平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成30年11月9日

(平成30年11月9日(金) 9:15~9:35  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 私の方からまず二つ、これは、宇宙政策担当大臣としての報告になります。
 現在、宇宙基本計画の工程表に基づいて、宇宙ベンチャーの創出・育成に向けた取組をやっています。その一環で、昨年からスタートした宇宙ビジネスアイデアコンテスト「S-Booster」をやります。
 11月19日には、「S-Booster2018」の最終選抜会を開催します。これは2年目になるんですが、4月から約1か月間、アイデア募集を行ったところ、様々な業種の方から約200件もの応募がありました。そのうち選考を勝ち抜き、メンターと呼ばれるビジネス専門家から約5か月間の事業化支援を受けて、選りすぐりの12チームが最終選抜会で斬新なビジネスアイデアを発表します。最終選抜会の当日には、宇宙分野に関心のある投資家の方々も多く参加すると聞いています。また、この取組がきっかけとなって宇宙ビジネスアイデアが事業化に向けて前に一歩踏み出すことを期待しています。
 当日、私もこのプレゼンテーションをできるだけ聞こうということで今時間を調整しています。
 今回、事業化支援を行うための賞金が最高1,000万円と、総額1,600万円と、なかなか去年に比べて増えたなというふうに思っていて、これは楽しみにしているところでございます。
 もう一つは、科学技術政策担当、クールジャパン戦略担当大臣としてですが、本日の夜から明日にかけて福岡に出張します。
 明日の午前中、福岡市内にある「Fukuoka Growth Next」、これは一度総理が行こうとして行けなかったところですが、を訪問するほか、HIRAI Pitchを福岡でも開催をします。地域のベンチャー経営者、ベンチャーキャピタル、大学関係者、学生、支援関係者とのスタートアップの創出・成長のためのエコシステム形成のための意見交換をやりたいと思っています。
 午後は、北九州市に移動いたしまして、「クールジャパン推進会議in福岡」に主催者として出席します。この会議は、当初7月に予定されておりましたが、西日本の豪雨災害のために延期になっていたもので、この度、関係者の皆様の御尽力によって開催できる運びになりました。
 本会議では、コンテンツや食など福岡県のクールジャパンの魅力を再発見し、特にアジア等の若者をターゲットにした海外展開や発信の方策等について議論する予定です。
 また、この機会にアニメ・漫画・ゲームなどクールジャパンの魅力と触れ合い、世界へ向けて発信するための拠点である「あるあるCity」などの周辺施設も視察させていただく予定です。
 これらの地域の特色や潜在力を活かして、地域活性化や我が国のクールジャパン戦略の推進に活かしたいと考えています。
 午前中の福岡のPitchに関しては、もう本当に多くの企業が参加したいということで、約10社程度のPitchを受けようと思っています。それも全部私が興味を持っていた会社で、メドメインとかサイノウとかグルーヴノーツとかキューラックス、tsumug(つむぐ)とかKids Code Club(キッズコードクラブ)とか話を聞きたかったところばかりなので、ここはちょっと時間を取ってじっくりと話をしたいなというふうに思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今、国会で入管法の改正が議論されているんですけども、外国人研究者の受入れに関連して、例えば競争的資金で科研費ぐらいしか、例えば申請だとか、あとは公募要領、あと審査要領なんかは英語化されていないんですけれども、それについて、これから外国人研究者をどんどん受け入れて、日本の研究環境も国際化していくという中で、今後どういうふうにほかの競争的資金を変えていくのかについて教えてください。
(答)基本的には、やっぱり私としては海外の方々もアプライできるようにしたいなというふうに思いますが、そういうアプライしないようなものも実はありますよね。ですから、そこら辺りを見てやっていきたいというふうに思います。
