石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年3月23日

(平成28年3月23日(水) 17:55~18:06  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要を報告させていただきます。景気の現状についての総括判断ですが、「このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」としています。
 企業や消費者のマインドにこのところ足踏みがみられ、そのような中で個人消費は力強さを欠いていることから、先月と比較して下方修正しています。
 ただし、企業収益や雇用・所得環境は改善傾向が続いていることから、「緩やかな回復基調が続いている」との基本認識に変わりはありません。
 先行きについてですが、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されています。ただし、海外経済で弱さもみられており、中国を始めとするアジアの新興国や資源国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがあります。こうしたなかで、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 政策の基本的態度については、先月から特段の変更はありません。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)景気判断について、一点お願いします。5か月ぶりに景気判断を引き下げましたが、その主因の個人消費の低迷に加えて、企業の収益や業況判断も下方修正していて、アベノミクスの起点となる企業部門への陰りというのも確認されるような内容になったと思います。今回の結果を受けて、これまで大臣は日本経済のファンダメンタルズは良好という認識を示されてきましたが、その認識に変わりが生じたかどうか、その一点お願いします。
(答)冒頭に御紹介したとおり、企業収益や雇用・所得環境の改善傾向は続いているとみています。ですから、緩やかな回復基調が続いているとの基本的な認識は変わっていない。ファンダメンタルズに大きな変化が起こっているとは認識していません。
(問)個人消費が横ばい、少し弱くなったということですけれども、今後更に悪化するリスクについてどう考えているかということと、経済対策と消費税への影響、何かありますかということをよろしくお願いします。
(答)個人消費をどうみるかですが、実質賃金の伸びが緩やかな中にあることは、一つ押さえていかなければいけないと思います。株価は、今日は比較的安定していました。世界的にみても安定していたと思います。しかしその株価や為替がまた一つのことで動く。それが消費マインドに悪影響を与えて、足踏み状態になっているということは、あるのだと思います。ですからさきほど紹介させていただいたように、個人消費はおおむね横ばいと、先月に比較して判断は下方修正させていただきました。
 では、これからどうなるかということですが、有効求人倍率は1.28倍と、24年ぶりの高水準。求人に対して仕事の方が多い状態です。就業者数も110万人と、安倍政権になって生産年齢人口が減るなかで増えている
 春闘の話ですが、ベースアップの幅が小さくなっている傾向はありますが、3年連続のプラスは最近はありませんでした。
 そういうことをもろもろ考えますと、雇用と所得環境の改善は続いていますので、個人消費を取り巻く環境が急激に悪化するとか、悪化したとは考えられない。良好な状態は、これからもしばらくは続くのではないかと見ています。
 そういうなかで、耐久財は弱いです。これは様々な理由があると思いますが、家電などでは、エコポイントがかなり効きました。車は、これもエコカー減税などをやって、需要を先取りしたという面があるのではないでしょうか。
 そういうなかで、何か爆発的な、「おお、みんな買いたいよ」というようなものが出てくれば、それに誘発されて消費というのは伸びていきます。8年ぶりに公示地価が都市部を中心に上がっています。そうしますと、これは資産効果としていきなりは効いてきませんが、これから効いてくる。そういうものを注意深く見守っていくということになると思います。
 最後の御質問は、いつもの答えで恐縮ですが、28年度の本予算の審議も終盤を迎えて、今日委嘱審査が終わりましたので、いつ締めくくり総括があるのか。もちろん金曜日に、集中審議がありますけれども、出口が見えてきたと思います。
 そうしますと、27年度補正予算の前倒し執行みたいなことで、4月ぐらいから6月ぐらいには全国にお金が流れ出す。
 さらに、本予算が年度内編成されれば、27年度補正予算と28年度本予算が途切れなく流れていくと、地方でも大きく変わってくるのではないでしょうか。
(問)来年春の消費税の増税に向けて、経済環境を作っていくと常々おっしゃっていますけれども、今のお話、先ほどの消費の話を考えますと、今の時点、今の消費の現状というのは、増税できる環境なのか、あるいは、まだもう少しこれから上げないと厳しいのか、その辺は如何でしょうか。
(答)今回の月例経済報告で下方修正をさせていただきました。個人消費が弱いということは一つ大きい。
 そして、個人消費が我が国のGDPで6割を占める。もう一つ大きいものとしては設備投資です。
 そういうことを、注意深く見守って、ここに上方修正するような明るさが出てくるということは、これから絶対必要な政策だと私は思っています。
(問)そういう意味で、今の状態ですと、なかなか厳しい。増税するに、十分な環境とはなかなか言えないというところでしょうか。
(答)私はそうは思いません。有効求人倍率が落ちてきて、働く場所もないということではありません。所得も3年連続増えている、そのような状況からみれば、賃金が減り出すというような状態は想像しづらい。ですから、今言われたのとは、全くパーセプションは違います。
(問)今、自民党などでもいろいろな意見が出ていますけれども、大臣個人のお考えとしては、増税は、今のままなら予定どおりで行けるというイメージ、やるべきではないかということですか。
(答)私は経済財政政策と経済再生の担当大臣ですから、決めた政策が実施できる環境を作るということが、重大な仕事だと思っています。判断は、適宜、適切に総理大臣が判断されるのだと思います。
(問)先ほど予算の前倒し執行の話をされていましたが、これはもうそういう手続を踏むということなのか、それとも大臣として、そういうものが望ましいと考えていらっしゃるのか、どちらでしょうか。
(答)平成28年度の本予算は通っていませんから執行もできません。予算が成立したら、そのぐらいのことを考えていくことも必要なのではないかということです。

(以上)