山本内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見要旨 平成29年8月3日

(平成29年8月3日(木) 12:11~12:22  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 最初にこの1年を振り返って、ちょっと申し上げます。
 先ほどの臨時閣議で辞表の取りまとめが行われました。昨年8月に地方創生、まち・ひと・しごと創生、地方分権、規制改革、行政改革、国家公務員制度、国立公文書館、公文書管理、公益認定委員会、特定秘密保護管理等、多岐にわたる分野を担当する国務大臣に就任しまして、ちょうど1年が経ちました。この1年間を振り返りますと、地方創生とは地方の平均所得を上げることだと分かりやすく定義して、推進してまいりました。この間、46都道府県、144市町村、303か所と、全国津々浦々を巡り、多様な地方創生の取組や課題を見てまいりました。私は地方創生担当大臣として、政府の先頭に立って、ローカルアベノミクスの一層の推進や地方大学の振興及び東京における大学の新増設の抑制といった大学改革の推進等のための施策を「まち・ひと・しごと創生総合戦略2016改訂版」や、「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」に盛り込むなど、本格的な事業展開の段階に入った地方創生を加速化し、新展開を図る一定の役目を果たせたと思っております。
 国家戦略特区を担当する大臣としては、任期中、合計8回の特区諮問会議、31回の区域会議などを通じて、外国人材の受け入れ、インバウンドの推進、農業などの分野において、14の規制改革を実現いたしました。特に国内外の滞在ニーズの高まりに即応して、特区民泊の最低利用日数を二泊三日に引き下げたことは、内外の旅行客の受け入れの増大につながり、大きな成果だったと考えております。
 こうした改革の集大成として、さきの通常国会でサンドボックス制度や農業外国人材の受け入れ、小規模保育事業の対象年齢拡大などを盛り込んだ改正国家戦略特区法の成立にこぎつけました。
 また、獣医学部の新設という52年ぶりとなる規制改革を実現したことは、革新的医薬品の開発、越境感染症への対策の強化、産業動物獣医師の不足といった新たなニーズや社会的要請に応えるものであると確信しております。
 地方分権については、今年の通常国会において、地方からの分権提案を踏まえ、指定都市等への権限移譲、地方に係る規制の見直し等を行う第7次地方分権一括法を整備したところであります。
 今年の提案募集においては、昨年を上回る311件の提案をいただいており、次の担当大臣においても地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方分権改革を着実かつ強力に推進していくことを期待しております。
 規制改革については、大臣就任後、規制改革推進会議を即座に立ち上げ、委員の皆様に活発に御議論いただきながら、民泊制度の具体化や農業改革、介護保険内外サービスの柔軟な組み合わせを促すルールづくり、事業者目線での行政手続コストの削減など、様々な重要な分野の規制改革に取り組みました。規制改革に終わりはありません。アベノミクスの新・三本の矢の中でも特に重要な役割を担っており、さらなる改革の具体化に取り組んでいただきたいと思っております。
 公文書管理については、さきの国会でも様々な議論があり、ガイドラインの年内の見直し等、各府省における公文書の管理の質を高めるための取組を進めており、着実に具体化を図っていただきたいと思っております。
 また、新たな国立公文書館の建設地について、本年4月、衆議院の議員運営委員会において、国会前庭に御決定いただきました。我が国の歩みをたどれる重要な公文書を後世に残していくための基盤であり、完成を大いに期待しているところであります。
 また、行政改革担当大臣としては、就任当初から証拠に基づく政策立案、すなわちEBPMの推進とGDPを初めとする統計の改革を提唱してまいりました。私の提案に基づき、統計改革推進会議が開催され、EBPM推進体制の構築や生産面を中心にしたGDPの実現への道筋をつけることができました。今後とも政府を挙げて、EBPMの推進と統計の改革にしっかりと取り組んでもらいたいと考えております。
 最後に在任中には国家公務員の再就職に関して、国民の信頼が揺るがされるような事案が露見し、国家公務員制度担当大臣として、徹底的な全省庁調査の実施や再発防止策を取りまとめました。今後、このような事態が生じないよう、しっかりと取り組んでいただきたいと考えております。
 1年間という限られた期間でありましたが、皆様には御指導、御鞭撻をいただき、感謝申し上げます。ありがとうございました。
 以上です。

