茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年9月26日

(平成29年9月26日(火) 11:17~11:34  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。私の方からは冒頭発言はありませんので、御質問等ありましたらお願いいたします。

2.質疑応答

(問)昨日、総理が解散を表明されまして、今後選挙戦になっていくと思うのですけど、その中でアベノミクスの成果というのは当然一つの争点になると思います。足元では6四半期連続のプラス成長等々景気回復は続いているようで、やはり賃金などの面から見ると、景気回復の実感に乏しいというような指摘もあるかと思います。大臣として、このいわゆるアベノミクスの成果というのを有権者にどのように訴えていきたいとお考えでしょうか。
(答)日本経済、4年半にわたりますアベノミクスの推進によりまして、名目GDPは543兆円、企業収益75兆円と過去最高水準を記録をいたしております。株価の方も、我々が政権復帰する前8,000円台だったのが今2万円をうかがう、こういった勢いであります。
 また、より生活に密着した雇用・所得の分野、直近の有効求人倍率は1.52倍と、1970年代前半以来の高い水準でありまして、賃金につきましても、中小企業を含め2%程度の高い賃上げが4年連続で実現するなど雇用・所得環境は改善をし、経済の好循環が実現しつつあると、このように考えております。
 その上で、現在需給ギャップが縮小する中で日本経済の最大の課題は、サプライサイドの改革によります潜在成長率の引上げであると考えております。景気回復の実感をより確かなものにし日本経済の再生を図るため、人材の質を高める「人づくり革命」と、成長戦略の核を担う「生産性革命」に最重点で取り組み、この2本の柱の施策を具体化するため、年内に新しい政策パッケージを策定するように、昨日、私に対して総理から指示もあったところでありまして、早急に政策の検討に入り、しっかりした政策パッケージを作り具体化し、それが日本経済の再生につながるように持っていきたい、このように考えております。
(問)昨日、経済同友会の小林代表幹事が、消費税収の使途変更につきまして、2020年度のPB黒字化が達成できなくなったということで、10%を超える新たな消費税率でありますとか工程表を示すべきだというコメントを出しましたけれども、その必要性について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)まず、10%の部分までとそれ以上の部分に整理をして話をさせていただいた方がいいのではないかと思っておりますが、年末に向けて徹底的な重点化、効率化など歳出削減について経済財政諮問会議で分野ごとに検討を行って、歳出削減について最大限の努力を図っていきたい。その上で、プライマリーバランス黒字化の目標のあり方については、同会議におけます来年の中間評価でしっかりと検証し、来年の骨太方針、6月ごろになると思いますが、この骨太方針において方針を閣議決定したいと、このように考えております。
 消費税の増税分10%までですね、8%から10%についてでありますが、その使途の見直しを行うとすれば、プライマリーバランス黒字化目標達成時期に影響が出得る。そして、2020年の達成は困難になるわけでありますが、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持し、歳出歳入両面から改革を続けていきたいと思っております。
 まず、そういった意味で、どこまで視野に入れるかということはあるわけでありますが、来年の中間評価でしっかりと検証していきたい。10%以上のことを視野に入れているという段階では今ないと、このように考えております。
(問)TPPのことでお伺いします。22日に閉幕したTPP東京会合の成果について、大臣の受け止めを教えてください。また、ニュージーランドの総選挙で与党は辛勝しましたが、TPPに反対するニュージーランド・ファーストとの連立となれば議論が後退する可能性もあります。次回会合ではこうした課題にどう対処し、11月のダナンではどのような結果を出したいと考えているのか教えてください。
(答)まず、ニュージーランドのあの総選挙の結果でありますが、これは他国の国内事情であるため、これまでもそうでありましたが、コメントは差し控えたい、こんなふうに考えております。
 その上で、今次の東京会合におきましては、先月のシドニー高級事務レベル会合に引き続き、5月のハノイ閣僚会合や7月の箱根会合を踏まえた具体的な議論を相当進展させることができた、このように考えております。
 具体的には、首席交渉官クラスの全体会合のほか、リーガルワーキンググループ、知的財産ワーキンググループ、その他事項ワーキンググループが行われ、新しい協定案の枠組みについての議論がほぼ収れんすると共に、凍結項目について各国間で共通理解が深まったと考えております。
 我が国は議長国として、TPPのハイスタンダードを維持しつつ早期発効を実現するとの観点から、全体会合及び三つのワーキンググループで議論を主導してまいりました。
 金曜日の夕刻、首席交渉官会合が終わった後、夕食を各国の首席交渉官と一緒にさせていただきましたが、それぞれの交渉官から、非常にいい議論が進んだ、そして、今後に向けてしっかりイレブンが結束をして成果を出していきたい、こういうお話でありまして、この勢いでより一層スピード感を持って議論を継続するため、次回会合を10月に再度日本で開催することになったわけであります。11月のAPEC首脳会議までに残された期間短くなってきておりまして、いい結果が出せるように、次回も議長国として引き続き今後の議論を主導していきたい、こんなふうに考えております。
(問)先週末、福田副大臣、自民党をお辞めになられて新党に移られましたが、御所見とその影響について、お話しできる範囲でお願いいたします。
