河野内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成28年6月28日

(平成28年6月28日(火) 10:37~10:56  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 おはようございます。私からは、2件でございます。
 一つは、今年度の国家公務員の「ゆう活」が始まります。今日の閣僚懇談会でも、閣僚にお願いいたしましたが、今年度の「ゆう活」のポイントは、フレックスタイムを活用していただいて、早く帰るということに重点を置きたいと思っております。
 それから霞が関において、原則夜8時までには消灯してくださいと。私も7月1日、今週の金曜日、消灯できているかどうか、見回りをやろうと思っております。閣僚にも庁舎の巡回をしてくださいというお願いをいたしました。
 それから「ゆう活」の前提として、働き方改革があると思います。「霞が関の働き方改革を加速するための懇談会」で、小室座長の下にやっていただきましたが、この夏、その取組を加速させていきたいと思っております。閣僚の皆様にも、働き方改革の推進をお願いしてございます。
 それともう一つ、今度は防災でございますが、「中央防災会議 防災対策実行会議」の持ち回り開催で、二つのワーキンググループの設置を了解していただきました。
 一つは、「洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループ」でございます。これは、私が生まれる前のカスリーン台風とか、伊勢湾台風といった、戦後、カスリーン台風は昭和22年、伊勢湾が昭和34年だったと思いますが、大都市圏で大規模な水害が発生したということが、かつてございます。
 地球温暖化による気候変動で、風水害が激甚化するという予測が行われておりますので、「防災4.0」未来構想プロジェクトを開催して、いろいろ検討してまいりましたが、100年に一度の雨とか50年に一度の雨といった、かつての尺度が気候変動により崩壊しつつある。既存の想定を超えるような激甚化が起き、それに対する備えが必要だと考えております。
 この首都圏大水害が起きますと、数百万人に移動していただかなければいけませんので、避難時の大混雑にどう対応するのか。それから極めて多くの方が孤立すると予測をされておりますので、こうした洪水・高潮氾濫のときに、大規模かつ広域的な避難の在り方についてどうするのか。
 これは数百万人の方、特に500万人ぐらいが影響を受けるとなると、首都直下地震のときの帰宅困難者の人数とほぼ同じぐらいになります。
 これは今、自治体の長が避難勧告・避難指示を出すということになっておりますが、これだけの大人数が避難しなければならないという状況のときに、区長さんとか、市町村長さんに避難勧告・避難指示を出してくださいというのは、無理かもしれない。首都圏の場合には、東京都をはじめとする知事あるいは国が相当程度関与しなければいけないのではないかと思っておりますので、そうした在り方を含めて、少し議論をして結論を出していただきたいと思っております。
 それから二つ目のワーキンググループが、「南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキンググループ」でございます。
 これは、大規模地震対策特別措置法(大震法)に基づいて、東海地震のときには、地震発生の恐れがあるときに、気象庁長官が「地震予知情報」を出して、それを受けて、総理大臣が「警戒宣言」を出して、住民避難とか鉄道の運行停止の措置をあらかじめ行うということになっております。
 二つ論点がありまして、一つは、東海地震だけでなく、南海トラフ沿いの広い範囲での大規模地震の発生が懸念されるようになってきているということと、平成25年の中央防災会議の調査部会において、「地震発生の可能性の高まりを言えることがあっても、南海トラフ沿いの大規模地震の確度の高い予測は難しい」と言われてしまっておりますので、観測・評価に基づく地震防災対応の在り方について、少しこのワーキンググループで検討していただこうと思っております。
 一つは、予測はできないというのであるならば、大震法をやめてしまうのか。厳密な予測が難しいけれども、可能性が高まってきているというところがもし分かるなら、鉄道の運行停止というのは難しいにしても、例えばこういう状況だから、備蓄はちゃんとできていますかという備蓄の確認をするということは可能かもしれませんから、その程度のことをやっていただくことにするのか。そうしたことを少し検討していかないといけないかなと思っております。
