加藤内閣府特命担当大臣初閣議後記者会見要旨 平成28年8月3日

(平成28年8月3日(水) 20:12~20:35  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 このたび、内閣の担当大臣といたしまして一億総活躍担当、働き方改革担当、女性活躍担当、再チャレンジ担当、拉致問題担当、そして内閣府特命担当大臣として少子化対策、男女共同参画を担当することになりました。一部は引き続きということでございますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 冒頭、私の方から、こうした問題に対する取組についての思いを述べさせていただきたいと思います。
 まず、一億総活躍でありますけれども、6月2日に「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定いたしました。正にこれを具体的に実現していくそのための段階へと入ったわけであります。
 また、アベノミクスの成果を、子育て支援、介護など社会保障の充実に活用し、またそれが次なる成長を確かなものにするという「成長と分配の好循環」をつくりあげ、我が国の構造的課題であります少子高齢化そして人口減少、こういった問題に正面から取り組んでいきたいと思っております。
 「名目GDP600兆円」・「希望出生率1.8」・「介護離職ゼロ」という具体的な目標に向けて、全ての方が活躍できる社会の実現に向けて、政府内の連携を深めながら、その推進役として全力で取り組んでいきたいと思っております。
 また、このたび新たに働き方改革担当大臣ということも任ぜられたところであります。総理もおっしゃっておりますように、一億総活躍に向けての最大のチャレンジが働き方改革であります。多様な働き方を可能にするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避していく、こういう観点にも立って、「成長と分配の好循環」を実現していくため、働き方改革に重点を置いて進めていきたいと思っております。
 総理からは、そのため、先ほど記者会見でもお話がございましたが、「働き方改革実現会議」、これを設置し、具体的で包括的な「働き方改革実行計画」を年度内を目途に取りまとめるようにと指示を頂いたところであります。
 具体的には、同一労働同一賃金や長時間労働の是正といった課題に加えて、高齢者の就労機会の提供や拡充、またテレワークなど柔軟な働き方の推進、こうした問題、こうした課題について広い観点から検討を行うように御指示を頂いたところであります。
 厚生労働大臣とはよく連携を図りつつ、実行計画の取りまとめに向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。
 また、再チャレンジについては、何度でもチャレンジできる社会の構築に向けて、引き続き関係省庁と連携しつつ、必要な取組をしてまいりたいと思います。
 拉致問題についてでありますけれども、残念ながら私が担っておりました10か月間でありますけれども、拉致問題については進展することがございませんでした。この問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関する重大な問題であり、人道・人権上の由々しき問題だと、安倍政権としても最優先の課題として取り組むべき課題であると認識をしておりまして、また、拉致被害者、そして拉致被害者の御家族の皆さん方も高齢化が進んでおります。そうした状況を見ますと、本当に一刻の猶予も許されない、こういう思いで、「対話と圧力」、「行動対行動」の原則を貫き、また、関係省庁とも緊密に連携をしつつ、政府一体として、全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現に向けて、全力で取り組んでいきたいと思っております。
 また、少子化対策でありますけれども、「希望出生率1.8」の実現に向けて、結婚や出産の希望をかなえる環境整備を進めていく必要があります。結婚から妊娠、出産、子育てまで切れ目のない支援に着実に取り組んでいきたいと思います。
