鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年7月14日

(平成29年7月14日(金) 11:04~11:20  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、1つだけ。
 本日午後から明日にかけて、大阪府及び和歌山県へ出張に参ります。
 本日の午後は、ダイキン工業に参りまして、ダイキンテクノロジー・イノベーションセンターを視察いたします。オープンイノベーションの在り方について、かなり進んだ施設だと聞いておりますので、楽しみにしております。
 また明日、クールジャパン推進会議を開催させていただきます。和歌山県とともに開催させていただく会議でございます。今まで沖縄、大分等々で開催させていただきましたけれども、今回、私の地元へ行かせていただくということであります。
 その前に、和歌山大学も訪問させていただき、先日、私も授賞式に出席させていただいたドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞2017」を受賞された中嶋教授が取り組むパーソナリティモビリティビークルの研究現場の状況等も視察させていただく運びになっております。
 また、御存じのとおり、国公立大学では、最も早く観光学部を設置した和歌山大学でありますが、観光学部が行っている地域に密着して、地域活性化の手法の学びや提案を行う地域プロデュース人材の育成の取組について意見交換を行って参りたいと思います。
 沖縄で人材育成等々もさせていただいております。そのことについての議論の素地にでもなればとも思いますので、しっかり努めてまいりたいと思います。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 先日、ITU(国際電気通信連合)がサイバーセキュリティランキングを発表して、日本は12位ということになったのですが、IT担当大臣として、その受け止め。
 もう一つは、科学技術担当として、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)でも重要インフラのサイバーセキュリティ対策なんかもやっているかと思うのですけれども、今後、サイバーセキュリティ対策について、どのように取り組むのか教えてください。
(答)受け止めとしては、私は意外であったと。12位という数字を聞いて、案外高いじゃないかというぐらい、私は危機感を持っておりましたので、現状12位であって、まだ良かったと思っています。
 ただ、その危機感は今も消えることはありませんし、引き続きその努力は続けているつもりであります。
 ドイツで、バンカ科学技術担当大臣ともこの話でかなり深い議論をさせていただきましたけれども、特にドイツでは、民間に対してのサイバーセキュリティ対策も、国が主導してというか率先して指導していく体制を整えようとしていると聞いておりますし、軍事防衛に関わる分野はもちろんのこと、様々な研究機関に対しても、国が相当の力と予算をかけているように聞いております。
 我々が振り返ってみて、一歩も二歩も遅れている感が否めません。こうした危機感を持って、先日もサイバーセキュリティ戦略本部会合でロードマップを書かせていただき、それにしっかり従って、粛々と進めるべく努力をしているところであります。
 SIPの事業として、これを担当させていただいている以上は、一刻の猶予もないという、その警鐘を鳴らす立場であると理解しておりますので、今後も関係部局には気を吐いて仕事をしていただくように努力を続けていきたいと思います。
(問)化学工業日報の伊地知と申します。
 いよいよ27日にS&II(サイエンス&イノベーション・インテグレーション協議会)が立ち上がります。改めてどんな場になってほしいか、期待感も含めて御所見があればお聞かせいただければというふうに思います。
(答)これは異例のことですけれども、まずは、特に部局の皆さんに感謝したいと思います。
 関係の方々は、本当に精力的に議論を重ねていただいて、また内外の人たちにも呼びかけをしていただいた。それなりに関心を持っていただいていると思います。
 一番の期待は、ずっと申し上げていますとおり、この会がここで一回きりで終わってしまうのではなく、民間の皆さんが主導して、続けてやっていただけるような意義のある会にしていただくということなのではないかと思います。
 主たる目的は、いろいろとありますけれども、大きなものの一つは、ベンチャーに関わるエコシステムを作りたいということでありますから、それに向けて何が必要か、どういう問題点があるか等々に野心的に議論を重ねていただけるような闊達な会議になることを期待していきたいと思います。よろしくお願いします。
(問)朝日新聞の永田です。
 先日、沖縄県の翁長知事が表敬されたと思うのですけれども、沖縄県の大型MICE施設の整備について、大臣、以前はそういった赤字の計画というのはあり得ないというような、否定的な御意見だったと思うのですけれども、知事が表敬されて、その考えというのは何か変化はありましたでしょうか。
(答)いや、基本的な考えの変化はありません。せっかく造るものですから、そこに協力があり、そして応援があるような体制で、是非、造るべきだと思います。
 沖縄の県内の方々、様々な立場の方々の御意見も聞いてまいりました。必ずしもMICE建設に諸手を挙げて賛成という方々ばかりではありません。その賛成でない理由はというと、やはり本当に大丈夫なのか、これから沖縄県財政を逼迫していかないのか、負担にならないのかということが、やはり一番大きいように思います。これらの声に真摯に耳を傾けるべきだというのは、私たちは基本的に変わっておりません。
 徐々にそんな危機感も、県とも共有できてきたようにも思いますし、しっかりとした計画を練りつつあるのだろうと思いますが、まだ今のところ、その懸念に応え得るところまで熟しているかというと、今のところですが、まだまだなのかなと思っています。
