茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年12月15日

(平成29年12月15日(金) 10:41~10:55  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 特になし

2.質疑応答

(問)予算編成も大詰めを迎える時期となりました。税収などの見通しの前提となる経済見通しですね、成長率1.8%という報道もありますけれども、足元の経済情勢どう見ておられ、来年度どういうふうになっていくというふうにお考えか、よろしくお願いいたします。
(答)平成30年度の政府経済見通しについては、来週19日の閣議了解に向けて現在内閣府で正に作業中でありますので、現時点ではコメント控えさせていただきたいと思いますが、そうは言いましても、悲観的に受け止めていただく必要はないのではないかなとこんなふうに思っております。
 今後の我が国経済につきましては、先週の8日金曜日に閣議決定しました新しい経済政策パッケージなどの政策効果も相まって、雇用所得環境の改善が続き、経済の好循環が更に進展する、このように期待をいたしております。
(問)景気の話に関してもう一つ、今日、日銀短観、先ほど発表されましたけれども、大企業製造業で11年ぶり、リーマンショック前まで戻るという高水準。一方で、雇用のDIを見ると人手不足感もなお強まっているという状況かと思いますけれども、今、足元どう見てらっしゃるか改めてお聞かせください。
(答)企業の業況感、全規模、全産業で見てプラス15ポイントからプラス16ポイントと6期連続で改善をいたしました。業種別に見てみましても、製造業では海外景気の回復に伴います輸出や生産の持ち直しが続いていることを受けまして、生産用の機械、電気機械、化学、鉄鋼など幅広い業種において大企業、中小企業ともに改善をいたしております。
 非製造業では天候不順等の影響から、小売業、宿泊・飲食サービス業では悪化をしたものの、卸売業、運輸業などが改善し、大企業で横ばい、中小企業で改善をいたしております。
 こうした中、2017年度の設備投資計画、これを見てみますと、前年度比7.5%の増加となって、前回調査対比で上方修正をされたところであります。全体的に見て景気の緩やかな回復基調が続く中で、企業の景況感は改善しているわけでありますが、他方で資源価格の動向であったり、今お話のあった人手不足感の強まり、こういったものを背景として景況感の先行きにつきましては慎重な見方となっているところでありまして、政府としては「生産性革命」、そして「人づくり革命」、これを断行することによって景気回復の実感というものをより確かなものとして日本経済の持続的な成長につなげていきたいと、このように考えています。
(問)昨日、与党の税制改正大綱がまとまりまして、賃上げとか設備投資を促す是正措置が盛り込まれたのですが、改めてになるのですけれども、これに対する受け止めと、あとデフレ脱却に向けたインパクトというのはどういうふうにお考えになるか、よろしくお願いいたします。
(答)非常にいい形でまとめていただいたと、そのように今思っておりまして、この平成30年度の与党税制改正大綱、我々が「生産性革命」を断行して、デフレ脱却、経済の再生を実現していくための様々な税制上の措置が盛り込まれ、それが決定されたと思っております。
 賃上げを行っていく、更に進めていく。そしてまた、企業の設備投資を促していくと。こういう観点から3%以上の賃上げなどを行う企業が25%まで、更にIoTなど革新的な技術に投資をする企業は20%まで法人税の負担を引き下げるという内容でありまして、日本は数年前まで法人実効税率30%台でしたから、それと比べてみてもこういった攻めの経営、攻めの投資を行おうとしている企業に対して明確なメッセージになっていると思っております。
 今、アメリカでもちょうど税制改正について上下院の案がまとまったという形でありますが、そのアメリカの新しい案と比べても遜色ない、それ以上のものになっていると考えております。
 また、中小企業につきましても、新規設備投資について自治体の自主性に配慮しつつ、3年間固定資産税ゼロとなる画期的な制度を創設することにいたしましたし、これから中小企業において経営者がかなり高齢になってくると、世代交代が進む、そういった中で事業承継の問題が極めて深刻になってくるという中で、事業承継税制を抜本的に使いやすくした、こういった税制措置が決定をされたところでありまして、これらの環境整備と、それをベースにして我が国の設備投資、2020年度までに10%増加、そして来年度から3%以上の賃上げと、こういった目標をしっかりと実現していきたいと思っております。
(問)もう一点、税制大綱についてですけれども、先ほど企業について言及ありましたけれども、一方個人では給与所得控除ですとか基礎控除、公的年金の控除など見直しありまして、比較的高所得の方に対して増税になったのではという見方もありますが、格差の解消とかといったテーマから見たときには今回どのような評価されているでしょうか。
