平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成30年11月6日

(平成30年11月6日(火) 10:10~10:24  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 皆さん、おはようございます。
 特に新しいことはないんですが、10月31日、第2回のHIRAI Pitchを開催させていただきました。真野さんという、(株)エブリセンスというベンチャー企業の代表取締役を招聘しまして、「データ流通社会と技術的、制度的環境の整備」をテーマに議論させていただきました。
 非常におもしろい話でありまして、この(株)エブリセンスという会社は、データの売り手と買い手の間に入る「データ取引所」ですね、もう既に稼働しています。この「データ取引所」というのは、自らはデータの売買は一切せずに、単なる仲介をするということで、いわば東証のようなものです。
 これは世界的にも非常に新しい試みであり、今、知らないところでデータというのは売買されています、間にブローカーが入って。そういうのじゃなくて、マーケットメカニズムによって、価格の相場観、例えば、こういうセンサーデータなら大体幾ら、また、それ以外の匿名化されたデータなら幾らというようなことが明らかになってくるということで、日本におけるデータの流通が円滑に進むことを期待しています。
 また、この「データ取引所」という、この新しいビジネスモデルは海外にないので、うまくいけば、日本がリーダーシップをとれると。要するに、公正なデータの取引というものを実現するために、これは是非成功していただきたいモデルということで、まだ大きくは注目されておりませんが、もう既に稼働していますので、是非、皆様方も関心を持って、見守っていただければと思います。
 最近、毎日のように、データに関するいろいろなニュースが報道されていますが、話はいかにデータというものをこれから扱っていくのかというようなことで、メガプラットフォーマーの規制、これはEUの話と、日本国内の公取に絡んだ話等々ありますが、ここでも、全てデータを今後適正にどのように流通させていくかということがやっぱり根底にある話です。そういう意味で、全ての話はつながっているというふうに御理解をいただければというふうに思います。
 次回のPitchは、量子コンピュータの話ですが、これも実は今、いろんな面で議論がされているAI等々とやっぱり密接不可分の関係のある領域ですので、これからのこういう新しい技術の進展というものは、社会の中における意味、それと現行の制度に当てはめてどうか、将来の不安は何かというようなことをやはり中心に議論をしていくことになろうと思います。
 Pitchの内容に関して言えば、概要は全て、できるだけオープンにするということで、資料もつけて出させていただきますので、また御覧いただければと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 最近、政府の政策文書に大学改革という文字が躍っているかと思うんですけれども、主務官庁としては文科省がやっていると。ただ、内閣府としても大学改革に取り組むということなんですけれども、文科省がある中で、内閣府として取り組む大学改革というのはどういうことを意味しているのか、どういう対象をやるのかについて教えてください。
(答)我々は、科学技術イノベーションの司令塔という観点から、基本的には内閣府ですから総合調整ということになります。
 今、大学改革においては、「統合イノベーション戦略」の中で、戦略的経営体制や外部資金を活用した経営基盤の形成に向けた「経営環境の改善」、そして、若手研究者が活躍できる年齢構成の実現に向けた「人材流動性の向上・若手の活躍機会創出」等が目標とされていますが、内閣府としては、大学を所管する文部科学省が行う改革について、科学技術イノベーションの司令塔の観点から総合調整を行うという話をさせていただきましたが、内閣府自らも、産業界との意見交換を通じて、大学の経営層の育成を目指す「大学改革支援産学官フォーラム」の創設、また、国立大学等における民間資金の獲得のためのインセンティブ付与の仕組みの導入ということで、現在、予算要求をさせていただいているところであります。
 これは、積極的に民間の資金を獲得した大学に対して、別途CSTIからまた支援もしたいということで、民間資金の獲得のインセンティブという分かりやすい政策だと考えています。
 先々週でしたっけ、徳島大学の方にも行きました。あそこも、交付金に頼らず、特許料収入や地場の、あそこは大手が2社ありますから、そことの連携で、非常に積極的な取組をやっています。  特に、産業院という考え方は、正に大学自らつくったマッチングのプラットフォームみたいなもので、あれは正に、これからの大学改革の一つのアイデアだなというふうに思っています。
