山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成28年10月25日

(平成28年10月25日(火) 9:10~9:28  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。本日は2件報告事項がございます。
 1件は、本日閣議において、国家戦略特別区域法施行令の一部を改正する政令が閣議決定されました。具体的には、いわゆる特区民泊の要件を見直して、施設の最低宿泊日数を6泊7日から2泊3日に短縮いたします。併せて、現在通知で求めている近隣住民との調整や滞在者名簿の備え付けなどの措置を、より効果的かつ透明なものとするため、政令に明記することとしました。
 私は、かねてより宿泊ニーズに対応するためには、日数の引き下げが必要だろうと主張してまいりました。今回の改正により、内外の観光客の宿泊ニーズにより柔軟に応えられるようになると考えております。担当大臣として、早速この日数の引き下げを実現出来たことを大変うれしく思っております。
 2件目ですが、国立公文書館では、お手元の資料にもありますように、10月29日土曜日から12月17日土曜日まで企画展「書物を愛する人々」を開催いたします。
 今回の企画展では、江戸時代の蔵書家にスポットを当てた展示を行います。取り上げる人物は藩主や商人、医者など江戸時代を代表する蔵書家であります。彼らが大切に所蔵し、現在は国立公文書館のコレクションとなっている書物を含め多数の資料が展示されます。それらの中には、文化の日にちなみ、国の重要文化財となっている貴重な書物も含まれております。事前に報道各社の皆様にもお知らせしておりますが、今週の金曜日に私も見に行こうと思っております。メディアの皆様にもオープンな形での視察ですので、是非国立公文書館に足をお運びいただければと思っております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)大臣、先週末、宮崎県に行かれておりましたけれども、商店街あるいは農業の関係で御覧になったかと思いますが、今後の利活用に向けて参考となるような大臣としてお考えの点がありましたら教えてください。
(答)宮崎県での視察は大変実のあるものだったと思っております。
 一つは日南市の取組ですね。日南市油津港にクルーズ船が来るので、その整備を図っていることと、特に商店街の再開発ですね、空き店舗ばかりが増えていた寂しい商店街でありましたけれども、ここに民間人の専門家を雇い入れまして、彼に一定の期間内に最低20施設は店舗を新しく作るという義務を課して取り組んでいます。そして、まず彼は商店街、まちの人たちに身近になってもらおうというようなイベントから1年目は始めて、それから自ら会社を立ち上げて、古い昔の喫茶店を再開して、そうすることによってだんだん人が集まるようになり、飲食店が出来たり、あるいはネイルサロンが出来たりといって少しずつ埋まってくるようになりました。そのうちスーパーの跡地にIT企業が入るというようなことになりまして、このIT企業には地元の女性の方々が就職先が出来たということで勤めるようになっております。、単に飲食店というものだけではなくて、そういう企業まで入ってくるようになって非常に活気が出ています。
 それから、日南市は御承知のように広島東洋カープのキャンプ地でありまして、カープの選手が球場に行くときにその商店街を通っていくということで、カープ館というのも出来まして、今年は優勝すればパレードもやるんだと言ってはりきっていましたけれども、私はたまたま広島東洋カープの大ファンなものですから、大変意気投合して盛り上がったりしました。
 それから、日南市にはもう一個、飫肥地区という昔の飫肥藩、藩主がいたお城の跡があって、これは非常に歴史的、伝統的な古い武家屋敷みたいなのが残っているんですね。そこを今度はリノベーションして高級宿泊施設として活用しようというプログラムが進んでいます。これは民間資金だけでやろうということで非常に頑張っております。
 また、その後、次の日は都城市に行きまして、新福青果と霧島酒造を訪ねました。新福青果というのは、私は9年前に経産副大臣のときに、日本で一番頑張っている農家はないのかと聞いたところ、それは新福青果というのがありますという話を聞いて行ったことがあるんですけれども、今回また改めて訪問して農業生産法人、有限会社ですけれども、新福青果さんがITを活用し、そして大幅な機械化をやり、これまで勘でやる農業というのを、データに基づいて、誰でもそうしたデータに基づけば、いつ種まきをしたらいいかとか、いつ収穫したらいいかとか、圃場に何時に入って、何時に出るというのを全部データ化しているわけです。そのことによって労務管理も出来るし、勘に頼らない農業というのが出来るということで、多くの若者が志望して農業経営をやっております。最近は若い女性たちもその法人に入ってやっています。
 それから、そのグループの中では、障害者が働く施設を持っておりますし、高齢者の施設も持っているんですけれども、農産物で農協の基準に合わないような規格外品というのは従来は捨てていたわけですけれども、これをそうした障害者や高齢者が加工する。カットしたりして袋詰めして、あるいはゴボウは皮をむいて袋詰めしてやると、むしろそっちの方が付加価値が上がって5倍の値段で売れるというようなこともやっています。その結果、全て何も捨てないで付加価値を上げて販売までやるという6次産業化の、これからの日本の農業のあるべきモデルとなるようなことをやっておりまして、是非そういう農業経営の在り方を全国に知ってもらえればなと思っております。
 それから、霧島酒造は、これも皆さん御承知のように、「黒霧島」という焼酎でも有名ですけども、これで一気に全国ナンバーワンの焼酎メーカーになったわけです。私が感心したのは、単においしい焼酎を作るだけでなく、地元のお米や、あるいは芋を使って、特に地元産にこだわる、それから地元の水にこだわる、そういうふうに作っていくのと、焼酎を作ったときに粕が出るんですけれども、その粕をいろいろな工夫をして、粕から出るバイオガスを使って再利用する、あるいは最終的には飼料にして、これをまた地元の農家の方々に提供して、ゼロエミッションといいますか、もう無駄なものは何もないというような形で循環するような経済を地域で作り上げている、これも大変感心しました。
