茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年8月28日

(平成30年8月28日(火) 10:36~10:52  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

  特になし

2.質疑応答

(問)大臣、ルワンダとケニアを訪問して第四次産業革命に関するヒアリングなどを行ってこられましたが、その成果について教えてください。
(答)先週、ルワンダ、そして、ケニアの方に出張してまいりました。ルワンダのキガリもケニアのナイロビも高度が1,500メートル以上あるので、赤道直下に近いのですけど、比較的涼しかった、こんなふうに感じました。アフリカ、こういった国においては、経済インフラが未整備な中で一足飛びに第四次産業革命の社会実装が進んでいる事例が出てきております。こういった事例を直接視察すると同時に、両国の担当閣僚との意見交換も行ってまいりました。
 ルワンダにおいてはドローン、ドローンといっても我々のイメージするヘリコプター型ではなくて、小さな飛行機みたいな形の無人のもの、重さで言うと、持ってみて10キロぐらいじゃないかなと思います。これを活用した血液の配送事業をZiplineという会社がやっているのですが、これが行われておりました。道路インフラが不足するなど、なかなか道路が地方までしっかりつながっていない。こういった中で、医療サービスの提供という社会課題の解決に貢献をしている様子、これを視察をいたしました。
 具体的には輸血に使う血液、これを遠くの病院まで運ぶということになるのですけれど、このドローンの発着の基地と、それから、中央の血液センター、更には地方の病院がそれぞれつながっておりまして、必要なA型であったりO型であったり、こういう血液をその指定された地域にドローンを使って送るという事業であります。ドローンがびゅっと飛び出す感じで、そして、GPSを使って、かなり近くの、本当に数メートルのところに最終的にはパラシュートの形で血液をおろすことができると。
 そして、そのドローンはまた基地の方まで戻ってきまして、どう着陸するのかなと思いましたら、ロープみたいなのがつるしてあるのですね。それで、風向きの方、どっちになるかによって風向きの方に向かってドローンが戻ってきまして、最終的には、飛行機の一番後ろの部分にフックが付いていまして、そのフックでロープに引っ掛かると。最終的にはカジキマグロが釣られたような状態になってドローンが着陸するという状態であります。  これは現地に行きまして、Ziplineの責任者、もともとボーイングにいた人間でありますけれど、話をしたのですが、なぜアフリカのルワンダでという話をしましたら、やはりこういった行政手続、当然この医療にも関わりますし、航空法なりにも関わってくる問題だと思うのですけど、こういった規制についての手続、これが非常にルワンダの場合は早かったということでありました。御案内のとおり、カガメ大統領が圧倒的な人気があったりとかリーダーシップを持って様々な改革を進めていると、こういう部分もあるんだと思っておりますけど、改めてそのデジタル技術導入に当たってのこういった人材育成であったり、規制の在り方、こういう重要性について感じたところであります。
 ケニアにおいては、なかなか個人の住所、これが特定できていない部分もあって、こういった住所制度が未整備な中で配送サービス、つまりこれまで個々の運転手さんが自分でトラックをやっていたと。これを一手にSendyという会社が引き受けまして、シェアリングで様々なロジスティクス、いろんな荷物の運搬をバイク、そして、ピックアップトラック、小型の自動車、大型のトラックと、こういうもので距離であったりとか時間によってきっちり料金も定めるような形でやっていると、こういうサービスが展開をされておりまして、かなり遅れていたロジスティクスが一気に進みつつあります。
 こういった事例であったりとか、銀行インフラ、これが未整備な中でのモバイルマネーによります決済・送金サービス、M-PESAは、Safaricomという会社がやっているわけでありますが、これはケニアで一番大きな通信会社です。これがモバイルマネーの決済・送金サービスをやっているのです。少し前までは、なかなかケニアの場合、銀行口座を持っている人が少ない、更には銀行の支店もそんなにないという中で、地方からナイロビに出稼ぎに来ている人が親元というか、そこに送金をするとき、それまでは高速バスを使って、高速バスに現金書留じゃないですけれど、封筒を渡すとか、それから、同じように出稼ぎに来ていて、たまたま実家に戻る人に現金を託す。こういうことをやっていたのが一気にモバイルマネーに進む、こういう世界でありまして、実際にモバイルマネーのセンターを見てきました。それから、代理店という、実際にモバイルマネーのデポジットができたり、引きおろしができるようなお店を見てきたのですけど、基本的には駄菓子屋です。パンとかコーラ、そして、昔あったのですけど、ミリンダという飲物があって、そういうのがざっと置いてあるようなテント型のお店でありますけど、そこでお金のデポジットができる。さらには、自分の携帯にお金が入っていれば、少額であれば引出しもできます。
 単なる製造であったりとか販売ではなくて、新たなデータビジネスの基盤となるプラットフォーム、これを提供している事例というものを輸送の世界でも、そして、モバイルマネーの世界でも見てきたところでありまして、考え方によっては日本のシステムより進んでいると、こういう部分もあるなと。率直にそういったことは見詰め直さなければいけないと思ったところであります。
