鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年12月20日

(平成28年12月20日(火) 11:33~11:48  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、1点だけ。
 昨日、未来投資会議におきまして、IT政策担当大臣として、公共データのオープン化を推進してまいる旨を発言させていただきました。先週施行された官民データ活用推進基本法に基づき、IT戦略本部の下に新たに設置する予定の「官民データ活用推進戦略会議」を司令塔として、民間ニーズに即し重点分野を定め、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催される2020年までを集中取組期間とし、オープンデータの徹底を含め、ITの利活用を強力に推進してまいりたいと思います。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 先日、総務省が科学技術研究調査(結果)を報告したんですけれども、平成27年度実績の日本の研究費、どうなったかというやつなんですけれども、そうすると、3年ぶりにマイナス0.2%、特に企業がプラス、今までこの3年間で4%とか6%とか増えていたのが、0.8%に留まって、国と地方の方がマイナス4.6%ということになったと。それで全体としてはマイナスになった。
 これについての大臣の受止めを。
(答)確かに単年度ではおっしゃるような数字だと認識しておりますが、経年的な推移を見ていきますと、また別の結果も表れるのではないかとも思います。今後、政策目標をしっかりと提示し、エビデンスに基づく政策立案を心掛けていきたいと思いますので、一喜一憂するべきではないというのが、今のところの感想であります。
(問)イプシロン(ロケット)が今日、打ち上げになりますけれども、小型の衛星の海外需要とか商業化について、どのようにお考えでしょうか。
(答)以前、この場で申し上げたかどうか分かりませんけれども、これによって時宜を得た衛星の打ち上げが可能になる可能性があると思います。
 先般、宇宙(2)法も成立したところでもありますし、これによって民間の宇宙利用に弾みがついていくことを、大いに期待をしたいと思いますし、その意味では、打ち上げの成功を心から祈っております。
(問)もう一つ、今の公共データのオープン化なんですけれども、昨日の、公共データオープン化とともに、個人情報保護の観点も入ってくるかと思うんですけれども、来年4月には改正個人情報保護法も施行されて、委員会も設立されます。このバランスについて、オープンデータ化することと個人情報の保護と、このバランスについて、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)国民的理解が進まねば、なかなか個人情報の保護の緩和といいますか、オープンデータの取組もなかなか進まない部分があると思います。その意味においては、私どもの方でどういった手だてを打つべきか、つまり、議論している委員の先生方からも御指摘がありますが、流出された側の被害といいますか、補償というんですかね、そういうもののちゃんとした仕組みを作れ得るかとか、あるいはオープンデータをする対象の情報をどう匿名化していくか等々について、しっかりとした仕組みを作り、そしてそれを国民的に理解していただくように、説明していく必要があるのではないかと思っております。そのことをこのデータ活用推進戦略会議の方で、しっかりと司令塔として議論を進めていきたいと考えています。
(問)朝日新聞です。
 大臣、沖縄の件について伺いたいと思います。県民の方々がかなり反対が強い中で、オスプレイの飛行再開というのが決まりました。実際問題、事故の発生から間を置かずということで、かなり反発が出ているというのも当然のことかなと思ったりするのですが、飛行再開の是非について、大臣の御所見、思うところを教えてください。
(答)今回、オスプレイによる事故が発生したことについては、地元の皆様に大きな不安を与えるものであって、極めて遺憾であると理解をしております。米軍機の運用においても、安全面を最大限確保するというのは言うまでもないことでありますし、政府としては、防衛省から地元に対し、昨日のオスプレイの飛行再開に関して説明をしたと聞いておりますが、引き続き情報収集等々により、米側から得られた情報を速やかに提供していっていただくことを願っております。
 いずれにしても、政府としては、今後とも米軍機の飛行に際して安全性の確保が大前提との認識の下で、必要な措置を講じていきたいと考えております。
(問)米軍の説明なのですが、県民の方々が納得されるような十分なものだというふうにお考えでしょうか。
(答)現時点で飛行再開に向けた限りの説明であったと、政府としては認識していると理解しておりますが、給油の事故であったと聞いております。したがって、給油に関する訓練をされないということも、飛行再開の条件の一つであると、私どもの方では理解をしており、そういった意味の限定付きでありますから、今後、様々な情報提供は、適宜適切に行われていくものと期待をしておりますし、私どもの方としても、それはやっていくべきなのではないか、求めていくべきなのではないかというふうには考えています。
(問)もう1点、更に関連なのですが、今日の午後3時に辺野古をめぐる訴訟の最高裁の判決が出る見通しです。沖縄をめぐる問題の一つの大きな節目を迎えると思うのですが、これについて大臣の御所見、思うところをお願いします。