 地震の予測は、なかなか予知は難しいという話でございますが、そういうことについて少し今後議論をしていかないといけないかなと思っております。
 私の方からは、冒頭以上でございます。

2.質疑応答

(問)共同通信の出井ですけれども、先ほどの大震法の検討する有識者会議の件なのですけれども、もう少し、どういう自治体とかにとって、メリットがこの検討によって出てきそうかということと、あと、先ほど大臣言われました、正確な予想で鉄道運行停止というレベルでなくても、もうちょっと段階を下げた対策がとれないかという御趣旨だったのかというのを確認したいのです。
(答)25年の中央防災会議の調査部会は、確度の高い地震の予測は難しいが、プレート間の固着の変化を示唆する現象が観測できれば、不確実ではあるが、地震の発生の可能性が相対的に高まっているということは言えるであろうと。何だかよく分からないという気がいたしますが、危なくなってきたということが分かれば、少なくとも地震に対する備えをもう少しきちんとやってくださいとか、御家族の間で連絡方法をきちんと確立しておいてくださいとか、例えば避難場所の備蓄の確認を自治体はちゃんとしてくださいという程度のことは言えるのだろうなと思っております。
 ただ、鉄道を止めると言ったって、一体何日間止まるのかも分からないという状況では、そこまではなかなかいかないと思いますし、どこまでその地震の予測の可能性があるのかということを、やはりしっかり議論していただいて、そこまではいかないけれども、少し注意喚起はできるとか、いろいろなレベルがあると思いますので、それに基づいて、自治体は必要な措置を取っていただくということかと思っております。
 当時は、しっかりこれから観測すれば、地震の予測はできるのではないかということで、こうした法律を作ったのだろうと思いますが、なかなか地震予知の精度は上がってきていないという現実もございますので、その辺をもう一回しっかり見直して、今後どうするか考えていきたいと思います。
(問)読売新聞なのですが、この設置はいつかということ、設置したのでしょうか。それともこれからするなら、いつ頃するのかというのをお伺いしたいのです。
(答)今日付けです。了解はいただきましたので、今日付けです。
(問)テレビ朝日の中内と申します。
 すみません。冒頭、大臣からあったお話とは違うのですけれども、先日、ロンドンでEUの離脱をめぐる国民投票が行われました。結果として離脱するということになりまして、国民からも「離脱する」に投票した方から後悔の念が上がったり、大きな問題となっています。
 今後、国際情勢に影響を与える可能性もあると思うのですけれども、大臣の所感がありましたら、お聞かせください。
(答)極めて由々しき事態が起きたと思っております。私は、イギリスのスコットランドの独立の投票のときも、残留という結論を選んだということもありますから、イギリス国民の良識ある判断が行われるだろうと思っておりましたので、離脱ということになって正直びっくりしております。
 これはEUからイギリスが離脱するだけでなくて、スコットランドや北アイルランドが連合王国から離脱するということにも、恐らくつながりかねない、我々の知っているイギリスが崩壊してしまう可能性も高くなってきたのではないかと心配しております。
 30年来のポンド安ということですし、日本の株価も(前日比マイナス約)1,200円、円高99円(対ドル)まで行ったということで、かなりこれから金融に大きな影響がやはり出るのだろうと思っておりますし、デンマークをはじめヨーロッパ各国のEU離脱派が勢いづく可能性もある。
 スペインは賢明な判断をされたと思っておりますが、そういうこともありますので、予断を許さない状況だなと。
 日本はEUとの間の様々な貿易交渉を、これからやろうという機運が非常に高まっていたときでもありますし、そうしたことがどうなってしまうのか。イギリスと個別の交渉を、という話もありますが、恐らくイギリスにだって、貿易交渉をやった経験のある人というのは、イギリス政府内、極めて少なくなってきているのではないかと思いますので、そう簡単に交渉がイギリスとの間で進むとも思えませんので、これは非常に厳しい状況になっていると思います。
 国民投票で物事を決めるというのは、民主主義の一つの手段ではあると思いますが、離脱派の公約が、実は余り正確でなかったみたいなことも言われておりますので、アメリカのトランプさんの躍進なんていう話もありますし、ポピュリズムに陥らないよう民主主義の中で物事を決める難しさというのを、やはり我々は再認識しなければいけないのかなと思っております。