 ムチェル情報通信技術長官とも会談をしまして、こういった新たな第四次産業革命を迎える時代での人材育成の重要性であったりとか社会システムの変革の重要性、こういった議論も行ってまいりました。
 今回の出張の成果も踏まえまして、今後の「産官協議会」であったりとか、各分野で今後フラッグシップ・プロジェクト、これを進めることになるわけでありますが、その検討など未来投資戦略の実施、その具体化に役立てていきたい、こんなふうに思っております。
(問)今の御出張のお話ですけれども、市場環境がまた日本とは違うのかもしれませんが、日本企業の進出先としての市場環境としては如何な感想をお持ちになったか。日本企業の前向きな進出していくという姿勢というのは十分なんでしょうか。
(答)例えばルワンダで言いますと、人口が千二、三百万人の国でありまして、per capita GDPで言いますと、700ドルぐらいということでありまして、なかなか日本の、例えば製造メーカーが一気に出ていくというのには、マーケット規模であったりとか所得水準から見ても今後ということになるのではないかなと思います。しかし、2年前と比べてみまして、今、日本から現地に進出している企業が、7社から20社に増えてきておりまして、3倍ということです。どちらかといいますと中小企業が多いわけでありますけど、こういったやっぱりアフリカの魅力というものに着目をしている企業というのも増えてきているのは間違いないなと思っております。
 ケニアの場合、今54社だと思います、出ている企業というのは。確かに人口規模でも5,000万近い国でありますから、ルワンダ以上にそういった企業も出てきているのだと思いますけれど、恐らく一つの国というよりも、例えば東アフリカ全体を捉えてどこに拠点を置くかとか、マーケットとしてどこまでの範囲で考えるか、こういったことは十分出てくるなと思っておりまして、いずれにしても、今後ポテンシャルが多い、大きな地域である、こういったことは感じております。
(問)お話し変わりまして恐縮なんですが、今、障害者雇用の水増しの問題が各省庁で議論をされているというか問題になっておりまして、一斉に各省庁に伺わせていただいているので、茂木大臣にもお伺いしたいんですけれども、御担当の範囲での今の現状の状況とそれに対する御所感がおありでしたら教えてください。
(答)民間に範を示すべき政府機関が全体として障害者雇用の責任を果たしてこなかったことは、誠に遺憾であると考えております。これを機に、これまで以上に障害者が生き生きと働きやすい職場環境をつくることができるように取り組んでいく必要がある、このように考えております。
(問)またちょっと話が戻って申しわけないんですけれども、ルワンダとケニアの出張で特に印象的だったところというのは何かあったりするのかなと。
(答)一言で言うと、要するに経済インフラ、社会インフラ、こういったものが未整備であるところがクォンタムジャンプをすると。正に黒電話がない世界、電話線が引かれていないところで急にスマホが普及する。こういう事象が間違いなく先程お話ししたルワンダのドローンによります血液の輸送と、これも中央の血液センターとドローンの発射をするセンターと、それから、各病院がつながっているという状態で、本当に分単位でいろんな情報が提供されて、正確にそういった配送ができるということでありまして、これは救急車で運ぶということが道路事情からなかなか難しい中で、圧倒的にこういったものが進むということでもありますし、また、モバイル・マネー、これを考えましても、ついこの間までは高速バスに現金書留のような封筒を入れて、それを自分の田舎に送金していたという世界から、モバイルでそれができるような世界になる。正にクォンタムジャンプが起こるということでありまして、それを起こしていくためには、システムの設計等々も重要でありますけど、規制の在り方とかそういったものも含めた検討が必要であり、また、そういった問題をいかにスピーディーに解決していくかということがビジネスを広げる大きな鍵にもつながっていくということを感じております。
(問)今の点につきまして1個だけ、コストの面では、ドローンを使ったものが運ぶということは、コストに関してはアフリカでそういうものがはやるというのは、今後どのようにお考えでしょうか。
(答)どこまでをコストと捉えるかということになると思いますけれど、道路を整備すると、もちろん道路はこの血液の輸送だけに使うものでありませんけれど、そういった社会インフラにかけるお金と比べたら、圧倒的にドローンでやった方が安いコストでできるなと、そんなふうに思っておりますし、このドローンにつきましても、かなりエンジン部分というか、バッテリー等々は精度が高い一方で、胴体の部分というのは発泡スチロールのようなものを使って、非常に軽いというか、簡易にできている形でありまして、ちょっと具体的な、なかなか一回一回の輸送というのをどうコストをするかというのは難しいわけでありますけれど、比較的コストパフォーマンスはいいなと感じたところであります。
 先程Sendyの話、これはロジスティクスを変えるビジネスの話をしたのですが、実際にSendyの本社に行きまして、一番簡易なバイクによります配送、自分で実際やらせてもらったのですけれど、Sendyの本社のところまで封筒を取りに来てもらって、それで宛先のところまで送ってもらうというサービスですけど、1回2ドルでした。

(以上)