加藤内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成28年9月16日

(平成28年9月16日(金) 10:20~10:38  於:中央合同庁舎第8号館1階s101記者会見室)

1.発言要旨


 まず閣議でありますけれども、「秋の全国交通安全運動」及び「交通事故死ゼロを目指す日」の実施について発言いたしました。
 来週9月21日水曜日から、再来週30日金曜日までの10日間、「秋の全国交通安全運動」を実施するとともに、この期間中、ゼロの付く9月30日金曜日を、特に「交通事故死ゼロを目指す日」として、国民の更なる意識の向上や交通事故の発生の抑止が図られるよう、一層の周知を行うこととしております。
 昨年の交通事故死者数は、4,117人と15年ぶりに増加し、依然として、交通事故で尊い命が失われる現実にあります。このような状況の中、政府においては本年3月に、第10次交通安全基本計画を決定し、平成32年までに交通事故死者数を2,500人以下とすることを目標として取り組んでいるところであります。
 今回の運動は、今春同様、「子供と高齢者の交通事故防止」を運動の基本に据えつつ、特に、これから年末にかけては、夕暮れが早くなることなどにより、例年交通事故が増加する傾向があることから、「夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止」、「後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底」、「飲酒運転の根絶」の3点を重点に挙げております。
 また、ゲームアプリの使用など、運転中や歩きながらのスマートフォンなどの操作の危険性についても広報啓発活動を展開することとしております。
 地方自治体や関係団体、また、ボランティアの皆さんとも力を合わせて、更に交通安全意識を高め、交通事故の防止に努めていくこととしております。
 なお、一例として、この反射材を閣僚の皆さんにはお配りいたしまして、こうしたものの活用ということを併せて申し上げたところでございます。
 閣議では以上1点でございます。
 それから2点報告でございますが、明日9月17日土曜日14時から17時まで、砂防会館別館1階「シェーンバッハ・サボー」にて開催されます、家族会、救う会、拉致議連、知事の会、地方議会全国協議会主催による「国民大集会」に、私も出席し、挨拶を申し上げることとしております。
 国民大集会は、全ての拉致被害者を取り戻し、拉致問題の早期解決を求めるための会として、拉致被害者御家族の皆様はもちろん、日本国民のオールジャパンの決意を示す大変重要な場であります。多くの皆様方に是非お越しいただきたいと思っております。
 それから3点目でありますけれども、「働き方改革実現会議」の議員を決定いたしました。実現会議は、最大のチャレンジである働き方改革について、その実行計画の策定などに係る審議を行うものであります。
 これまでよりレベルを上げて討議を行うため、総理自らを議長とし、私、働き方改革担当大臣及び塩崎厚生労働大臣を議長代理として、関係大臣にも御参加をお願いしております。
 また、労使双方の代表の方々、専門的見地や現場での活動経験をお持ちの方々の中から人選を行いました。
 お手元にお配りしておりますが、簡単に御説明したいと思います。
 まず榊原定征・日本経済団体連合会会長は、労使の使側の代表として。
 三村明夫・日本商工会議所会頭においては、労使の特に中小企業の使側の代表として。
 大村功作・全国中小企業団体中央会会長においても、特に中小企業の使側の代表として。
 神津里季生・日本労働組合総連合会会長は、労側の代表として参画いただきたいと思っております。