 ですから、これから一斉に地方大学も含めて、いろいろなアイデアを持っているところは動き出すなというふうに思っていますので、そういう動きを支援したいと、そのように思っています。
(問)NHKの柳生です。
 先程、お話がありましたHIRAI Pitchでのデータの流通の新しいあり方という形でしたけど、海外にもなかなかないとおっしゃっていましたけど、そういう中で、今後日本がリードしていくために、政府として、こういった企業の後押しであるとか、今回のPitchを経て、何か今すぐというわけではないかもしれませんが、お考えがありましたら。
(答)データの中には、要するに、取引所が扱うデータの中には、実はタダ(=無料)のデータもあるんですね。それは地方自治体や国がオープンデータ戦略のもとで表に出すもの、このクオリティーなんかも上げていきたいと思います。要するに、使えるデータの形でオープンデータを進めていくというのは、官民データ活用推進基本法にのっとって、今、県と市が、自治体が取り組んでいるので、つまり、そういうパブリックのデータと民間のデータを組み合わせて、新しい価値が生めないだろうか、そういう議論を当然、今、進めているところです。
 これだけデータのことを、血液だとか、ガソリンだとか、みんなさんざん、これからの時代はデータ、データと言っているわけで、であるならば、やっぱりちゃんとしたデータを流通させる基盤をつくりたいというのが我々の基本的な考え方です。
(問)毎日の酒造です。
 海賊版サイトなんですけど、大臣、先週の会見ですかね、海賊版サイトは取り締まっていかなければならないとおっしゃったと思います。この取り締まるという言葉が、どういうニュアンスというか、どういうものを想定しておっしゃっているのか、ちょっとお願いします。
(答)今回、既に、今日の新聞でも出ていましたが、これは民民の話ではありますが、クラウドフレア、特定されましたよね、やってた方が。これは明らかに民事、刑事、両方で行ける話ですので、一定の効果があったというふうに思います。
 取り締まるという意味では、海賊版は、実はネットの世界だけではなくて、実はこういう、実際のCD-R、パッケージまでそっくりなものも実は随分売られているんですね、特に映画とか、そういうものに関して言えば。やっぱり、そういうものは、根絶する方向に行かないと、これから先、健全なデジタル社会というふうにはならないと思います。
 デジタルとアナログ、両方の面で、製作者の権利を守っていくというためには、海賊版というものはだめなんだということを明確にしていきたいというふうに思っています。
 あとは、通信事業者とコンテンツをつくっている方々が、日ごろからもっと密接に連絡をとれるような基盤ができたらいいなというふうに思っていて、これは法律とか、そういう問題以前に、そういう違法なことがあったという情報を共有できる場がまず必要だなと。そこから始まっていくんだろうなというふうに思っていて、国民も含めて、海賊版というものは、これは違法なもので、その違法なものを買うことはよくないんだと、そんなようなこともやっぱりもっとPRしていく必要があるというふうに考えている意味で、取り締まるというふうに言いました。
(問)どうしても、取り締まるというと、要は、法律に基づいて、刑事の対象にするというイメージが強いんですけど、必ずしも、そういう趣旨でおっしゃったというつもりではないということですか。
(答)それができれば、当然、物を押さえるというか、国内でサーバーを押さえていくということは、既に著作権法でやっているケースもあるんですよね。ただし、それはもう限界があるので、それ以外にできること、海賊版というものの流通をこのまま放置しておくのはよくないという意味で使わせていただいた言葉というふうに理解してください。
(問)(科学新聞 中村)先程のデータ流通の件なんですけども、例えば、次世代医療基盤法ができて、個人の医療情報の流通も始まるかと思うんですけども、そうした中で、そのデータ市場には、個人の医療情報とか、そういうものも含めて対象になるというか、流通されるということですか。
(答)あれはちょっと違うパターンで、要するに、データを扱うところが指定をされて、そこは売買をするという前提ではないことです。
 個人のデータに関して言えば、個人の同意のもとに、集めた方がそれを、要するに、流通する、第三者提供も本人の同意があった上でですよ、それは例えば、私のつけているこういうセンサーデータとか、そういうものも含めて、それを販売するということはあると思います。あちらの場合は、オプトアウトでやるけれども、そこの特定の認定された団体が研究開発とか医療の進歩のために使うということで、ちょっと違うと、そこには入らないというふうに思います。

(以上)