平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成30年12月7日

(平成30年12月7日(金) 9:24~9:46  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 まず、クールジャパン戦略担当の大臣として報告します。
 国会の状況にもよりますが、今週末、香川県、私の地元に出張する予定にしております。世界から数多くの観光客が訪れている「ベネッセアートサイト直島」や、現代アートやデザインの拠点である「ジョージナカシマ記念館」、「イサム・ノグチ庭園美術館」、「川島猛アートファクトリー」等々を訪問して、関係者と意見交換をさせていただきたいと思っています。訪問先では、関係者、自治体関係者と、また、知事とも一緒に視察をさせていただいた上で、来年、香川・岡山を舞台に「瀬戸内国際芸術祭」が開催されます。それを視野に入れて、海外から本当にたくさんの方来られるので、そこに対する情報発信や、今後そういうものを日本全国に広げていくための方策等々に関して意見交換もさせていただきたいと思います。
 こうした機会を通じて、地域におけるクールジャパン推進に活かしていきたいというふうに考えています。これからクールジャパン担当大臣として、いろんな各地で視察した場合には、SNS上の情報発信は英語でもやろうというふうに考えています。というのも、やっぱりキーワードが英語で検索にひっかかりやすいように、ここはこれから試行錯誤しながらやりたいなというふうに思っているのは、ついこの間も海外のインフルエンサーの方々と意見交換をして、その後、彼らのツイッター等々を見ていますと、やっぱり英語による情報発信は非常に重要で、これはこれから各地域のクールジャパン戦略の中に標準的な方法として、やっぱり取り込んでいかなければならないのではないかなというふうに思います。したがいまして、まず大臣自ら英語での発信をしようと、そのように考えています。
 そして、科学技術政策担当大臣としての報告があります。
 今週4日、「アクセンチュア・イノベーション・ハブ・東京」を訪問させていただきました。同施設で日本に進出してる海外スタートアップの企業等に参加いただいて、「HIRAI Pitch in 麻布」ということで開催しました。
 まず最初に、「アクセンチュア・イノベーション・ハブ・東京」は、企業の新たなアイデア、サービス、又は抱える課題を同施設に持ち込んでもらって、この施設に擁する専門人材が一緒になって構想や課題の実現、社会へのいち早い提供を支援する拠点ということです。施設の詳細を拝見させていただいて、このようなイノベーションの創出を支援する民間の拠点が今後ますます重要になってくるだろうというふうに考えておりますし、この間のプラグ・アンド・プレイみたいなものもありますが、例えばアマゾン、AWSなんかも同様の施設を新たにつくっておりますし、実は想像してる以上にそういう拠点は増えつつあるというふうに思います。
 また、「HIRAI Pitch in 麻布」では、日本に進出している海外のスタートアップ企業5社からピッチを受けました。海外スタートアップ企業から見た日本のイノベーション・エコシステムの課題、また魅力等について意見を交わしました。
 課題については、例えば失敗を許容する環境をもっと醸成すべきではないかとか、最初からグローバルな展開を視野にビジネスを組み立てるべきではないかなどの意見がありました。
 ただ、共通して言えることは、参加者は皆さん、日本の大ファンですね。日本が好きだから日本でやってると。ここら辺りが私は、科学技術イノベーション戦略のみならず、クールジャパンに非常に参考になるなというふうに思いました。そのような方々を、いかにこれから我々との意見交換の場を増やしていくかみたいなこと、これはもう非常に意を強くする部分もありましたので、これから海外の方々、特に日本に住んでおられる方々のピッチはもっと受けるべきだなというふうにも思いました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日、SIPのガバニングボードがあって、そこで制度評価ワーキンググループから評価についての報告があったですけども、その中の提案で、第2期からはマッチングファンド形式を入れて、民間企業からもどんどん出資してもらうべき、お金として出してもらうべきだっていうふうな提案があったんですけど、それについて、大臣、どのようにお受け止めでしょうか。