(答)議員御本人の判断だと思いますが、8月に内閣府の副大臣を引き受けられて仕事をやり始めた矢先でありまして、非常に残念だと、このように思っております。
(問)昨日、小池百合子氏が新党を立ち上げられて、衆院選の公約に消費増税の凍結というものを掲げるというふうにされていますけれども、これについて大臣の受け止めをお願いします。
(答)急速に少子・高齢化が進む中で、我が国の社会保障制度を全世代型へと転換をしていく。2兆円規模の新しい経済政策パッケージを実施することで、この大改革をなし遂げていく。そして、そのつけを未来に回すようなことがあってはならない、こんなふうに考えております。
 景気回復の実感、これをより確かなものにする経済政策、これが必要でありまして、その柱となる人づくり革命を力強く進めていくためには、その安定財源として、2019年10月に予定されている消費税率10%への引上げによる財源を活用しなければならないと考えております。もちろん我々としても様々な効率化努力、こういったものは今後とも続けてまいります。
 社会保障費につきましても、自然増六千数百億を5,000億に抑制する、こういった取組もこれまで続けてまいりましたが、きちんとやはり安定的な財源を確保する、大きな財源を確保する、これによって大きな政策を進める、このことが必要であると思っております。
 消費税の使い道を、子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当する道を追及してきたいと考えているところであります。
 景気の実感とも関連をしますけれど、増税分を借金の返済ばかりではなくて少子化対策などの政策経費、家計にもメリットのある支援策により多く回すことで景気への悪影響、前回5%から8%に出たときは駆け込み需要、そして反動減、こういったものが出たわけでありますけど、こういった悪影響を軽減できる、このように考えております。
(問)消費税の使い道のところで少し細かいところなのですけれども、今も大臣、消費税の安定化分ですね、借金の返済に使っているというふうに今おっしゃって、総理もそういうふうにおっしゃって。
(答)消費税ではなく、社会保障の安定化分ね。
(問)はい、そうですね。消費増税でできた財源のうち安定化と言われているところについて、借金の返済に使っているというふうにおっしゃって、総理もそういうふうに御説明をされているんですけれども、すみません、これまでのところで言いますと、消費増税でできた財源というのは、これまで借金で賄っていた分の穴埋めとして使われていて、返済というところまでには至っていないのではないかと思うのですけれども、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)例えば国としての債務というものがあるわけでありまして、毎年国債を発行すれば債務というのは増えるというわけでありますけど、少なくともその年次までの債務というのは出るわけでありまして、その返済、更には借金の穴埋め、多分その概念からしたら同じ趣旨になってくると思っております。
(問)同じ趣旨である、そこに差はないということになるのですかね。返済というと、ある意味では、これまでの借金に対する返済というふうにイメージするかと思うのですけれども、そのようにお考えでしょうか。
(答)国の財政の仕組みとして、国債を発行いたします。そうなりますと償還期限というのが来るわけですから、償還期限には返済をする、こういう国債を発行して償還をするという歳入を得るためのプロセス、これがあるわけでありまして、一方で、例えば税収が上がる、これをどう使うかという意味で、それが最終的には返済がやりやすくなるという状況にもつながるわけですから、結果的にはその返済、穴埋め、この言葉に違いはなくなってくると。
(問)昨日、消費税の使途について御説明があったわけですけれども、一方で法人実効税率のあり方については、選挙戦を通じて政権与党としてどのように訴えていかれるか御所見をお聞かせください。
(答)今回、「人づくり革命」、そして「生産性革命」、こういったものを進めていく。特に「生産性革命」に関連しましては、より力強い賃金のアップ、そして設備投資を始めとした投資、こちらの方に企業収益等々が向かうような環境整備をしていく、そのための大胆な対応といったものをしていきたいと思っております。当然その税と、こういったことも視野に入ってくると思っておりますが、正にその部分はこれからの議論であると、このように考えております。
(問)ちょっと昨日の質問ともかぶるかもしれないのですけども、政策パッケージの予算措置の件ですけれども、これは早ければ一部も30年度予算から手当をしていって実行していくというようなことで捉えていいのかということと、まだ増税がされていない分のつなぎの財源は交付国債みたいなものか、特会から何か持って来られるものもあるのか、その辺のイメージというのはどういうふうに考えていますか。
(答)現段階でこれらの施策を大胆に進めていくために2兆円規模の財源を確保する必要がある。その財源の捻出の主要な方法として消費税の増収分、この振り分けを変更する。こういったことまでは総理が明確な方針としておっしゃったところであります。その上で、そういった財源を念頭にしながら具体的に、今後例えば3歳から5歳児については幼児教育、保育の完全無償化、これを図っていく。ゼロ歳児から2歳児については低所得層についてそのような対応をとっていく。例えばそういうことにつきましても、では所得制限をどうするのかとか、具体的に、これはかなり多くの国民に関わる問題でありますから、スタートの時期をできるだけ早くしたいと思っておりますけれど、準備の都合等々も当然伴うものでありますから、しっかりどうスタートしていくかということも含めて検討し、それに伴ってどう財源を確保していくか、こういう問題も出てくると思いますので、また詳細な財源というよりも、これから正に政策の具体的な詰めを行っていくのと同時にそういった財源の問題も検討していくと、こういったことになると思います。

(以上)