 そういう意味において、基本的路線としては、私は賛成であると、はっきり申し上げました。しかしながら、引き続き様々な協議を重ねていただいて、その協議した結果が、後世の努力に結び付くように、こういう議論があったから、こういうことをしなければいけないのではないのかというようなことが、将来分かっていただけるような、熱い議論をしていただきたいと思っています。
(問)読売新聞の船越といいます。
 2点質問があります。
 まず1点目が、今回、和歌山大学も視察、地元の大学ということでいろいろな思いもあると思うのですが、改めて国内外でいろいろと科学技術の現場を御覧になった上で、改めて日本の課題若しくは強みというのを、改めて御所感をお願いします。
 2点目、話は変わるのですが、ドローンの話で、前回の会見で、大臣は、ドローンを今後、内閣府としてきちんと運用して、実績を積み上げていきたいと言われていたのですが、今回のドローンは、いわゆるImPACT(革新的研究開発推進プログラム)からの予算で職員を派遣しているということで、飽くまでもこれは研究開発の予算の枠内でやっているということで、もし大臣が言われたように、内閣府としてきちんと運用したいというのであれば、きちんとそれ相応の人材と予算の配分が必要と思うのですが、その所見をお願いします。
(答)後半の部分から先に答えます。
 おっしゃるとおりです。今、制度上担保できているものではありません。私の個人的な思いとして、これは所感も含め、そういうふうに申し述べさせていただきました。
 ただ、ドローンという切り口からすると、ImPACTのことなのですが、SIP等々でも内閣府は防災の事業も所管というか、束ねております。
 その防災という観点からすると、以前も申し上げましたが、様々な縦割りの行政機関に対して、取りまとめをし得る立場にあるのではないかという気持ちは変わりません。
 したがって、誰かがそういった立ち回りをしていかなければならないとしたら、それは内閣府が一番適当なのではないかということであります。そのことの理解を頂けるならば、おっしゃられたような予算的なことや様々なサポートを、私たちがしっかり手足を持つような状況にまで努力をしていくことが必要なのではないかと思います。
 ドローン全般ということではなくて、防災であるということを、是非、強調しておきたいと思いますので、そこのところは誤解のないように、よろしくお願いいたします。
 それから、大学についてでありますけれども、これは今の大学の現状について、1年間これまで、やらせていただいた中で、やはりまだまだ忸怩たる思いが残っている分野でもあります。
 ただ、和歌山大学へ行かせていただく限りは、特に地方での科学技術イノベーション、産学連携の取組について特に興味を持って聞いていきたいと思います。
 良い技術を持った地域の企業をいかにして育て得るかについての一般的議論は、今、正に中央の方でやらせていただいております。以前申し上げたTSURUHOプランなんていう名前で書かせていただきましたけれども、評価性資産の寄附税制の改正でありますとか、そういったものでありますけれども、ただ、それを地方の大学にまで周知徹底、そしてまた普及活用していただくまでには長い時間がかかってしまうのではないかと思いますし、いち早くそれを活用した結果、どうなっていくかみたいなことも、是非、議論していきたいと思いますので、皆さんにもまた御意見等々あれば、御提案も頂きたいと思います。
(問)沖縄タイムスの上地です。
 先ほどのMICEに関連してなのですけれども、沖縄県の方は、4万平米の大規模なものだからこそ、集客も見込め、展示会なども見込めるのだというような考えを持っていますが、その大規模、4万平方メートルというのは、内閣府としてもその規模を造るという共有理解というのはされていらっしゃるのでしょうか。
(答)ここは議論の今までの経緯を、詳細にもう一度見直してみなければならないと思っています。私は、就任したときから4万平米ということしか聞いておりませんし、現実には歴史的経緯があって、広がっていったということは聞きました。
 ただ、小さければ採算が取れるのかというと、これは一般論としてですけれども、そうでもないだろうと。4万平米だから、大きいから採算が取れないのかと、逆に言うと、そういうことでもないのではないか。
 一つは、何を目的にするか等々のこともあります。以前、御指摘があったと思います。雨の日にイベントができない。そういう問題が起きた時には、やはりコンサートであったりスポーツイベントであったりするのに、ほんの小さな建屋では間尺に合わない、使い物にならないという問題もありますから、そういう多目的に使えるという意味においては、大きくすることにやはり意味があるのだろうと思いますし、その分、関係者の格段の努力も内外に向けての営業であるとか、そういったものも必要になってくる、当たり前のことですけれども。そういう決意というか、体制が整っているかどうかということも、4万平米になったことで問われているのだということは、私自身も県にも問うてみたいと思っていますし、実際そういう段階に入っているのだと思いますので、4万平米だから赤字だということを、私がここでコメントするというよりは、そういう思いを持っているということで御理解いただきたいと思います。
(問)琉球新報の當山です。
 今の質問に関連なのですけれども、沖縄県2020年度のこのMICEの供用開始に向けて、今年度予算での基本設計などの交付決定を求めているわけですけれども、今のお話だと、2020年というスタート時期について、こだわる必要はないというお考えでいらっしゃるということで、よろしいでしょうか。
(答)私、個人的には、できる限り早くした方がいいと思います。
 ですから、できる限り早くなのですが、県が2020年にこだわっている理由もそのあたりで、どういう考え方なのかも聞いてみなければならないと思いますし、何か今回も詳細設計に向けての交付金の決定のタイミング等々についても言っておられるようですけれども、常に扉は開いた状態で断続的に協議をしていくということが、内閣府としてあるべき姿なのではないかと思っていますから、その部分は県ともしっかりやりとりをしていただくべきだと思います。
 速やかにやるということは、強調しておきたいと思います。

(以上)