山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年5月9日

(平成29年5月9日(火) 9:04~9:20  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 私からは特に冒頭の発言はありません。

2.質疑応答

(問)大臣、大型連休中に外遊2か国行かれていましたが、その印象に残った視察の内容ですとかについて教えていただけますでしょうか。
(答)私は、4月29日から5月7日にかけてアメリカとアルゼンチンに出張いたしました。ちょっと長いんですけれども、アルゼンチンへは飛行機に乗ると、アメリカ経由で24、5時間掛かりますので、ちょっと時間が掛かりました。
 アメリカでは、既にアメリカで実績のあるEBPM、要するに根拠に基づく政策決定の在り方の話。それから、CCRC、生涯活躍のまちの事例。それから、DMO、観光の司令塔ですね。そういうことについての関係者との意見交換や国立公文書館の視察を行いました。また、同期間に開催された日米国会議員会議に出席して、米国議会関係者等と意見交換を行ったところであります。
 アルゼンチンでは、今度大統領が5月の中頃に日本を訪問されるわけでありますが、それに先立って副大統領や行政最新化大臣等との行政改革等に関する意見交換や国立公文書館の視察を行ったほか、私は日本アルゼンチン友好議員連盟の会長をやっておりますので、先方の亜日友好議連会長、これは上院と下院にそれぞれあるんですが、そのそれぞれの会長、それから、日系団体、日系人がたくさんいらっしゃいまして、その組織がありますので、その日系団体との会談を行い、2国間の友好関係の更なる強化を図ったところであります。
 意見交換や視察で両国の特徴的な取組を直接伺うことができて、極めて有意義な出張となりました。今後の地方創生及び行政改革等の取組への参考にしていきたいと考えております。
 いろいろありますが、特にEBPMについては、下院議長と大統領から任命されたコミッションというのができておりまして、そこがアメリカでEBPMをどのように進めるべきか、そのときの統計の在り方はどうか、ということについての検討を行っておりまして、そのコミッションの議長さんと意見交換いたしました。
 アメリカの方はかなりEBPMが進んでいるんですけれども、それでもやはりいろんな統計上の問題があり、EBPMの取組を広範に横展開的に利用できるようなスキームが非常に重要だというふうなことを言っておられまして、これは大変参考になりました。
 それから、もう一つ、DMOについては、やはりその財源をしっかり持っているということが非常に大事だということであります。
 ワシントンのDMOは、これは2つあるんですが、ワシントン市のDMOと、それから、アメリカ全体を見る、これはブランドUSAというのがあるんですけれども、ワシントンD.C.のDMOが活動する財源はホテル宿泊税であります。私もホテルに泊まりましたが、領収書を見てみると、実に14.5%のルームタックスというのをとられており、これが財源になって観光政策をやっているわけであります。
 それから、ブランドUSAという米国全体のDMOですけれども、これは皆さん方がアメリカに行かれると分かりますが、ESTAというビザを簡単に済ませるスキームができているわけですが、そのときにお金をとられているんですね。そのビザ免除渡航の手数料が活動のための主な財源となっているということでありまして、日本のDMOをやっぱり真剣に考えるときには、この財源をしっかり確保するということが非常に大事だということだと思います。そうじゃないといろんなことが持続的にできません。
 それから、CCRCについて申し上げますと、ワシントンD.C.から車で1時間ぐらいのところにあるライダーウッドというCCRCを視察したのでありますが、これは昨年度に石破前大臣も訪問したそうでありまして、私も石破前大臣からこれは非常に良いところなので、是非見に行ったほうがいいよと言われていたものですから、改めて私も寄らせていただきました。
 現地では、運営会社から概要の説明を受けるとともに施設内を見学して、日本人の入居者の方々と意見交換を行いました。具体的に申し上げますと、入居者全体で2,400人もいる大規模なコミュニティでありまして、入居率も高くてミスマッチもあまりないということであります。町全体を作っちゃうようなものですね。
 それから、入居者の嗜好に合った様々なアクティビティが用意されておりまして、いろんなことが楽しめる。それから、地域との連携も非常に重視していて、特に私が感心したのは、地域のコミュニティ大学と連携しておりまして、CCRCにはかなり教育レベルの高い人たちが結構入っているので、改めて勉強したい、あるいはコミュニティ大学の講師になれるような人もいるというようなことでありまして、実は施設内でコミュニティ大学のクラスを開いてくれている、出前授業もやってくれているということであります。そういう地域の大学と非常にうまく連携した形で、そうした高齢者の方々も勉強できるということが大変私の印象に残りました。
