茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年3月16日

(平成30年3月16日(金) 17:35~17:41  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは、会議の概要を報告をいたします。
 景気の現状についての総括判断は、「緩やかに回復している」として、先月から据え置いております。
先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 政策の基本的態度については、特段の変更はありません。
 次に、今月のポイントとして、3点、私のほうから申し上げました。
 1点目、設備投資の動向です。設備投資は、製造業、非製造業ともに緩やかに増加しています。この背景には、幅広い業種において来年度の需要が今年度以上に伸びると見込んでいることが挙げられます。
 また、需要の増加に加えて、ファクトリー・オートメーションなどの動きを受けて、産業用ロボットや工作機械の受注残高も増加しております。
 2点目、企業収益についてです。企業収益も、製造業、非製造業ともに高水準で推移をしております。製造業では、半導体関連の需要が増加している電気機械、輸出が堅調な自動車などが増益基調にあり、非製造業では、インバウンド需要の増加等を受けた運輸・通信業、資源価格の上昇を受けた商社等の卸売業などが増益基調にあります。
 3点目、これは今朝の閣議後会見でもお話をしましたが、春季労使交渉の回答状況についてであります。今週、自動車、電機等の大手企業で回答が始まりました。これまでの結果をみますと、多くの企業で5年連続となるベースアップとなり、その水準も大半で昨年を上回っています。また、3%を上回る賃上げを行う企業、働き方改革を先取りしている企業もあります。今後、中小企業を含め、幅広い企業の回答結果が出てくることになります。その内容を注視していきたいと考えております。  私のほうからは以上です。


2.質疑応答

(問)今回、消費者物価の表現が変更になりまして、「このところ緩やかに上昇」と変わったのですけども、この上昇基調、ただ中身をみると、食料であるとか、円安の影響だとか、ちょっと需要増とはちょっと違う部分の部分もあると思うのですけれども、これについてどう評価されるかということと、これは改めてになるのですが、今後、需要拡大を伴う価格の上昇というのが、デフレ脱却が必要になってくると思うのです。そのためには何が必要か、その辺りについて。
(答)長期にわたる景気回復によりまして、雇用・所得環境が改善するなかで、デフレ脱却に向けた動きに進展が見られていると考えております。
 こうしたなか、今月の月例経済報告におきましては、足下における原材料価格の上昇や人件費の上昇等を背景に、食料品や外食、宿泊料や配送料などの幅広い品目で価格が上昇していることを踏まえ、消費者物価の基調判断を「このところ緩やかに上昇している」と、前月の「横ばい」から表現を変更いたしました。
 これは、上方とか下方にはならないのですね、消費者物価でありますから。基本的には、デフレ脱却に向けた動きが進んでいると考えておりますが、足下の物価上昇には、昨年の為替動向、円安だったわけですけれど、これによる影響もあります。これはどうしても物価の場合、遅行性があるために、今後の物価動向についてもよくみていきたいと、こんなふうに考えておりまして、いずれにしても、雇用・所得環境を改善するためのあらゆる手段をとっていくということが必要だと今後とも考えております。
(問)今の質問に関連しまして、デフレ脱却に向けた進展だとは思う一方で、特に野菜ですとか、燃料価格みたいに生活に身近なところでの消費の値上がり、CPIの総合の指数も上がっているように、何というんでしょう、生活実感として厳しいと思うようなところの値上がりも進んでいます。消費に与える影響ですとか、そういうところの物価の動き、どう見ていらっしゃるのか、お願いいたします。
(答)CPIの総合では、天候不順等によります御指摘のような生鮮野菜の価格の上昇であったり、先程申し上げた原油価格の上昇等によりましてエネルギー価格が上昇するなどによりまして、直近1月は前年比1.4%の上昇となりましたが、一時的な要因を除き、物価の基調を示しますコアコア、これは1月は前年比0.4%にとどまっているところでありまして、御質問のような生鮮野菜の価格上昇など、消費者の購入頻度が高い品目の価格上昇、よく買うわけですから、その分消費者マインドや消費行動に与える影響と、こういったものについてはよくみていきたいと考えております。
 いずれにしても、政府としてデフレ脱却を目指すなかで、経済成長とともに賃金や所得が増加をして、それが消費や投資を拡大していくと、こういう好循環をさらに加速していくことが重要だと考えております。
 その意味でも、今回の春季労使交渉におけます賃上げというのは極めて重要だと考えておりまして、今後、中小企業も含めた回答が出てくるわけでありますが、その結果、注視をしていきたい、こんなふうに思っているところであります。

(以上)