 これで金融・経済が引きずられることがないように、総理からも様々な指示が出されておりますので、日本経済をしっかり政府として舵取りをしていかなければならないと思います。
(問)朝日新聞の小川です。
 南海トラフに話が戻ってしまうのですけれども、作業部会、提言という形で、これは年度内をめどにまとめるという形でよろしいですか。今年度内ということですか。
(答)今年度内に、何らかのまとめが行われると思っております。最初の洪水の方は来年度内になります。大震法については今年度内。
(問)16年度内ということですね。2016年度内。
(答)2016年度内です、大震法は。
(問)NHKの藤島です。
 大震法の絡みなのですけれども、南海トラフの方ですが、一つは年度内にまとめるというお話がありましたけれども、議論の開始はいつ頃から始めたいとお考えかということが一つと、もう一つは、こういう議論が必要なのではないかという話は、25年の話もあったりして、大分いろいろな専門家だったりとか、ちまたでは言われてはきたのですけれども、このタイミングで議論が始まるということで、早急に結論というのを出していかなければいけないのかなと思っているのですが、そのあたりの大臣の所見をお願いします。
(答)洪水の方は、9月中に1回目をやろうと思っております。大震法は、早ければ8月にも議論をスタートして、年度内にまとめるということなのだろうと思っております。
 地震の予知については、なかなか専門家が難しいという話をされていますが、例えば防災担当大臣を拝命して、高知県に視察に行ったときに、実は高知県の企業は、地震予知の新たな方法は、というデモを見せていただいたり、ということもありましたので、いろいろなやり方がひょっとするとあるのではないかと。
 今まで予想もしていなかったやり方で予知ができるのではないかということもあると思いますので、むしろそうしたアイデアなんかみたいなものも、少し確認していけたらいいのではないかと。それはだめ元というイメージが強いかもしれませんが、そんなことも少し考えられるのかなと思ったりもしております。
(問)日経新聞の伴と申します。
 大震法に関してそういう専門家の中ではもともと南海トラフ特措法があるというところを鑑みて、廃止してもいいのではないかという声があると思うのですけれども、先ほどなくすこともというふうにおっっしゃいましたけれども、例えば備蓄の確認とかだったら法律で対応するまでもないことなのかなと思うのですが、その辺の法改正で対応するのか、廃止にするのかという、その線引きというか、どの辺が基準になるとお考えですか。
(答)特にありません。予断なく議論をしていただきたいと思っておりますので、今の段階でどうこうと言うつもりは、私にはありませんので、まず議論をしていただこうと。その結果、いろいろなことがあり得るのではないかと思います。
(問)共同通信、平田です。
 消費者庁の徳島でのお試し移転の関係なのですけれども、スケジュールの一部が、昨日発表されたのですけれども、正直、今回、徳島でお試しする通常業務というのがどんなものかというのが全く見えなくて、今、考えているもので何かばくっとした形でもいいので、幾つか挙げていただけると有り難いのですけど。
(答)長官以下、課長は全員、短期・長期はありますが、行きます。それから職員も行きます。今、こういう業務は持っていく、国会は閉じていますから国会対応はないのですけれども、そういうものは無理かなとか、今いろいろ仕分けをしているところでございます。
 一応、取材は長官とか、あるいは担当の室長とかに限定させていただこうと思っておりまして、こういう業務をやりますというと、その業務をやっている職員のところへ取材が行ってしまうというのを、私は恐れていまして、前回も取材対象を絞らせていただいたのですが、自由奔放に取材に行かれたということがありますので、事前にこういうことをやりますと細かく出すと、その担当者のところに取材が行かれてしまうと困るということもあるものですから、そこのところは少しこれからどの程度出すか考えさせていただきたい。いろいろ御相談もさせていただきたいと、正直、思っております。
(問)例えば、何かふだんから完全に非公開で、例えば定期的に幹部会が開かれていたりとか、あと、関係府省庁連絡会議が開かれていたりとか、そういったのを徳島と東京で何かウエブ会議システムでつなぐとか、そういったこともやるのですか。
(答)いろいろな会議は当然、そういうことを使ってやるというふうになると思います。いちいち会議があるから、東京へ戻ってくるということは想定していません。

(以上)