鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年11月15日

(平成28年11月15日(火) 9:27~9:47  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは3点。
 まず一つ目は、地方版クールジャパン推進会議のため、去る13日の日曜日に大分県別府市へ行ってまいりました。大分県や別府市の行政トップの方、あるいは温泉関連産業をプロデュースされている方々、大分の魅力に惹かれて外国や東京から移住し世界農業遺産を支えている方々、伝統的竹細工産業に新たな価値を加えて海外展開している方々、など、その分野のリーダーの方々から、地域の取組についてお話をお伺いしてきたところであります。こうした取組をより世界に向けて発信をしていくためにも、内閣府も協力して、大分県で策定中の「大分県クールジャパン推進イニシアティブ」にも盛り込み、近いうちに発表したいということであります。今後も日本の各地域と協力して、クールジャパンの推進に取り組んでまいりたいと思います。
 それと、2番目が、三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所等の視察に行ってまいりました。飛島工場、小牧南工場に、昨日11月14日に視察させていただきましたけれども、今回主に視察したのは、基幹ロケットとして高い打上げ成功率を誇るH-IIA/Bロケットと、国際宇宙ステーションへの輸送手段として重要な役割を果たしている「こうのとり」の組立て現場でございます。実際これを拝見いたしまして、海外からの打上げサービスの受注獲得などで官民一体の取組が重要であること等を実感いたしました。今後の宇宙政策の展開に活かしていきたいと考えております。
 それから、3番目でございます。SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の自動走行のワークショップの件でございます。後程プレスリリースを配布いたしますが、この度、SIPにおいて、来年秋から、関東地方の高速道路などで自動走行の実証実験を行うこととなりましたので、お知らせいたします。本実証実験は、これまで取り組んできたダイナミックマップなどの技術について、各メーカー等の専門家が参加し技術検証を行うものであり、このように広範な関係者が共同で行う実証実験は我が国初の取組であります。SIPでは、本日から東京お台場で国際ワークショップを開催いたしますが、本日午後、私も参加し、海外の専門家の方々にも参加を呼び掛け、国際連携につなげていきたいと思います。また、ここから先はまだ未定のことなんですけれども、沖縄でも是非この実証実験をさせていただきたいと思います。特に自動走行技術を活用した、高齢者や障害者の方々が利用しやすい新しい公共バスの実験を沖縄でやらせていただきたいと考えています。こちらは関東での実施に先立って、年度内にも実証実験を行う方向で急ぎ準備中ですので、また日を改めてお知らせいたしたいと思います。詳細については、内閣府科技部局にお問合せをいただければと思います。
 私の方からは以上であります。

2.質疑応答

(問)フジテレビ、和田でございます。
 私、ちょっと車には個人的に興味があるものですから、この実証実験にも関心があるんですが、ちょっと順不同で伺いたいんですが、今、沖縄の話が出ましたが、年度内にも沖縄の場合は、状況によっては他に関東に先行してということにもなるのかどうか。これは年内ということもあり得るんでしょうか、あるいは年を一応越えてからということになりますでしょうか。
(答)年度内に実証実験を行い、来年の春以降、本格的に公道での実証実験ということを考えています。
(問)関東中心に実証実験をやるわけですが、ちょっと経済部の連中なんかと雑談した時に、一般道路でもやるようなんですが、よく一般道路まで具体的に踏み込めたなというようなことを経済部の連中が言っていたんですが、一般道路というのはどうも臨海、弊社の近くのようなんですけれども、どういう選定基準で実証実験をする時に一般道路の場所というのは決めたんでしょうか。細かくて恐縮です。
(答)詳細はまだこれからのことだと思います。まずは旗を振ってやりますよということで、関係部局に努力をしていただくというのが大きな趣旨でありますので、先行してお話をさせていただいたということ、御趣旨を理解いただきたいと思います。
(問)すると、大方針では確か4ステージぐらいに分かれていたと思うんですが、今回この時期に、来年いつからどこで実証実験をやるということを決めたということで、この4ステージ、予定どおりに大臣の感触で進んでいけそうというような自信がおありになりますでしょうか、あるいはなかなか大変だなというような御感想でしょうか。
(答)私は、就任の記者会見でも申し上げたかと思いますが、この自動走行については並々ならぬ決意を持って当たっているつもりであります。SIPの事業も、その成否が問われている事業でありますから、見通しが今少し遅れておるとか、進んでおるとかという感想の前に、何としてもやるんだということを強調しておきたいと思います。
