石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年6月17日

(平成28年6月17日(金) 8:47~8:56  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 月例経済報告ですが、景気の現状についての総括判断は、「このところ弱さも見られるが、緩やかな回復基調が続いている」として、据え置かせていただきました。先行きについては、雇用並・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されます。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがあります。こうしたなかで、海外経済の不確実性の高まり、これには英国のEUの離脱問題が入っておりますけれども、金融資本市場の変動の影響に留意することが非常に重要になってくるのではないかと思います。また、熊本地震の経済に与える影響に十分留意する必要があります。
 政策の基本的態度については、先月からの変更点として、今月の2日に閣議決定しました、いわゆる5つの方針、すなわち、消費税率の10%への引上げを2019年10月まで延期したことや、総合的かつ大胆な経済対策のこの秋に向けた取りまとめ等を盛り込んだ、「経済財政運営と改革の基本方針2016」、「日本再興戦略2016」、「規制改革実施計画」、「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」及び「ニッポン一億総活躍プラン」、これらの記述をさせていただいたというところが変わったところです。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)月例経済報告について伺います。英国のEU離脱問題や、昨日の日銀の政策決定会合を受けて、円高が進んでいるのですけれども、先行きについて金融市場の不透明感は高まっていると思いますが、今回景気判断を据え置かれた理由について、もう一度大臣からお願いします。
(答)海外のリスク要因の高まりということは否定できないと思います。その一方で、先日、公表いたしました、2016年の1-3月期のGDPの様子を見ますと、実質GDPの成長率は前期比プラス0.5%、年率1.9%のプラス。2015年度でみると、実質GDPプラス0.8%、名目GDP2.2%、デフレーターもプラス1.4%と、この3指標がプラスになるのは18年ぶりです。デフレ経済脱却へ向けた、前進する経済の発展というものが、この3つの指標のプラスということから見受けることができるというのが大きな理由の一つです。
 それと、まだ正式な数字は出ていませんけれども、2015年度に過去最高となった企業収益というものも前年度から増加している。2016年の1-3月期、ここは3四半期連続で前期比マイナスと、改善に足踏みがみられますけれども、思い出していただければ分かりますように、商社などが減損でかなりの損失を出したと、そういうことがあったのだと思います。これは一時的な資源価格の乱高下による問題ですので、恒常的に続くとは考えておりません。
 また、日銀の短観をみても、2016年度の下期には回復に向かうということが見込まれています。このような判断の根底には、こういう事実があったと御理解をいただければと思います。
(問)舛添都知事が辞任されるということで、次の都知事の候補について、大臣も含めて、いろいろな方のお名前が取り沙汰されているわけですけれども、次の都知事はどのような方がふさわしいとお考えでしょうか。また、大臣御自身、次の都知事の候補にお名前が挙がっていることについて、どのように考えていらっしゃいますか。
(答)まず、政府としてコメントすることではありません。ただ、自民党の東京都連会長として、お答えをさせていただくと、1,300万人都民の代表、皆さんに本当に御迷惑をおかけして申しわけないという気持ちは今でも変わりません。今回どんな方がいいのかという御質問ですが、個人的な見解ですけれども、「出たい出たい」という方よりも、この混乱を平定して、2020年のオリンピックをしっかりとやってくださる方を皆さんとこれから相談させていただいて選出をしていくということになると思います。
(問)月例経済報告の話に戻って恐縮ですが、景気の現状も先行きは変わらないという判断になっているのですけれども、そうすると、首相が判断された消費増税の延期について、延期しなくてもよかったのではないかと疑問に持つ方もいるかと思うのですけれども、その点についてはどのように考えればよろしいですか。
(答)総理もおっしゃっていたとおり、海外のリスク要因というものが高まっているということは紛れもない事実だということは、私たちも共通認識として、今回の月例経済報告にも書き込ませていただいております。ですから、消費税の延期の判断は、総理と同じ認識であるということが今回の月例経済報告で示されたと御理解をいただきたいと思います。
(問)月例経済報告で、世界経済の現状と先行きについて、判断や表現を据え置かれていて、総理は、新興国や途上国の経済が落ち込んでおり、世界経済が大きなリスクに直面していると主張されているわけですけれども、この月例経済報告の文面を見ると、そのリスクの部分や留意する必要があるというふうには書いてあるのですけれども、リスクがこれだけ大きいという強調ぶりが、月例経済報告と総理の言い方に食い違いがあるように見えるのですけれども、そこのところはどのように捉えていればいいのか、整合性がとれているのかということを改めてお伺いしたいのですが。
(答)私も皆さんと同じ経済研究会にいたことあるので、月例経済報告の記事を書いていたことがあるのですけれども、そのころと書きぶりというのは変わっていません。月次の報告なので、とてもモデレートに書いている。そういうものであるということを理解して読んでいただくと、「海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。」と書いてあるということは、かなり書いてあると私は思います。

(以上)