平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成30年12月11日

(平成30年12月11日(火) 10:47~11:01  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 今日は、まず私の方から5件御報告を申し上げたいと思います。
 まずは、宇宙政策担当大臣としての報告です。
 本日閣議後に、総理を本部長とする第18回「宇宙開発戦略本部」を開催し、宇宙基本計画の平成30年度の工程表改訂を決定しました。
 総理から、工程表改訂に関して、特に次の3点について御指示がありました。
 これまで宇宙とは関わりのなかった分野でも、革新的なビジネスが生まれるよう、アイデアの掘り起こしや実証事業など、宇宙ベンチャー支援を積極的に進めること。安全保障分野においては、「防衛大綱」の見直しが進められているところ、防衛省を中心に関係省庁やJAXAとも連携して、その一層の強化に努めること。国際宇宙探査について、米国が構想する月周辺の有人拠点「Gateway」への参画について、我が国が強い分野で積極的に貢献できるよう、関係国との調整を推進することであります。
 総理から頂いた指示を踏まえまして、関係閣僚と連携し、宇宙基本計画の工程表を着実に実施してまいりたいと思います。
 宇宙関連でもう一つは、クラウドファンディングによる宇宙産業振興についてであります。
 現在、宇宙産業に関心のある全国の自治体で、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングによる産業振興及び地方創生の取組が活発化しています。
 北海道の大樹町では、「宇宙のまちづくり応援プロジェクト」として12月14日より全国から寄付を募り、同町に本社を置くロケットベンチャー「インターステラテクノロジズ」のロケット開発を支援する予定です。
 また福井県では、「福井県民衛星プロジェクト」として平成28年度より全国から寄付を募り、全国初の自治体が人工衛星を打ち上げるプロジェクトを推進しています。
 さらに、愛知県碧南市では、ふるさと納税制度を活用し、来年1月末までを募集期間として、同市で宇宙飛行機(スペースプレーン)の開発を進める民間企業「PDエアロスペース」に対して支援を行うこととしています。
 こういった地方の宇宙産業の支援の取組は、地元の企業や団体、住民の方々の協力を得ながら取り組まれているところです。こうした取組と支援の輪が全国に拡大することで、宇宙産業を核とした地方創生が図られることを期待しているところであります。
 次に、クールジャパン戦略担当大臣として報告します。
 先週土曜日に、香川県に出張いたしました。当日は、世界からの多くの観光客が訪れている「直島」や、現代アートやデザインの拠点である「ジョージナカシマ記念館」、「イサム・ノグチ庭園美術館」、「川島猛アートファクトリー」を訪問し、地元関係者や自治体の関係者等とそれぞれの魅力の背景にある歴史や、その魅力を発信する方法などについて意見交換を行いました。
 直島では、「ベネッセハウスミュージアム」や「家プロジェクト」の視察、来年開催される「瀬戸内国際芸術祭」について、浜田知事などと議論を行いました。
 視察や議論を通じて、直島が古いものと現代アートを結び付けて新しい価値を創造し、そこに人が集まっていること、小さな島だが大きな影響力を持っていることを再認識しました。こういった力をクールジャパンの戦略にも活かしたいと思います。
 また、今回の出張では、その訪れた場所で、SNS等を通じて英語の発信を行いました。今後も同様に英語での発信を行うことで、クールジャパン戦略の世界への発信強化に努めたいと思っていますが、英語にした途端に「いいね!」が減ったというのもありますので、これはやっぱり私自身、もう少し考えてやりたいと、そのように思います。
 もう一つ、クールジャパン戦略担当大臣として報告します。
 日本の魅力を効果的に発信・展開し、世界からの共感を広げていくには、日本の魅力の背景にある歴史や文化、技、人といった側面から、世界の人々にとって魅力的なストーリーで発信していくことが重要です。
 そのため、これから日本の主役となっていく高校生を対象に、その地域で暮らす「高校生の自由な発想と広い視野で、地域にある魅力に気付き、それを世界の人々に効果的に共感してもらうためのストーリー」をつくる「クールジャパン高校生ストーリーコンテスト」を開催し、本日から募集を開始することとします。
 募集に当たっては、高校生に訴求する観点から、チラシや公式ホームページという従来の手法ではなくて、高校生の利用率の高いSNSを新たに活用するなど、幅広く高校生に身近な形で周知を行っていきたいと考えています。
