鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年7月25日

(平成29年7月25日(火) 9:16~9:34  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、三つ御報告申したいと思います。
 一つ目は、沖縄県の渋滞対策でございます。深刻な沖縄の渋滞を一日も早く解消するため、今回、実証実験を行うことにしました。通勤時間帯に自動車利用の約1割が公共交通に転換または通勤時間をずらすことで、渋滞を緩和できる可能性があることが、今回、実施いたしましたビッグデータを活用した調査により分かったということでございます。これを踏まえて、本年9月に、これまで沖縄県が実施していました「わった~バス党」、バスを使いましょうという取組ですけれども、そういった取組とも連携いたしまして、従業員数が多い企業等にも呼びかけて参加を募り、自家用車から公共交通への転換や時差通勤等を促す実証実験を大々的に行わせていただきます。その結果につきましては、参加者に対してアンケート調査を行うとともに、渋滞削減効果や今後の対策についてビッグデータで分析させていただきたいと思っております。詳細は事務局の方へお問合せいただければと思います。
 二つ目は沖縄出張でございます。明日26日、故大田昌秀元沖縄県知事の県民葬へ参列をいたしたいと思っております。これにつきましては、皆様御承知のとおりでございます。以前も申し上げました。
 三つ目、米国出張を行います。7月28日から8月2日にかけて、日米におけるイノベーション創出に向けた協力枠組の構築のため、米国に出張に行ってまいります。今回、シリコンバレーとは異なる、新たなものづくりベンチャーが多いと言われておりますけれども、その東海岸のニューヨークにおいても同州政府が設立した起業支援プログラムであるスタートアップ・ニューヨーク関係者との意見交換を予定しております。また、西海岸ではインキュベーター・アクセラレーターであるPlug&Play及びScience等との意見交換を行い、スタートアップ及びインキュベーションシステム、エコシステムの実情を視察してまいりたいと思います。特に今回の出張では、来る27日に行いますサイエンス&イノベーション・インテグレーション協議会、「S&II協議会」との連携の在り方を考えておりまして、東海岸、西海岸でどういった実情があるかの視察とともに、日本でこうしたエコシステム構築の動きがあることを積極的に発信をしてまいりたいと思います。
 私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 アメリカ出張のことについてお聞きしたいんですけれども、政府関係はカウンターパートナーがまだ決まっていないので、今回のイノベーション創出に向けた協力枠組みの構築というのは、飽くまで民間ベースの協力枠組みを支援するための出張ということでよろしいんですか。
(答)そうなります。公式の機関としては、大学や州が行っているプログラムとの意見交換をすることがメインになってしまいました。今回はご存知のとおり、アメリカでは科学技術に関するスタートアップは、民間が主導してやってまいりましたので、そういったところで実情を伺うということになろうと思います。
(問)アメリカ出張がちょうど入って、通常の閣議後会見、これで最後になる可能性が高いものですから、この1年間を振り返って今までどのような取組をされて、自ら振り返ってどうだったのか、そこら辺をお聞かせください。
(答)名前はともかく私なりにTSURUHOプランなるものを出させていただいて、提案も提言もし、そして、それに向けて今も鋭意努力していただいております。来年の春には、税制改正も行われているものと信じておりますし、様々な予算編成も私たちの意向がしっかり色濃く反映したものになっているであろうと期待もしているところであります。加えて27日に行いますS&II、キックオフの準備はほぼ終えつつあるという状況にあって、今日の時点ではこれまで関係の皆様には大変御協力や御努力いただいたことを改めて感謝申し上げたいと思います。ただ、道半ばであることは否めない事実でありますから、今後もどういう形になるにせよ、しっかり1年を振り返って頑張っていきたいと思っております。
(問)朝日新聞の永田です。
 沖縄県が辺野古の工事差止めを求める提訴を行ったんですけれども、昨日の菅官房長官の会見で、今後も政府としては工事を継続していく考えということをお示しされたんですけれども、今後そういった展開によっては工期の遅れも、可能性としてはあると思うんですけれども、基地返還と沖縄振興というのは密接に絡んでくるところだと思うので、振興を担当する大臣として、この沖縄県の動き、どのように受け止められていらっしゃいますでしょうか。
(答)今回の訴えにより、工事が遅延することに仮になるとすれば、大変それは遺憾なことであると思います。知事も繰り返しおっしゃっておられるように、振興策を揺るがせにできないということについては、意見が一致しているところでありますから、全ての問題、それ以外の辺野古以外のことで、この振興策の細部が関係するような事態に立ち入らないことを、私どもとしては期待しております。
(問)関連で、その後、これから来年度の概算要求の動きというのが活発化されてくるとは思うんですけれども、こういった沖縄県の姿勢というのは、来年度の沖縄県の振興予算というのには、影響してこないというような認識をお持ちになられているということでよろしいですか。
(答)繰り返し申し上げておりますとおり、振興額と基地問題についてはリンクをいたしておりません。しかるべき必要な額を必要なだけ確保すると、このことに揺るぎはないものと思っております。
(問)沖縄タイムスの上地です。
 先ほど、県民葬に参列するというお話がありましたが、改めまして、大臣として明日どういうお気持ちで臨まれるのか、また、沖縄担当相が県民葬に参列する意義というのをどのように考えているのか、お願いします。
