平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成30年12月25日

(平成30年12月25日(火) 11:13~11:27  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 それでは、本日、認知症の閣僚会議がありましたので、健康・医療戦略担当の大臣として、まず冒頭、御報告申し上げます。
 本日、第1回「認知症施策推進関係閣僚会議」を開催しました。この会議は認知症に係る様々な課題について、関係行政機関の緊密な連携のもと、政府一体となって総合的な対策を推進するため、新たに設置されたものであります。
 本日の会議では、本会議の実効性を高めるため、各省庁の実務者による「幹事会」や施策全般について提言を頂く「有識者会議」の設置を決定しました。
 最後に、総理大臣から各大臣に対して、認知症への対応が喫緊の課題であるという認識のもと、認知症施策の取りまとめに向けて早急な検討を始めるように指示がありました。
 私としては本会議の副議長として全体の調整などを行うと共に、所掌である医療分野の研究開発・産業化・国際展開について早急に検討を行ってまいります。
 私からはまず以上でございます。
 本件に関しては健康・医療戦略室の方でまたブリーフもすると思いますので、詳細はそちらの方でよろしくお願いします。
 以上です。

2.質疑応答

(問)知財本部でも検討しているかと思うんですけども、オープンイノベーションが欧米と比べて日本はなかなか進まないと。平井大臣、最近 HIRAI Pitch なんかもやっているかと思うんですけど、そういう場での検討の内容も含めて、大臣としてオープンイノベーションが進まない原因について、どのようにお考えでしょうか。
(答)近年、オープン・クローズ戦略を踏まえた大学と企業による本格的産学連携やベンチャー等へのスタートアップ支援などの取組によって、私はオープンイノベーションの実践は進んできていると、ある程度進んでいると考えています。しかしながら、社会産業構造の変化をもたらす大きなビジネスや価値が次々に現れるような状況にはまだ至っていない。これまでの延長線上でイノベーション政策を進めることの限界を感じているところです。
 知的財産戦略本部に設置した価値・共創タスクフォースでは、同本部が標榜する「価値デザイン社会」を実践するような実質的なオープンイノベーションが進まない課題についてこれまで議論してきました。既存組織において、大目的の共有が不十分であること、思考の時間軸が短期的になっていることなどの課題が挙げられていると聞いています。
 このような限界を突破するために、創造する未来社会からバックキャスト的にイノベーションを起こしていけるような必要な技術開発と環境整備を考えていくことは重要と考え、そのための私はPitch to the Minister 懇談会“ HIRAI Pitch ” を精力的に開催し、各界の各分野の先生方の話を聞いているところです。これまでのところ、オープンイノベーションに関しては、学生によるベンチャー起業を奨励して、学生のスタートアップ支援を促進していくこと、九州大学の起業部みたいなやつです。あと起業家、投資家だけでなく、アクセラレーター、インキュベーターなどのスタートアップ支援の機能を充実させていくこと。異業種・異分野の融合・連携、ネットワーク・コネクション拡大を促進していくこと。企業、とりわけ大企業の目利き能力を高めていかなければならないと思っています。また、これは全体として言えることですが、失敗を許容して失敗から学んだ価値をポジティブに捉え、また何度でも挑戦できる社会環境を実現していくことなどがこれからの検討課題だというふうに認識しています。
 年明け以降も引き続き検討を深め、本格的なオープンイノベーションの実践が起こるようにしていきたいなと思っています。
(問)先程の認知症の会議の関連でお伺いですが、来年6月頃の大綱取りまとめを目指すということでよろしいのかという点と、大臣としては特にどのような点を重視して、今後取り組んでいきたいかという所感をあわせてお願いします。
(答)取りまとめの時期に関しては、まだ確定しているわけではございませんが、私はAMEDも所管しておりますので、相当部分研究開発というものを今までもやってきましたが、それを更に進めていこうというふうに考えています。これ、世界でもいろんな国が大きな問題として政府を挙げて取り組んでいるという状況で、今回、閣僚会議の設置というのは正に時代の要請だというふうに考えています。
(問)「みちびき」についてなんですが、平成31年度の当初予算で、過去最高の約262億円が計上されて、30年度の補正予算では151億円が計上されています。「みちびき」はホステッド・ペイロードの対象としても検討されているというお話でしたが、改めて7機体制の構築の期待感をお願いできればと思います。
