石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年5月13日

(平成28年5月13日(金) 9:32~9:46  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議で当方に特段関連する案件はありませんでした。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日の閣議で補正予算が閣議決定されましたが、昨日の景気ウォッチャー調査等を見ていると、熊本地震によってかなりマインド面の低下といった内容になっていたかと思うのですけれども、政府として政策対応が出てきたことで、日本経済へ与える今後の影響等をどう見ていますか。
(答)熊本地震は、直下型地震の中で余震が今も続いている。昨日も夕刻、震度4の地震があるなど、予断を許さない地震だと思います。また、多くの方々が避難をされていますし、亡くなられた方々も50名にならんとしている。心からお見舞いとお悔やみを申し上げます。
 そんな中で、景気ウォッチャーでは、消費動向への懸念に加えて、熊本地震による下押し圧力がある。評価は「引き続き弱さがみられる」と据え置きましたが、日本国内の旅行、あるいはマインドに悪影響を及ぼしていることは、昨日の結果からも明らかです。その一方で、ファンダメンタルズはどうなのかというと、史上最高益という企業もたくさん出ていますし、雇用の状況あるいは所得環境は引き続いて良好であるという認識です。
 先程、補正予算案が閣議決定されました。今日から本会議、来週月曜日、火曜日と衆議院、参議院で議論をして、一日も早くお通しいただいて、本予算ともども早期に執行していくことが、この景況感の中では非常に重要ではないかと思っています。
 これからも景気動向を十分注視して、あらゆる政策を動員することで悪いマインドを払拭していく。そういう努力を積み重ねていかなければならない局面にあると認識しています。
(問)熊本地震の関係で、大臣は、以前、熊本地震の影響や被害の試算、数字を、ゴールデンウイーク明けにも公表するという話をされたと思いますが、これをいつ発表される予定なのか、あるいはある程度の額が今あるのかということと、もう一つは、マイナス金利ですが、2月16日に導入されまして、大臣は影響を見るのに3カ月程度とおっしゃっていたと思いますが、もうそろそろ3カ月経過しますが、その影響を発表される予定あるいは今何らかのお考えがあるのか、そのあたりをよろしくお願いいたします。
(答)熊本地震の影響試算ですが、もう、かなりのデータが集まっています。しかし、今回の地震の特徴は、震度7の本震が2度来た後、震度6の地震も数回来るといった、これまでにないパターンをたどっています。先週も、震度1以上の地震が100回以上、また雨による土砂災害に対する警戒も続いている。倒壊とか半壊の家屋に赤い紙や黄色い紙、青い紙が貼ってあるのですが、揺れが続くことによって、これがどんどん変わっています。ある程度収束した段階で被害の影響は発表させていただこうと考えています。もう1カ月経過しましたので、そんなに遠くない将来に公表したいと思います。被害は日々増えています。地震が収束するか、あるいはどこかで区切ってという形になると思いますが、できる限り実情を反映した形で公表したいと考えております。それで、公表が若干延びていると御理解いただきたいと思います。
 2番目のマイナス金利ですが、住宅ローンの借り換えに一番大きく出ていると思います。日銀の黒田総裁も消費や投資の拡大につながってもらいたいと期待しているとおっしゃっています。そんな中で景気ウォッチャーは、熊本の震災によりマインドが下押しされていますが、東海地方では、マイナス金利も住宅に関しては後押しする材料になっているという明るい声も出てきた。そういう認識です。
 しかし、これは日銀もおっしゃっていますが、「マイナス金利」という言葉の与えるネガティブな面はあると思います。特に、フローのない高齢者の方々にとっては、預金の金利がマイナスになることはないと説明しても、マイナス金利という言葉のイメージが非常によくないという話を景気ウォッチャーからも聞いています。
(問)今、マイナス金利のネガティブ面という心証の部分についてお話しされていましたが、実際に経済に与える影響としては、ここの部分がマイナスだという判断、今のところはネガティブな面はないのでしょうか。
(答)これは、ウォッチャーの声としてあるということです。実際に預金の金利がゼロあるいはマイナスになるような事態が起きれば、実態として悪いということになりますが、そういうことはないわけです。ただ、そのようなことが起きると思っている方々がいる。また、マインドの面でマイナスな部分がある。そんなことは、日銀の報告の中にも示されていると思います。
(問)マインド以外の部分では、それほどマイナス金利というものがネガティブに働いているという心証は特にないということですか。
(答)実際に預金金利がマイナスになっていることはありません。逆に、先ほど東海地方の景気ウォッチャーの方々の報告を、紹介させていただきました。マイナス金利も住宅に関しては後押ししていますよという景気ウォッチャーの方の言葉が、マイナス金利導入から3カ月目にして出てきた。それは一事多象ですが、そういう声はきっと全国にあると思います。
(問)総理が欧州を外遊されて、財政出動の要請をされてきたと思いますが、その中で総理の表現として、通常の景気循環を超えて下押しされるリスクを未然に防ぐために何らかの行動をG7で一致して起こさなければならないという表現のされ方をしているのですけれども、通常の景気循環を超えたリスクというのは存在するのかどうか、その辺の御見解があれば教えてください。
(答)先ほど景気ウォッチャーの表現は変えていない、しかし、注視していくというお話をしました。年初来のマーケットの乱高下、あるいは、為替も今円安に若干振れていて一服していますが、こういう事態はこれまで余りなかったと思います。
 さらに、WTIで見てバレル当たり45ドルを超えて、それで安定するのかと思ったら、産油国サイドの需給調整の話が必ずしもうまくいかず、不安定要因になっている。そういう状態の中で総理が欧州を歴訪されました。こういう世界経済の状況、特に中国の景気の減速が念頭にあると思いますが、そういう中でG7が世界経済を引っ張っていく気持ちを持っていかなければならないと各国首脳とお話しになられた。既に報道されていますが、イタリア、フランスは財政出動に理解を示した。
 イギリスは前向きでなかったというような記事も出ていますが、シェルパの方々と話をしますと、必ずしもイギリスは財政出動にネガティブということではなくて、それよりも6月23日のEUの国民投票に一番思いが行っていて、財政出動はよくないとか、やるべき政策でないというような話はなかったと伺っています。ドイツは伝統的に財政出動によって債務が悪化してインフレが高まることに対する警戒感の強い国ですから、そこは他の国々とは違う。その一方で、アメリカ、カナダは非常に前向きである。G7の中でも、ドイツ一国が財政出動について余り前向きではないという現状です。それは、裏を返せば、それ以外の国は総理がおっしゃるように、G7ができる限りのことを行い、世界経済を安定的に推移させるということでは一致しているということだと思っています。
(問)ドイツ一国が、財政出動に余り積極的でないと言われていますけれども、米国などは、かわりに日本が出してくればいいと言っているとも言われていますが、その辺について大臣の御所見をお願いいたします。
 それから英国ですが、先日、総理が行かれてブレグジット等についていろいろ御提言されましたが、英国の大手紙などが、アベノミクスは実質成長を引き上げるのに失敗した政策なので、失敗した国の首相に説教を垂れられる意義はないと厳しい論説を出していますが、その辺についても御所見をお願いします。
(答)新聞の社説等についてコメントする立場にありませが、3年間でGDPは名目で27兆円、税収は消費税を除いても十数兆円増えている。デフレ脱却はしていませんが、デフレではない状態をつくった。所得環境、雇用環境も改善している。ベースアップという言葉を知らない労働組合の委員長がいたという話を聞きましたけれども、そういう中で3年連続ベースアップをしている。それらを失敗だと言われたら、成功はないのではないかと思います。

(以上)