石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年3月22日

(平成28年3月22日(火) 9:00~9:14  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 今日、私から御報告させていただく案件はありません。

2.質疑応答

(問)マイナス金利が導入されて約1か月弱がたちまして、先週発表された日銀の議事要旨だと意見が分かれている実態も分かり、この1か月ぐらいを見ると金利の下がりと、市場もある程度影響が出ている部分もある。一方で、ECBの方は導入してから、あまり企業、家計の融資も増えていないではないかという批判などもありますけれども、大臣は、この1か月を御覧になって改めてマイナス金利への評価、効果はどういうものが現れているように御覧になっているかお願いします。
(答)導入後の経済の状況を見ると、イールドカーブは全般的に低下し、テレビ等で住宅ローンの借換えに多くの人が来たというような話が報道されているように、金利の引下げ効果が一部で見られていることは事実だと思います。金利が下がれば投資や融資の金利が下がるわけですので、投資や消費の拡大につながることを期待しているわけですが、実体経済への影響は、まだ1か月で分析の結果も様々です家計も企業も金融機関もトータルでプラスだとするものもあれば、イメージとしてはECBを見ても批判が出ているではないかとするものもある。それと同じような反応が、2月の景気ウオッチャー調査でありました。非常に率直だなと思ったのですが、景気ウオッチャーは一般の人、いろいろな業種の方々にお願いしているわけですが、分からない、評価できないと。分からないから評価できないのだと思いますが、あまり変わらないという声も多かった。また住宅ローン金利で、借換え費用を払っても、いま借り換えた方がプラスだという宣伝を見て驚きました。そういういい面もしっかりと発信していかなければならないので、もう少し、3か月ぐらいの間、状況を見極めることが重要なのではないでしょうか。
(問)為替ですけれども、分析会合にお越しになったジョルゲンソン教授や、毎回出ていらっしゃる浜田先生などが、大体今ぐらいの水準で購買力平価になっていて安定しているみたいな、これ以上円安は進まないというか、いいところまで円高修正が来たという御認識の方が多いのですけれども、その辺、大臣としてどう御覧になっていらっしゃるかということが1つと、2つ目は、更なる円安は必要ないという見解が国際的に広まるとすると、アベノミクスの牽引役であった円安による株高もお終いということになるかと思うのですけれども、そのまま参院選に突入ということになると思うのですが、その辺どう御覧になっているかお願いします。
(答)昔、私が為替の取材をしていたときは、マクドナルドの値段で、購買力を肌で実感するみたいなことをよく言われました。経済再生担当大臣として為替についてコメントすることは控えたいと思います。一般論として言えば、各中央銀行の総裁がおっしゃっているように、通貨の切下げ合戦の様な状態になるのは非常に好ましくないということは、そのとおりだと思います。各国の金融政策機関が適切に対応していくべき問題だと考えています。
(問)週末、自民党の溝手参議院議員会長が衆議院の解散と同日選について容認するような発言とともに、消費増税の見送りもやむを得ないという趣旨のことをおっしゃっていますが、大臣のこれについての御見解があれば教えてください。
(答)解散は総理の専権事項ですから、総理が適切に御判断されることだと思います。消費税についてはこの間もお話ししたように、消費税は社会保障目的税ですから、来年4月1日に、社会保障目的税であるところの消費税が10%になれる経済環境をどのように作っていくのかというのが、私の最大の仕事だと思っています。
(問)最近はあまり聞かなくなったのですけれども、4月の予算の成立後に、何らかの経済対策を検討すべきではないかという声が、少し前にあったのですけれども、サミットが5月26、27日にあり、1-3月期の一次QEが5月の半ばに出るのですけれども、何らか経済対策が必要だと、予算成立後すぐに検討しなければいけないような経済環境にあるのかどうか、その辺のところは大臣の御認識どのようなものでしょうか。
(答)2週間ぐらい前にこの議論は盛んだったような気がします。今も28年度本予算の審議中です。また27年度の補正予算も成立させていただいて、早く実施するようにと総理の指示もありました。そうしますと、4月からお金が流れ出します。今、御審議いただいている28年度予算も早期に、年度内に成立をさせていただければ、夏には箇所付けなどが終わって流れ出す。そうしますと、大分雰囲気が変わってくると思います。それによって経済がかなり好循環になっていくと思いますが、あらゆる政策を総動員して、アベノミクスを地方に、あるいは小規模・零細の方も感じていただけるようにやっていく、そういう政策を立てていくことが、年央にかけての最大の仕事ではないかと思っています。
(問)仮に補正予算を4月から検討するとしても、恐らく臨時国会になって、臨時国会の後、執行ということになるので、あまり意味がないような気もするのですけれども、すぐに検討する必要があるとお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
(答)私はそういう指示は受けていませんし、多分、財務大臣もそんなことは受けていないと思います。一般論でいえば、4月から本格的に27年度補正予算が流れていきます。28年度本予算を年度内に成立させていただければ、夏以降本格的にお金が流れていく。それで経済がどうなるのかを見るということだと思います。
(問)TPP関連ですが、衆議院での特別委員会の設置のことも含め、今後の状況についてお聞かせ願えますか。
(答)これは国会の方で委員の皆様が決められることですが、カレンダーで言いますと、月内にTPPの特別委員会が設立されれば、さまざまな審議が始まっていくと思われます。TPP本部が中心になって、各党からの様々な問い合わせに対して、今週ぐらいから回答する作業が本格化していくと思われます。皆様方の疑問点というものも大分集約されてきていると思います。そういうものに対して、委員会が始まればしっかりとお話させていただく、できる限り説明していくことになると思います。まだ心配だという農家の方々がいることは事実です。昨年11月のTPP大綱でかなりの対策を盛り込んでありますが、そういうものがまだ十分に末端まで説明し切れていないと感じている方がいることも事実だと思いますので、丁寧に説明していくことが大切なのではないかと思います。農業はどちらかというと守りなのですが、それでも中にはどんどん輸出をしていこうという方もいます。中小企業の方々からはTPPを何に使えるかといった問合せが中小企業庁に非常に数多く寄せられています。もっと分かりやすく、そしてどういうお手伝いが政府としてできるのかといった話もしていかなければならないと考えています。
(問)先週末、連合が春闘の第一次集計をまとめまして、賃上げ率が去年より下がっていると。一方で非正規は上がっているところもあるようですけれども、今後の個人消費にどんな影響を与えるとお考えか、御所見を伺えますでしょうか。
(答)世界経済の不透明感が年初来広がっていることもあって、昨年の回答を下回る企業もあれば、その一方で、上回る企業もあったと思います。一時金については収益を拡大しているところは、前年比よりも多い回答がなされていると思います。まだ中小企業など全部が出そろっているわけではありませんが、全体としては賃上げの流れが3巡目に入ったのかなと、そんな印象を持っています。しかし、これも何度も申していますが、デフレが20年近く続いたわけですので、賃金が3年連続でプラスになっても、まだマインドとしては弱いと思います。ですから、この賃上げの流れを4巡目、5巡目と続けていくことが大切なのだと思います。

(以上)