考えになるんでしょうか。
(答)それはある程度オープンの中で議論されてきたことだと思うんですが、これは皆さん割といろんな意見をお持ちの中で、さりとて、そういう方向で進もうというふうな決定に至ったわけで、これからそのやり方も含めて皆さんにちゃんと分かりやすく説明していくべきだろうというふうに思います。方向が決まったまでの過程よりも、これから、あれ実施するのが大変なので、そこをやっぱりできるだけ情報をオープンにしたいと思います。
(問)あともう一つ、先程、カウンターパートナーとして、エストニアのデジタル化担当相を選んだんですけど、デジタル化をこの日本の社会でやろうと思うと、いろんな規制が、様々な規制がいろんなレベルでかかっているかと思うんですけども、そういう規制改革を今後どういうふうに進めていくのか。
(答)これは、規制改革というのは、いろんなスタートアップとか研究開発の実装の段階で、やっぱり必要なところはありますね。それは一つずつ、やっぱり規制改革でやるのか、サンドボックスでやるのか、ケース・バイ・ケースで検討していくべきだと思います。
 今、政府の方で考えているスーパーシティなんかは正にそうだというふうに思っているし、これからスマートシティを進めていくので一番重要なのは、やっぱりそこに住んでいる人たちの理解ですよね。ですから、単なる規制改革を進めるだけではなくて、住民の理解を得てデジタル社会をどう作るかということが問われ始めていると思います。
 私は、IT戦略の担当という中で、「スマートシティ」という言葉が皆さん踊るんですが、その実態とデジタルの世界におけるアーキテクチャーの共有を早急にやろうというふうに思ってます。そうじゃないと、またばらばらのものができてしまって、後でにっちもさっちもいかなくなるというようなことにならないように、少なくともざっくりしたアーキテクチャーはもうすぐに必要だなというふうに思います。
 そんなことで、デジタル化というのは、規制改革なしにも進んでしまうので、このデジタルとアナログが融合するところの分野で今までの法律とぶつかるということだと思います。それは一つずつクリアしていくしかないなと思います。
(問)先程、冒頭の中のHIRAI Pitchの件でお伺いしたいんですけども、スタートアップの支援を充実させていくということをおっしゃっていましたが、そのHIRAI Pitchの中でどういうことをやはり受け止めていらっしゃって、それでなぜこのスタートアップの充実支援が必要だというふうに。
(答)結局、まず全体として、スタートアップの機運がこれほど盛り上がったというのは日本ではないと思いますよ。ですから、今、学生の皆さんも、単に大企業に就職して安定した生活を得るというようなパターンから、スタートアップも視野に入れながらいろいろ人脈を作ったりしています。九州大学の起業部なんかはそのものだと思うし、各大学、それに似たような取組はなさっているんですが、じゃあスタートアップを支援する政策ってあるのかというと、各省にあるんですよ、それぞれある。経産省の「J-Startup」なんかはその典型的なものだと思うんですが、今の各省のスタートアップ支援は、私の目から見ると、やっぱりつまみ食いに見えるんです。それを全体像を情報共有していくという仕組みは、これは正に内閣府の仕事だろうというふうに思っていて、それができないかという検討に今入っているところでございます。
 そういう意味で、分野横断的に超えているような情報共有というものは、役所の方もやらないと、ついつい自分の足元のスタートアップしか興味を示さないというようなことになってしまっているのが、オープンイノベーションという考え方から言っても適切ではないと思うので、そういうふうにしたいと思っています。
(問)スタートアップがどんどん支援して成長していくことでどんな効果を期待したいというふうに伺っていますか。
(答)これは、ビジネストランスフォーメーションということだと思うんですが、スタートアップの多くは、要するに、次のデジタル社会でどうするかということと同時に、日本が抱えている社会問題を解決しようという方々が多いわけですね。じゃあ既存のプレーヤーが今のビジネスモデルで、少子・超高齢化、人口減少というようなことに対応できるかというと、なかなかできない。そこで、例えば医療の分野や介護の分野でもスタートアップが随分出てきました。これは恐らく日本という国が世界で一番高齢化が進んでそういう問題を抱えていて、日本がそれをデジタル技術とかそういうもので解決できたら、その後に続く約30か国の同じような国、そこで展開できるというふうに考えている方々が非常に多い。言わば、高齢化の問題を解決するための実証実験の場に日本がなるんだろうと思います。そこで成功させないと、次の時代の日本の競争力は低下するだろうと。そういう意味では、スタートアップの皆さんにとっても正念場が来ていると思います。
(問)最後にもう一点宇宙の関連でお伺いしたいんですけれども、昨日、日本のベンチャー企業のアクセルスペースが、自社の事業を行うための衛星を初めて打ち上げて成功しました。これのまず受け止めと、こういったことで、ただ、まだ事業化に向けて始まったばかりで、それでお金を回収していくということにまだ至っていませんけども、今後どういう支援が必要で、宇宙ベンチャーはどのように盛り上がっていってほしいかについてお願いします。
(答)このアクセルスペースのようなベンチャーがこれから育っていくということは非常に重要なことで、宇宙とITがデジタルデータで重ね合ってイノベーションを起こすという典型例だと思うんですね。これは是非これからどんどん、初号機を取りあえず打ち上げたということで、これから早く次の打ち上げもやってもらいたいというふうに思うし、来年、この会社ともPitchをしたいと思っています。スケジュールの調整はこれからですけれども。宇宙ベンチャーの皆さんの話も聞いた上で、更に支援できる方法ないのかというようなことも今後検討していこうというふうに思いますが、今までではこういうベンチャーはなかなか成立しなかったのが、ちゃんと調達して打ち上げられて、その後に事業モデルがあるという意味では、宇宙が商売になるということを実践してくれているので、非常に心強いと、応援したいと思います。
(問)冒頭でおっしゃっていた中の大学改革の運営費交付金の話でまた改めてなんですけれども、これから制度の改革を進めていかれる中で、例えば改革の実績に応じた配分方法という金額とか変動幅の拡大ということは当然視野に入ってくると思うんですが、やはりそのことに対して、例えば各都道府県、地方大学に不利ではないかとか、長期的な研究に支障が生じるのではないかという懸念は根強いと思うんですけれども、例えばそういった懸念を払拭するような施策ですとか考えですとか何かあれば改めてお聞かせください。
(答)結局これ、最後はお金を配分するという基準がやっぱり皆さんが理解するものじゃないと駄目だというふうに思っていて、その評価、配分がブラックボックス化しないようにはしようと思ってます。
(問)例えばその短期的な指標ですと、例えば10年とか15年、ノーベル賞の成果で言うとかなりレスポンスが来るまでに時間がかかる場合もありますが、そういった長期的な研究に対して、ちゃんと評価できるような指標づくりというのも必要ではないかというように感じますが、その点如何でしょうか。
(答)当然、過去の研究とその成果の検証も必要でしょうし、今、日本の国でどのような研究者が、どこで、どのような研究をしているかということも全部把握しているわけじゃないんですよね。そこら辺りのマッピングも含めて、やっぱりちゃんとやっていかなきゃいかんというふうに思って、今それを取り組んでいるところでございます。
(問)ありがとうございます。
(答)今年はお世話になりました。来年もよろしくお願いします。

(以上)