山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年8月1日

(平成29年8月1日(火) 10:28~10:53  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 本日は2件報告がございます。
 1件目は、本日午前、各省のEBPM責任者が一堂に会する「EBPM推進委員会」の初会合を開催いたします。限られた資源を有効に活用し、国民から一層信頼される行政の推進は極めて重要な課題であり、証拠に基づく政策立案、すなわちEBPMを推進していくことが必要であります。
 私は昨年8月の大臣就任以来、EBPMの推進に先頭に立って取り組んできたところであり、これは今年の「骨太の方針」にも盛り込まれた政府の重要方針となりました。本日のEBPM推進委員会には私も出席し、冒頭、この委員会の発足によりEBPMが実行段階に入ることをいわば宣言する予定であります。本委員会がEBPM推進のエンジンとなり、政府におけるEBPMの定着と発展が図られることを期待しております。
 次に、2件目でございます。
 国立公文書館では、お手元の資料にもありますように、9月9日土曜日まで企画展「ふしぎなふしぎな百人一首」を開催しております。今回の企画展では、カルタ大会でおなじみの百人一首について、その成立の経緯や和歌の選定理由といった様々な不思議にまつわる資料を展示し、百人一首の歴史と文化を丁寧に紹介しています。夏休み期間中のため、タブレットを用いた子供向け展示解説など子供から大人まで楽しめるような趣向をこらしているとのことでありますので、是非親子で御一緒に見に行っていただければと思っております。本日私も見てまいる予定でありますが、メディアの皆さんにも是非、国立公文書館に足をお運びいただければと思っておるところであります。
 なお、期間中の8月8日火曜日から8月15日火曜日にかけては、特別に終戦の詔書の原本の展示が行われます。
 いずれも詳細については事務局にお問い合わせください。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今年度は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中間年に当たると思うんですけれども、これまでを振り返って今後の取組にどのようなことが必要だとお考えでしょうか、教えてください。
(答)御指摘のように、平成29年度は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中間年に当たることでございますので、地方創生を加速化するための新たな取組を行い、地方創生の進展を図ることとしているところであります。
 具体的には、6月9日に閣議決定いたしました「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」に基づき、ローカルアベノミクスの一層の推進として、空き店舗の活用等による商業の活性化、それから東京一極集中の是正として、地方大学の振興や東京における大学の新増設の抑制、地方における若者の雇用機会の創出、そして中央省庁のサテライトオフィスの推進等の取組を進めてまいりたいと考えております。
 併せて、今後とも意欲と熱意のある地方公共団体に対しては情報支援、人材支援、財政支援の「地方創生版・三本の矢」で強力に支援してまいりたいと考えているところであります。
(問)昨年8月3日に改造内閣が発足してから間もなく1年になります。山本大臣、この1年間で達成したことはどのようなことでしょうか、改めて教えてください。また、まだ達成できていないことがあれば、これも教えてください。
(答)おっしゃるように、昨年の8月3日就任して以来、ほぼ1年経ちました。私としては、当初考えていたことについて全力を挙げて取り組み、達成できたこともかなりあったというふうに思っております。
 まず、地方創生の分野では、46都道府県144市町村303カ所の取組を見て回り、現場の取組状況、そして課題等をしっかりと見て、またそれを政策に反映するということでやってまいりました。
 地方を見て回りますと、かなり地方のやる気が出てきていると実感をいたしました。私は地方創生というのは、地方の平均所得を上げることだと、稼ぐことで、そのためには自助の精神が必要だということを強く訴えてまいりましたけれども、そうしたことがかなり浸透してきていて、頑張って成果を上げているところが増えているというように実感して、大変うれしく思っています。地方全体の景況感を見ても、多くのところで上向いておりますし、ようやくアベノミクスが地方に浸透してきているという実感を持っているところであります。