 第5期科学技術基本計画においても、国際的な研究ネットワークを強化するということで、海外から日本に来るということもさることながら、我が国の研究者が内向きの思考を打破して海外で活躍するということを積極的に促すということと、優れた外国人研究者を受け入れて活躍してもらうと、世界レベルで研究活動を展開する研究者が、帰国後に自立的環境の下で研究を行えるようにするということというようなことは我々の目標です。
 文部科学省では、世界中から第一線の研究者が集まる国際研究拠点の形成を支援する「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」や、諸外国の優秀な研究者の招聘を目的とした「外国人特別研究員事業」などの取組が行われておりますが、引き続き、関係府省と連携して国際化を推進していきたいというふうに思います。
(問)昨日だと思いますけれども、3回目のPitchがあったと思うんですが、少しどんなことをお話しになったのかというのを可能な限りで教えていただければと思うのと、量子コンピュータはある意味、これから世界的に非常に注目されている技術だと思うんですけども、政府としても、あるいは大臣のお考えとして、どういうふうに後押ししたいかみたいなものがあればお聞かせいただけますでしょうか。
(答)昨日のPitchは非常に盛り上がりました。MDR(株)の湊雄一郎さんを招聘して、世界的な量子コンピュータ開発の状況や、その中での我が国の立ち位置とか、社会実装が期待される分野について、これも本当に有意義な意見交換ができたと思っています。
 今、アメリカとか中国等が量子コンピュータの開発でほんとにしのぎを削っています。そんな中で、世界に勝つべく日本の高い基礎技術力や豊富な人材、これは本当にあるんですね。やっぱり基礎研究の部分やこの分野の人材、日本は豊富ですので、専門性の高いベンチャー企業の拠点づくりの構想などをQuantum Valleyというやつですかね、を議論させていただきました。
 我が国としても、社会的な課題の解決とか産業競争力の強化のために、量子コンピュータ開発は必須の課題と認識しておりまして、6月に閣議決定した「統合イノベーション戦略」においても、「特に取組を強化すべき主要分野」として、量子等の革新的コンピューティング技術の推進を掲げています。
 私は、これ非常に組合せ最適化の分野若しくは汎用型、両方可能性があるなというふうに思っていて、やっぱり海外ではすごくいろいろな企業が大型の投資もしている中で、日本はどこで、どのようにその独自性を出していくかというような議論を昨日はやらせていただきました。これはやり方はあるなというのが我々の結論で、この分野でも負けたくないと思っています。
(問)不勉強で恐縮なんですけど、今おっしゃったQuantum Valleyなるものは、将来的にこういうことができたらいいなという構想なのか。
(答)というより、結局、量子コンピュータというのは、ミドルウエアの部分もあるだろうし、アプリケーションの部分もあるだろうし、実際のチップを開発するところもあるだろうし、いろんなレイヤーがある中で、結局その分野を担える人というのは世界にそんなにたくさんいるわけではなくて、そういう方々が集まりやすい環境をつくると、つまり、そういうような開発環境みたいなものを、実は日本だって提供できないわけではないんですね。そのような議論をさせていただきました。
(問)あと、日本はどこで勝負していくかということをおっしゃったんですけど、敵はグーグルでありIBMでありマイクロソフトであり、非常に強敵というか、普通にやったら日本が勝てるのかなという感じの相手なんですけど。
(答)この各会社、中心的に攻めている領域が少しずつ違うんですね。なので、日本もチャンスがあるなと。全部1社でやろうって誰も考えていなくて、それぞれ自分たちの得意分野や、今までの取組の延長線上で戦略的にやっている話だと思います。そういう意味で日本の、特にMDRさんなんかは数少ないチップがつくれる会社、チップの設計ができる会社です。
 少し勉強しないと、この領域が割と細かく、私も全部理解しているわけではないんですが、はっきり言って、まだ私の頭の中はニュートン力学のところで止まってますので、なかなかこっちまで行かないんですが、私も勉強して頑張っている人たちを応援したいなと思いました。