2.質疑応答

(問)獣医学部新設をめぐる問題は普通の市民感覚でいうと疑惑は解明されていないと思います。このタイミングで離任することをどう思いますか。
(答)私どもはきちっとした手続、ルール、ワーキンググループの民間委員の審議、そして分科会、区域会議、諮問会議という手続をきちっととってやってまいりました。そういうことについて、国民の皆様方の十分な理解が得られていないということは大変残念でありますが、そういう形でやっていくものであって、いろいろな私的な感情等が入るような制度にはなっていないんだということを改めてしっかりと説明する必要があると思っております。そういう意味では、私なりにそれを説明し、理解を求めてきたところでありますが、後任の大臣にもしっかりそれを踏まえて、引き続き国民の理解が深まるように頑張ってもらいたいというふうに思います。
(問)大臣、お疲れさまでした。最後に2点お伺いさせていただきます。
 獣医学部の問題なんですが、今回の獣医学部の学部建設についてなんですけれども、設計の依頼が、加計グループのSID創研というところが設計を受注していまして、補助金が加計学園側に流れる形になっているんですが、このような契約は特区の透明性を守るという意味でふさわしいと言えるのかどうか、まずこの点をお願いできますか。
(答)そこは私どもが直接関与するようなところではないと思います。まず今治市、そして、その事業主体がどういうふうにやっていくかの判断でありまして、ただ、それは文科省が一定のルールを決めているとすれば、それに従わなければいけないということでありまして、そういうことをきちっと今治市、そして、事業者の方で判断してやってもらう話だと思います。
(問)特区の所管官庁の長としてこういう契約の形態というのは、どう御自身で思われるか。
(答)特区というのは、制度を改革するということを決めるわけでありまして、そこから先のことについては、次の所管省庁なりのルールに従ってやるということだと思います。
(問)大臣、先ほども質問がありましたけれども、これまでいろいろこの問題を説明していただく中で、挙証責任とか需給曲線、自由競争、市場原理、こういった論の話が非常に御説明で多くて、残念ながらエビデンスで示すパターンがかなり少なかったなという印象を受けているんですけれども、論より証拠という言葉がありますけれども、大臣御自身、この間、説明責任というのは十分果たせることができたとお考えでしょうか。
(答)私はそう思っています。挙証責任というのは決して揺るがしてはならない大原則でありまして、規制監督省庁がその規制が正当でないと判断する場合には、自分のところがしっかりとその理由を適切に示さなければいけない。それができなければ、その規制はもう外すんだということになるわけでありまして、そこを揺るがしていたら、あらゆる規制改革はできません。規制を緩和してくれと言っているようなところに挙証責任を求めたら、規制監督省庁に勝つわけないんですから、そういう意味では、この原則は私は絶対にちゃんとしなければいけないし、そのことについて、ちゃんと説明するのは規制監督省庁である文科省の責任だとはっきり思っています。
 それにプラスして、私どもは内閣府としての、例えば4条件などについて、きちんと説明していると思います。余り説明し過ぎで長過ぎるというような批判を受けたりもしましたけれども、説明しろと言われれば、幾らでもやります。それなりにやってきたというふうに思っています。
(問)先ほど今、説明を果たせたというようなお話だと思うんですけれども、総理の信頼の厚い衛藤補佐官が、隠蔽体質や公私混同による甘さがあったという指摘も出ています。それでもやはり大臣としてはちゃんと説明責任を果たせたという認識でしょうか。
(答)私は一切この件について、総理とも話したこともないし、指示を受けたこともないし、きちっとこれはルールに基づいてやらなければいけないということでやってきましたので、衛藤さんが何を言っておられるか知りませんが、必要があれば、私もしっかりと説明していきたいと思います。ちゃんとやってきたという自負を持っております。
(問)本日、新しい内閣がこの後、発足ということで、今日午前中には新しい自民党の役員も正式に決まりました。それで、大臣が所属する岸田派の派閥の長であります岸田文雄さんが政調会長になられたということや、また、新しい内閣改造の布陣もあらかた固まってきたと思いますけれども、その点は大臣、どのように御覧になっていますか。
(答)岸田会長が政調会長に就任されたことは非常に喜ばしい、極めて大きな意義があると感じております。党の幹部として、しっかりと力を蓄えていただきたいし、また、今、非常に政策面でリードするということが大事なときでありますので、これは外交、防衛のみならず、経済政策においても是非リーダーシップを発揮してもらいたい。私どもも全面的に協力して頑張ってもらいたいなと、大きく将来成長してもらうようになってもらいたいと思います。
 新しい組閣の顔ぶれはそれぞれ専門的な人材を、重厚な人材を配置していると思いますので、大いに期待しております。是非この内閣で挙げてきた実績というのは、経済面でもこれだけ雇用状況がよくなってきた、あるいは地方の経済も元気を取り戻してきた、そして、外交面ではTPP、EPAを初め着実な成果を出しているわけで、4年前のことを考えれば、もう町を歩いていても様変わりだというふうに思っておりまして、これを一層加速化してもらいたいと、そういうことができる内閣だと思っております。私も今度は党の方で、また改めてそれを支えていきたいなと思っております。
 どうもありがとうございます。お世話になりました。

(以上)