(答)SIPも今年度が最終年度、5年目を迎えます。したがって、SIP全体の制度評価を行ってる中での(提案)ということだと思うんですが、昨日のガバニングボードにおいての中間取りまとめ案の審議の中で、研究開発フェーズが高まって出口に近いものについては、SIP第2期の中間評価のタイミングで、国と民間企業が半分ずつ資金を支出するマッチングファンド方式を検討すべきというような御指摘だったと思います。今後、産業界からの意見も考慮しつつ、具体的にどのような方法でこの方式を適用するか、(適用する)ことが適当なのかということを検討して、何らかの決定をしていきたいというふうに思います。
 SIPのマッチング、マッチングファンドという言葉は、皆さん誤解せんといてください、あのファンドとは違いますからね、これは。官民ファンドとは違いますから。国が率先して取り組むべき社会解決のためのプログラムへの適用は慎重にすべきということもあり、短期的な成果を求める研究テーマが多数を占めるような状況になっても困るというようなこともありますが、来年度中に何らかの結論を得たいというふうに思います。
(問)4日のHIRAI Pitchの件でちょっとお伺いしたいんですけども、海外から日本で根づいてビジネスをやりたいという方のお話の中で、日本の大ファンという。具体的にどういうところに魅力を感じてるというふうに、今回、大臣、感じられたんでしょうか。
(答)まずね、日本の歴史に対する敬意みたいなものが皆さんありました。
 それと、やっぱり治安が。
 明治維新という時代のですね、そのイノベーション改革とか。
 食べ物もそうですし、御夫婦でこちらに住まれてる方なんかもドイツ人だったんですけど、もう何ら不便を感じないというようなことだし、やっぱり四季があったり、日本というのは、我々が思ってる以上に海外の方々から見ると魅力があると。やっぱり食べ物は特においしくて安いんですね、これ比較すると。これは私も最近よく感じるんですけど。それとやっぱり日本人の何ていいますか、英語によるコミュニケーション能力が十分ではないにせよ、いざ付き合うと非常に信頼を得る人たちが非常に多いということと、優秀な技術者がいるというような方々ということもありました。
 何もないところから新しいことを生んできたという日本の過去の歴史ですね。これは確かに今はこういう状況ですけど、本当に一回何にもない状況からいろんなものを生みながら、イノベーションを更に進化させながら、日本流で新しい社会を切り開いてきたというようなところが、やっぱり彼らにとってみたら何となく魅力的に見えると、ですから日本のことを好きな人というのは日本の過去の、要するに明治政府誕生以後のこの日本に関しては、結構詳しいということもあります。
 海外の方々は、また恐らくですね、出会った人たちが良かったというのもあるんだと思うんですね。いい人たちに出会っているっていうことが、やっぱりこの日本に拠点を移すという理由の一つでもあるということですから、これ総合的なものだと思います。ただ、捨てたもんじゃないなというふうに思ったことと、優秀な人材を日本にこれから呼び込んでいくっていうのは十分にできるんだろうと、それこそ高額報酬だけを求めているわけでもないということもよく分かったので、日本人と一緒にイノベーションを起こしたいという方々をどうやって支援するかということも、重要だと思います。
(問)是非スタートアップの戦略として、平井ピッチでなく平井プランとして策定していただければというふうに思いますけれども。
(答)はい、頑張ります。
(問)ありがとうございます。
(問)先程言及があった産業革新投資機構について伺います。経産省がですね、一連のごたごたで来年度、この機構に対して支出を予定していた資金を引き揚げることを検討してます。この機構なんですけど、特にSociety5.0に向けた新規事業の創造とか、ユニコーンベンチャーとかですね、あるいは地方に眠る将来性ある技術の活用とか、こういうところに重点投資することを考えてまして、ある意味、科学技術政策を進める中でですね、この機構の役割ってのは非常に大きいと思うんですけど、こうしたことについてですね、そこら辺の政策にどういう影響があるかっていうことを、ちょっとお考えを伺いたいです。