(問)あと2点ですが、これを進めるに当たって、民間の事業者ですと、特にトヨタや日産やホンダの大手が熱心ですが、今後、民間のそうしたメーカーにこれを進めるに当たって要望事項のようなことがございますでしょうか。
(答)実証実験となると様々な技術的な協力だけではなくて、金銭的、経済的な協力も必要になってくるように思います。そういった面で様々な御協力を仰がねばならないところもありますから、私どもも最大限の努力、サポートはさせていただくつもりではありますけれども、いい機会だと思って積極的に参加していただきたいと思っています。
(問)これはまだ先のことなので分かりませんが、最終ステージに行くまでの間、予算は大臣、自信を持っていけそうなんでしょうか。あるいは最終ステージに行くまでの間には相当予算も苦労しそうだというような状況なんでしょうか。これは私もよく分からんのですが、どのぐらいかかるか。
(答)このことにかかわらず一般論として、プロジェクトが潤沢な予算で順調に進むなんていうことはあり得ないと思っていますから、いろんな山あり谷ありは私も想像しています。ただ、先程来申しましたとおり、決意と共に、何としてもこれをやり遂げるんだという思いで取り組みたいと思います。
(問)ちょっともう一度最後になるんですが、私的な感情というか気持ちが入ってしまって恐縮なんですが、車というのは、もちろん技術レベルに合わせて進歩していくというのは当たり前ですが、車が好きな人間というのは、必ずしも勝手に車が止まってくれなくてもいい、あるいは少し乱暴なことを申し上げれば、燃費が悪くても楽しい車がいいみたいなところがありまして、その文化の問題になっちゃいますが、大臣御自身はそういう文化的な側面といいますか、個人の車の愛好者と車の技術の進歩、自動走行というようなことについてはどんな見識をお持ちでしょうか。
(答)全車両が自動走行になる社会というのはまだまだ先のことだろうと思いますから、車を自らハンドルを握って運転されることの楽しみを味わうことは十分まだあり得るというか、その状況が並行して進むものだと思います。
 私どもが今一番考えていますのは、その自動走行を使って交通弱者と言われているような方々、高齢者の方々にしっかりサポートができる体制をまずは作って差し上げることなのではないかということでありますので、今おっしゃった御懸念はまだ少し先なのかなという気はしております。
(問)日刊工業新聞の冨井と申します。
 2点、先程に関連してなんですけれども、まず、沖縄で年度内に実験をするというのは、まずはテストコースのようなところで実験をするという、春から実際の車道でというお話だったので、年度内に実験というのはテストコースでやるということでいいんでしょうか。
(答)はい。走行用のコースを設けて実証実験をさせていただきたいと思います。
(問)あともう一つは、東京でもやるというお話が先にありまして、今回それに先駆けて沖縄でやるということですけれども、沖縄と東京で両方やる意義みたいなところはどんなところがあるんでしょうか。
(答)一つは、人口密集地というか、東京のような都会でやるという意味で、今後様々な耳目を集めることにもなろうと思いますし、こういう自動走行をしていらっしゃるようなメーカーでありますとかベンチャー企業でありますとかは、距離の遠い沖縄よりも東京の方がやりやすいというのは事実偽らざるところだろうと思います。ただ、沖縄県のように、車社会で一刻も早くという思いを持った地域に我々がしっかりと光を当てていくという意味においては、政府としての取組、決意を是非とも分かっていただきたいという思いを込めて、沖縄というふうに私は申し上げました。
(問)化学工業日報の伊地知です。よろしくお願いします。
 来月、ノーベル賞の授賞式が行われると思うんですけれども、改めて、3年連続日本人の受賞者がということの御所感を聞かせていただきたいんですけど。その前提として、基礎研究の重要性と大隅先生もおっしゃっていますけれども、基礎研究にも幾つか分けなければいけなくて、主の基礎研究ということよりも、やはりまっさらなキャンパスに絵を描いていくような、ピカソの基礎研究をどのように引き上げていくかということが今後の日本としても重要なことかなと思うんですけれども、どうしてもノーベル賞とか英文の科学雑誌に載ったということで、日本が後追い的に評価をして支援しましょうということがずっと続いてきていると思うんですけれども、日本がもう少し先行して評価したりとかできるシステムというのも必要ではないかなということを、授賞式も踏まえて今後の科学技術の発展のためのことも含めて御所感を頂ければというふうに思います。
(答)基礎研究の重要性については繰り返し申し上げておりますとおり、私どももできる限りのサポートをせねばならないと考えています。ただ、そうはいえども無尽蔵に潤沢に財政資金があるわけではありませんので、どういった資金配分が効率的なのか、そしてまた、今後、我々としてどういった新たなサポートの仕方があるのかについて、常に考えております。
