石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年3月15日

(平成28年3月15日(火) 9:01~9:15  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 今日の閣議ですが、私の方から御報告する案件はありません。

2.質疑応答

(問)明日から始まるサミットへ向けた、国際金融経済分析会合について、1点質問がございます。
 世界経済は、中国の景気減速や原油安といった様々な懸念を抱えていますが、今回の会合では、大臣はどういった点により詳しく話を聞いてみたいとお考えなのか、お願いします。
(答)明日、スティグリッツ教授をお招きして第1回目の国際金融経済分析会合を開催することになりました。中国の景気減速が世界経済にあたえるインパクトを、どのように見るのか。あるいは、原油価格の低下を中長期で見て、どのように捉えるのか。そんな話が伺えるのではないかと思っています。これは総理の発案で始まった会議ですが、伊勢志摩サミットでは、G7がどういう協調を行っていけるのかということが世界中の注目の的ですので、そういう意味でも、世界の金融や経済について、識者から話を聞いて、総理、財務大臣が整理をしていく上で重要な会合になるのではないかと考えています。
(問)昨日、1月の機械受注統計が発表されまして、船舶・電力を除く民需が、前月比15%増という、高い伸びになったのですが、鉄鋼業で大型受注があったことで、10倍にも膨らんだという一時的な要因であるということです。それを除けばマイナス0.2%だという計算もありまして、この設備投資の状況について、大臣はどう思われるのか、改めてよろしくお願いいたします。
(答)機械受注統計は設備投資の先行指標ですから、プラスであることに越したことはありません。その中で、鉄鋼の設備の更新という特殊要因があって、2か月連続の増加となりました。過去5か月を見ても、4か月は増加しています。これも、持ち直しの動きがみられるという分析の一因になっているのだと思います。しかし、実態は、今言われたように、薄い増加です。個人消費と設備投資は、日本のGDPに占める割合が大きいので、設備投資がよければ、最終的な需要の動きにも好影響を与える。そういう観点から見ていかなければならないものだと思います。
 過去2年、また2015年も間違いなく企業収益は高いわけです。ですから、この企業収益の高さを、設備投資に、あるいは賃上げに結びつけていただきたいというのが、私の個人的な思いでありますし、経営者の方々にも政府の思いというものは伝わっているのではないかと考えています。
(問)明日は春闘の賃上げについて、大手の一斉回答があると思いますが、賃上げ率が昨年を下回る見込みと言われています。これが消費に与える悪影響、アベノミクスの好循環への悪影響、その辺はどのように見ていらっしゃいますか。
(答)今、労働組合と経営側が交渉している最中ですので、賃上げがどうなるかというのは、経済財政政策、あるいは経済再生担当大臣がコメントすることではないような気がします。
(問)常々好循環には賃上げがポイントであるとおっしゃっていて、正に今、答えが出そうなところですけれども、その受け止めや経済への影響については、明日賃上げの結果が出てからというところですか。
(答)そのとき改めて申し上げます。
(問)昨日、本田参与と浜田参与がプライムニュースというテレビに出まして、浜田さんは日本丸が外海からいろんな波風が立っていて、この波風が激しくて、日本丸が転覆しそうなときには、消費増税というものはやめた方がいいのではないかという趣旨の発言をされています。総理の周辺からはそういう声が上がっているのですけれども、現状、大臣は、日本丸が転覆しそうなぐらい外海の波が高いとお考えになっていらっしゃるのか、その辺の御認識を教えていただければと思います。
(答)先ほどGDPの話で、個人消費の話と機械受注の評価の話をしました。機械受注は5か月のうち4か月上昇している。今月の発表では、特殊要因があるものの、持ち直しの動きがみられるという判断です。消費の方も、年初来の国際状況、あるいは資源価格の下落等々で影響を受けていて、荒い動きがあるけれども、日本の経済のファンダメンタルズが変わっていないというのが政府の考え方です。そうしますと、今の御質問については、暴風雨の中を今日本丸という船が進んでいるという認識を、私は持っていません。
(問)G7について、上海のG20では、声明の中で、金融政策だけではなくて、財政政策での協調もしていかなければならないという趣旨の言葉が入っていて、最近の国際世論では、財政能力があるところはもっとやるべきではないかという流れがあるのですけれども、国際協調の在り方として、G7の中でそういうことを言う可能性があるのかどうかということと、それからもう一つは、日本はその協調に沿って、財政余力があるのかどうか。財政に対する認識というのがあれば、教えていただければと思います。
(答)G20の取りまとめの中で、私は、金融、財政、構造改革と、この三つに踏み込んだところに意味があったのではないかと思います。先ほど、国際金融経済分析会合のテーマとして、中国経済の減速をどう見るのかという話が聞きたいという話をしましたが、中国がリーマンショックの後に、大規模な財政出動を行って、その結果、余剰設備、過剰融資という状況が起こって、少し軟調になっている現状があると思います。それに対して、中国が財政出動する余力があるのかないのかということに、注目していたのですが、それなりの余力があるからこそ、中国は議長国としてこの言葉を入れたのだと思います。もう一つ、一番財政が健全でありながら、財政出動ということが念頭にないドイツに対して、G20という少し大きな枠の中ですが、ああいうことを取りまとめたというところに意味があったのではないか、こんな気がします。
 日本がどうするかについては、先ほど言いましたように、荒波の中を今進んでいるわけではないとの認識です。しかし、その一方で、年初来の為替も含めてマーケットの動きには、荒い動きがありますので、絶えず注視していかなければならないのではないか、このように捉えています。
(問)民主党と維新の党が合流して民進党という名前になったのですけれども、この党名の受け止めを一言下さい。
(答)大臣としてというよりも、政治家としての感想になりますが、ちょっとびっくりしたというのが本当のところです。
(問)何でびっくりしたのですか。
(答)民主党という名前を捨ててしまっていいのですかね。他の政党だから、私が言う話ではないですが、びっくりしました。やはり名前も大切ですが、憲法改正をするのかしないのか、日米安保をどうするのか。あるいは財政政策をどうするのか、消費税をどうするのか。消費税の3党合意を巡って、それが嫌だと出ていった人たちがまた元に戻ってくるわけですから、そういうところをしっかりと、新しい党名に恥ずることなく、取りまとめていただければと思っています。
(問)今日日銀の決定会合の結果が出ますが、日銀のマイナス金利政策については、批判も多く、評判が悪いようですが、今日はどういった対応を期待されていますか。大臣のお考えを教えて下さい。
(答)金融政策の責任者は日銀ですので、日銀の金融政策について、特に現在進行形なものについては、私が今コメントをする立場にはないと思いますが、前回の政策決定会合のときも、私も初めてですので、これもびっくりしました。最初はまずびっくりしましたけれども、日銀のデフレに対する強い挑戦姿勢、緩やかな形で物価を上げていくのだという意識のあらわれだと捉えました。その後、表層的には、マイナス金利の影響は、住宅ローン金利の低下や、預金の金利の低下という形で現れています。しかし、経済全体に対してどのような影響があるのかは、初めてのことですので、もう少ししっかりと見ていかなければなりません。総理もその辺をしっかり分析するようにとおっしゃっています。マイナス金利が実質的に適用されたのは2月中旬からです。まだ1か月弱ですので、もう少しスパンをとって、もう少し実態を見ないと、本当の影響は分からないのではないでしょうか。内閣府もこれからそこをしっかりと分析していくことが、私は重要だと捉えています。

(以上)