山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年7月18日

(平成29年7月18日(火) 10:19~10:40  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 本日は2件報告がございます。
 1件目は、オーストラリア国立公文書館(NAA)所蔵資料の受入れについてであります。
 日本とオーストラリアの両国間においては、両国の友好協力関係の醸成、発展のため、これまで様々な分野における取組が行われてきました。その一環として、このたびオーストラリア国立公文書館から、戦前の日系企業に関する記録について寄贈の申入れがあり、我が国の国立公文書館において受け入れることとなりました。我が国の国立公文書館が外国政府機関から資料の寄贈を受ける初めてのケースであり、日本への資料移送に関する覚書を、本日7月18日に作成する予定であります。
 海外に所在する日本に関する貴重な資料の受入れを進めていくことは、各国との交流を一層進める機会となることに加え、国立公文書館の所蔵資料や展示を一層充実させる契機となり得るという点で、非常に意義のあるものであり、私としては、こうした取組を通じて、国立公文書館が文書を通じて我が国の生きた歴史を感じられるような場となっていくことを期待しております。
 2件目であります。本日18日から明日19日にかけまして、地方創生に関し、地域における取組や地域のニーズ等を把握し、今後の取組に活かすべく、石川県小松市、加賀市、福井県鯖江市及び岐阜県八百津町、多治見市を視察いたします。いずれも詳細については事務局にお問い合わせください。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)獣医学部の関係で何点か教えてください。
 京産大が金曜日に会見して、応募を諦めた理由として、1月4日の告示で初めて平成30年4月開学ということを知り、断念したと言っています。一方、加計学園は、昨年8月の時点で内閣府とのメールで、平成30年4月というスケジュールを認識しています。京都府側が8月の時点でこのスケジュールを知らされていないというのは、余りにも不公平ではないでしょうか。
(答)30年開学というのはどちらにも知らせてはいません。今治市が内閣府の担当者レベルで、国家戦略特区の担当者同士で情報を共有しようということで、担当者レベルの話としてやった中に、そういう今治市からの中に、もしそういう場合にはという形で、そういうスケジュールがあったというのはその後知りましたけれども、それは担当者レベルの話で、私どもはまだそんなことは知りませんでした。
 いずれにしても、国家戦略特区というのはスピード感を持ってやるということは最初から言っているわけでありますけれども、それは制度改革が決まってそこから始まるわけでありまして、11月9日に獣医学新設を認めるということを国家戦略諮問会議で決めて、それから考えれば最短のスケジュールということで、今度は告示を出さなければいけませんから、そこで文科省と相談した上で、了解した上で30年4月ということをパブリックコメントで出し、告示を出すということになります。
 したがって、こちらからどちらに対しても30年4月ということについて、あらかじめ言ったということはありません。
(問)ただ、担当者レベルでも、今治市の担当者はそういうスケジュール感があるということを認識していたわけで、一方では京都府側は全くその点については知らされていないわけですけれども、これは非常に重要な条件であり、それについて全く京都府側は非公式であっても知らされていないというのは、問題はないんでしょうか。
(答)知らされてないというか、こちらから知らせたことはないんです。担当者がそれぞれの特区のいろんな項目について、皆さん方の考えている予定はどうですかというのを聞いて、各特区からこの項目についてはこんなふうに考えていますというものが来て、その中に今治市の中にはそれがあったということでありますけれども、それは今治市がそう考えている。
 しかも、そういう予定、そういう場合にはという前提付きで書いているというふうに私は承知しておりますけれども、しかも、その担当者レベルでやり合っているというのは、我々が知ったのは後でありましてね、事前に諮問会議の前に30年4月ということで考えていますということを具体的に言ったことはありません。
(問)では、その担当者がフライングでそういう勝手に伝えたという認識でしょうか。
(答)いや、担当者が伝えたんじゃないんです。担当者は、各特区に対してそれぞれの項目について、皆さん方が考えているスケジュールをどういうことですかと認識を共有したいので、それなりのスケジュールを出してくださいと言って、今治市の方からこういう場合にはこうだというようなスケジュールでそれがあったということでありましてね、それは別に担当者が勝手にやったと、こっちから言ったという話ではありません。
(問)ただ、その後の文科省から出た文書等では、平成30年4月開学ということが前提で話が進んでいますが、それについては、では、それも文科省が勝手にということになるのでしょうか。
(答)それはそれぞれいろんなシミュレーションはしていると思いますよ。我々はできるだけ速やかにスピード感を持ってやるということはあらかじめ、いつの時点でも言っているわけですから。その中でいろいろなシミュレーションをしていて、その一つが文科省におけるシミュレーションの一つだったということだと思います。
