梶山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年9月12日

(平成29年9月12日(火) 10:31~10:51  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 私の方から、冒頭の発言をさせていただきます。
 地方分権改革の提案募集について、昨日、関係府省に対し、第一次回答に対する地方からの見解を送付し、提案に関する再検討要請を行ったところです。本日、閣僚懇談会におきましては、各大臣に対し、提案の最大限の実現に向け、地方からの見解を自ら御確認いただき、再検討に当たって強力なリーダーシップを発揮するよう、お願いをしたところであります。併せて、仮に提案に実現困難な部分がある場合にも、その理由を、制度を所管する各府省が具体的な根拠を示して、明確かつ迅速に説明し、地方側の納得を得るよう求めております。政府として、地方からの提案をいかにして実現するかという基本姿勢に立って地方分権改革を推進することとしており、今後、有識者会議における議論、関係府省との調整を進め、年末の対応方針の決定に向けて取り組んでまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)大臣、週末に視察されました養父市の件でお伺いしたいんですけれども、まず、特区指定から3年以上経った養父市を視察しての御所感を教えてください。
(答)養父市では、企業による農業参入と、それによる地方創生の現場を視察させていただきました。
 企業による農業参入は、一般論として、ややもすると収益次第で無責任に撤退していくと考えられがちですが、しかし、養父市では、地元の農業者と企業が協力して、持続可能な営農を目指した取組が行われており、その結果として、既に15ヘクタールの耕作放棄地の再生や雇用の創出といった成果を着実に上げつつあります。
 また、全国初活用となった企業による農地取得の特例についても、民間企業4社が活用し、リースと併用することで、むしろ企業が安易に撤退しないだろうとの安心感を地元住民に与えるなど、百聞は一見に如かずとの思いを強くしたところであります。
 今後、2月以来開かれていなかった内閣府と養父市の特区推進共同事務局会議を再開し、養父市とともに特区の活動の加速に取り組んでまいりたいと思っています。
 具体的に五つの農業生産法人の現場を視察させていただき、具体的な話も伺ってきた、そして、地元の方々の反応というものもそれぞれに伺ってきたということです。
(問)全国初活用の農地取得の特例を4社が活用しているということですが、とはいえ、全体の28ヘクタールのうちの1ヘクタールちょっとということで、そのような状況をどうお考えなのかと、あと、全国初活用となった特例自体の意義といいますか、メリット等を教えていただけますでしょうか。
(答)これは、面積の多寡だけではなくて、過疎に悩む中山間地の課題の解決法として、こういう形で特区制度を導入して、農業生産法人の農地取得という取組もされたと思っております。先ほど申し上げましたけれども、農業生産法人に参加をしている法人が土地を持つことによって、安易に撤退はしないということも地域の人たちには安心感につながるということでありますし、それぞれの出資比率も関係しますけれども、しっかりと地域に溶け込んで、新たな産地作りというか、新たな作物への挑戦もしておいでになるということを感じました。
 ただ、まだ緒についたばかりですので、こういう取組が養父市全体にどう広がっていくか、仮に全国展開をするにも、それぞれの地域の特色があると思いますから、大切なことは、どう他の法人、その地域以外の法人との連携を組んでいくかということだと思っております。オリックスもその中の一つですし、クボタやヤンマーといった農機具メーカーもいる。そういったところは、新たな機械の開発であるとか、新たな農法、その作物に関しての栽培法であるとか農法の開発であるとか、そういうことも含めて、いろんな研究をされているなということも感じましたし、採算取れるまであと数年かかるという計算をしている会社もありましたし、耕作放棄地がしっかりと耕作をされているということで、地域の人たちもそこに参画をされて農業ができる、そして、高齢者の集落の中で自分たちも将来の憂いがなくなってくる。そういったことも含めていろんなお話、総合的なお話を聞いて、私も中山間地を選挙区としておりますので、こういった取組ができれば良いなと思いましたけれども、全てが全てに当てはまるということではないということも一つ現実であったと思っています。
(問)先ほど、特区推進会議の再開をということでしたけれども、目途というか、日程は。
