河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年12月1日

(平成27年12月1日(火) 10:23~10:38  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 おはようございます。
 今日は、私の方から3件ございます。
 1つは、国家公務員制度担当としてやっております女性国家公務員の登用状況についての御報告でございます。
 資料は、お手元にお配りしているかと思いますが、本省課室長相当職以上の女性の割合が3.5%、国の地方機関の課長、本省課長補佐相当職以上に占める女性の割合が6.2%、新たに育児休業を取得した男性職員の割合は3.1%と、いずれもこれまでの最高の数値になりました。
 国家公務員制度担当を拝命して、霞が関の女性の職員の方ともいろいろ意見交換させていただきましたけれども、もはや女性職員に配慮しようにもポストがない、あるいはそれをやればやるほど、いろいろな方にむしろ負担が余計にかかって、ひずみが出てくるということで、女性の職員に配慮するというよりは、霞が関全体の働き方をやはり改めていかなければいけないということなのだろうなというふうに思っております。
 先般、ワーク・ライフ・バランスを考えた職場づくりをしている公務員の職場を表彰させていただきましたが、そのうち総務省と厚労省の職場を、今日の午後、視察させていただこうと思っております。
 高市大臣、塩崎厚労大臣もお見えくださるということでございますので、しっかり自分の目で見てまいりたいと思っております。
 それから2つ目は、これは、国家公安委員会委員長としてでございますが、マイナンバー制度に便乗した詐欺被害について、これはもう一つ消費者担当大臣としても、でございますが、全国の警察及び消費生活センター等に寄せられている相談が、警察に対して10月5日から11月30日までの間に168件、実際の被害が確認されたものが2件ございました。
 消費生活センター等に、これは4月から11月29日まで、時期は違いますが、135件の相談をいただいておりまして、実際、被害があったものと疑われるものが5件、このうち1件は警察と消費生活センター、重複しておりますので、合計して6件の被害を確認、あるいは疑いのあるものということになります。
 内閣府と警察庁、消費者庁等連名で注意を促しておりますが、マイナンバーの通知や利用、個人番号カードの交付などの手続において、国や自治体が口座番号を聞いたり、暗証番号を聞いたり、資産・所得の情報をお伺いしたり、家族構成や年金・保険の情報を聴いたり、お金やキャッシュカードを要求したりということは、一切ないということを改めて申し上げたいと思います。
 マイナンバーに関して不審な電話等がありましたら、消費者ホットライン、188番「いやや」あるいは警察の相談専用電話「♯9110」にお電話を頂きたいと思います。
 また、明後日の午前11時から、巣鴨地蔵通り商店街におきまして、政府広報として、高齢者詐欺被害の未然防止啓発PR活動というのが行われます。
 また、大田文化の森ホールにおいても、振り込め詐欺撲滅キャンペーンが、明後日2時から行われます。高市総務大臣に両方のイベントに御参加いただくことになってございます。
 それから3番目、私からの最後でございますが、活火山の防災対策として、昨年の御嶽山の噴火災害を踏まえて、有識者によるワーキンググループを開催して、シェルターの充実について、検討を進めてまいりましたが、今日、活火山における退避壕等の充実に向けた手引として取りまとめ、公表することになります。
 その手引の中で、今まではコンクリの退避壕をお願いしていたわけでございますが、コンクリの退避壕を造るのには、鉄筋コンクリートでやりますと、ヘリの輸送費を入れて3,000万円ぐらいコストがかかることになります。
 もう少し簡単にできるものはないかということで、これがアラミド繊維と言われているものでございますが、これを15枚重ねると、防弾チョッキになる。ライフルの弾も止められるというアラミド繊維というものでございます。
 これを2枚重ねにして、天井に張っていただくと、コンクリの退避壕に代わるシェルターが簡単に手軽に安くできる。コスト的にいうと、コンクリでやると3,000万円のところ、アラミド繊維だけで200万円、もちろん屋根のふき替え等がありますので、総トータルで500万円ぐらいかかると思いますが、6分の1ぐらいの費用でできます。
 このアラミド繊維を二つ重ねにしたものを防衛大学校へ持ち込みまして、時速300キロで、直径10センチの岩をこれにぶつけてみましたが、ほぼ100%防げる。御嶽山で時速300キロと言われておりましたが、時速300キロの直径10センチの岩を、このアラミド繊維のシート2枚でほぼ完璧に防げるというのが実験結果でございますので、これをプロモーションしてまいりたいというふうに思っております。
 私のほうからは以上でございます。