(問)福岡訪問についてお伺いしますが、福岡は特に大学との連携が盛んで、創業がしやすい環境というふうにも言われていますけど、今回視察を経て、例えば今後、地方への創業支援にもうちょっと具体的に踏み込むとか、何かきっかけになるような機会にしたいのか、その辺りのお考えをお願いします。
(答)スタートアップカフェみたいなものがスタートしたのは、私の知る限り福岡、沖縄市、大阪辺りですよね。その中で、こういうような形でスタートアップカフェが盛り上がり過ぎて、こういう独自の施設、これ学校の跡ですか、そこに企業が入れるような施設をつくったのは福岡市ですよね。沖縄市も相当盛り上がっています、いろんなプログラミング教育の施設とかいろんなものもつくっていて。
 こういうところの面白いところは、やっぱり人が人を呼ぶというところで、つまり、面白い方々との刺激の中で新しいアイデアが生まれてくるというような環境が、福岡にしても沖縄市にしてもできつつあります。ですから、そういうところが更に、要するに前に進んでいけば、そのエリアに留まる会社ではないので、全部。要するに、大げさに言えば、全部グローバルに展開できるようなアイデアも持っている会社ですから、そういう意味で、広義の地方創生というようなことにはなると思います。
 ただ、本当に最近つくづく思うんですが、新しいことを始めようとしている人たちが確実に増えています。ですから、単に会社に就職してというような方々ではなくて、やっぱり起業しようという方々が増えているというのは、これはちょっと私も驚くほど変わってきたなというふうに思うし、皆さんリスクを承知である程度いろんなことに取り組める環境が日本も少しずつできてきたのではないかな。
 そのリスクを取って新しいことにチャレンジする人たちを自治体や国が温かく見守ったり応援したりしている。そこはやっぱりどのような応援の仕方がいいのかというのも、これ今試行錯誤の中ですね。基本的には、やっぱり民間の方々が自力でやるというところが一番すばらしいところで、そういう意味では、福岡のこの施設は非常にすばらしいと、そこに環境ができているなというふうに思います。
 一声かけてもう十数社、それも相当な企業があっと言う間に今回も集まってくれたので、そういう意味では、非常に彼らの私に対するPitchだけじゃなくて、彼らといろんなマルチな意見交換ができたら面白いなと。恐らく彼らなりに事業を展開していく上で考えていることもあると思うんですよね。そこは新しい会社との連携とか、新しいアイデアの組合せとか、事業モデルはずっと固定されるような会社では皆さんないので、そういう意味では、そこで化学反応が起きるようなPitchになればいいなというふうにも思っています。
 よろしければ、是非同行取材していただければ、福岡までの短い出張ですけど。
(問)昨日のHIRAI Pitchの件で量子コンピュータの件でちょっと追加で伺いたいんですが、昨日お話しになった湊さんは、内閣府が進めるImPACTのプロジェクトの補佐もやっておられまして、内閣府では、ImPACTでQNNというマシンの開発をずっと進めていると思います。一方で、昨日のお話だと、汎用型とかそういったものも目指すというお話も多分あったかと思いますが、国として予算も限られている中で、片一方でQNNというマシンを開発しつつ、もう片方で汎用型というのも開発しつつとなると、じゃあ国としていろんなところに投資して、なかなか全部中途半端になってしまうんじゃないかなという見方もあると思うんです。そこら辺を、昨日の湊さんとのお話も踏まえてどういうふうにお考えになっているのかをちょっとお願いしたいんですが。
(答)結局、全く別ではないですね、この話は。ですからどちらも、例えば最終的なソフトウエアの部分の開発とかを考えると、非常に共通する部分もあるというか、お互いに役に立つ技術であると。
 今、湊さんに補佐をやっていただいている方は、どちらかというと割と近いタームで結果を出していくということでいいんだと思うんですが、汎用型の方は、とりあえずそういう人たちが集まれる環境をつくる、そういう段階だと思っています。汎用型の方は、この後どう化けるか分からないけれども、逆に言うと時間も掛かる分野なので、そういうところも全く何もしないわけにはいかないねというような感じです。
 ですから、今やっている結果が早く出る部分に関して言えば、それはそれで進めた上で、片や、人材を集められるような手立てをしていこうというような議論になりました。

(以上)