(問)同じく会見で、教員も限られるのでこうした状況で国際水準の獣医学教育を行うには、質の高い教員を集めるのが難しいと判断して、応募を断念したと説明しています。安倍総理の言う2校でも3校でも、意欲のあるところは新設を認めていくというのは、現実的に意欲だけで新設はできませんので、難しいのではないでしょうか。
(答)それは、大学側がどういうふうに判断するかですけれども、教員については、それは確かに、すぐに集まるとかいうようなことは難しいのかもしれませんね。
 ただ、今治市は、もう既に27年6月の段階、つまり2年前の6月ですね。2年前には、提案書にもう既に72名程度の教員を確保するとはっきり書いてあります。したがって、それなりのめどはもうその時点で、今治市はついていたんだと思いますけれども、それについて、京産大のところに入っていませんでしたので、そこはどうするんだろうなということは思っていましたけどね。そこは当然、京産大はそれなりに考えて提案をしてきたんだと思いますから、その後で難しかったということに判断が至ったことは、これは最終的には京産大が決めることだというふうに思います。
(問)今は、加計学園と京産大の話でしたが、今後新設、2校目、3校目が出てくるのは難しいのではないんでしょうかというのが先程の質問の趣旨だったんですが。
(答)ここは、これからそういう学校ができてくれば、そういう人たちも出てくるんだろうと思いますけれども、しかし一定の時間が掛かるでしょう。
 ただ、私が聞いているのは、今、大学は任期採用というんですかね。そういう形で若い人たちを採用せざるを得ないと、これは大学、独立行政法人になって結構厳しい経営状況もあるということも反映しているのかもしれませんが、そういう形で採用されている若手、中堅の先生方については、任期が切れた後に、例えばフル採用で、正規採用でしますよという、そういう要請をすれば結構受けるという人がいるやに聞いておりまして、そういう形で今治市はそういう目当てをつけていたのではないかと思いますけれども、その辺はそういう事情もあるのかなというふうに思いましたから、ゼロではないという感じに思っていますけど、そこはちょっと全部知っているわけではないので、これはもう大学側の判断、あるいは努力次第ということになるんだろうと思います。
(問)そうすると、どんどん作るというのは現実的には難しいということでしょうか。
(答)これは大学側に聞いてみないと何とも言えませんけどね。
(問)今のと関連して、以前の閣議後会見で、昨年末に今治と京都府、両提案を見て、専任教員の確保の点などから比較して、今治に決めたが、これは内部の打ち合わせなので、議事録やメモなどはないとおっしゃっていました。
 この内部の打ち合わせというのは誰が出席したのでしょうか。大臣やワーキングの委員らも出席したのか、または、現場の担当の職員が決めて、大臣に報告したという形をとったのでしょうか。
(答)基本的には、担当者間でそういう一応の班を作り、そして、大臣室で、私のところで、担当者とまた改めて、再度確認をして、それで決めました。
(問)となると、この内部の打ち合わせ自体は、今治市での公募を決めるための打ち合わせということですけれども、今治市、今治特区で公募するというのを決めたということは、すなわち、自動的に加計学園が応募するというふうに予想していたということでしょうか。それとも、京産大が今治市に応募する可能性もあるというふうに考えていらっしゃったのでしょうか。
(答)私は、公募ですからね、当然、京産大もあるだろうし、あるいは我々が知らないところで準備していた学校が手を挙げるということは当然有り得るというように思っていました。
(問)ただ、京産大は綾部市に作ると言っているわけで、今治に応募する可能性というのはほとんどないんじゃないでしょうか。
(答)それは京産大に聞かないと分かりませんけれども、最終的に1校ということで決めましたから、公募するのは今治にしましたので、その条件で受けるかどうかは、その京産大の判断ですけれども、本当に獣医学部というのが、是非作りたいということであって、そういう可能性だって、当然私は有り得ると思っていましたけれどもね。
(問)ただ、これは極めて重要な打ち合わせで、事業者を応募する特区をどこにするか決めるわけで、その議事録やメモが残っていないというのは、公文書管理法に違反する可能性もあるんじゃないかと思います。
 それでも、大臣は議事録等を取っていないことは問題ないという認識はお変わりないんでしょうか。
(答)提案書を並べて、それで議論したわけですからね、そこについての議事録はありませんが、そういうふうに決めて、告示に持っていくということについての決裁は取るわけですからね。それはきちんと告示という形に、告示案という形で作るわけですから、それは問題ないというふうに思います。
(問)ただ、告示案が出るに至った政策過程が全くメモを取っていないというのは、普通考えられないんですが、それを取っていないというのは、それこそ職員の怠慢ということにならないのでしょうか。
(答)そこは、私はそういう段階で提案書を並べて、議論して、もうそこで決めるということをやったわけで、特に怠慢というふうには考えていません。
(問)これに関連して、以前の会見で、ワーキングの委員の方が、各事業者の提案について、A、B、Cなどで評価しているが、それについても公表は難しいでしょうかと質問したところ、その際、大臣は検討するという御回答でしたが、この件についてはどうなりましたでしょうか。
(答)これは、有識者に聞きましたけれども、それはワーキンググループなりあるいは自分たちの審議会に対する提案内でやっているお話なので、それ以上のものはないというふうに聞いています。
(問)それ以上のものはないというのは、あることはあるけれども。
