山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成29年1月20日

(平成29年1月20日(金) 10:00~10:14  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 本日、持ち回りで開催した行政改革推進会議について、まず御報告をいたします。
 お手元にお配りしているとおり、平成28年秋の年次公開検証等の指摘事項に対する各府省の対応状況、平成28年秋の年次公開検証等の平成29年度予算政府案への反映等、それから、基金の国庫返納状況について、そして、平成29年秋の年次公開検証、秋のレビューの地方開催についての4点について取りまとめました。
 このうち、予算の重点化・効率化により、概算要求から減額した額、反映額を財務省が集計したところ、お手元の資料2のとおり、昨年を上回る1,200億円程度となっております。
 また、基金についても、秋のレビューの指摘に沿った見直しが行われ、お手元の資料3のとおり、新たに1,800億円程度の国庫返納額を確保し、平成28年度及び29年度分として、総額2,400億円程度の国庫返納額を確保いたしました。
 最後に、来年度の秋のレビューについて、今年度に引き続き東京での開催に加えて、地方でも秋のレビューの一部を開催することといたしました。
 具体的には、11月3日金曜日を開催予定日とし、まずは本日1月20日から3月31日まで招致団体を広く公募することとし、全国の国公私立大学や都道府県、政令市等に呼び掛けることとしているところであります。詳細については、行革事務局にお問い合わせください。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)今、発表のありました秋のレビューの反映額等についてお聞きをしたいんですけれども、この1,200億円程度という数字について、どう思っていらっしゃるかということと、あと、指摘事項で幾つか改善であるとか、推進につなげたものがあるようですけれども、これについての御所感と、あとは逆にまだ足りないなと思っていらっしゃるところがあれば、お話しいただければと思います。
(答)秋のレビューというのは、多くの国民の皆さん方に税金の使い方を考えてもらって、より良い事業にするための取組でありますから、まず初めに予算削減ありきというわけではありません。
 しかし、もとより事業内容の改善を行う上で必要のないものや、効果のないものに対する予算を削減するのは当然でありまして、今年度1,200億円という反映につながったわけでありますが、介護納付金負担金等、あるいは無償資金協力等を始めとして、各予算の重点化や効率化を図ったことによるものであると考えております。
 そのほか、レビューの中で指摘された事項については、各省とも真剣に取り組んでいただいているというふうに理解しております。教育の在り方とかも、そういうのを含めてやっていると評価しており、効果もしっかりと上がってきているというふうに期待しております。
 まだまだ足りないところということは、現段階で我々は全力を挙げてやったというように評価しておりますけれども、今後ともそうした無駄がないかということについては全力を挙げて対応し、各省に取組をお願いしたいと思っております。
(問)大臣が16から19日、海外出張をされたと思うんですけれども、その折にどのようなことをされたのかと、あるいはその今回の知見をどういうふうに今後の仕事に生かしていきたいか、特に、地方創生に関する部分があったら、お答えいただければと思います。
(答)今週の15日の日曜日から19日にかけまして、フランスとスイスに出張してまいりました。
 フランスでは、国立公文書館のパリ館とピエールフィット館を視察したほか、バルビゾン市の副市長と地域の特徴を生かした観光の在り方について、意見交換を行いました。
 また、フランスの経済財務大臣付産業担当長官と会談して、地域経済の振興等について意見交換を行ったところであります。
 それから、スイスではワールド・エコノミック・フォーラム、ダボス会議に出席し、まち・ひと・しごと創生担当大臣として、日本の経験や取組を世界の有識者と共有するとともに、意見交換を行ったところであります。
 今後の地方創生の取組の参考にしていきたいと思っておりますが、一つはフランスの長官と地方創生の話をしたときに、フランスでは地方で大きな工場を持っているような企業が撤退するというような話が出たときには、簡単にはさせないんだと。もしするとすれば、代わりの地域振興策について、どれだけの貢献をする用意があるかというようなことを詰めて、簡単にそういうことで工場をすぐ閉めてしまうというようなことはできないように、制度的にもやっているんだということがありまして、これはちょっと面白いなと思って、詳しいことは今後、事務方でいろんな条件とかを教えてもらいたいというような話をしました。