(答)これから人生100年時代に向けて、人づくり革命、さらに働き方改革を進めていくという中で、人生の再設計をしたり多様な働き方と、こういったものが可能になるような環境整備をしていくという形から考えたときに、様々な形態で働く人に対応して給与所得控除、それから公的年金控除、これから基礎控除へのシフト、さらには、高所得者に係る給与所得控除の引下げなどを進めたわけでありますが、これは格差是正の観点からは子育て世代、介護世帯に十分配慮しながら、比較的家計に余裕のある方に負担をお願いする一方で、所得の低いフリーランスなどの方々の負担の軽減をするものになっているということでありまして、これは数年来議論をしていた中で、やはりどんな働き方をしてもそれに対してできるだけ税というのがニュートラルであるべきだと。また、税によってこの格差の是正も行っていく、こういう基本的な方向に沿ったものになっていると考えています。
(問)米国の利上げについて御所見を伺いたいのですが、予想通りの利上げということで、市場では若干円高進んでおりますが、その辺の受け止めをお願いします。
 あと、欧米、あとカナダ中銀など世界的に先進国が金融緩和から出口方向の志向を鮮明にしていますが、日本としてはデフレ脱却のために当面ほかの国とは歩調を合わせずということが望ましいのか、中期的にはやはり国際連携ということも必要なのか、御所見をお願いいたします。
(答)FRB、13日の連邦公開市場委員会で今年3回目となる利上げ決定をしたわけでありまして、その理由として、イエレン議長はアメリカの景気拡大や堅調な労働市場など実体経済が改善をしていて、今後も改善が見込まれること、またそれに伴って物価上昇率も高まっていくと見込まれること、こういったことを指摘していたと思います。
 我々も月例経済報告においてアメリカ経済、これは雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の増加等に支えられて景気は着実な回復が続いており、今後も回復が続くと見られているところでありまして、こういったアメリカの金融政策については、世界の金融資本市場等を通じて日本経済にも影響を及ぼすと考えられることから、引き続き注視をしてまいりたいと考えております。
 大きなトレンドというのは私はあると思っております。そういった大きなトレンドの中でアメリカが今どういう立場というかどういうプロセスにあるか、またカナダ、そしてヨーロッパの諸国がどういうプロセスにあるか、さらには、日本がどういう段階にあるかというのはそれぞれ違っている。それぞれの当局におきまして、その国の経済の実態であったりとか状況を踏まえた適切な金融政策をとっていくことが望ましいのだと思っています。
(問)税制改正大綱の話に戻ります。先ほども生産性革命のお話ありましたけれども、法人税の減免措置ですね、これ賃上げのハードルが高かったりとか制度が複雑だったりとかいう側面もあって、どれだけの企業が実際に使えるのかというのは未知数だというような批判もあります。 また、今回所得が高めの会社員の方だとか森林環境税だとか新税も設けられたことで、個人の税負担というのが高まってしまっているわけですけれども、それが消費に与える、消費を冷え込ませるのではないかという懸念もあります。今後どう経済の好循環にこの税制改正大綱を踏まえて好循環につなげていくのかというのを改めて教えてください。
(答)今回の法人税制度の措置、極めてシンプルだと思います。適用要件3%以上、そして減価償却費の9割以上ということで、どの企業が適用されるかというのは一目瞭然で、各企業少なくとも自分のところの財政状況というかやってきたこと、やること見れば明らかになるわけですから、決して複雑な制度にはなっていないと、そのように思っております。  さらには、事業承継税制についても、これまで確かに、例えば雇用の条件があったりとか、さらには3分の2しか適用されない減免措置と言いますか猶予措置、これを全面に広げたり、徹底的に使いやすくなっていると、こんなふうに思っております。  さらには、消費に対する影響ということを考えますと、比較的消費性向が低い、また低下している、こういう若い子育て世代には十分配慮した制度になっていると、このように考えております。

3.資産公開に関する質疑応答

(問)今日午後に各閣僚の資産公開が、資産が公開されるのですが、大臣御自身の資産について御評価を。
(答)特段ほかの人と比べるものでもないと思いますし、特にコメントはありませんけれど、この制度自体が政治家であって国務大臣等の公職にある者として政治と行政の国民の信頼を確保することを目的にしていると考えておりますので、その目的に沿って適切に対応したいと、こう思っています。

(以上)