(答)そういう評価をしたのは、ワーキンググループの議論でもやり、あるいは諮問会議の議論で、ワーキンググループの方々が提案した提案書とかで、既に述べていて、それ以上に、これとこれとかいうような感じの比較書とか、そういうものはありませんということです。
(問)外部に公表するものではないということですね。分かりました。すみません、最後にしますが、公務員獣医師の確保について、以前、ペットの獣医師の給料を下げれば、公務員獣医師も増えるとおっしゃっていますけれども、青森県では、今、全国トップレベルの待遇に上げた結果、今年度の採用試験では、採用予定者数13人に対して、21人の応募があり、20人を採用したそうです。これは、待遇を上げれば、公務員獣医師の確保は可能になるというエビデンスだと思いますが、それでも、待遇改善が公務員獣医師不足の解決策としてはふさわしくないというお考えには変わりはありませんでしょうか。
(答)私は、待遇改善がふさわしくないなんて一言も言っていないわけで、待遇改善ができるところはしっかりやれば良いと思いますよ。
 だけれども、やはり公務員の俸給表というのが有りますからね、それと比較して、どれだけ上乗せできるかというのは、その地方自治体によって違うと思いますけれども、そんなめちゃくちゃにどんどん上げられるという、そういう話はないのではないでしょうかね。
(問)ふさわしくないという言葉は使わなかったんですけれども、それよりも、ペットの獣医師の給料を下げるべきだとおっしゃって、その公務員獣医師の待遇を上げたらどうですかという考えは否定されたのは、前回の会見でのやりとりだと思います。
(答)全く否定していません。
(問)では、公務員獣医師の待遇を上げるのは、解決策の一つだというお考えということでよろしいですか。
(答)もちろんそうですが、全体の流れというのは、そういう方向に流れているわけだから、そことの組み合わせが一番良いでしょうね。
(問)テレビ朝日の世論調査についてお伺いしたいんですが、安倍内閣の支持率が29.2%と、30%台を割りました。また、その加計学園の問題で、行政がゆがめられた疑いが解消されたと思うかという質問に対して、解消されたと思う方が6%で、思わない方が74%でした。
 大臣として、こうした厳しい評価の原因がどこにあるのかという点と、どう信頼を回復していくのかという、2点についてお願いできますか。
(答)行政がゆがめられた云々の話については、私は、それは誤解されていて、それが解けていないことだと思います。
 正にこの前の閉会中審査で、加戸前愛媛県知事が熱弁されたように、むしろ、ゆがんだ行政を正したというのが本当のところではないかというのが、私どもの考えそのものでありまして、そういうことをしっかりと理解してもらえるようにするのが、一つのやり方というか、それしかないと思いますけれども。
 それから、支持率が下がったということについては、これは先週の日曜日に、私は被災地を視察したんですが、二階幹事長と合流いたしまして、被災地を訪問いたしました。そのときに、二階幹事長も最後の記者ぶら下がり会見で、そのことについて問われましてね。
 そのときに、二階幹事長は、いや、数字、支持率どうこうという数字で右顧左べんすべき話ではないと。やはり、政府、与党として何をやるかが大事であって、数字は結果で出てくるんだと。したがって、我々はコントロールできるわけでもなし、しっかりとやるべきことをやっていくことが必要だと。
 そういう意味で、例えば被災地の現地を視察して、早急に対策を打つことを考えるとか、まあ、あるいは私も、精力的に現地を視察して、現場をいろいろ見て、課題を読み取り、政策に生かしていこうと努力をしていますけれども、そういう努力を積み重ねるしかないのではないかと、それに尽きると、そういうお話をされまして、私もそのとおりだというふうに思います。
(問)話題変わるんですけれども、このオーストラリアの日系企業の記録の受入れということですが、これだけ大量のものが海外から、外国政府機関から受入れを初めてということなんですけれども、改めてこの今回の意義と、今後、オーストラリアに限らず、各国政府ともこういった動きがあるのかなと思うんですが、そういった今後の展開についての意気込み等をお聞かせください。
(答)これは、大戦が始まってからすぐこうした記録は全部オーストラリア政府に接収されてしまったんですね。日系企業に関する資料は全部ですね。その後、日系企業の研究者なども、日系企業の業績、事業の中身などを知りたいために、わざわざオーストラリアの国立公文書館に出向いていって、そしていろんな資料を見たりというようなことを個別ではやっていたようであります。
 しかし、海外にあることから、なかなか全容がつかめないというようなこともありましたところ、オーストラリア国立公文書館は、いや、もう個別にそういうことで来るのは大変だろうし、これだけまとまったものがあるんだから、是非日本に寄贈したいということでありまして、これは相当大部、たしか書架延長で800メートルに及ぶというようなことを聞いていますが、大部なものですし、大丈夫かというようなことも検討した上で、やはりこれは日本の国立公文書館にいただいて、そこで将来的にも生かしていくことが大事だろうということで判断して、正式に受け取ることに決めたわけであります。特に、今度新しい国立公文書館も作りますので、そういうことも含めて、これからその第一歩として、これができるということは意義があるというふうに思っています。
 このほかでそういうものが有るかどうかについては、まだ十分に私も承知しておりませんが、幾つか有るやに聞いていますので 、そうした各国にある戦前の日本関係の資料等も、まとまったものがあれば順次引き受けていくというようなことは、これから考えていきたいなというふうに思っています。

(以上)