(答)7機体制になれば、我が国独自の測位システムを持つことになりますので、米国GPSに依存しない持続測位が可能となるという点が非常に大きいと思います。今回、平成30年度補正予算及び平成31年度予算案、御指摘のとおり確保することができまして、宇宙基本計画に基づいて2023年度を目途とした7機体制の確立とシステムの機能、性能の向上に着実に進んでいきたいというふうに思います。
 そして、これもいろいろとこれから更に進めていきたいと思っていますが、「みちびき」の高精度測位信号は現在、様々な検討とか実証実験が進んでおりますが、さらに準天頂衛星システムが社会に広く利活用されていくように官民を挙げて取組を加速化したいと思っています。
(問)事前通告しなくて恐縮なんですけど、この宇宙分野は今、中国とかロシアが宇宙開発を進めているかと思うんですけど、同盟国のホステッド・ペイロードも含めてなんですけど、同盟国の米国とどのように協力関係を構築していくかというのと、あとインドとの技術協力、技術連携についても以前報じられているかと思うんですけど、こちらというのは自由で開かれたインド太平洋戦略に基づいて、中国を念頭に置いたものかというのをお伺いできればと思います。
(答)どこを念頭に置いたということではなくて、今までもISSとは国際協力の中でやってきました。今回、SSAのセンサも一つの候補として米国と調整してホステッド・ペイロードをやっていこうということは、広い概念の安全・安心、我が国の安全保障に資するものだというふうに考えています。日本の宇宙開発というのは、長年の実績もありますし、信用もあるし、ある意味では弾道ミサイルを持っていない宇宙開発に取り組むという立場は、私はこういう意味では、ある面でここに来て各国との連携も取りやすい状況にあるのではないかなというふうに思います。
(問)最後に HIRAI Pitch についてなんですけど、年内、これまで20回以上開催されてきたと思うんですけど、今年の懇談会を何か来年以降の政策に反映できることがあれば、何か具体的な施策などあれば、成果などあればお願いしたいと。もう一点なんですけど、あと当初100回を目標としていたかと思うんですけど、達成のめどというのと、あと100回というふうにした意図もあわせてお伺いできればと。
(答)はっきり言って100回というのは通過点であっという間に終わってしまうと思います。ただ、各分野の、今日もやりますけれども、 HIRAI Pitch でPitchしたいという方々の申込みが大げさに言えば殺到しておりまして、さばき切れない状況にあります。というのも、やっぱり我々が今までPitchを受けた方々が、受けたことを各分野の方々にフィードバックしていただいているということもあるし、役所の方々が話を聞いて、ではこの分野の方々も聞いてほしいというようなこともあるし、そういう意味では HIRAI Pitch の認知度が極めて高くなっているために、予定の調整だけが大変だというふうに思います。
 これは HIRAI Pitch をやることによって、まず政府内、部局内での情報共有が要するに人伝えに聞くのではなくて、それぞれ自分の目、また自分も質問しながらそういう会議に参加できるというのは初めてのケースですし、各部局がどのような問題意識で質問しているかというのをほかのところが見ると。それに対していろんな答えもそこから導かれるというような、今までにない形式の会議というか懇談会ですので、これはこれで、それだけでも十分な効果があっただろうというふうに思うし、回を重ねていく中で、今まで聞いた、いろいろなPitchをされた方々同士をつなげ合わせるということも、幾つか実際現実に起きておりますし、 HIRAI Pitch 自体がアクセラレーターの機能も持ち始めているなというふうに思っていますし、各界の方々が大変な必要性を感じていただいている以上、これは回数を切らずに、できるだけやっていくということだと思います。
 その上で、やっぱり一番重要だと改めて認識しているのは情報共有、これは産学官とか言いますが、そういう分野を越えた情報共有と、やっぱり政府がどうしてもやっぱりそういう各省ごとのサイロ型になってベンチャー等々とお付き合いをしているので、そういう意味では、そのサイロを越えた情報共有というのが今の時点で非常に役に立っているというふうに思います。というのも、やっぱり全ての分野がつながっていくのはデジタル化の恩恵でもあって、最終的ないろんな分野のデータがつながることによって、新しい価値やサービスを生むというようなビジネスモデルもあるわけです。そういう意味で、宇宙と養殖業がつながったり、農業なんか当たり前につながるし、またそれ以外のデータとつながることによって新しい価値も生むというふうに思っています。
 そんなこんなで HIRAI Pitch は今、予定しているものを全部スケジュールとして、スケジュールをちゃんと設定できるかどうかということが事務方が今、大変なところだと思っておりますし、大阪とか名古屋とかにもまた要望があるので、出向いていこうというふうに思います。そのときのPitchは完全フルオープンにしておりますし、これは是非マスコミの方もお時間があれば、同席していただいて見ていただければと、そのように思います。

(以上)