(答)まだ結論が見えていることではありませんので、何度も申し上げておりますように、その前提、仮定の状況の中でコメントすることは差し控えたいと思います。
 いずれにいたしましても、しっかりと政府、そして沖縄県、双方が、かねての判決に従うという合意に従って、粛々と冷静に事が進むことを、私どもとしては期待をしております。
(問)化学工業日報の伊地知と申します。
 先程は総務省の科学技術研究費調査の件の中で、国際比較というものがあったと思うんですが、OECDの。アメリカが1番で、日本は3位なんですけれども、その間に中国というのがございまして、中国がすごい勢いでアメリカに迫る、アメリカに迫るというか、日本との差が大きく開いてきていると。ついこの間まで日本が2位だったわけですけれども、その辺の差の開き方が非常に顕著だと。経年的に見ても、伸び率の違いというのが明らかなんですが、その件について、日本の科学技術力というのが低下している一つの指標にもなるのではないかというふうに思うんですが、その辺のものはどういうふうに、御所見をいただければと思うんですが。
(答)数字では、予算が減ってきているのではないか、まだまだ足りないのではないかという指摘は、多くの方面から受けております。この場で何度も私も申し上げておりますとおり、このことについては、しっかり予算確保に向け努力をするの一言に尽きるわけでございます。
 そのために、以前も申し上げましたが、呼び水としての当初予算をしっかり確保するというのが、まずは前提になる。しかし、その予算確保に向けて、しっかり仕組みそのものも変えるぐらいの思いを持ってやっていかなければ、とてもではないけれども、当初目標のGDP1%という目標は達成できないのではないかという危機感を持っておるものでありますから、そこは御理解をいただきたいと思います。
 また、先程、中村記者にも申し上げましたが、単年度でやるのではなく、経年的にやっていく科学技術の予算が、どう反映され、どう効率的に運用されているかということについても、予算を確保するということと同時並行で、エビデンスベースでしっかりとそれを検証していく必要があるのではないかとも思っておりますので、これもしっかり力を尽くしていきたいと思います。
(問)NHKの奥住です。
 先週行われた日露首脳会談についてなんですが、会談あるいは会見を御覧になってどのように受け止めたか、お願いいたします。
(答)平和条約の締結は容易ではありません。ただ、日露の首脳が胸襟を開いて議論をされた、協議をされたということには、重要な一歩を踏み出したものではないかと思っております。
 何度も申し上げておりますが、この一事で全ての問題が解決するという思いでは、私どももありませんでした。しっかりこれから協議を重ねていっていただくこと、そしてまたそれをサポートするための国民運動を盛り上げていくために、我々も啓発活動になお一層力を入れていきたいと思っております。
(問)琉球新報、池田です。
 2点、お伺いさせてください。今回の沖縄関係予算について、今回、これまでと比べると異例となるんですけれども、大臣折衝は公にはされていないと思うんですが、予算編成が最終局面を迎える中で、政府内では、昨年よりも大幅減額になるのではないかというような見方もあったと思うんですけれども、大臣として、今回の予算編成に当たって、どういった思いで取り組んだのかということを、まずお聞かせください。
(答)繰り返し、この場でも申し上げておりますが、沖縄県にとって、県民の全てに実感していただけるような振興でなければ何の意味もないと思います。
 その意味において、特に県民の一人一人が振興を実感できるような政策に、私は力を入れていきたいと。具体的には、貧困対策でありますとか、就学への支援でありますとか、職業訓練等々へのサポートでありますとか、こういったものをホームページ等々でも啓発はしてきたつもりでありますけれども、それをなお一層、予算の形でもサポートができればというふうにも思います。
 また、産業育成の分野でも、大いに牽引役となっております観光等々のためのインフラ整備は、これも喫緊の課題であろうと思います。その意味では、空港の整備や、もちろん、クルーズ船の着港の岸壁の整備等々はもちろんのことでありますが、島内に来られた観光客がよりスムーズに移動できるようにするために、渋滞対策も、本当に急がないととんでもないことになってしまうという危機感の中で、しっかりやっていかなければいけないと思います。
 総じて、私どもが今考えております多くのことは、今までしてきた振興の延長線上にあるものであると理解はしていただいていいと思うんですけれども、より多くの県民の方々が振興に寄与できるような、そういったものにしていくべきではないかと考えております。
 関心を持ってもらえるように、我々としてもしっかりと情報発信をしていきたいと思います。
(問)もう1点、お伺いさせてください。今も出ました渋滞対策については急がないといけないということで、鶴保大臣の下で最も取組というか、大臣が力を入れていらっしゃるとお見受けするのが渋滞対策だと思うんですけれども、次年度予算でどういった事業をしていきたいのかということを、大まかでもよければお聞かせください。
(答)今、協議会を作っていただいて、それを議論をしていただいているところであります。一方的に間尺に合わないものを沖縄県でやっていくというだけでは、到底かないません。県民の皆さん、そしてまた市町村、県、そういった方々としっかり連携をとって、やっていくべき筋合いのものであると考えておりますから、その協議会の議論に従って、どういうサポートができるかを考えていきたいというのが、今のところ、申し上げられる最大限のことであります。

(以上)