茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年8月28日

(平成29年8月28日(月) 15:14~15:26  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは、「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要について御報告申し上げます。
 まず、景気の現状についての総括判断でありますが、「緩やかな回復基調が続いている」として、先月から据え置いております。
 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されます。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
政策の基本的態度についてでありますが、先月の記述に加え、「新たに人生100年時代を見据えた経済社会の在り方を構想するため、『人生100年時代構想会議』を早急に立ち上げ、人づくり革命を推進する」ことを書き加えました。
 また、今月のポイントとして、私から会議で2点申し上げました。
 1点目は、GDPの成長率であります。既に公表しましたとおり、2017年4-6月期のGDP1次速報では、実質成長率は6四半期連続のプラスとなり、前期比1.0%、年率に換算をしますと4.0%となりました。これは2015年1-3月期以来の高い伸びであります。そして、民需の大半を占める個人消費や設備投資が堅調に増加し、内需主導の経済成長となっております。
 2点目は雇用の状況です。有効求人倍率は1.51倍と、1974年2月以来、実に43年ぶりの高水準となっています。また、正社員の有効求人倍率は、本年6月に2004年11月の統計開始以来、初めて1倍を超えました。また、職種別にみますと、介護・IT関係等では、求人のほうが多く、一方、一般事務等では、求職のほうが多くなっており、雇用のミスマッチ解消が課題であります。
 以上のような報告を申し上げました。
 私のほうからの説明は以上です。

2.質疑応答

(問)8月の基調判断も緩やかな回復基調が続いているということで、2012年12月から続く現在の景気拡大は、月例ベースでみると、57か月となった可能性もあり、いざなぎ景気に並ぶという見方もできるのではないかと思いますが、大臣としては、現在の景気拡大局面というのは、どのようにお考えでありますでしょうか。
(答)いざなぎ景気、戦後2番目の長さ、57か月と、こういうことになると思うのですが、諸外国でも景気の山谷の判断、これは半年から1年くらいのデータの蓄積を待った上で専門家の審議によって行われておりまして、我が国の場合も、その事後的検証の必要がまずあると考えております。
 足下の景気動向を判断する月例経済報告、今申し上げましたが、今月も景気は緩やかな回復基調が続いていると判断しているところでありまして、事後的検証を待つ必要はありますが、戦後2位のいざなぎ景気と並ぶ景気回復の長さとなった可能性が高いと考えられると思っております。
(問)今回の月例経済報告では、個別でみますと、公共投資が上方修正ということになりました。GDPでも、昨年の補正の効果が出てきたということですけれども、大臣として、昨年の秋の補正が、4-6月頃からきいてくるというタイムラグについてどうお考えかということと、あと、東京オリンピックまで3年となりまして、建設業での人手不足も言われております。その人手不足への影響、公共事業への影響というのは、どのようにお考えでしょうか。
(答)現状におきまして、既に報告したとおり、個人消費、そして設備投資が堅調である。同時に公共投資につきましても、補正予算の効果もあって、公共事業関連の指標が改善していることを踏まえて、堅調に推移していると、今月は先月から判断を上方修正したところであります。公共投資の先行きにつきましては、当面堅調に推移していくことが見込まれますが、十分、注視をしていきたい。
 そして、雇用の情勢でも申し上げましたが、有効求人倍率が1.51倍、そういったなかで、幾つかの業種において人手不足感があるという現状は認識をいたしております。それをどう解消していくか。こういったことについても、今後、未来投資戦略の中で、いかにそういった業種での生産性を上げていくかとか、例えば運輸の分野、こういったところでみてみますと、ドライバーの不足の問題がある。恐らく一つには、やはり働き方改革と、こういったものを進める中で、いわゆる荷主さんにも協力をしてもらいながら、より効率的な仕事ができるような体制もつくっていかなければいけない。
 一方で、自動走行の車、こういったものが出てまいりますと、最初の1台目のトラックには実際に運転手、ドライバーが乗っていますけれども、2台目、3台目のトラックにはドライバーがいないと、こういう隊列走行と、こういったものも可能になってくるわけでありまして、そういった仕組みの見直し、同時に技術革新をそういう分野に取り入れていくと、こういったことも、しっかりと今後検討そして実施をしていきたいと思っております。
(問)物価についてお聞きをしたいのですけれども、消費者物価、今回横ばいとなっているという判断になっていますけれども、この資料中でも欄外にありますが、先週、消費者物価、7月分も出ています。それを踏まえた上で現場ではいろいろな、小売の現場では様々な動きが出ていますけれども、今後の物価の見通しをどうお考えか教えてください。
(答)7月の消費者物価指数につきましては、物価の基調を示しますコアコア、生鮮食品及びエネルギーを除く総合でみますと前年比0.1%、前月比0.0%となっておりまして、基調として横ばい圏内で推移していると認識をいたしております。デフレ脱却に向けた取組、これまでも進めてまいりましたが、今後そういったデフレ脱却に向けた改善、これが更に進むような対策を考えていきたいと思っております。
(問)先程、消費が堅調に推移しているとのことなのですが、8月の天候不順によって一部の生鮮食品が高騰しており、8月の消費を押し下げるとの指摘もあります。さらに、これが一過性にとどまらない場合は、消費性向に悪影響を与えるという指摘もございますが、大臣はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。よろしくお願いいたします。
(答)天候の影響、これは注視をしていきたいと思っておりますが、この夏の天候について申し上げますと、7月は局地的な大雨に見舞われたものの気温は昨年より高かったわけでありますが、8月になりますと、東日本を中心に雨の日が多く気温も低かったために、エアコンなどの季節商材では、7月は売上が増加をして8月は減少になったとみられる等の影響があったものと思っておりまして、こういった全体の天候の影響、さらにそれが個々の商品であったりとか、それにどのような影響をもたらしているか、こういったことも今後しっかり検証したり、また、今後についても注視をしていきたいと、こんなふうに思っております。
(問)物価の関連で一つ伺いたいのですけれども、携帯電話の料金について安倍政権としては、高過ぎるのは問題じゃないかという発信をされていると思うのですが、結構CPIには下押しにきいているのですけれども、この辺はどういうふうに評価されているか、お願いします。
(答)いろいろな商品について、それは新しい機種が生まれ、そして大量生産であったり技術革新によりましてコスト低下が図られると、それが結果的に価格とか料金の引下げにつながっていくと、このことは基本的には、消費を拡大していく意味からプラスには働くのだろうと、こういうふうに思っておりますが、同時にそれがいわゆる物価にどうはね返ってくるかと、このことも同時に注視をしていかなければいけない、このように考えておりまして、例えば企業の自助努力等々によりましてコストが下がり、そして価格が下がるということについては、基本的にプラスであると、ただ、それが総合的な物価でみたときにどうなるかということは、よくその関連も含めて検討していかなければいけないと、こんなふうに思っております。
(問)北朝鮮をめぐる様々な今、リスクがあるかと思うのですけれども、経済に与えるリスクをどうみていらっしゃるか、現段階で教えてください。
(答)まず北朝鮮情勢についてでありますが、北朝鮮が核ミサイル開発、こういったものを続けるなかで、北朝鮮が新たな段階の脅威になっていると、このことについては間違いない、このように思っておりまして、米国、韓国を始め関係国ともしっかり連携をして、北朝鮮の挑発行為、これを抑止しつつ、我が国の平和と安全の確保に万全を期していくという状態であります。日本経済、そして市場への影響やリスクについては、今後も注視していきたいと思っております。

(以上)