平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成30年11月27日

(平成30年11月27日(火) 9:10~9:21  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 まずは、私の方から、科学技術政策担当大臣としての御報告があります。
 先週もお話ししましたが、昨日、産業技術総合研究所(産総研)の臨海副都心センターを訪問いたしました。同センターでは、デジタルヒューマン技術や自律移動ロボットなど、センターで取り組む最先端のAI研究について視察させていただくとともに、辻井潤一人工知能研究センター長と、これから日本のAI戦略の方向性をどのようにするかということで、大変貴重な、また率直な意見交換をさせていただきました。今朝の新聞でもAIの基本原則等々が一部報道されておりましたが、それはそれとしてまとめるとして、日本として、いったいその強みをどのように活かしていくのかと。メガプラットフォーマーがやってるようなやり方ではないやり方に関して、いろいろと話をさせていただいたということです。
 併せて、隣接しておりますので、日本科学未来館も訪問しました。毛利衛館長から、未来館の国際連携などについて説明いただいて、御案内いただきました。研究エリアでは、遠隔でその場にいるように感じることができる身体性メディアプロジェクト、これは一部オリンピック時に実装されるんではないかと思っておりますが、なんかも視察しました。この日本科学未来館は研究棟があるということで、幾つか訪問をさせていただいたということでございます。これも大変勉強になりました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先週、CSTIで本庶先生が提案なさって、基礎研究の死の谷を越えるためには予算も含めた構造的な改革が必要だと。ちょうど今、予算折衝も佳境に入ってるかと思うんですけども、今回の予算で基礎研究への投資はどのぐらい増えそうなのかというの、大臣としての見込みというか、あれと、それと、ムーンショットが内閣府中心に予算要求されてると思うんですけども、ムーンショット型研究開発で予算を取り過ぎると、財源も限られてるので、基礎研究への投資は小さくなってしまうんじゃないかっていう、そういう懸念もあるんですが、大臣としてどのようにお考えでしょうか。
(答)CSTIでの議論を踏まえて、積極的に取り組むというのが基本的なスタンスです。
 「ムーンショット型研究開発制度」、これは非常にチャレンジングな社会問題解決とか、そういうものを目的にしてて、この中には当然基礎研究が入ってるというか、もう逆に、そういう分野だと基礎研究が重要だというふうに思っています。ですから、ムーンショット型というのは基礎研究強化のために重要な政策だというふうに私は思ってます。
 今、予算全体を何とかしなきゃいかんということで、各党の方にも御協力をいただいて、今やってるところでございます。
 ですから、統合イノベーション戦略に基づいて基礎研究は強化をしてまいりますということです。 
(問)先程の、昨日の産総研の視察で辻井センター長と率直な意見交換したということで、もうちょっと具体的に、どのような対話があったのか教えてください。
(答)こないだ、日独仏のシンポジウムで、私がまず、日本のAI戦略っていいますか、基本的な考え方をお話しして、その後、キーノートスピーカーの一人が辻井さんで、そのときの話を聞いていたので、それを踏まえて、いろいろとお話をさせていただきました。
 AIの原則とか、倫理の問題とか、教育とか、いろいろありますが、そういう全世界共通で目指す方向性というのは、いわば合意できる部分は合意できると思います。
 ただ、裏で各国、各会社、やってることは全く別なので、そういう意味で、日本はどこをどう進めていくかということと、これからAIが社会実装されるときに、具体的にはどの分野を先行させるかと。それと、クラウド型のサービスというのも当然、もう既にありますが、やっぱり国としてもそういうものを、全部ばらばらにやるんではなくて、やっぱり統合して一つのセンターを持って、それを利活用するという方向にすべきではないかというような話とか、結構いろいろと細かい話まで含めて、お話をさせていただきました。
(問)それで、人材育成のところで、正に、底上げという意味で、いろんな学生とかに教育するというのは大事なんですが、一方で、やっぱりトップ研究者もきちんとそろえなければいけないと。辻井センター長のような海外でも実績のある方を今後どのように確保していくか。場合によっては世界から引き抜くことも必要だと思うんですが、そういう、底上げじゃない、今度はトップの研究者をどのように育てる、若しくは確保するというふうにお考えでしょうか。
(答)トップの研究者がそれぞれのテーマを持って開発できる環境を、ただ、研究者も1人では何もできませんので、そこに人が集まるというようなことを考えていかなきゃいかんというふうに思ってます。
 AIの分野でも、ディープラーニング、マシンラーニング、あといろいろ、結構最近分かれてきている中で、日本はそれなりに、松尾先生も始め研究者の皆さんいらっしゃいますし、民間企業でも相当先行してるとこもおりますので、そういうところが全部、連携できるとこは連携しながら、産学官の協働というようなプロジェクトができたらいいのではないかというふうに思います。
(問)2点あるんですけど、まず1点目、先程のAIの話なんですけど、いろいろ話を聞いたということで、今後、政策にはどのような形で落とし込んでいきたいというふうに考えていますか。
(答)まずAIの、年度内にまとめるのがAI原則。年度内っていうことですから、年またいでということで、一定の、G20で日本が中心となって呼びかけなきゃいかんというふうに考えてるものがあります。それと、独自の、この日本のAIの戦略も同時進行でつくっていくということになります。
(問)ということは、じゃ、年度内までに。
(答)には、まず、できるはずなんですけどね。今作業中。
(問)分かりました。
 もう1点、宇宙政策についてお伺いできればと思うんですけど、今日、NASAの火星探査機インサイトが到着しましたが、先程ですけども、日本の火星探査についてお伺いしたいんですけども、これまで、今後、MMXというものが構想はされていますけども、それまでかなり期間も空いていて、余り戦略的に火星をやってこなかった背景があると思います。今後、月や火星の国際的な枠組み作っていく中で、日本としては火星探査というのはどのように位置づけていくのか。その考えを。
(答)本日5時ごろですよね、NASAのインサイトが無事火星に着陸して、私も送られてきた画像等々も見させていただきました。火星への探査機の着陸っていうのはもう失敗するケースもある中で、やっぱりNASAはすごいなというふうに思います。大変すばらしいことだと思います。
 我が国の宇宙科学探査という意味では、1998年の「のぞみ」の失敗以降、火星については、しばらく空いているようには見えますね。
 しかしながら、日本の得意分野であるサンプルリターン、それを衛星でやるっていうのが「MMX」なんですが、これも2024年度に打ち上げるということを目指していて、それまでに、今までの「はやぶさ」の技術みたいなものを更に進化させたりしています。火星探査に各国いろいろ取り組んでおりますが、ロシアも失敗したりとかしていることも見ながら、2024年のMMXを、絶対成功させようというふうに、我々、今考えているところです。それぞれ得意分野を活かしてやるべきだというふうに思っていて、日本はやっぱり衛星のサンプルリターンに技術を集中したいと思います。
(問)ちょっとやわらかい質問で恐縮なんですけど、櫻田五輪担当相と平井大臣の方で、サイバー担当を平井さんがやった方がいいんじゃないかみたいな議論が一部あるような気がするんですけど、それについて、大臣としての所感を一ついただければと。
(答)所感といいますか、私、任命権者ではありませんので、コメントしようがありません。御勘弁ください。

(以上)