 また、樋口美雄・慶應義塾大学商学部教授におかれては、労働経済学の専門家であり、労働政策審議会の会長であります。
 岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授は、労働法の専門家であるとともに、労働政策審議会労働条件分科会長でもあられます。
 水町勇一郎・東京大学社会科学研究所教授は、同一労働同一賃金を巡る欧州における導入経緯や判例等に詳しく、厚生労働省と内閣官房の「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」の委員でもあり、労働法の専門家であられます。
 白河桃子・相模女子大学客員教授、少子化ジャーナリストは、少子化、女性のライフデザイン、キャリア、女性活躍推進に関心を持ち、特に長時間労働の抑制に熱心に取り組んでおられます。
 生稲晃子・女優であられますが、1986年に芸能界にデビューされておりますが、その後、乳がんを患い2度の再発と5度の手術、がんを発症していたことについて昨年11月に公表し、現在もがんの治療を行いながら、仕事を続けておられるとのことであります。
 高橋進・株式会社日本総合研究所理事長においては、経済・財政に高い識見を有し、経済財政諮問会議の民間有識者議員でもあります。また本年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」の取りまとめを行った同会議の有識者議員を務めていただいたところでもあります。
 武田洋子・株式会社三菱総合研究所施策・経済研究センター副センター長、チーフエコノミストでありますが、エコノミストとして内外経済分析を担当され、財政制度審議会財政制度分科会臨時委員なども務めておられます。
 金丸恭文・フューチャー株式会社代表取締役会長兼社長グループCEOにおかれては、厚生労働省の「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」の懇談会の座長として、技術革新を踏まえた働き方の多様化に関する議論を主導されたところであります。
 また、田中弘樹・株式会社イトーヨーカ堂人事室総括マネージャーは、株式会社イトーヨーカ堂は、パートタイム労働者の活躍に熱心な企業であります。家庭の事情など個人のニーズに合わせて多様な働き方を選べる人事制度を構築し、パートタイム労働者活躍推進企業表彰最優良賞を受賞されており、同氏はこの人事制度の担当者であります。
 新屋和代・株式会社りそなホールディングス執行役人材サービス部長は、同銀行は、同一労働同一賃金の導入のリーディング・カンパニーであります。雇用形態にかかわらず、同じランクで同じ業務であれば、時給に換算すると同じ給料を支払う仕組みを導入されております。同氏はこの人事制度の担当者であります。
 岡崎瑞穂・株式会社オーザック専務取締役は、株式会社オーザックは広島県でロープの端末の金具等を製造する中小企業でありますが、同氏は社員の定着率を高めるため、社員各自が工夫できるよう会社全体の仕事を見える化、多能工化を推進することで生産性を向上させ時間外労働を従来の3分の1に減らした、という取組をされております。
 年度内を目途に具体的な実行計画を取りまとめるべく、第1回の実現会議は今月中に開催する予定であります。
 テーマについては、民間議員の皆さんの意見も伺って決めていくこととしておりますが、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現、高齢者の就労機会の提供のほか、柔軟な働き方や女性が活躍しやすい環境整備、人材育成、病気治療などと仕事の両立といった幅広い観点も含めて、検討を進めていきたいと思っております。
 私の方からは以上であります。