 また、子ども・子育て支援については、企業主導型保育事業の活用などにより待機児童の解消を図っていきたいと思っております。また、保育士等の処遇改善、また、さらには、いわゆる残された0.3兆円の財源の確保を含めて幼児期の教育・保育、子育て支援の充実に全力で取り組んでいきたいと思います。
 また、子供の貧困対策については、家庭の経済事情によって子供たちの未来が閉ざされることがないよう、「未来への投資」として、その取組を充実させていきたいと思っております。特に、国民や企業の皆さんの幅広い理解と協力の下、「子供の未来応援国民運動」に取り組んでいくとともに、地方公共団体の取組への支援も進めてまいりたいと思います。
 また、青少年育成支援については、「子供・若者育成支援推進大綱」に基づく各種施策を総合的に推進するとともに、青年国際交流事業などの各種事業にも、積極的に取り組んでいきたいと思います。
 また、障害者施策については、全ての国民が障害の有無にかかわらず、お互いの人格と個性を尊重し合いながら共生できる社会を目指し、関連施策を総合的・計画的に推進するとともに、「障害者差別解消法」の周知・啓発などにも取り組んでいきたいと思っております。
 また、交通安全対策等の推進にも引き続き取り組んでまいります。
 また、男女共同参画、すべての女性が輝く社会づくりに関しては、「すべての女性が輝く社会」の実現は、一億総活躍社会の中核であります。
 すべての女性が、自らの希望に応じて、家庭・地域・職場といったそれぞれの場において、その個性と能力を十分に発揮し、輝くことができる社会の実現を目指してまいります。
 昨年末に閣議決定されました第4次男女共同参画基本計画に基づき、長時間勤務や転勤が当然とされている男性中心の働き方などを前提とする労働慣行等の変革に取り組んでまいります。また、「女性活躍推進法」の着実な施行等により、女性の積極的な採用・登用や、将来指導的地位に登用される候補者層を増やす取組、ワーク・ライフ・バランスの実現のための取組を進めていきたいと思います。
 最後に、成年後見制度の利用促進でありますけれども、成年後見制度の利用の促進に関する法律が、本年4月8日に成立し、5月13日に施行されております。
 同法などに基づいて、内閣府においても、成年後見制度利用促進委員会事務局等が発足をいたしました。現在、閣僚から構成される成年後見制度利用促進会議及び有識者から構成される成年後見制度利用促進委員会の開催に向けて準備を進めております。
 今後は、同委員会での議論を進め、成年後見制度利用促進基本計画の策定などに向けた検討を進めていきたいと考えております。
 こうした一つ一つ、大変重要な政策課題であります。新たな気持ちで身の引き締まる思いで取り組んでいきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の田中です。
 新しく担当についた働き方改革についてなのですけれども、今まで安倍政権で、一億総活躍や地方創生といった課題に対しては、内閣府に担当大臣を置いたり、会議体を置いたりして横串を刺すということは非常に分かりやすかったのですけれども、今回、働き方改革というのは、今までは厚生労働省の中で関係する法律や政労使などの会議があったわけで、今回、働き方改革というのを、新しく担当大臣を設けられたというそこの意義についてはどう考えていらっしゃるのでしょうか。
(答)働き方改革そのものは、「ニッポン一億総活躍プラン」の中にも盛り込まれているわけでありますし、特に強い経済、また子育て支援あるいは社会保障と、こういう三つの矢に係る横断的な課題であるというふうに位置付けられているわけでありまして、そういった意味で、そうした議論を更に一歩、二歩進めてより具体的な議論に入っていく部分についてですね、引き続きこうした視点に立って進めていくということで新たに担当大臣が設けられたというふうに理解をしております。
 また、その中で、先ほど申し上げましたけれども、「働き方改革実現会議」、これを設置していく、これはかなり各省庁にまたがる議論になっていくと思いますし、まずその中で実行計画も年度内に取りまとめていくということであります。ただ、かなりの部分は塩崎厚生労働大臣の所掌に係る部分でありますから、そこはよく連携をさせていただきながら、総理の指示に沿って対応できるようにしていきたいと思っております。
(問)NHKの伏見と申します。
