茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年9月22日

(平成29年9月22日(金) 10:28~10:39  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 9月18日から21日、昨日までにかけて、米国のサンフランシスコに出張しまして、一つは、人材の質を高める「人づくり革命」、そしてもう一つ、成長戦略の核となる「生産性・供給システム革命」に関連して、先進事例に直接触れながら、関係者との意見交換を行ってまいりました。
 人づくり革命につきましては、本年9月11日に行われました第1回人生100年時代構想会議において、有識者議員から大学改革の必要性について多くの指摘があり、また、安倍総理からは、「学問追求と実践的教育のバランスに留意しつつ、実践的な職業教育の拡充を図る必要がある」との御発言がありました。
 視察先のカリフォルニアでは、「コミュニティ・カレッジ」、「カリフォルニア州立大学」、「カリフォルニア大学」という三層構造の高等教育システムを構築し、それぞれの役割分担を明確にすることによって、地域のニーズに応じた実践的な職業教育から、世界でしのぎを削る最先端の研究まで、幅広いニーズに的確に応えており、我が国の大学改革を進める上で参考になるものと考えられます。今回はその中で、実務教育を担いますコミュニティカレッジの一つでありますサンフランシスコ・シティカレッジと、ちょうど真ん中に位置付けられますサンノゼ州立大学を訪問して、意見交換を行いました。
 今回の二つの大学の訪問を通じ、実践的な職業教育を充実し、地域の産業構造の変化に応じた教育プログラムを編成・実施するためには、大学の経営や教員に、産業界などの実務経験者も加わり、外部の知恵や経験を生かす必要がある、このように認識をいたしました。
 もう一つ、成長戦略の核となります「生産性・供給システム革命」に関しては、シリコンバレーで人工知能やIoT、ビッグデータなどの新たな技術革新が、実際の「暮らし」にどのように生かされているか、実際の体験をしながら意見交換も行いました。どんどん新しいサービス、製品も日々出ているところでありますが、今回のシリコンバレーの視察を通じて、三つの点を強く感じました。
 第一に、イノベーションは単に新しい製品・サービスの開発ではなく、ライフスタイルの変化を伴いながら、暮らしや社会に浸透していくものと実感をいたしました。
 第二に、革新的な技術やアイデアを形にしていくためには、失敗を許容し、リスクをとることができる社会を実現していくことが必要と実感をいたしました。チャレンジを後押しする 規制改革等によりまして、技術革新の社会実装というものを加速していきたいと考えております。
 そして、第三に、大企業とベンチャーの連携など、組織の壁を越えた多様な主体によるオープンイノベーションが重要と再認識をいたしました。企業が自らの事業を大胆に変革していく、こういった動きを、これから日本としても、しっかりと後押しをしていきたいと考えているところであります。
 私から以上です。