(答)これ、まだどのような形になるか仮定の話なので、非常にお答えしにくい面はありますが、ベンチャー支援っていうのは、割といろいろ幅広く総合的にやるもんだろうというふうに思っていて、お金だけではないと、で、今検討してる税制改正、あれも相当踏み込んだものにしていただければですね、ベンチャーの支援にはなるというふうに思います。
 JICについては私、正直申し上げて、新聞報道以上のものは何もまだ直接伺っていないんですが、早く何らかの決着が出て、ついてほしいなとは思っています。
(問)何らかの決着っていうのは、予定どおりこのファンドがうまく機能するっていうことを期待されてるってことですか。
(答)まあ必要だからそのファンドがあるわけで、十分機能を発揮できるような体制にしていただきたいなと思っています。
(問)これまで平井ピッチで30以上の機関と懇談会の場所を持ってきて、ピッチを通じて得た成果や今後の施策への反映など、期待感をお願いできればと思います。
(答)まずピッチをしてよかったのは、私自身のやっぱりいろんな考えが変わった部分も正直あります。やっぱり現場の声を聞くということの重要性を改めて痛感しました。
 やっぱり直接リスクをとって、また、思いを持ってやられてる方々の発言、そして、それに対する我々のいろいろな質問に対するまた意見交換というようなところに、やっぱり次の時代をつくっていく鍵があるなというふうに思って、私自身もピッチをやるたびに自分自身の引き出しが増えるので、そういう意味では、回を重ねるごとにピッチを受ける側としての私の、何といいますか、考え方みたいなものが整理されつつあるというふうに思います。
 そして分野は、例えばITならITだけということではないんですが、全部がつながるということも本当につくづく今は感じてます。それはやっぱり一つは、やっぱりこのデジタルの浸透っていうものが、もう間違いなくありますね。ですからデジタルテクノロジーは思わぬものをつなげていくということ、例えば宇宙と、いろいろ考えてる例えばサービス産業のモデルみたいなものがつながっていったり、また、量子コンピューターみたいなものがですね、新たな価値をそういう形で産業の中で生んでいったりすることなんかは、もう普通にあるというふうに思いました。
 そしてもう一つはですね、情報共有ですね。要はこれは役所の中でのまず情報共有っていうのがあると思います。やっぱりこの縦割り組織の中で情報の共有というものが、常にスムーズに行われているかというと、これはいささかの疑問がありまして、やはりそこはこれから総合的な政策で、例えばスタートアップとかイノベーションとかに取り組む場合は、やっぱりそれが必要だろうというふうに思います。
 もう一つは、意外と民間の中における情報共有もできていないということです。ですから、まあ九州なら九州の中での情報共有はある程度はあるにしても、全くその業種が違う方々だとないし、また、エリアが変わると必ずしも情報共有がされていないということだと思います。で、これは政府の政策や税制に関しての周知徹底っていうようなものもですね、知ってる人は知ってるけど、知らない人は知らないみたいなもので、つまり情報共有のレベルを上げれば上げるほど、イノベーションは起きやすくなるなというふうに思いました。
 マッチングとかネットワーキングとかっていうことを考えたら、やっぱりそこを促進していく方法を考えなきゃいけないというふうに思いますし、多くの方々、先程も申し上げましたが、失敗から学ぶっていうことに関しても、もっとそれが大きな声で言えるような状態に早くしてあげるべきだなとも思いました。
 ベンチャーがベンチャー全て成功するっていうようなことはあり得ないわけで、研究開発だってそうだと思います。ですから、思い切ってチャレンジすることの価値、また、失敗に対する評価みたいなものは、これはマインドセットを変えなきゃいかんなというふうに思って、自らそこは伝道師のごとく頑張ろうかなというふうに思ってます。ただ、これ、私もピッチに関しては、やればやるほどちょっと考えもちょっといろいろ変化していく部分もありますので、これはもうだんだんしんどくなってきましたけれども、やり続けることを自分に課してやっていこうと思ってます。

(以上)