 今のお話のあった「働き方改革実現会議」と年度内に策定する実行計画についてお尋ねしたいのですけども、実現会議ではどうしたことをテーマに話し合いされたいかと、また、具体的に有識者等も含めたどんなメンバーを想定されているのかと。
 あとは年度内ということなのですけども、具体的にどういったスケジュール感をお持ちなのかと。一億総活躍国民会議も開かれて、同じようなものかと受けとめてはいるのですけども、改めてお聞かせいただければと思います。
(答)具体的な中身については先ほど申し上げましたけれども、同一労働同一賃金や長時間労働の是正といった課題、加えて高齢者の就労機会の提供、テレワークなど柔軟な働き方の推進、さらには、御発言の中で最低賃金の話も総理は言っておられたと思います。そういった課題について、広い観点から検討していくということであります。
 メンバーについては、これから検討していかなければならないというふうに思いますけれども、構成的には、関係する大臣に加えて有識者の方に入っていただくということになっていくのだろうと思っております。
 それから、年度内のという意味は、年度内を目途にということでありますから、それに沿って議論を深めていきたいと思います。
(問)朝日新聞の末崎と申します。
 働き方改革に関連してですが、今、実現会議のメンバー選定については各省庁にまたがって有識者もということですが、労働組合の代表、あるいは使用者側の代表がそのメンバーに加わる可能性というのはあるのでしょうか。
(答)各省庁にまたがるというのは、各関係する大臣にという意味で申し上げたのですが、あと有識者のメンバーについてどうするのかはこれから議論していきたいと思います。
(問)今の時点では白紙ということですか。
(答)そうですね。今の状況で言えることは、関係する大臣と有識者から成る会議体になるのではないかと、こういうふうに考えております。
(問)毎日新聞の阿部と申します。
 働き方改革なのですけれども、既に一億プランではメニューがありまして、大まかなスケジュール感も出ていると思います。これは改めて弾込めみたいな話にもなるのか、それとも一億プランのあくまでも詳細なスケジュール管理になるのか、ここら辺のめどというのはどうなのでしょうか。
(答)一億プランの中にもかなり触れているものもあります。それから、「働き方改革実行計画」ということでありましたから、正にこれをどう具体的に実行していくという意味において、更に踏み込んだ中身になっていくというふうに思いますが、ただ議論の中では、先ほど申し上げたものに加えて、さらにもう少し幅広い議論も行われていくということもあるのだろうと思います。
 したがって、先ほど申し上げた具体的でかつ包括的なという部分は、そういうことも念頭に置いて申し上げたところであります。
(問)時事通信の中山です。
 先ほど総理が会見で、同一労働同一賃金に関して年内をめどにガイドラインの作成を、というふうに表明されたのですが、これまでプランの中では18年度までにというふうに設定されたかと思うのですが、それは前倒しということでよろしいのでしょうか。
(答)すみません、ちょっと私は直接聞いていなかったので恐縮ですけれども、総理が年内を目途にガイドラインを策定し、ということをおっしゃっておるのであれば、それに沿って対応していくということであります。
 今、実際、専門家の検討している場においても、逐次議論を深めていただいているというふうに承知をしております。
(問)かなり前倒しで短期間の間に出さなければいけないということになると思うのですけど、関係者の理解というのはどのように得ていく考えでしょうか。
(答)ですから、ガイドラインを進めていく中で理念的なところに対してはかなりの方の理解は進んでいると思いますけれども、ただ具体的にそれがどうなっていくのかということが、特に企業の経営者の皆さん方、あるいは働く方々からすると大変関心があるわけなので、それを今、一つ一つ議論を進めていきながら、いわばそれを通じて具体的なコンセンサスを図っていくということなのだろうと思います。
(問)読売新聞の有泉と申します。
 働き方改革を進めるに当たって、先ほど実現会議を今後つくっていくということでしたが、そうしますと事務方の組織というのが今後必要になってくるかと思いますけれども、これまで一億総活躍の方では一億総活躍推進室というのがあって、プランの取りまとめの事務方としてやってきたわけですけれども、今後は新しく別の何か室を設置するのでしょうか。それとも一億総活躍推進室を拡充するといいますか、新たな業務をつけ加えるというような形になるのでしょうか。その辺のイメージをお聞かせください。
