茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年3月27日

(平成30年3月27日(火) 9:43~9:54  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 先程の閣議におきまして、TPP11協定及び国内法改正案の国会提出について閣議決定がされました。
 これはTPP11協定の締結について国会承認を求めると共に、関連国内法をTPP協定の発効に合わせて施行するため、「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」について一部改正を行うものであります。なお、詳細につきましては後程事務方より説明いたします。
 日本が率先して動くことで、早期発効に向けた機運を高めていきたいと考えております。そのため、今国会において御審議の上、TPP協定が早期に承認され、国内法改正案が早期に成立するよう全力で取り組みたい、このように考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)米韓FTAの再交渉が大筋合意に至ったと発表が26日にありました。これを足掛かりにアメリカが日本へFTA締結交渉を求める圧力を高める可能性があるという指摘もあるのですけれども、大臣ご自身、米韓の大筋合意そのものであるとか、あと今後の日本のとるべき対応について御所見があればよろしくお願いいたします。
(答)KORUSに関する報道は承知いたしておりますけれど、他国の交渉状況についてコメントは差し控えたいと思っておりますが、専門家がどう見るかですね。いずれにせよ我が国としてはアジア太平洋地域におけるハイスタンダードな貿易・投資の枠組みの早期確立を図る観点から、TPP11の早期発効に全力を挙げたいと、こんなふうに考えております。
(問)先程もTPPの件、KORUSに踏まえておっしゃられていましたけれども、改めてTPP11の意義を教えていただきたいなということと、また、アメリカがTPP11にいつ復帰をするのかという時期が見通せないと思うのですが、そのことについて今後、大臣がどのように働きかけをしていくのかということと、あとまた、今回のTPP11の交渉でアメリカが離脱したのに乳製品の輸入枠ですとか牛肉のセーフガードですとか、見直しを行わなかったと思うのですが、そのことについて農業関係者から不満の声も出ているのですけれども、今後どう国会などで説明していかれるおつもりなのかというのを教えてください。
(答)世界において保護主義の懸念が高まる中で、このアジア太平洋地域に自由で公正なルールを広げるTPP11が合意に至ったことは自由貿易を推進する観点から極めて画期的な成果であると考えております。自由で公正な共通ルールに基づく自由貿易体制こそが世界経済の成長の源泉であると考えております。日本が21世紀型の新しいルールをリードすることの意味合いは非常に大きいと考えており、それが日本の成長戦略にもつながっていくと考えております。TPPに関連してなお残る農林漁業者の方々の不安や懸念にしっかりと向き合い、安心して再生産に取り組むことができるように十分な対策を講じていく所存であります。
 昨年11月に改訂をいたしました総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、産地イノベーションや成長産業に取り組む生産者が、その力を最大限発揮できるように農林水産業の体質強化策等、万全の対策を講じていきたいと考えております。
 アメリカにつきましては、これまでもお話ししているように、この1月以降、トランプ政権におきましてTPPに対する発言というのが続いているわけでありますが、これらがTPPの意義であったりとか、効果、これについて正しく評価するものであれば歓迎をしたいと思っております。我々としてはこういったTPP、ハイスタンダードかつバランスのとれた新しいルール、これを発効後は更に広げていきたいと考えているところでありまして、アメリカ、世界で最も経済もグローバル化をし、技術革新も進んでいる国であって、このTPPというものがアメリカの経済や雇用についてもプラスになると、こういったこともしっかりと訴えていきたいと思っております。
 その上で、このTPP11発効後にどうなっているかということにつきましては、第6条に明確に書いてあるわけでありまして、例えばこれがアメリカが復帰をしないことが明らかになった場合、また復帰をすることが明らかになった場合、その場合には見直しを行うことができるということが書いてあるわけでありまして、当然そこの中で乳製品の問題とか、しっかり、そういうタイミングといいますか、来た場合には対応するということで考えておりますので、そういう意味での懸念というのは払拭できるのではないかなと思っております。
(問)TPPについて、冒頭でも少し御発言をされていましたけれども、日本が早期に国内手続を終えることで、他の10か国の国内手続に対してどのような影響を期待されているかというのを改めて教えていただけますでしょうか。
(答)チリの署名式では、各国とも早期発効に向けた前向きな発言というのが相次いだわけでありまして、この勢いを失わないように日本が率先して早期承認に動くことで、他の10か国における早期発効に向けた機運を更に高めていきたい、このように考えております。我が国はTPP11の早期発効に向け、引き続き各国との連絡調整であったりとか、必要な事務局的機能などを含めて主導的な役割、これを今後も果たしていきたい、こんなふうに考えております。各国とも日本が先頭で国内手続を終えてくれる、こういったことを期待していると、そのように考えております。
(問)財務省の文書改ざん問題ですけれども、ただいまの時間、国会で佐川前国税庁長官の証人喚問が行われております。今日の証人喚問にどういうことを望むのか、いろいろ行政の信頼を揺るがすことになっておりまして、どういうことが解明されるべきだというふうにお考えでしょうか。
(答)今日の証人喚問、国民全体が注目をしていると思っております。喚問を通じて事実関係が解明される、このことを期待したいと思っております。
(問)通商に戻るのですけれども、アメリカが問題視している中国の知財の扱いですとか、鉄鋼、アルミの生産のことですけれども、中国から産業界に補助金を出すなどして過剰生産を後押ししている問題ですとかというのは従来から指摘されていると思います。米国はこれは二国間交渉で解決するという姿勢を打ち出していると思うのですが、日本としては米国に対して中国の問題を二国間ではなくてWTOも含めて多国間の枠組みで解決を図るように促していくというお考えなのでしょうか。
(答)世界貿易の諸課題につきまして、主要国が連携して対処することは重要だと考えております。その中で我が国はルールに基づく多角的貿易体制を重視しておりまして、各国の措置というものがWTO協定と整合的な運用となることを期待をいたしております。引き続き、知財については米中間での事態の進展を注視をしていくと共に、鉄鋼、アルミについては措置の内容であったりとか、日本企業への影響を十分に精査をした上で、対象からの除外を米国に働きかけをしていきたいと思っております。あくまで働きかけです。交渉ではありません。

(以上)