(答)総理も今回は参列される予定ということでありますから、その際にも官邸の方から(官房長官の記者会見で)言われたとおり、沖縄にとって、沖縄県のみならず日本にとって大田元知事、そしてまた元参議院議員は、政治的スタンスの違いを超えて、沖縄県の振興に大変努力をされた方であると認識しておりますので、そのことに対する哀悼の意と誠を捧げに行くことは、大変私自身も意味があることではないかと思っております。
 今回、この大田元知事の県民葬において、様々なこれまでの御実績について振り返る作業が、進むだろうと思います。そういった中でいろいろな議論、事実関係の掘り起こしなども含めて私たち全国民が、沖縄県の在りように関心を持ち、そして議論が起こっていくことを、大いに期待をしていきたいと思います。沖縄の振興の在り方も、こうしたことに大いに関心を持って注視していきたいと考えております。
(問)関連しまして、元々県民葬というのは日程が設定されていたわけですけれども、昨日提訴されたタイミングで大臣とまた総理も含めて参列するということについて、何らかのお考えというのはありますか。
(答)個人的には、県民葬の直前に提訴されたことについては、個人的には残念な気持ちがないではありません。ただ、先ほど強調しておりますとおり、県民葬に出席させていただくということの意味と、それから今回の辺野古問題についての問題意識というのは、切り離して考えるべきなのではないかと考えています。
 沖縄県全体に対して沖縄県の思いを呈し、そして日本のために立ち働かれた大田元知事の御遺徳を、偲ぶために我々は出席するということに尽きますから、今回はそういうことで御理解をいただければと思っています。
(問)日経新聞の猪俣です。
 アメリカ出張の中でスペースXを視察されるということなんですけれども、動機といいますか、何を知りたくて行かれるのか教えてください。
(答)スペースXと意見交換させていただく中で、当然民間の宇宙産業の裾野、そしてそれを広げるやり方について、その現状と今努力をしていられるやり方について、私はとても興味があります。特に海外のあちこちに行かせていただくと、明らかにアメリカと日本との違い、値段の違いだとか、部品一つとってみても、精度とかなんとかではなくて値段の違いだということをよく言われます。
 それだけあちらには、様々な産業が一体としてこの宇宙政策を支えているという印象がございますし、そして、また、そのエコシステムがいかにして構築されてきたか。もちろん長い歴史があるわけですけれども、このことにどうやったらキャッチアップができるか等々について、意見交換の中でその参考にできることがあれば、是非これは探ってみたいと考えています。
(問)関連なんですけれども、今週末に北海道のベンチャーがいよいよ(ロケットを)打ち上げる予定ですけれども、それと今回の視察を踏まえて、現時点でベンチャーの育成を急ぐためには、特に何が重要かとお考えでしょうか。もちろん、視察後で変わるかもしれないのですけれども、現時点で教えてください。
(答)こういうことができますよ、できるのではないですかということを今、意見募集をしている段階ですから、そこに具体的な動きが今あるのかないのか、少し今様子を見ている感じです。まだその段階だと、正直思わざるを得ないところもあります。
 ただ、一応そういったものが現実のものとして民装化、実装化ができつつあるという状況になったときにこそ、我々としては行政としてどうサポートをするべきなのか、サポートするシステムを作っていく必要があるのではないかと、今準備しているところでございます。
 それは財政措置になるのか、あるいは、様々な相談窓口を作ることになるのか、規制緩和になるのか、それはその時々、その要望次第になるのではないかと思います。
 こうしたことの一つ一つの積み重ねを今はやっていくことではないかと思いますが、御指摘のとおり視察を通じてまた新たな問題意識が生まれてくるかもしれません。
(問)朝日新聞です。
 昨日の閉会中審査についてお伺いしたいと思います。
 安倍総理は加計問題について先般、丁寧な説明を尽くしていきたいというふうな発言が何度かあったと思うんですけれども、昨日のやり取りを御覧になられて、どのような感想をお持ちになられたでしょうか。
(答)繰り返し同じことを言っておられるなという印象であります。新事実らしきものが出てきて、新たな国民の疑惑がどんどん膨れ上がっているということもなければ、また、国民の理解が進んで、これがまた一つ、一歩進んだという印象でもない感じはいたします。
 ただ、こればかりは何度も申し上げますが、ないものはないと証明することはなかなか難しいのでありまして、その事実があるという側からの指摘が必要なのではないかと思いますから、今回こうした審議を通じて、どこまで国民の理解が深まっているかについては、今後こうしたマスコミの皆さんの報道ぶりも含め、しっかり注視していきたいと思います。
(問)毎日新聞の竹内と申します。
 今、国民の理解が進んできている印象はないということでしたけれども、それは政府側の責任ですか。それとも、野党側の責任ですか。
(答)両方あるのではないでしょうか。先ほど言いましたとおり、ないものはない、証明する側の責任は当然あると思いますし、これについて、今までの経緯があるからこそ、今までの説明ぶりについての批判があったからこそ、今回のような事態に至ったわけですから、そこは丁寧にやっていらっしゃると思いますから、今回のような説明の中で、それがどれだけ国民の理解が深まっていくかは注視していきたいということに尽きます。
(問) そこに関連してなんですけれども、昨日の政府側の答弁で、記憶や記録がないというような発言が目を引いたと思うんですけれども、これに関して、例えば証拠を出すとか、そういった説得力ある説明がどうやったらできるかという、大臣、何か御所見はあったりされますでしょうか。
(答)それは難しいのではないでしょうか。記憶がなければ記憶がないとしか言いようがないのでありまして、国会でのやり取りですから、証拠という言葉を使って良いかどうかは分かりませんが、しっかりとした確固たる文書なり、残るものがあって初めてそれを前提に議論が始まっていくものであると私は理解しております。
 本人の記憶がないから、それは説明責任を果たしていないと言われると、それこそ悪魔の証明になってしまうのではないかと思います。

(以上)