山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年7月7日

(平成29年7月7日(金) 10:42~11:03  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 本日は、3件報告事項がございます。
 1件目です。本日午後、地方創生に関して、地域における取組や地域のニーズ等を把握し今後の取組に生かすべく、神奈川県秦野市の「陣屋」及び東京都日野市の「ゆいま~る多摩平の森」を視察いたします。
 2件目は、明日8日、地方創生に関して、同じく今後の取組に生かすべく鳥取県鳥取市・八頭町・智頭町、岡山県真庭市を訪問する予定であります。いずれも詳細は、まち・ひと・しごと創生本部事務局にお問い合わせください。
 3番目は、5日から九州北部において記録的な雨となり、福岡県及び大分県を中心に河川の氾濫、土砂災害が多数発生しております。私の地元の福岡県での災害ということもあり、大変心配しております。今朝の報道によれば、複数名の死亡が確認され、行方不明者も出ていると聞いております。亡くなった方々の御冥福をお祈りし、御遺族の方々へお悔やみを申し上げると共に、行方不明者の一刻も早い救助を望みたいと思います。私もできるだけ早く現地に、迷惑をかけない形で現地に入り、状況を視察して、それをよく把握した上で担当部局に伝え、また協力して復旧・復興に全力を尽くしたいと考えているところであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)小さな拠点や地域運営組織の形成についてお尋ねします。今年の創生基本方針でも、形成の推進が盛り込まれていると思うんですけれども、数や先進事例などの現状と、今後政府としてどういうふうに取り組んでいくかを教えてください。
(答)人口減少や高齢化の著しい中山間地域等におきましては、地域コミュニティや生活サービス機能が低下している地域も出てきているところであります。地方創生の観点からも、安心して住み続けられる地域を守ることは重要な課題であります。そのために、複数の集落が連携して医療・福祉、買い物等の生活サービス機能を確保する小さな拠点づくりと共に、小さな拠点を支える地域住民が主体となった地域運営組織の取組を推進しておりまして、昨年度時点では全国で小さな拠点が722カ所、地域運営組織が3,071団体形成されていると承知しております。
 例えば島根県の雲南市においては、住民が主体となって市内全域の30地区で地域運営組織が立ち上がり、行政と連携して高齢者の見守り活動や商店の運営など、地域の課題解決と共に住民の生活の質の維持向上に向けた取組を行っているところであります。これは私も視察させていただきました。
 引き続き全国での小さな拠点の形成や地域運営組織の立ち上げと持続的な運営に向けて、地方創生交付金等による財政支援と共に、5月に新たに立ち上げた小さな拠点情報サイト、小さな拠点というのは各省いろいろあったんですが、これをまとめて情報提供するという意味で、小さな拠点情報サイトや、内閣府幹部が全国各地に出向いた説明会等を通じて取組事例の見える化や横展開、関係省庁の支援措置の紹介等を行い、各地での取組を支援してまいりたいと考えているところであります。
(問)獣医学部の新設についてお伺いします。大臣、この間の会見で、4条件クリアされているというふうにおっしゃられましたけども、それぞれ4つの条件をどのようにクリアされているのか、具体的に御説明いただけますでしょうか。
(答)4条件クリアしているというのは、基本的には挙証責任は文科省の方にあるわけ、規制監督省庁がやるわけであります。まず、4条件といっても、きちっと整理されている条件ではないんですね。基本的に言えば、既存のところでできていないか、あるいは新しい需要に対応できるかというところがポイントなんですけれども、既存の大学の構想ではないということについては、新しい先端ライフサイエンス分野の人材を作るんだと、あるいは国際的にも通用するような獣医学業務に対応するような人材を作るんだというところが新しい提案でありますし、それを作るためには、先端ライフサイエンス分野というのは創薬分野を念頭に置いているわけでありますけれども、その分野では、実験動物として豚とか、場合によっては猿とか、あるいは馬、牛、そういう中大型動物を実験動物として使うような施設、そして、そうした教育環境ができていないと駄目なので、これは今の既存のものにはありません。したがって、新しい既存の大学ではない提案であるし、そういう新しい分野に対する取組であるというように理解しています。
 また、新しい需要というところについては、今申し上げた先端ライフサイエンスの分野、これはもう喫緊の課題だということで、そういう製薬業界から、是非そういう人材を養成するように作ってくれと、自分たちには大変不足しているという要望書も出ております。
