平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成30年12月21日

(平成30年12月21日(金) 14:30~14:45  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 まず、私の方からIT政策担当大臣として報告があります。
 19日に、IT本部・官民データ戦略会議合同会議を開催しました。本部では「デジタル時代の新たなIT政策の方向性について」を決定しました。これは既存の産業では考えられないスピードで進展する、デジタル時代に必要とされる政策の羅針盤みたいなものだと思っています。
 具体的には、国際的なデータ流通の枠組みの構築などを通じて、データの安全・安心を確保すること。公共・民間部門のデジタル時代への対応を促進する。この2点が柱となります。
 我が国がデジタル時代の競争に勝ち抜いていくためには、この1、2年の間に政策資源を投入して、スピード感を持って「社会全体のデジタル化」を進めなきゃならんと考えています。そのために、私が中心となって、来年春を目途に今回の本部決定に基づいた「新たなIT政策大綱」を取りまとめるつもりです。
 また、引き続き、政府情報システムの改革にも取り組みます。IT調達予算の効率化を更に進めまして、デジタル・デバイド対策などの分野の政策の充実も役立てていきたいと思います。
 そのために、「IT調達手続の見直し」とか、「専門的な知見を有する人材の確保」などについての検討も開始しますし、予算の一元化も検討を開始しています。
 もう一つは、科学技術政策担当大臣として報告します。昨日、総合科学技術・イノベーション会議を開催しました。大学改革について、人事、資金、組織を中心にイノベーション創出を活性化していくために、大学に求められる改革の重要事項について議論をしました。
 また、AIについては、来年夏までに策定予定のAI戦略のうち、特に重要な人材、データ、倫理に関して進めるべき政策の方向性を議論しました。
 具体的には、「人材」については、求められる人材の明確化や、人材の質を担保する仕組みの構築。「データ」については、AIやデータの信頼性を担保する仕組みの構築。「倫理」については、「人間中心のAI社会原則」の策定などについて、私から説明させていただきました。
 さらに、ムーンショット型研究開発制度の創設に向けた考え方や、制度的な枠組み等について、説明して了承を頂きました。
 また、会議の中では、総理大臣の方から私を含む関係大臣に対して、大学改革を更に推し進め、戦略的、計画的な経営改革が行われるよう、第4期中期目標期間において、運営費交付金全体の配分方法の見直しを実現せよと。
 AIについては、人材育成が最大のポイントであり、大胆かつ具体的な制度改革を盛り込んで、戦略の具体化を進めること。「人間中心の原則」を始め、AI利活用の基本原則を打ち立てて、日本として今後の国際的な議論をリードしていくこと。政府全体となって我が国初の「AI国家戦略」を来年夏までに策定することについて、指示がありました。本会議での議論を今後の政策に活かしていきたいというふうに思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今朝の閣議で、来年度政府予算案が閣議決定されたかと思うんですけど、その中で、第5期基本計画ではGDP比1%という目標を立てて、5年間で26兆円という目標を立てているんですけども、今回の予算、大臣から見て、その目標達成に向けてどういうふうに評価されていますでしょうか。
(答)一言で言うと、目標達成に向けて力強い一歩を踏み出せたのではないかというふうに思います。
 さっきお話のあったGDP比1%の達成は極めて重要、これは5年間で26兆円ということですね。平成30年度予算においては、対前年比2,521億円の増額というのを、これは7%ですから、3兆8,401億円を確保したということになります。
 政府全体の平成31年度当初予算案及び平成30年度第2次補正予算案における科学技術関係予算の総額については、今、集計中です。主に、新規事業であるムーンショット型研究開発制度の1,020億円や、これはさんざん本庶さんにも言われた科研費の136億円の増額、そういうことが盛り込まれているということで、年明けに集計結果を取りまとめて発表したいと思います。
(問)あと、今出たムーンショットなんですけども、今回予算認められて、今後どういうふうなスケジュール感で進めていくお考えでしょうか。
(答)速やかに本制度の具体化を図るということなんですが、これは補正(予算)なので、年度内にはやらなきゃいかんだろうと、スケジュールには、思っています。
 基金に積むにしても、何か方向性はできるだけ早く決めたいというふうに思うけれども、余りImPACTとやっぱり違うので、今回。そこら辺りでやっぱりちゃんとした考え方をまとめる必要があるだろうというふうに思っています。
 CSTIが野心的な目標を掲げて、関係府省一体となって推進するということで、いろんなところで言っていますが、基礎研究段階にある様々な知見やアイデアをできるだけ幅広く取り入れて、失敗のリスクも許容しながら革新的な研究成果を発掘するということで、海外研究者の英知も取り込み、オープンかつグローバルに展開したいというふうに思います。