 一つ申し上げると、従来からこの席でも指摘がありましたとおり、大学の運営費交付金の中身についてちゃんと精査するべき必要があるのではないか。御指摘があったとおりでありますので、今、大学の方にちゃんとした資料を提出してもらうように御協力を仰いでおります。その上で、その資料を見ながら、実際研究費にどれぐらいの資金が、真水が入っているのか、また民間資金との兼ね合いでどれぐらいのパーセンテージでどうなっているのかということを、エビデンスをちゃんと理解していくことがまずは必要なのではないかというふうには思っています。
 その上で、今後のことでありますけれども、まだまだやっていく余地はあろうと。これも以前申し上げたと思いますが、研究投資の8割以上は民間資金でありますから、この民間資金からの投資をより太いものにしていくために、税制やあるいは様々なインセンティブを作っていくということは、これはまだ発表もできていませんけれども、必ずやりたいと思っていますし、また研究の側のイノベーションを起こしやすい現場を作る工夫もたくさんあるというふうにも思いました。
 一つは、先日、柏(市)に行かせていただいた時に感じたことでありますけれども、カブリ数物連携宇宙研究機構だったと思いますが、WPI(世界トップレベルの研究拠点プログラム)の拠点研究の施設として、オープンな場で異分野の研究者が自由に討議をして新しいものを作り上げていくなんていう工夫をしている現場を見ると、こういったことが日本国内で進んでいけば、まだまだやるべき、伸びる余地がたくさんあるなと感じた次第であります。
 こうした現場の声をしっかり受けてやっていくことが何より肝要なのではないかと今のところは考えておるところであります。
(問)ノーベル賞の授賞式の所感ということで。
(答)もう月並みですけど、ノーベル賞授賞式へ元気で行っていただいて、日本人の誇りですから、胸を張って私たちも応援したいと思っています。
(問)時事通信、田中です。
 すみません、土人という言葉についてなんですけど、公明党の井上幹事長が、土人という言葉について、沖縄の方にとっては沖縄蔑視や差別の象徴というふうに捉えているというふうに指摘されていますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)私は一言も差別発言であるとか、そんな思いを持って言ったつもりはありません。それを判断する立場にはないということを繰り返し申し上げているにすぎませんので、御理解をいただきたいと思います。
(問)話題変わるんですけれども、自動走行なんですが、そもそもそれを普及させることの意義とか、その必要性というのはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)もう何回も繰り返しになりますけれども、この日本において交通弱者、超高齢化が進んで、車を運転したいけどできない、移動することができなくて家にこもってしまって、結局うつ病になったり、塞ぎ込んでしまったりというような方々もたくさんいらっしゃいますし、買い物に行けないとか病院に行けない、もういろんな輸送手段の制約がこの国の大きな病巣になっているとも言えると思います。このニーズは図り知れない、都会で普通に暮らしている方々にはなかなか感じ得ないものかもしれませんが、相当なものがあろうと思いますから、そういうところにちゃんと光を当てていきたいという思いであります。
(問)(フジテレビ、和田記者)
 沖縄の実証実験の質問が出たもので、その関連で、お答えは端的にで結構です。4点教えてください。
 沖縄は、既存のテストコースがあるんでしょうか、新しいものではなくて。
(答)これから、ここからここまでということになってくると思います。
(問)じゃあ、これは公道を使うんですか。
(答)場所を限定であるとかですね。
(問)新しく何かテストコースを作るという話では。
(答)ではありません。
(問)既存のテストコース。
(答)はい。現実にあるものを、例えばどこかの大学の中であるとか、どこかの病院の中であるとか、施設の中であるとか、こういったことになろうかと思います。
(問)それから、これは基本的に沖縄県は了解済なんでしょうか。
(答)今、こういうことをやる了解まではしているの。
(事務方)今、調整中でございます。沖縄担当部局とも連携して。
(問)政府の方針であって、今、沖縄も調整しているという。
(答)(事務方)はい。
(問)それから、関東に先行して今年度中ということなんですが、これは関東が始まる前に沖縄の実証実験は終わるんでしょうか、それとも関東と並行して長くやっていくことになるんでしょうか。
(答)それは走りながら考えていく形になると思います。
(問)それと最後に、これは沖縄振興という意味合いももちろんあると思うんですが、それについては大臣はどういう思いでしょうか。
(答)沖縄の方々に私は約束したことがございますので、振興策はしっかりとやらせていただきたいと思います。
(問)これも振興策の一環という理解でよろしいんですか。
(答)はい、それもあると思います。

(以上)