2.質疑応答

(問)今日の夕方まで、TPPの東京会合が行われていると思うのですけれども、現時点での交渉状況をどのように聞かれているかということと、今回の会合での期待される点を改めてお願いします。
(答)昨日から首席交渉官クラスの全体会合、そして、専門家によりますワーキンググループが行われておりまして、凍結項目について、各国の要望や、それぞれについての支持の有無等の整理を行っていると、こういう段階であると承知をいたしております。
 本日の会議終了後に、首席交渉官の方から報告を受けることにしておりますが、我が国で開催される首席交渉官会合、今回の会合が11月のAPEC首脳会議で、TPPのハイスタンダードを維持しつつ、いい成果を実現するための大きなステップになることを期待をいたしております。
(問)解散総選挙が行われるのではないかという情勢になっております。その中で、人づくり革命の中で議論することになっている幼児教育・保育の無償化の財源に、消費税の使途を変更し、1兆円ほどを使うというような検討が始まっているというような報道もあります。事実関係として、担当大臣としてどうお考えか、また、使途を変更した場合には、財政健全化目標に影響が及ぶこととなると思いますが、PB黒字化目標を先送りするということになるのか、現時点でのお考えをお願いいたします。
(答)消費税の増収分の使途の変更については、あくまで報道ベースの話でありまして、コメントは差し控えたい、このように考えております。
 2020年度にプライマリーバランス、黒字化を実現していくという、財政健全化目標、堅持をいたしております。年末に向けて徹底的な重点化・効率化などの歳出削減に取り組み、最大限の努力を図っていく、この方針に変わりはありません。
 その上で、これまでもお話ししているとおり、目標の在り方については、来年の中間評価でしっかりと検証したいと、このように考えております。
(問)昨日の日本時間朝、アメリカのFOMCで米国の金融政策、バランスシートの縮小に踏み切りまして、危機モードからの脱却ということで為替市場、円安が進んでおりますけれども、御所見を頂ければと思います。
 一転して今日、北朝鮮の水爆実験報道で、日経平均が急落したりしておりますが、北朝鮮情勢、緊迫の度合いを高める中で、解散総選挙如何かという声が、金融市場の方でも出ておりますが、御所見をお願いします。
(答)19日、20日に開催をされましたFOMCでは、現行の政策金利を据え置くこと及び保有資産圧縮のためのバランスシート正常化プログラムの開始時期を今年10月にすることを決定したと、このように承知をいたしております。アメリカの実体経済、そして、こういった政策運営の動向というのは、貿易投資関係や金融資本市場を通じて、世界経済にも影響を及ぼすと考えられることから、引き続き注視をしてまいりたいと考えております。
 北朝鮮情勢、緊迫が続く中でありまして、それが我が国の経済であったりとか、市場にどういった影響をもたらすのか、これは今後も注視をしてまいりたいと考えております。
 解散につきましては、正に総理の専権事項でありまして、米国からの帰国後に判断をされるということでありますので、私の方からは、それ以上のコメントは差し控えたいと思います。
(問)今回の外遊の件ですけれども、いろいろ、先ほど成果をおっしゃっていただいたのですけれども、今後の、例えば次回の未来投資会議なり、人生100年の会議なり、実際にこれが生かせる成果、議論していく成果とか、あるいは中間報告なり、来年の基本構想なり、盛り込んでいく成果、特に注目されてここはいいと思われた点というのは、どういうところになりますでしょうか。
(答)多々収穫があったと思っておりますが、まず、人づくり革命に関しては、教育機関内でどういった役割分担をしていくか、こういった議論は必要でありまして、必ずしもカリフォルニアの三層構造、これがベストである、こう申し上げるつもりはありませんが、何らかのやはり役割分担、そういったものが高等教育機関の中であるべきであると。さらにはやはり、これから日本も少子高齢化が進む、そして、人生100年時代を迎える中で、学問の追求、そして世界的な研究、極めて重要でありますが、同時に実践的な教育、こういったものを充実していく必要があると、このように考えております。
 それから、もう一つ、生産性革命、これに関しましては、やはり第四次産業革命のイノベーション、これは例えばAlexa(アレクサ)を見てもそうでありますし、さらには、テスラの自動走行の車を見てもそうでありますけれども、いかにそれが日々の生活、こういった中に定着をして、そして、ライフスタイルとして、そういったものが変革をもたらすということが、極めて重要なんだろうと考えております。
 例えば、Alexaで言いますと、実際にAlexaを使っている人に話を聞いたわけなのですが、もともとルームシェアをしておりまして、そのシェアをしている友人がAlexaを持っていたと。そのAlexaをたまたま共有する形で使って、その友人が引っ越すことになって、ひとりで暮らすようになったと。Alexaは持って行ってしまったと、その人が。1週間、2週間して、やはりAlexaなしでは生活できないということで、自分で購入したと、このような話も聞きまして、そういうふうに、生活の一部になっていくということが極めて重要なのではないかなと、こんなふうに考えております。

(以上)