(答)できるように事務方に指示をしました。共同事務局があるんですけれども、これからまだ幾つか特区の活用ということで実現したいことがあると、養父の広瀬市長がそうおっしゃっていまして、このためやはり事務局会議を開催してほしいと。早く開催してほしいということもお話がありましたし、また、共同事務局長を務めておられる秋山委員にも御同行いただきましたので、秋山委員も同様の感想を持っておられたということでして、事務方にできるだけ早く再開するようにという指示も同時に出したところです。
(問)推進会議というのは農業特区に限られるんですか。
(答)養父市の特区に関して、どういう活用をしていくか、様々なテーマがあろうかと思いますけれども、農業特区だけではなくて、他のことも含めて物事を進めていくために、特区の推進共同事務局会議を開きたいということで、そこからスタートなんです。そこからスタートしてワーキンググループに上げていったり、また諮問会議に上げていくということになりますので、じっくり規制改革提案のタマづくりをして説明ができる体制を整えるために、この事務局会議を早く開いてほしいということでありました。
(問)熊本などで規制改革案の要望が上がっていたと聞いたんですが、外国人を活用した農業特区の提案があるという話をちょっと耳にしまして。熊本や長野で出ていたかと思うんですけれども、すみません、もしそちらの方、何か大臣の耳に入っていらっしゃいましたら。
(答)外国人人材の活用というテーマがあって、農業に限らずいろんな分野で外国人人材を活用するにはどうしたら良いのかということで、今、国家戦略特区を中心に展開をするための準備を進めているところでもあります。それらに関して、国家戦略特区の指定がされていないところも外国人人材を活用する制度を使いたいというところがありますが、これには国家戦略特区に指定をされるか、それとも全国で横展開されてから活用するか、いずれしかないんですけれども、まだ全国展開については少し時間がかかるという中で、特区の申請をしたいというところが何件かあるのも事実だということです。
(問)獣医学部新設のことについてお伺いします。
 最近、今週に入って今治市の方で市議会一般質問等出ているんですが、その中で出た質問で、今回の建設工事に関してなんですが、加計学園の地元岡山の大本組とアイサワ工業が受注しているということなんですが、市議会の方で入札が行われたという説明があったんですけれども、具体的なその内容の説明がなくて、内閣府の方としてはそこはどこまで把握されているのかというのをまず確認したいんですが、具体的にどういう形の入札で、いつ入札が行われ、どこが参加して、どこが幾らで落としたのか、分かる範囲で教えていただけませんでしょうか。
(答)今の時点で私は分かりません。ただ、これは今治市と愛媛県が資金を分担して、補助金という形かどういう形か分かりませんけれども分担をするという中で、それで今治市の方は具体的にお分かりなんだと思いますけれども、私どもの方はこれに関してはコメントできる立場でもないし、それだけの情報も持ち合わせておりません。
(問)関連しまして、建設会社もそうなんですけれども、設計の方もSID創研といいまして加計学園とグループ会社で関係の深い企業が落としていまして、設計会社も建設会社も地元岡山ということで、本当の地元の今治、ある程度お金が落ちていないじゃないかという指摘が地元でもあるんですけれども、地方創生の観点からいって、これについていかがお考えでしょうか。
(答)それは発注者とあと資金を出す機関では課題として取り上げるでしょうけれども、先ほど申し上げましたように、今、この件に関して具体的な情報も持ち合わせておりませんし、今の時点でコメントする立場にはないということであります。
(問)特区と、あと公文書管理の件で何点か教えてください。
 まず、特区の関係でワーキング委員の瀬田クリニックの阿曽沼さんの件で以前、利益相反の件で質問した際に、区域決定の決定時点ではワーキングの委員ではなかったとおっしゃっていましたけれども、次回の会見で良いので、阿曽沼さんが任命された日付について教えてください。
(答)調べてまいります。私が聞いているのは、その時点ではワーキンググループの委員ではなかったということを聞いておりますが、委員就任の前に決定がされたということですので、それは詳細、また調べます。
(問)2点目なんですけれども、特区の民間議員の竹中平蔵さんたちが特区における省庁間の議論についてミニュッツを作るべきではないかと提案していらっしゃいます。ミニュッツというのは本来、単なる議事録を指しますけれども、今回は省庁間で合意した文書という限定した意味を与えています。これだと片方の省にとって都合の悪い文書は議事録として残らないという運用になりかねないと思います。省庁間のやりとりについては全てそのまま記録に残すことが公文書管理の考え方としては原則だと思うのですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