 また、規制改革の面でも、全農改革等を含めて、あるいは行政手続等を含めて改革を進めてまいりましたし、また国家戦略特区においても重点6分野でいろいろな改革を進めることができたと思っています。
 それから、もう一つ私が是非やりたかったのが、今日のEBPMの取組、そしてEBPMに絡む統計改革でありまして、これも全面的な統計改革、そしてEBPM推進体制の確立ということが実現できたというように大変うれしく思っているところであります。
 特に統計改革は、余り一般になかなか理解されないものなんですけれども、実は、戦後初めてと言っていいくらいの大改革に取り組むことになりました。つまり、GDP統計を全面的に見直すということになります。
 これまでの日本のGDP統計は支出面から見ていったわけでありますけれども、これを世界標準の生産面に全部やり直すということで、より正確なGDP統計になっていくと思います。そのことによって、ぐらぐらに揺らいでいた日本の統計のスキームが世界標準にようやく近づけるのではないかと思って、今やらなかったら大変なことになると思っておりましたので、それができたことを大変うれしく思います。
 それからまた、国立公文書館の場所も決まったりいたしましたし、また、政府機関の移転については文化庁の移転、消費者庁の創造オフィス、統計局の和歌山の移転等も着実に進めてきているし、その他の研究機関、研修機関、美術館等の移転も進んできているというふうに思っています。
 まだそれぞれありますけれども、その意味では、手を付けたいと思ったことはしっかりやってきているつもりでありますし、今後の課題というのは、正に地方創生をいよいよ加速して、本当に地方の方が景気がいいというぐらいに持っていければなと思いますし、同時に、日本の地方を回って感じるのは、その地方の魅力というのがものすごくあるんだけれども、それが十分に開拓しきれていない、あるいは地方の方々がその宝の存在にまだ気が付いていない、そういう感じがしておりまして、そこをもっともっと開拓できれば、大いに地方は元気を持っていくのではないかと思います。
 ただ、同時に人口減少とか東京一極集中とかの問題もありますので、この点は十分にできなかったことは感じております。その東京一極集中のせいで今回新たな地方大学の振興と、それから23区の抑制ということで打ち出しましたけれども、これがどこまで成果になるか、これは少し長い時間を見ないと分かりませんけれども、根本は東京を原則抑制するということではなくて、地方の大学を振興し、地方に若者が雇用できるような魅力を持たせるということでありますので、そこはまだ道半ばという気がしております。
 1点、私、今一緒に回った秘書官と回ったところのことについて本にして、それを是非英語にして世界各国に知ってもらいたいなと思っているんです。
 これは個人的な経験でありますが、ボストンコンサルティンググループの大会がありまして、2,000人ぐらい世界中からパートナーたちが集まってきて、そこでこの地方創生の取組についての話をしましたら大変な反響がありまして、つまり、世界の人たちは日本の地方のことを知らないんですね。そんなに面白いことが日本の地方で起こっているのかということに気が付いて、それならそこにも行ってみたいし、あるいはそこにも投資しようかというような声が相当上がりまして、そういうことがこれからできればなというように思っているようなところであります。
 概略はそんな感じです。
(問)国家戦略特区の関係でお伺いします。先日の閉会中審査の中で総理が、国家戦略特区の制度に関連して、諮問会議での議事録などを公開している一方で、省庁間の交渉は第三者を交えず、議事も正確に取っているわけではない。その上で、運用についてしっかり考えないといけないというふうに述べて、この制度の改善の必要性について言及されたと思うんですけれども、大臣はこの点、制度の透明性を更に高めるためにこの点についてどのようにお考えか教えていただけますでしょうか。
(答)その点は総理の御指摘もありましたし、私どもも、これは是非前向きに考えていかなければいけないなと思っています。つまり、言った言わないというようなことで、一方が文書があれば、そっちが正しいかというと、文書があることと事の信憑性というのは直接の関係はないというふうに感じます。そういうことが起こらないように、やはり各省間のやりとりがあったときには、お互いにその議事録などの内容についてちゃんと確認し合って、それを残していくというような手続がこれから必要になるのかなというように思っていまして、できるだけそういう方向でこれから考えていきたいなというふうに思っています。