 それから、ダボス会議では、私は二つのプログラムに出たんですけれども、一つはリシンキングキャピタリズム、資本主義再考というプロジェクトのパネリストとして、それからもう一つは、中国におけるミドルクラス、グローイングミドルクラスというテーマについてのテーブルのディスカッションリーダーという形で出ました。
 最初の方の資本主義の話は、要するに私が主張したのは、欧米型の株主資本主義と言いますか、利益を全部株主が独占して取ってしまうと。そういうやり方の資本主義が余りに極端になり過ぎて、今日の所得格差を生み、社会問題を起こしているんじゃないか、あるいは、地方の疲弊を生んでいるんじゃないか、そういうことを指摘した後、マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」という有名な本がありますが、それを引用して、倫理観を持たない資本主義は駄目なんだということから、日本型の公益資本主義というか、会社は単に株主だけのものではないと。社会の公器であって、従業員に対しても、あるいは取引先、サプライヤーに対しても、あるいは地域社会、場合によっては地球全体に対しても貢献を考えなきゃいけないという、そういう形の資本主義じゃないと、正に所得格差につながるし、地方の疲弊にもつながると。そういう考え方を持った資本主義で臨むことによって、初めて地方創生にも資本が地域に行くことができるというような観点のお話を申し上げました。
 それから、中国経済については、正に中間層が増えてきているということですが、私は地方創生担当大臣として地方創生の大きなポイントは観光振興でありますから、その観光を地域で進める上で、中国からの観光客がどんどん来てもらうということは非常に有り難い話だし、正に地域振興につながる話なので、是非しっかりした中間層を中国において作ってもらいたいなと。
 そのためには、今の施策が本当に中国の中間層を増やすような政策になっているのかどうかということは、少し考えてもらわないと。やっぱり経済政策として輸出に頼るための国有企業向けの融資や投資を増やして、必ずしも消費が増えるような、あるいは、中間層が裨益(ひえき)するような政策にはなっていないところがあるんじゃないかと。
 その辺を是非考えてもらって、もっともっと中間層を増やして、日本にもどんどん観光にも来てもらいたいし、あるいは、観光だけじゃなくて、経済活動、あるいは資本移動についても考えてもらうことができるのではあればと、そんな話をしたところであります。
(問)また今年も秋のレビューを地方で開催するということで、今日から公募という形で新たな形になるかなと思うんですけれども、その公募という形での狙いと、特に地方でやることの意義ということ、この間の大阪でのレビューを踏まえた上で、御所見を伺わせていただけますでしょうか。
(答)昨年、大阪で、地方で開催しまして、大変良かったというように思っております。
 単に、行政事業レビューを一部の人だけでやってもらうんじゃなくて、税金と事業の在り方に対する国民の関心を広げるためには、地方開催というのは非常に意義があるということを実感いたしました。
 したがって、是非今年も地方開催ということでやっていきたいと思いますけれども、そのためには公平を期す意味で、もう大阪で決まっているという形ではなくて、是非やりたいというところがあれば、積極的に前向きに考えていきたいと思いますので、まずそういう希望があるかどうか公募をして、聞いてみたいというふうに思っています。
 その上で、どこが一番適切かということも考えていきたいなというふうに思っています。やっぱり準備がございますので、11月の開催ですから、6月目途には開催地を決定したいと思っておりますので、それに向けた公募ということであります。
(問)石川県の郵便局長、石川県がやっている移住定住サポーターがもう協定してから2年目に入るんですけれども、ああいう取組についてどういうふうに大臣は見ていらっしゃるのか、お聞かせいただければと思います。
(答)石川県の郵便局がやっているというような話については、まだ聞いておりませんので勉強したいと思いますが、いずれにしても移住定住を各地方にどんどん進めてもらうという意味で、そういうサポーターがおられて、必要な情報を提供したり、あるいは具体的にトライアルの定住をやってみるというようなことはこれからの東京一極集中をなくすために非常に意味があると思っておりまして、それを郵便局の方々も協力してもらえるということで、大変有り難い、有意義な話だと思います。
 是非どんどんやってもらいたいし、またそれを勉強させてもらって、良いものであれば是非、全国展開に持っていけるような形ができればなというふうに思います。

(以上)