2.質疑応答

(問)日本経済新聞の三木です。
 働き方改革の実現会議のメンバーについて、質問させていただきます。
 今回、労使の代表として経団連、連合、日本商工会議所、先ほども御案内になった中小企業団体中央会のこのトップの方々が参加されていますけれども、改めてこの労使のトップの方々を、このように複数お呼びになった狙いと、このメンバーとしては、政労使会議がこれまでに安倍政権で開かれていたと思いますけれども、そのときにもこの方々が集まっておられまして、そのときには総理の方から賃上げの要請などがありましたが、今回もこの方々を同じところにお集めになって、総理の意向というところも伝えたいというような狙いがあるのでしょうか。
(答)今回のまず「働き方改革実現会議」でありますけれども、ここでは複数の省庁をまたがる、また、なかなか難しい問題を課題として扱っていただくということで、むしろレベルを上げて、総理自らが議長になっていただいて取り組んでいくということでありまして、その決意は先般、総理からも述べられているところでありますので、したがって、この会議においては、総理のリーダーシップで一元的にこの働き方改革を議論して、「働き方改革実行計画」を取りまとめるということでありますから、それにふさわしいメンバー、それを念頭に置いたメンバーということで、それぞれの方にお入りいただいているということであります。
(問)朝日新聞の高橋といいます。
 改めてになるのですが、政府は成長と分配の好循環を掲げています。今回の「働き方改革の実現会議」で、どのような議論とか成果を通して、そうした成長と分配の好循環につなげていきたいとお考えか、改めてお聞かせください。
(答)一つは、元々の「ニッポン一億総活躍プラン」の中において、強い経済、それから子育て支援と社会保障、こういう三つの柱を立てて、強い経済を作ることによって、そこから生まれた成長の果実で、子育て支援や、あるいは介護を始めとした社会保障の基盤を、より充実していく。
 それを通じて様々な事情で働きたいという希望を有しながらも働けない方々などが働くことができる。そうしたことで、労働力が増加していく。あるいは様々な方が入ることで生産性も上がっていく。更にそうした強い動きを見ながら、投資の拡大や消費の拡大、それがまた強い経済をと、こういう循環をこのプランの中では申し上げたわけでありますけれども、それぞれ三つの分野について、この働き方改革はそれぞれに関わっていくわけであります。
 強い経済をつくっていくという意味においても働き方、生産性をどう上げていくかということ、あるいは子育て支援や社会保障についていえば、例えば育児をしながら働く、あるいは介護をしながら働く、そういった、ある意味においても働き方と全てが絡んでいく、横断的な課題だという位置付けをして、あのプランの中でも最初に働き方をまとめさせていただいて、それをより具体的に実現していこうというのが、今回の会議でありまして、そうしたことを通じて、正にプランで申し上げた成長と分配、この循環に大きく資するというのが、この働き方改革だと考えております。
(問)朝日新聞の澤路といいます。
 一番最初の質問とも関連するのですが、労使の代表だけではなくて、樋口先生と岩村先生が入られていて、労政審の会長だけではなく分科会の会長まで入るという、事実上、労政審の主要なメンバーが入っているわけですけれども、これはやはり今まで厚労省、労政審のレベルでは、長時間労働の是正であるとか、非正規の処遇改善が進んでこなかったので、先ほど大臣がおっしゃったように、首相のリーダーシップの下で、強く進めると、そういう意思の表れであると理解してよろしいのでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたように、主としては、厚労省でありますけれども、他省庁にもまたがる話でありますし、今御指摘のあるように、なかなか進んでこなかったという意味においても、なかなか困難な課題でありますから、やはりそこは総理自らが先頭に立って、この問題に取り組んでいくということで、この改革実現会議を立ち上げて自らが議長を務めておられると、そしてそのメンバーにおいても、それぞれの代表に入っていただく。あるいは、今お話があったお二人の方についても、それぞれの立場ということもありますけれども、その立場になられているということは、そうした労働法等について精通されているということ。そういったことで入っていただいているということでありまして、ここで、これから議論していただくわけでありますので、ここにおいても具体的に先ほど申し上げた、ある程度の考え方というのは、プランの中で示して、それを具体的に進んでいく。したがって法制度の具体的な内容についても、当然議論がなされていくのだろうと思います。
 ただ、その結果において、労政審との関係をどうするかというところは、またその内容を見ながら、労政審における取扱いということも検討していくと、そういうことになると思いますけれども、まずはここで大きな具体的な中身も含めて、総理の下で、そうした方々にも入っていただいて、来年の3月末までに一つの結論を出していきたいと、こう思います。
(問)NHKの伏見です。
 大臣、重ねてになりますが、こういうメンバーを選んだ理由もあるかと思うのですけれども、この会議をどういう場にしたいかというのを改めてお聞かせいただければと思うのですけれども、どういうことを目指したいかということです。
(答)目指すところは、先ほど申し上げた、この働き方改革の実行計画を策定するということでありますし、その中においては、法制度の具体的な内容も含め議論された、その結果が盛り込んでいかれることになると思います。
 今回のメンバーは、先ほどあった労使のそれぞれの代表、それからそうした部門に詳しい有識者の方、加えて現場感覚を持った方々、そうした多方面の方、もちろん関係大臣に入っていただいて、今申し上げた議論をしっかりと深めて答えを出していくと、こういうことにしていきたいと思います。
(問)細かいことで恐縮なのですけれども、一億総活躍国民会議の場合は、総理大臣決裁という形で設置根拠を置いていたかと思うのですけれども、今回、会議の設置根拠というのはどういうふうになっていますか。
(答)一緒ということで、今、手続を進めているところであります。

(以上)