(問)今の点に関連してなんですけれども、その具体的に、例えば有識者の民間議員の方々が言われるような、ミニッツと言われるようなものを今後の省庁間の折衝の中では制度としてとっていくというふうな理解でよろしいでしょうか。
(答)どこまで制度化できるかですけれども、基本的な私どもの方向感というのはそういう感じです。外国などでも必ず会議などに際してミニッツというのを作って、それをお互いに確認し合って、それで初めて議事録という形で残していくんですね。そこまで全ての会議で全部できるかどうかはちょっと分からないところがありますが、大事なものについては、やはりそういう努力をしていくことは、今回のいろいろな問題を振り返りますと必要なのかなというふうな気はしておりまして、そういう方向での検討はやってみたいというふうに思っています。
(問)大臣、先程、文書は信憑性と関係ないという発言がありましたけれども、一般的に文書があるのとないのでは、ある方が信憑性が一般的に高いと思うんですが、大臣としてはその辺は如何お考えでしょうか。
(答)その文書が残っていることと内容の信憑性というのは、私は直接の関係はないというように思います。そこでは、いろんなことが起こってきますので、やはり当事者は自分の主張とか思い込みとかで不確実なことに言及し、それがそのまま文書に残ってしまったりすることがよくあるわけで、どちらが正しいか一概に言えないと。したがって、そこのところはこれからお互いに確認し合うという作業をすればそういうことはなくなりますので、そういう努力をこれから検討したいなというふうに思っています。
(問)関連しまして、一般的に内容次第だとは確かに思うんですけれども、蓋然性が高い内容である場合、明らかにメモがあるのとないのではどちらが信憑性が高いのかというと、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)いや、僕は、何度も言っているように、文書があるということと信憑性は直接の関係はないというふうに思います。
(問)先月28日、北九州の講演のことについてお伺いします。先程、自助精神という話もございましたが、ここで大臣、地方が稼がなければ駄目だと。その上で、稼ぐことに頑張ろうというところはどんどん応援し、そうじゃないところは応援しませんというような発言があったというふうに報道されております。過疎化など自治体の自力では解決し難い問題を抱えているような地域もありますが、そのように頑張りたくても頑張れないような地域はどうしたらよいとお考えでしょうか。
(答)これは、要するに稼ぐというのは、平均所得を上げることに自助の精神を発揮して頑張ることが地方創生の私の基本的な考え方ですよということはどこでも申し上げております。そして、自助の精神を発揮してそういう平均所得を上げるような取組、簡単に言えば稼ぐですが、取組に是非頑張ってもらいたいし、そういうことでなければ持続性がないので、それをしっかりやろうというところには応援しますよと、全くその気がないところは応援もできませんということは、どこでも申し上げております。
 それで、おっしゃったように、条件の厳しいところはたくさんあります。そういうところについては、我々は、まず情報面で支援をし、人材面でも支援しますから、是非相談してもらいたい。そして、そういう取組ができるようにお互いに協力していきましょうという方針でやっています。
 例えば、島根県の海士町は本当に厳しいところですよ。人口2,400人しかいない、正に財政も崩壊しかけたところで、しかし、町長が先頭に立ち、職員が一生懸命になり、住民も巻き込んで何とかしなきゃいかんということで取り組んで、CASという急速冷凍補助装置を入れることによって漁業が復活し、そして今度は教育に頑張り、なくなりそうになった高校を本土からの島留学という形で、むしろ社会的減少がなくなるというような、そういうことを頑張っているところがあるし、それから、北海道の天塩は、これはシティマネジャーという我々の地方創生人材支援制度で、これは外務省の外交官が行ったんですが、それまでは天塩には何もないとみんな思っていたわけです、天塩の人たちは。だけど、彼が行ってみると、そんなこと言ったって、シジミがちゃんと良いのがあるじゃないか、サケが取れるじゃないか、羊がいて、羊肉も取れるじゃないか。すると、彼は、これは活用できるよと。そして彼が、東京の一流のレストランのシェフとかを紹介して彼らが来て、そういうのを使いましょうというような形でやり出したら、天塩の人たちは、自分たちの何もないと思っていたところが、こんなことがあるんだということに気付いて、そして、よし、それじゃあ頑張ろうという気になってやっているわけでありまして、だから、そういう厳しいところについては是非我々は支援しますから相談してもらいたいと、そういうことを申し上げているところです。
