茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年5月29日

(平成30年5月29日(火) 9:07~9:19  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.質疑応答

(問)今朝発表の有効求人倍率で、正社員の有効求人倍率、過去最高でした。雇用環境の改善は続いていますが、これをいかに消費に結びつけるか課題と思いますが、さきに予定しております消費増税時の対応も含めて大臣の御所見をお願いいたします。
(答)本日発表されました4月の雇用につきましては、有効求人倍率、これは1.59倍と1974年1月以来約44年ぶりの高水準でありますし、一方で、失業率の方は2.5%と、1993年の8月以来約25年ぶりの低水準となっております。
  消費につきましては、先日もお話し申し上げましたが、雇用・所得環境の改善が続く中で持ち直しが続いていると考えておりまして、直近の4月も自動車の販売であったり百貨店での販売、これが好調となるなど明るい動きが見られるわけであります。
  また、今年の春季労使交渉について、これまでの結果を見てみますと、多くの企業で5年連続となりますベースアップが行われ、ベースアップ、定期昇給にボーナスなども踏まえれば、3%以上の積極的な賃上げが行われております。
  昨日の経済財政諮問会議でも榊原経団連会長から、サンプルは限定的だが、経団連の幹部企業について調べたところ、76%の企業が年収ベースで3%以上の賃上げを行ったと。つまり4社に3社以上ということになるわけでありますが、こういった報告がありました。こうした賃上げの動きが今後の消費を押し上げることを期待をしたいと思っております。
  政府としては、「生産性革命」、そして、「人づくり革命」を推進して潜在成長率を高め、経済の好循環を更に確実なものとしていきたいと思っておりますし、また、消費性向の低下が見られます20代、30代、こういった子育て世代に大胆に政策資源を投入するなどの改革を更に強めていきたいと考えております。
  その上で昨日もお話を申し上げましたが、来年の10月には消費税の10%への引上げ、これが予定をされているわけでありまして、前回の引上げ時、大きな駆け込み需要があり、また、その後の反動減があったと。こういう経済の振れ、これを平準化をして景気の、経済の再生というのを確実なものにしていくためには、このための対策というのをしっかりとっていく必要がある。平準化対策等々も進めていかなければなりませんし、また、車、そして、住宅、こういった耐久消費財、これに駆け込み需要、反動減が出ないような対策というのも必要だと、そのように考えております。
  昨日も申し上げたように、臨時・特別の措置、これを2019年、そして、20年、この当初予算においてしっかり確保するということによって万全の対策を期し、それによって経済の再生、更には消費の拡大というものにもつなげていきたいと思っております。
(問)財政健全化計画の中間指標について質問させていただきます。昨日の諮問会議で21年度の債務残高対GDP比180%前半、財政収支3%以下との基準を民間議員が提案しましたけれども、1月の内閣府の試算では、成長が続けば自然に達成する数字で、多少ちょっと甘いのではないかという指摘もありますけれども、大臣の御所見、教えてください。
(答)昨日も申し上げましたが、中間指標については、昨日の経済財政諮問会議において民間議員のほうから三つの指標、一つは2021年度におけるPB赤字の対GDP比、これはフローでありまして、家計で言いますと、毎月どれだけ収入に対して支出があるかと、この毎月の収支が黒字になっているか赤字になっているかと、こういう概念でありますが、このフローを2017年度からの実質的な半減値1.5%程度にすべきと。 それからもう一つは、2021年度におけます債務残高の対GDP比、これはストックでありまして、言ってみると、家計全体で稼げる経済力に対して、住宅ローンも含め、様々なローンでどれだけ借金があるか、こういう概念でありますけど、これにつきましては現在189%と。ずっと上がってきていたものを反転をさせ、2021年には180%台前半にしていく。更には、このフローとストックをつないでいく概念、債務残高の対GDP比を安定的に引き下げていくためには、単にPBだけではなくて、利払い等も含めた数字でどうなっていくかということを見なければいけないわけでありまして、財政赤字の対GDP比、つまりこのフローとストックをつなぐもの、この着実な改善が必要でありまして、その観点から3%以下にすべき、こういう御提言を頂いたところであります。
  もちろんこれは昨日も強調させていただきましたが、飽くまでこれはメルクマールでありまして、改革の進捗を管理するリファレンスという性格のものであります。ただ、リファレンスではありますが、歳出改革をしていくということを考えたときに、これから3年間、この期間を財政再建を進める上での基盤強化期間、こういう形に位置づけておりまして、比較的この期間というのは高齢化の伸びが大きくない期間になっている、つまりベビーブーマーの直前の戦中戦後すぐぐらいの世代が75歳以上に入る時期でありまして、ある意味、今回目安を設定をしまして、その目安を基準にしながら毎年の削減というのは自ずから決まっていくと。
  同時に、それについてこれまでの価格を中心にした削減から、行動変容、こういう形で、言ってみると改革の質を高める、こういったことも進めておりますし、また、2021年といいますか、この数値に従いまして今後どうこの改革が進んでいくかと、こういったものも見ながら、昨日のペーパーにもあったと思いますが、2020年度にそれまでの社会保障改革を中心とした進捗状況をレビューし、骨太方針において給付と負担の在り方を含め、総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめ、早期に改革の具体化を進める。
  そして、2025年のPB黒字化実現に向けて、その後の歳出・歳入改革の取組に反映をしていく、こういった2段階で、最初の3年間をどうするか。それをしっかり達成をした上で、質・量含めて、その上で2022年以降は実際に団塊の世代が75歳を超え始める、そういう状況においてどういった歳入・歳出両面の改革が必要か、これをしっかりと立案、実行することによって2025年のPB黒字化というものを達成しようということでありまして、全体のPB黒字化も含めた財政健全化に向けて、どういう視点から見ていくかと。三つの視点から見ていくと。そして、それは単に経済成長だけではなくて、歳出についての取組もしっかり検討しながら進めていくということであります。
  そして、もう一つ、同じ経済成長率、この見通しに基づいて三つの指標、どう動いていくかと。そのメルクマールというのをつくっているわけでありまして、見てみますと、一つ、つまりPBについては高い成長率が本当に達成できるのかと、こういう観点から非常に厳しいと。残りの二つの指標については、同じ経済成長率なのですけれど、政府の経済見通しに基づけば十分達成が可能で、非常に甘々の数字ではないかと。これは多分、一般的に見て同じ数字を使ってやっているものでありますから、見方に一貫性がないと言われても、これは仕方ないのではないかなと、こんなふうに思うところでありますが、いずれにしても、達成すべき、これはその先にあります経済の再生、そして、PBの黒字化、債務残高の対GDPの安定的な引下げ、こういった日本の経済財政の将来像であると、このように思っております。
(問)先程も言及のありました19年度と20年度の景気の対策というか、消費増税を踏まえた、消費増税をにらんだ特別枠ですね。現時点でどれぐらいの規模が必要という。
(答)まだこれ、2019年、そして、2020年の当初予算に盛り込むという段階ですから、まだ5月です。この段階でどれだけのものということはなかなか具体的に申し上げられませんが、先程も申し上げたように、消費税の引上げに伴います駆け込み需要、そして、反動減、こういったものを平準化して経済がしっかり進んでいく、そういう姿をつくるのに十分な対策を打っていく必要があると、このように思っております。

(以上)