 これが平成30年度の第2次補正予算で1,000億円、平成31年度案で20億円ということになっています。そういうことですので、おのずと何をやるかは春までに決めておかなきゃいかんということだと思います。
(問)あともう一つなんですけど、これちょっとお願いなんですけども、平井Pitch、今日を含めて大臣室であったのが23回あったかと思うんですけども、僕たまにこのホームページで会議資料とか見たりするんですけども、今日時点、ここに来るまでの時点で、会議資料に載っているのは1回から4回まで、議事概要は11回までしか載っていないんですよね。
 大臣、平井Pitchは非公開でやると。ただ、その代わりいろんなものを速やかに公開していくという話だったんですけども、それについては、これはどうなんでしょう。
(答)これは私のそのPitch開催のペースが早過ぎて、事務局が追い付いていないというだけです。大臣室でやっているPitchは非公開でやっていますけど、それ以外のPitchはフルオープンでやっているので、内容のレベルはフルオープンでやっているものとそんな大差はありません。
 ただ、大臣室でやっているものに関して、今、表に出されては困るというようなものに関してはホールドしますけど、それ以外は資料を全部オープンするんですが、これははっきり言って事務局が間に合わないと。すみません。
(問)先日、国際リニアコライダーの見直し案について、日本学術会議が所見をまとめて文部科学省に回答しましたけれども、それに対する大臣の受け止めと、あと、今後その政府内でどのように結論を得ていくのか。スケジュール感を含めて教えてください。
(答)一昨日ですかね、文部科学省からの依頼に基づく審議の報告書というのはそうだったと思うんですが。これ、素粒子物理学における一定の科学的意義は認めつつも、国際経費分担や人的資源の確保に関する見通しは明らかではないというような懸念が、学術会議での所見の中にはあったというふうに思います。
 私の立場としては、文部科学省における検討の状況を注視していくということになろうかと思います。
(問)ムーンショットについて伺います。CSTIで基本的な枠組みというか、運営方法みたいなものを出されたと思うんですけど、これを見るとImPACTと余り変わりがないというか、基本的にそのPMを付けるとか、基金を積んで運用するとか、大まかな仕組みとしてImPACTとどういうふうに差別化を付けていくお考えがあるのか、教えてください。
(答)形的には非常に似ているんですが、やっぱりImPACTの方は研究のシーズがあって、それからその展開ということなんですけど、ムーンショットはやっぱり社会的問題のテーマからバックキャストで、要するに、やろうということなので、その研究のシーズありきじゃないところが一番違うんだろうというふうに思います。
 ここは違うんだけど、やっぱりそのシーズがないから、要するに、リスクも高いもの、分野もあると思うんです。ですから、これから決定する過程において、そこが一番重要なポイントだと思います。
(問)やはりその過程で、国が何でもかんでも決めてしまうと、かえって自由な発想というか、野心的な挑戦が出てこないんじゃないかって、やっぱりすごい懸念があって、特に、SIPなんかは制度設計からどういう事業にするかまで、もう全部国ががちがちに決めてしまった結果、余り逆にいろんな人から手が挙がらなかったという、やっぱりそういう点もあったわけで、多分このムーンショット目標というものをどれほどオープンな形で決められるかというところは、やっぱりすごい大事になっていると思うんですが、そこら辺はどうお考えですか。
(答)重要なところですね。この誰もがこれから日本の未来、世界の未来を見据えて、実現してほしいというような社会的な問題を解決するということに関して、えっ、そんなことできるのというようなことにチャレンジしてくださいねということになっていくと、やっぱり今までとは少し違うと思います。
 そのやり方の細かいところまで国が口を出すということではないと、私は思っています。
(問)分かりました。これは要望ですけど、是非公開でやっていただきたいということは、強く要望させていただきます。
(答)はい、分かりました。お聞きしました。
(問)AIの関係で伺いたいんですけれども、国家戦略を含めて、国際的な議論をリードしていきたいということで、社会原則については、来年のG20でも各国に示したいというお考えもあるかと思いますけれども、イメージとして例えば将来的には日本がリードする形で、世界共通的な何か指針とか、そういうガイドラインをまとめたりとか、何かそういう構想、思いとかあったら、改めてお聞かせください。
(答)その、AIの倫理等についても、これ、合意を得るというか、共通の合意に達するというのは、結構難しいなというふうに実は思っています。
 日本がそこは汗をかいて、できるだけ合意できるものを合意しておかないと、どこまでAIを使うのかと。そして、はっきり言って安全保障系に使われる国も結構あるというふうに思っていて、そういう倫理の問題というのはやっぱり日本がリードすべきだと思っているので、そこでできるだけ合意を引き出せるように、これから汗をかかなきゃいかんというふうに思っています。
(問)それはG20の場で何か。
(答)できればということですが、あらゆる場でと。この間、日、独、仏でやったときも、私の方からそれをプレゼンさせていただいて、独、仏だとある程度これでいけるのかなと思うけど、もっとこのG20だと簡単にはいかないというふうに思っています。

(以上)