(問)今の話、要するに、頑張れるように手を差し伸べると、公助も大事だというお話だと思うんですが、それであるならば、なぜそうじゃないところは応援しませんというような切り捨てるような冷たい言い方をされたんでしょうか。
(答)いやいや、そういう自分たちで何とかやりたいと、情報支援なり人材支援なりをしてもらいたいと、それも言ってこないようなところだと、我々は正に今回もやったサテライトオフィスなどをこれから全国にも派遣して、そういうことに気付いていないところには、こういうことがありますよと助言していきたいと思っていますけれども、それでも何もしないというようなところについては、これはもう我々はちょっと手が出せませんよということであります。
(問)御自身では失言ではないという認識ですか。
(答)私はもうそれが地方創生の原則だというふうに思っています。
(問)今日、安倍総理が自民党の役員会で、8月3日に内閣改造しますよという表明をされたということで、皆さんの内閣では今日の閣議後会見が最後になると思います。先程1年間振り返ってということでしたけど、1年間振り返っての率直な御感想と、あと加計学園をめぐる国会答弁とかもあったと思うんですけど、その御自身の対応と、あと、すみません、アベノミクスはこの1年間どうだったかという、経済性の大臣にちょっとその点も含めて簡潔にお伺いできればと思います。
(答)この一年は大変私は充実した一年だったと思います。全力を挙げて職務に専念し、そして皆さん協力していただいて、それなりの実績も上がってきたというふうに思います。特にアベノミクスについては、言い出しっぺの私が最終的に、アベノミクスの成功というのは、全国津々浦々にその成果が行き渡らなければ駄目だということは常々総理も申し上げていたところでありまして、その責任が私にもあると思っておりましたので、是非それを地方にその成果が進展するように、できるだけの努力をしてきたつもりでありますし、各地方どんどん回って頑張ってもらいたいと奮起を促し、そして最大限のできるところの支援はしてきたということで、それなりに地方が元気になっていくことを実感していますので、うれしく思っています。これをもっともっと本物にしていかなければいけないなというふうに思います。
 岩盤規制改革、それから規制改革については、私は徹底してやるんだという覚悟で臨みました。特に国家戦略特区と規制改革を1人の大臣が一緒に担当するのは初めてでありました。改革しなければ日本の将来は開けないんだと、アベノミクスの「第三の矢」である成長戦略がそれを目指したものなので、何も規制を改革しないで日本経済が元気を取り戻すことはあり得ないのでありまして、がんがんやるんだと腹を決めてやっておりましたので、その一環が今回の獣医学部の新設ということで、正に水際対策は本当に必要なところをやらなければいけないし、そしてライフサイエンスとかバイオ研究とか日本が一番遅れているようなところに対してしっかりとやっていくことは非常に大事だと思っています。
 そういう意味で、なかなか野党の皆さん方に理解が得られなかったことは大変残念でありますけれども、やはり既得権益だけを守るという姿勢だけでは私は日本は将来が開けないと思っておりますので、そこは批判があってもしっかりやらなければいけないと思って対応してきたつもりであります。
(問)自民党の総務部会に地域社会の担い手育成プロジェクトチームというのが先月ぐらいに立ち上がっていると思うんですけれども、地域社会の担い手というところで郵便局長に対する期待などを一言お願いいたします。
(答)地域社会の担い手の中の重要な位置は郵便局が担っていると思います。正に全国津々浦々なのに、これだけしっかりとした組織があって、いろんな住民の方々の相談にも乗り、そしてまた郵便から始まって、そして保険や金融まで御相談に乗れるというようなことは大変大事な役割で、是非その地域社会の担い手というか地方創生の担い手に私はなってもらいたいというふうに思っています。

(以上)