(答)まだ、正直言って事務体制をどうするかということまで、具体的に決めているところではありません。ただ、これを進めていくためには当然、事務的な対応、特に会議を設置して運営をしていくということ、また内容についても詰めていくということにおいては、事務的な体制をつくっていくということは必要であろうと思っていますが、ただ具体的にどういう形でそれをつくるのかについては早急に検討していきたいと思います。
(問)産経新聞の桑原です。
 2問ありますが、最初の方ですけれども、自民党の方でも働き方改革について特命委員会を設置すると茂木政調会長が表明されていますが、どのように連携していくかということと。
 また、別件ですけれども、今日、北朝鮮が日本のEEZ内に弾道ミサイルを落としたのですけれども、これが落ちたことによる拉致問題への影響について教えてください。
(答)一つは、茂木政調会長が自民党の中にそういった特命委員会をおつくりになられるという話は、承知しております。いずれにしても、こういう大変な一つのチャレンジでありますから、よく与党とも連携を取りながら議論を深めていきたいと思っております。
 それから、北朝鮮のミサイルの関係でありますけれども、これに対しては官房長官から基本的にお話しになっていると思います。
 拉致の問題に関して申し上げれば、先ほど申し上げましたけれども、こうした北朝鮮の弾道ミサイル発射というのは、これまで我が国からも厳しく指摘をしてきたところでありまして、そうした対応と並行して、拉致の問題に関しては、先ほど申し上げた「行動対行動」、「対話と圧力」のこの原則にのっとって具体的な行動を引き出していくべく、更に努力をしていきたいと思っています。
(問)基本的に別ということでしょうか。
(答)いや、別ということではありませんけれども、これまでもそれぞれ並行してやってきているわけでありますから、これまでの対応と大きく変わるものはないと思います。
(問)NHKの伏見です。
 働き方改革について、追加でお聞かせいただきたいのですけれども、一億総活躍プランに幅広い働き方改革のメニューが書かれていたかと思うのですけども、例えば解雇規制であったりだとか、ホワイトカラーエグゼンプションであったりだとか、ややもすれば労働者というよりも企業経営者側にとって有利な制度ではないかと捉えられるような議論も、安倍政権としてはこれまでも進めてきた部分はあるかと思うのですけれども、こういった大きく二つに分けるわけにはいかないかもしれないですけれども、こうしたカテゴリーの働き方改革というか、雇用改革についても着手するといいますか、大臣の下で議論を進めるお考えはあるのでしょうか。
(答)今の議論というのは、今、国会に政府が提出している労働基準法改正の中身にも幾つか盛り込まれ、ホワイトカラーエグゼンプションではありませんけれども盛り込まれていると思いますし、そうした対応は必要なものということで提出をさせていただいています。ですから、その法案は今、国会に提出させていただいて、確か、今日の本会議でも閉会中審査の対象にもなっていたというふうに理解をしておりますので、それは国会で議論していただくということになろうかと思います。
 その上で、今ここでどういう議論をしていくのかということに対しては、先ほど申し上げたことが中心になりながら議論をしていくことになるのだろうと思います。
(問)もう1点だけお願いします。細かくて恐縮なのですけど、先ほど御紹介があった同一労働同一賃金の厚労省と一億室で共同設置になっている検討会、こちらもこちら側の議論が進んでいるかと思うのですけど、それとの今度の新しい会議体とのすみ分けはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
(答)そこでの議論もお聞きしながら進めていくということになるのだろうというふうに思いますけれども、会議体そのものもまだ具体的に設置をしているわけではありませんので、断定的なことは申し上げられませんけれども、当然、今、議論も進めていただいていますから、その議論もしっかり踏まえながら、ここの会議体において、また実行計画の策定に向けて、そうしたものを議論していきたい、検討していただきたいと、こう思います。

(以上)