 それから、水際対策ですね。BSEあるいは動物由来の感染症、そういうものに対して水際対策をやる分野の人材が不足しているし偏在していると、そういうことに対応する。特に地域によってはそういうものが足りないということが明らかであるというようなことが基本的にきっちり言えるというように思っています。
(問)これまでの国会のやりとりの中で、文科省の義家副大臣、先程、大臣おっしゃられた「挙証責任は文科省にある」ということなんですが、義家副大臣の方は、「内閣府において一義的に説明されるべきもの」というふうな答弁をされています。また農水省の礒崎副大臣も「新たな先端ライフサイエンスの需要については、農水省は具体的な知見を持っていないので、それは内閣府での判断を我々は前提でしている」というふうに言っています。農水省も文科省も両方とも立証責任は内閣府にありというふうに言っていると思うんですが、これについて如何お考えでしょうか。
(答)それは国家戦略特区の基本方針を理解していない話だというふうに思います。閣議了解した国家戦略特区の基本方針においてははっきりと、規制監督省庁において規制や制度見直しが正当でないと判断される場合には、その理由を適正に説明しなければならないときちっと書いてあるわけであります。これが、結果、戦略特区を進めるときの最大のやり方のポイントでありまして、規制監督省庁がそのことを正当であると説明できなければ規制改革は何も外すことはできませんからね、それができなければ負けです。
(問)文科省と農水省両副大臣の言っていることは、基本方針を理解されていないということなんですけれども、そうなると、彼らの答弁は正しくないという理解でよろしいんでしょうか。
(答)いや、そこは正しいか正しくないかは私が判断するところではありませんけれども、当然ワーキンググループ等でやり合っている中では、きちっとそういう話をしているわけであります。したがって、ワーキンググループ2015年6月のやつと最終的に2016年9月16日のワーキンググループで勝負が付いたわけでありますけれども、それを見れば、文科省が事情を説明してくれみたいな話をしたら、それは挙証責任の転換ではないかと、ちゃんと民間議員から指摘されているわけですよ。そこで何も言えなくなっちゃって、勝負ありと、そういうことです。
(問)そのヒアリングですね、省庁ヒアリングの方を私も見ているんですけども、文科省の方は相当抵抗、反論しているように伺えます。先程大臣おっしゃったように、八田座長や本間さん等は、挙証責任は文科省にあるんだというのと同時に、市場原理で考えるべきなんだというふうなやりとりになっていて、言いっ放しで終わっているような印象の方が逆に強いんですけども、その辺はちゃんと説明、文科省の方は納得できているという皆さんの理解なんでしょうか。
(答)いや、そう思いますよ、だって、基本方針がそういうふうに決まっているんですから。そこで、改めて基本方針は、挙証責任は監督官庁にあるんですよと言って、監督官庁が、それをきちっと反論できなければ、その規制は正に正当ではないということを認めたということでしょう。
(問)獣医学部の関係で、「広域的に」という限定条件を加えるに当たって、農水省や文科省とのやりとり、若しくは内閣府内部での検討に関する議事録とかやりとりの文書というのは、そういうのは作成されているんでしょうか。
(答)そういう会議録はありません。
(問)そういう場合、どうやって透明性が担保されているというふうに言えるんでしょうか。
(答)透明性が担保されている、それは何度も御説明しているように、それまでの文科省、関係者間の間のやりとりですね、特に文科省とのやりとりの中で、やっぱり例えば市町村とか都道府県を外れればすぐできるんですかというような話について危惧する面があって、そして、やっぱりその辺は獣医師会との調整が非常に必要ですよというような指摘を受けて、ああ、そうかと、そこはもう少し広域的にというように考えた方が、そうした意味での納得を得られやすいと最終的に私が判断して、そこへ入れろと、そうしろと。そうしたら、ある意味で、少しそういう懸念に対して答えられるのではないかというように判断して指示したわけでありまして、そこのところは私なりに、政治家ですから、獣医師会との間でどの辺が落としどころになるかなというところを探っているわけでありまして、それでいこうというように判断したわけであります。
(問)先程の説明は毎回聞いているんですけれども、やっぱりその後にいろんな新しいメールの文書が出てきたりとかして、なかなか国民の方も疑問が晴れないと思うんですけれども、そういったものについて、じゃあ文科省から出してきた文書がどういうもので、それに対して内閣府はどういうふうな文書を返したとかという、そういう文書はあると思うんですけど、それを公表しないのはなぜですか。
(答)いやいや、そういう文書というのは、内閣府が最初に原案を出して、それについて、それ以前からも言われていた話も改めて強調されて言ってきて、分かった、では、それについては、ここをこう入れろと、それで落ち着かせようということで打ち返して、それを文科省も、では、これで結構ですという話になったわけですから。そして原案ができて、諮問会議できちっとその文章で出しているわけですから、極めて透明性は確保されていると私は思います。