 高校生の自由な発想を生かして、自らの地域と向き合い、気付いた魅力を世界に発信する機会ですので、是非とも積極的に応募していただきたいというふうに思っています。
 次に、研究開発力強化法の一部改正法の成立について報告します。
 8日に、議員立法である研究開発力強化法の一部改正法が成立しました。
 同改正法は、法律の名称を、「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」に改めると共に、大学や研究開発法人の経営能力の強化、ベンチャー等への出資が可能な国立研究開発法人等の拡大、これは現在の3法人から22法人に拡大します。
 公募型研究開発の基金化の促進など、我が国の研究力向上やイノベーション創出の活性化のために極めて重要な内容が盛り込まれています。
 また、本法律は、平成29年6月2日に開催された第30回総合科学技術・イノベーション会議における有識者議員からの、科学技術イノベーションの活性化を促進するための制度的・法的基盤の構築が急務との提言も踏まえて、取りまとめられたものと聞いております。
 内閣府としては、我が国の科学技術・イノベーションの発展を加速すべく、本法律により構築された制度的基盤を最大限活かして、統合イノベーション戦略の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)研究開発力強化法の改正についてなんですけども、大臣から今、内閣府として積極的に取り組んでいきたいという話だったんですけど、具体的にはどんなことに取り組みたいのかを教えてください。
(答)内閣府としては、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の趣旨を実現すべく、大学等の経営力の強化に関してはガバナンスの強化、人事給与マネジメント計画、民間資金の獲得拡大等を更に加速する。
 国立研究開発法人等によるベンチャー等への出資に関しては、制度の集中を図るなどその活用を後押しする。また、野心的な構想を掲げ失敗を恐れず挑戦的な研究開発を推進するムーンショット型研究開発制度の創設などの取組も推進する。これらの取組によって科学技術・イノベーション創出の活性化を通じた知識、人材、資金の好循環の実現を図っていきたいと考えております。
(問)ムーンショットなんですけども、今回、研究開発法人に、法改正なしで基金がつくれるようになったと。多分、補正予算でムーンショット型の要求も考えられているかと思うんですけれども、ムーンショットは、やはり今回の法改正を受けて、どこかで基金化するというような感じでお考えなんでしょうか。
(答)現在、予算も含めて調整中でございますので、我々、現在そういう方向はまだ言えませんが、調整中であるので、近々発表させていただきたいと思います。
(問)度々、産業革新投資機構について伺いたいんですけど、昨日、民間出身の取締役が全員辞任するという事態になってます。大臣、先日の会見で、この法人が十分な機能を発揮できるような体制にしてほしいということをおっしゃったと思います。取締役が全員辞任するというのはかなり異常な事態だと思いますが、現在の状況をどういうふうにお考えになっているかということと、今後この法人がどういう形になるべきだとお考えなのか、御所感をお願いします。
(答)私も報道で知る限りのことですけど、やっぱり新しい体制をつくるまでの、まあ前向きに捉えれば生みの苦しみの段階ではないかなというふうに思います。やっぱりここは十分に話し合って、相互が納得した形でよりよき姿にすべきだというふうに思いますし、かえって世間の注目が集まったことで、こういう機構というものの在り方というものを考え直すチャンスにもなっているのではないかと個人的には思います。
(問)そもそもの発端は、これ報酬なんですけど、やっぱりあれほどの人々を呼ぶんですから、それなりの報酬を払ってしかるべきという考えもある一方で、国のファンドなんだから、そんなに高いお金も払えないという考え方もあると思うんです。大臣御自身は、その新しい役員を迎えるに当たって、やっぱりそれなりの報酬を支払うべきだとお考えなのか、それとも、やっぱり国のファンドだから、そんなに高い報酬は払えないというお考えなのか、どちらなんでしょうか。
(答)所管でないので、これは非常に発言しづらいんですが、最近、ゴーンさんの報酬の問題であるとか、日本の企業の社長、CEOの何と言いますか、報酬ランキングとかいろんなものが発表されたりしてますが、私自身も見ていて、それぞれやっぱりいろんな判断に基づいてやってるんだなというふうに思います。ただし、報酬に関して、日本の場合は、やっぱりちゃんと説明ができる内容にすべきだろうと、そこだけは思っています。

(以上)