 そのほか、宮崎市はキャンプ地、スポーツランドということで、シーガイアも使って誘致していますし、最後に、食の安全分析センターという、県の総合農業試験場の中に食の安全分析センターというのを新しく作りまして、ここに先行型交付金で宮崎県が、大学、島津製作所等と共同しまして、残留農薬の検査機器を新しく製作したんですね。これが非常に優れものでありまして、今までは残留農薬を検査するのは人手の作業でやらなきゃいけないので1週間ぐらい掛かっていた。これがもう数十分で出来るという大変優れもので、この機械が先行型交付金で、それがなければとても出来なかったと言っていましたけれども、出来ることになりました。そのことによって、また女性の研究者は3名新しく雇用出来るようになったし、今その機械は、島津製作所の製品になるんですけれども、世界中で注目されておりまして、既に70数台ぐらい売れているという話でありました。そうした意味で、まさに地方創生の交付金が大いに活用されて世界に轟くようなものまで作り上げて稼いでいるという姿を見て大変勇気付けられました。こうしたことをしっかりと他のところも頑張ってもらいたいなと思っていますし、そういう頑張るところには是非財政面、情報面、人材面で協力していきたいということで、各市長さんあるいは副知事さん方と意見交換してきたところであります。大変有意義な視察だったと思っています。
(問)今月公表された金融機関の地方創生の取組状況に関するモニタリング調査では、自治体と協働して取り組んだり、連携協定を結んだりしている金融機関が、昨年の調査より大幅に増えて、交付金事業について自治体から相談を受ける金融機関も約4割に上ることが分かっていますが、これらの調査結果についての受け止めと、今後期待することを教えてください。
(答)昨年度、金融機関の関与状況を把握して、特徴的な取組事例というのを選定して公表いたしました。今年度も同様に、まずは関与状況等に係るデータを公表したところであります。
 この結果によりますと、7割超の金融機関が地方公共団体と協働して事業、施策に取り組んでいる。また地方公共団体からの交付金等の事業に関する相談については、金融機関が有する幅広い情報・ネットワーク等を活用してアドバイスしているなど効果的な取組が行われていることを評価しております。
 今後は、特徴的な取組事例について、昨年度と同様に更に調査を進めて、取りまとめ次第公表して、今年度は特に選定した事例について大臣表彰をして勇気付けたいというふうに思っております。
(問)昨日、大臣、行政事業レビューについて総理に御報告されていましたけれども、一方で、民進党でもそういった無駄を見直す行革チームが蓮舫代表の下で立ち上がって、今月、初会合が行われているんですけれども、大臣としてこういった動きをどのように御覧になっていますでしょうか。
(答)民進党さんが独自にやられるということについては、しっかりやっていただきたいと思いますけれども、我々は、かつての民進党がやったものとは少し違って、本当に実効性が上げられるような形にしなきゃいけないと思っておりまして、事業対象も毎年順送りしながら絞って、効果が上がるような形にやるようにしていますし、また、外部有識者によるチェックを重点化したり基金シートを公表するなどして、いわゆる効果的になるように頑張っているところです。これからも行政を効果的にやる、それからまた税金の無駄遣いをなくすという観点からしっかりと行政レビューはやっていきたいというふうに思っております。
(問)発表があった特区の民泊の件なんですけれど、この近隣住民との調整や宿泊者名簿の設置、これはこれまで通知でやっていたものを政令として新たに明記されるということなんですが、これは理由としては、「より効果的かつ透明なものとするため」というふうに書いてあるんですが、もうちょっと具体的に、例えば通知だと拘束力が弱いとかそういう理由があるんですか。
(答)これは、私は民泊というのは、より使いやすいようにするという必要がまずあると思いまして、それは日にちを短くするということは大事だと思います。同時に、日本では変なことが起こっちゃいけないというようにも思っておりまして、だから、規制で緩和するところもあるし、しっかりと、逆にある意味では規制強化にもなるんですけれども、守るべきところは守ってもらわなきゃいかんと思っています。
 その中で、日本では絶対にやらなければいけないと思っているのは、誰が泊まっているかということはちゃんと確認出来なければいけない。これは、私は大臣になる前に、自民党の観光立国調査会長として、パリの担当者と意見交換したことがあるんですが、フランスは、例えばAirbnb(エアビーアンドビー)に泊まっている人は誰が泊まっているか全く分からないというような話でありまして、そういうことは日本では絶対に起こしてはいかぬ。そういうことが場合によってはテロの温床にもなり得るわけで、そこは私は譲ってはならないところはきちんとしなきゃいかんと思っておりまして、まず、誰が泊まっているかはしっかり確認する、これはもうマスト。
 それから、この民泊をやっぱり住居地域とかで認めていきますと、周辺住民との間のトラブルとか、例えばごみ出しとかということでトラブルが起こったりいたしますので、それはやっぱり防がないと、本来の地域の安寧を壊すということになりますので、そこは地域の住民に対する説明と、それからちゃんとそういうことがないような責任体制というのをきちっとしたい。
 これらは従来通知でやっていたんです。宿泊者名簿はマストなものとして旅館業法には書かれていたわけですけど、特区の民泊では通知でやっていた。けれども、逆に、これは政令事項としてきちっとやった方が、むしろ安心してそういうことが出来るだろうということでありますので、特区の民泊の方が、他の違法民泊で行われているようなことよりはきちっとしているという形に是非したいなと思っておりまして、そういう心配はないように政令で手厚くすることにしてあります。

(以上)