(問)そこのところは大臣は納得されていると思うんですけども、周りの国民であったり我々であったりというところは、そこの水面下のところが全く見えないわけですね。確かに諮問会議とかワーキンググループは議事要旨が公開されていますけども、こういった「広域的な」という条件であったり「1校に限る」というところは、全く諮問会議の議事録でも出てこないわけですね。決まったものが出されて、はい、そこで決定しますというだけで、そこが透明性がその議事録を読めばいいという、そこが決まった経緯というのが分からないので、皆国民の方は疑問が残ったままだと思うんですけども、そこに対して、じゃあ山本大臣は、説明責任を今まで果たしたというふうに思っているんでしょうか。
(答)十分果たしているのではないですか。会議録は取っていませんからありません。ある意味で言うと、うちの国家戦略のスタッフというのはそんな多くいるわけではありませんから、常に会議録を全部作っているわけではありません。しかも、急ぎながら短いタイミングの中でやりとりをする中でやっているわけで、そこは私が口頭で指示して、そこで書けと言ってやったわけですから、それについて何度も説明しているわけで、十分説明責任を果たしていると私は思いますけどね。
(問)今の状況で内閣府なり山本大臣が説明しても、国民がまだ納得できていないとか疑問が残っているというのは、じゃあ、国民の方が理解できていないというか十分分かってくれていないという国民の理解不足が原因だというふうに思っていらっしゃいますでしょうか。
(答)いやいや、そんなふうなことを言っているつもりはありません。私としては、実際に起こったことについてきちっとこういう経緯でしたよということを丁寧に説明しているわけでありまして、そういう意味では、今後についてはそういう重要な交渉について経緯を残せという一つのあれになったかもしれませんが、今回のときは、あの短い時間の中で議案を詰めていった状況ですから、そこはもう私はこういうふうにしましたという説明以上のことはできないわけですね、会議録を取っているわけではないですから、もう本当に短いタイミングでばっと決めていくわけですからね。その意味では、私の説明で最大限経緯を十分説明しているというふうにしか言えませんけど、今後については一つの検討課題にしたいと思います。
(問)昨年700件応募があった地方創生政策アイデアコンテストの大臣賞の受賞アイデアが既に事業化に結びついているようですけれども、今年9月以降の募集で、全国津々浦々の地域に存在する郵便局長などの応募にも期待されていらっしゃいますでしょうか。
(答)RESASを活用した地方創生政策アイデアコンテストにおきましては、郵便局関係者を含めた様々な方々から応募を頂いていると了解しております。はっきり分かっているだけでも、2015年、1回目は日本郵便に所属する方からの応募実績があります。ただ、応募時に所属等の記載がないケースもありますので、全部の属性を把握しているわけではありませんけれども、入っていると思います。今年度も幅広いたくさんの皆様方に御応募いただいてコンテスト、ひいては地方創生を盛り上げていただけることを期待しておりますので、是非、郵便局関係者の皆さん方も積極的に応募していただきたいと思います。
(問)もう一度、4条件を一つお伺いします。京産大は4条件をクリアされていると思いますか、京産大の提案は。
(答)新しい分野でやろうというところはできていると思いますね、先端的ライフサイエンスを一生懸命やりたいという意味で。そしてまた、豚を使ったこともやろうと言っていますので、私はある程度クリアできているというように思いますよ。
(問)ある程度超えているということなんですが、今、豚の話がありましたけど、京産大はかなり豚を使った研究の方をアピールしていまして、さらに、先端ライフサイエンスもiPS細胞、水際対策、大臣、地域に足りないところというふうにおっしゃいましたけれども、北近畿では一度鳥インフルが発生しており、なおかつ大陸に近い日本海に面している。あと、水鳥がいっぱい来る琵琶湖が近くにあるという意味では、加計学園と京産大を比較したときに共にクリアしているんだとしたら、京産大もかなり有力な提案なんだろうと思うんですけれども、それについて改めて如何でしょうか。
(答)いや、結構有力だと思いますが、そこは比較したときの問題としては、教員の数とかそこがはっきりしない。あるいは地域との連携についてきちっと総合戦略に乗っかってやっているわけではない。また、他県との連携等が十分ではないと、そういうようなこともあります。それから、これは私は少し個人的にチェックしたんですけれども、資金的な計画、ここもちょっとはっきりしていないと、そういうこともありましたので、そこはありますが、いわゆる4条件自体という点については、クリアしていると考えても私は問題ないというふうに思っています。

(以上)