2.質疑応答

(問)NHKの藤島です。よろしくお願いします。
 最後のシェルターの話なんですけれども、大臣は、最後にプロモーションしてまいりたいというお話がありました。
 取材をしている中でも、シェルターを整備するに当たって、どんなものを造ればいいか分からないという声が、自治体から上がっていたのも事実です。
 この手引をきっかけに、どのように広がっていってほしいかという点について御意見をいただけますか。
(答)やはり活火山のシェルターですから、山頂に近いところになければいけないわけでございますが、そこに鉄筋コンクリートのものを造ろうとすると、相当ブロックに分けたものでも、ヘリコプターで運ばなければいけないというと、輸送費に数千万円のオーダーでお金がかかっておりましたが、このアラミド繊維は、恐らく必要な部分が、もちろん大きさにもよりますけれども、数十キロで足りますので、人力で持ち上げるということができるようになります。
 屋根のふき替えのタイミングに合わせて、このアラミド繊維を2枚重ねで張っていただくことで、相当な噴石は止めることができるようになりますので、今までと比べると、手間もコストも相当簡単になると思います。
 そういう意味で、各火山のシェルターの整備に、一層スピードアップをお願いしていきたいと思っております。
(問)それからもう一つ、片や一方で、シェルターというのは、大規模な噴火であったり、火砕流みたいなものには対応できないという話もありまして、併せて他の火山対策というのも必要になってくるかと思うのですが、このあたりの考え方はいかがでしょうか。
(答)これで全部できるかというと、なかなかそうはいかないのも事実でありますが、まず噴火したときの噴石を避けられる場所を作るというのが大事だろうと思います。
 御嶽山の噴火の被害の状況を見ても、シェルターがあれば、命を救うことができた。あるいは、怪我から身を守ることができたというケースがたくさんあったようでございますので、まずこのアラミド繊維の屋根を活用していただいて、もちろんそれだけではなくて、そのほかにどう対応するかということもありますが、とりあえずできるところからしっかりやっていきたいと思っております。
 アラミド繊維の屋根なら200万円ぐらいでできますので、消防庁の補助金ですとか、あるいは起債の対象にもなりますので、自治体としてはかなりスムーズにできるのではないか。もう既に幾つかの自治体が、このアラミド繊維のことを聞いてお問合せを頂いたりもしておりますので、まずできるところをスピードアップしてやっていきたいと思っております。
(問)読売、後藤です。
 女性の国家公務員の登用状況なんですけれども、第3次男女共同参画基本計画では、審議官級以上、つまり指定職以上は、今年度末までに3%程度にする。この目標は、もう達成できたと思うのですけれども、本省課室長以上が5%程度、本省課長補佐以上が10%程度という目標があるのですが、まだこの目標には達せそうにないということで、この背景について分析していらっしゃいますか。
(答)本省の課室長は、目標5%に対して今、3.5%です。それから国の地方機関課長、本省課長補佐以上10%に対して今6.2%と、目標に少し足らないというのが現実ですが、第2次安倍政権がスタートしてから、数字がかなり飛躍的に伸びているというのも事実だろうと思っております。
 ようやく女性の採用が3割を超えてきたという状況ですので、まず採用部分は順調にいっているのかなと。ただ、そこから上の役職に就くには人材プールが必要になって、そこからいろいろ抜擢されて上の仕事に就くということになりますので、息長く目標を見据えてやっていくしかないかなというふうに思っております。
 相当、安倍政権になってから、女性の登用のカーブは上向きになったというのも事実だろうと思いますので、目標には達しておりませんが、指定職の部分は、何とかクリアできました。そこは少し人数的にも少ないということはありますが、そこから下の部分は、相当、この5%、10%の目標を達成するには、人数的にもたくさんの方にポストに就いていただかなければならないということですので、少し時間はかかるかもしれませんが、ここは息長くやっていきたいと思っていますし、採用が増えているということは、将来的にはそこへつながっていくということになるだろうと思います。
(問)息長く見据えてやっていくということなのですが、既に採用は3割という目標を達成されていると思うのですけれども、3割を超えて更に採用していくというお考えはありますか。
(答)そこは、3割を確実に、瞬間風速で3割を超えるだけではなくて、3割を確実に超えていくということを、まず目標としてやっていきたいというふうに思っております。
(問)共同通信の出井と申しますけれども、シェルターの関係なんですけれども、今、全国で常時観測火山が47ありまして、その中のシェルターがあるところは、12にとどまっている。
 必ずしも山小屋があるような高所だけではなくて、普通に車両が近付けるようなところも、シェルターが不足しているという現状をどう見ておられるのかということと、そういうのをどういうふうに支援していきたいというふうに思っているのかというのを教えていただきたいのですけれども。
(答)常時観測47、それに弥陀ヶ原と、全部で3つ足して50になるのだろうと思います。
 そこはなるべく早くシェルターの設置をお願いしたいと思っておりまして、大規模なものである必要はなくて、何かあったときにさくっと入れるようなものをやっていただこうと思っております。
 数百万円のオーダーでできるものですから、都道府県あるいは自治体にお願いして、なるべく早くやっていただきたいと思っております。
 また民間の施設があるときは、屋根のふき替えに合わせて、アラミド繊維を引き込んでいただければ、そうした山小屋みたいなものも十分シェルターに使えるようになりますので、そういうことをやってまいりたいと思っております。
 特に公の施設の場合には、消防庁が補助金を出してくれていますので、それを積極的に活用していただくということをお勧めしていきたいと思っています。

(以上)