 それから、施設内にはメディカルセンターやリハビリ施設がありまして、医師が常駐しているわけであります。ただ、本当に大きな病気になると病院に連れていかなければいけないんですけれども、それはちょっと離れたところにあるんですが、来年ぐらいには直ぐ近くに大病院ができるということでありまして、それができると、もっと便利になるということでありますが、この医療が直ぐに受けられるということが非常に大事だということを改めて感じました。
 入居者の方々がつくづく言っておられたのは、何かあったときに直ぐ医師が来てくれる、あるいは介護士が来てくれる、そして、適切な措置をしてくれる、そのことが非常に安心につながるし、満足につながっているということでありまして、やはり皆さん方はいざとなったときの医療、介護が身近にあるかどうかというのは、非常に大きなポイントかなというふうに思いました。
 我が国の生涯活躍のまち日本版CCRCというのは、中高年齢者が健康でアクティブな生活を送って、必要な医療、介護を受けることができる地域作りを目指すものでありまして、国の制度と文化の違いがありますけれども、そうしたライダーウッドの取組は非常に参考になるのではないかと思ったところであります。
 あと、私が面白いなと思ったのは、ジョージタウンというところのいわゆるBIDですね。ビジネス・インプルーヴメント・ディストリクトという取組でありまして、エリアマネジメントなんですが、これもある地域を指定しまして、その地域の、居住の施設は除くんですが、商業施設の方々の51%以上の賛成が得られると、その商業施設の固定資産税に上乗せして、これは非常にパーセンテージは低いんですけれども、税金をとることができるようになっておりまして、これはワシントンの法律がそうなっているということでありますが、それを適用してワシントン市内に10ぐらいそういうのがあるということでありますが、その一つがジョージタウンでありまして、その財源を使ってNPOが一つ設立されて、そのNPOが商業施設のオーナーと、それとレントする人たちの間を仲介する、あるいはその地域の清掃活動、あるいはその地域で花を植えたりする美化活動、それから、いろんなイベントをやるというようなことで、地域全体で商業施設がちゃんとうずまっていくように努力をし、そして、地域全体の活力を保たれるような取組をしているというような意味で、非常に勉強になりました。
 また、アメリカの国立公文書館を見てきたのですが、大変すばらしいものでありまして、特に展示のところを非常に工夫していて、分かりやすくアメリカの独立宣言が実際に見られるわけであります。それから、公文書館のキュレーターというか、公文書の専門の正式の資格がまだなくて、これから作るというような話になっているんですけれども、そういう人たちの仕事ぶりに関して、子供たちが、実際にこういう文書を探してほしいというテーマを与えられたら、子供たちがグループごとに分かれて、それを実際に書庫に行って探してきて、そして、それをちゃんと見つかりましたよみたいな発表会をするというようなことが教育としてできるような施設がありまして、これまたすばらしいなと。日本の新しい公文書館を作る際には、是非そういうことを念頭に置いて作ったらいいなというようなことを感じたところであります。
 そのほかいろいろありますが、また何か質問があればお答えします。
(問)先ほど視察であったCCRCのお話とちょっと関連して御質問させていただきます。生涯活躍のまちについて、現在の自治体の取組状況、既に構想等を作ったりとか、取組をしたりしているところがあると思うんですけれども、最新の取組状況を教えてください。あと、政府として今後どう取り組むかについて教えてください。
(答)昨年の10月に地方公共団体の意向調査を行いましたところ、生涯活躍のまちに関する取組の推進意向がある地方公共団体は236団体、既に取組を開始していると回答した地方公共団体は71団体という結果になりました。
 政府としては、昨年成立した改正地域再生法に基づいて、生涯活躍のまちに取り組む場合の手続簡素化の特例措置や、地方創生推進交付金等による財政支援措置の活用を希望する団体の地域再生計画の認定を行っているところでございます。
 特徴的な取組例を申し上げますと、私の地元でもある福岡県北九州市においては、国家戦略特区を活用して、50代の移住者を念頭にシニア・ハローワーク戸畑を通じた就労支援を行うとともに、介護ロボットの実証実験も行っているという事例があります。
 それから、山梨県都留市では、3大学が立地するという特徴を生かして、大学相互の連携、大学と地域の連携等によりまして、市民向けに生涯学習の機会等を創出しているということであります。
 また、長野県の佐久市では、医療機関等と連携しながら保健医療・福祉等に関する様々な教室や各種事業を実施して、医療連携・健康づくりを推進しているといったものが特徴的な事例として挙げられるのではないかと思います。
 また、地方創生拠点整備交付金などを活用して、アクティブシニアと地域の様々な年代の住民との交流拠点を整備する予定の自治体もあると承知しております。国としても、今後とも各自治体の取組を支援するとともに、ノウハウの提供や好事例の横展開を通して地域の特性に応じた魅力的な生涯活躍のまちの実現を積極的に支援してまいりたいと思っているところであります。

(以上)