(答)公文書管理の原則と、いつも申し上げているんですけれども、国家戦略特区の特殊性ということを考えていくと、ここでは、まずは、その目的を遂げるためにスピード感を持ってやっていくということもありますし、省庁同士の折衝も、議論をまとめる上で重要な役割を果たしているわけなんですけれども、全てが全て公開するものではないだろうということでもあります。それでも今まで、例えば加計学園の問題でも3省間の合意というものが、なかなかやっぱり分からない部分もあるので、そういうものは合意ということでしっかりと残していきましょうということなんですけれども、まずはそこで第一歩ということで考えているということであります。
(問)つまり、片方が合意しない場合というのは、どんなことが考えられるんでしょうか。
(答)幾つかの省庁間で合意をすると。合意をした場合には、それを実行していくということで合意をしなければ、この国家戦略特区の目的が成就しないということもあるでしょう。
(問)そういうことではなくて、多分これを議事ミニュッツとして残すことに、議事に参加した全省庁が合意した場合のみ、そのミニュッツを公表するという運用ではないんでしょうか。
(答)非公開を前提とした省庁間のやりとりもありうるということなんですね。国家戦略特区の特殊性の中で出せるものと出せないものが出てくる。今のところきちっと決まっているということではなくて、民間議員からご提言があったと、3項目のご提言があって、これから具体に詰めていくということでもあります。ただ、民間議員の中で合意された議事録という表現がありますけれども、ここからまた具体的な作業をして、できるだけ早い時期にこの運営要綱的なものを決めていきたいと思っているということであります。
(問)公文書管理についてガイドラインの見直しが進んでいますが、行政文書の解釈を従来に比べて広げる方向なのか又は狭める方向なのか、大臣の方針は如何でしょうか。
(答)行政文書についての狭める、広めるというよりも、共通の認識を持ちましょうよということなんですね。それについて12月までにこのガイドラインの改定という作業を今しているところですけれども、それに関して各省庁の公文書担当者がそれらの決め方、保管の仕方も、またそれに基づいて選んでいくということになろうかと思います。
(問)官邸の入館記録は保存期間が1年未満文書に分類されていますけれども、この分類で問題はないというお考えでしょうか。
(答)いや、これからまたガイドラインに基づいてそれぞれのところで検討するということになると思います。ですから、今までも役所に任せられていたんですね、1年未満の文書に関しましては。それらについてもどうしていくのか、どういう分類だったのかということも含めてもう一回それぞれの役所で考えてほしいと、それの大体基本的な道筋になるガイドラインを決めていくということであります。
(問)行政文書の範囲を決めるのは、どこで決めるんでしょうか、作業は。
(答)行政文書の範囲というのは、法律を受けてのガイドラインということになりますので、それは、その基本的な分け方についてはガイドラインにも、役所の考え方が反映できるような形で出てくるとは思いますけれども、それぞれの役所で決めていくということになりますし、保存方法も含めてこれからのことだと思います。
(問)各役所でその考え方を委員会の方に上げて、委員会の方でそれを受けてガイドラインにまとめるという理解でよろしいんでしょうか。
(答)いや、委員会は委員会で今作業が進んでおります。委員会はいろんなことも含めて、これまでのそれぞれの役所の取組であるとか、どういったものが1年未満のものであるとか、あと、その後の歴史的意味合いを持つような文書の管理であるとか、そういったところまでプロの目でその分類をしていくということで大きなガイドラインができてくるということなんですね。その上で、今までそれぞれの役所に任せていたものも、そういう統一見解の下にしっかり整理をしていきましょうということなんですけれども、公文書管理という意識を高めてもらうということも含めて、ある程度研修のようなこともその後にやるでしょうし、共通の認識を持つための手立てということも考えていきたいと思っています。
(問)つまり、取りまとめは内閣府の方でやるということなんですね、委員会じゃなくて。
(答)いや、ガイドラインはガイドラインで作るということですけども……
(問)すみません、行政文書の方です。
(答)行政文書については、今規定がありますけれども、それについて具体的にどうしていくかということについては、それぞれの役所で判断をするということになると、1年未満の文書の中で判断をしていくことになると思います。

(以上)