石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年6月17日

(平成28年6月17日(金) 8:48~9:12  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 本日から7月29日金曜日までの期間、国家戦略特区の集中提案募集を行います。
 この国家戦略特区はもう御存じのとおり、特区基本方針に基づきまして民間事業者、地方自治体等から広く提案募集を随時行っているわけですが、一方におきまして規制改革の実現を加速するため、締切を設けて集中的に規制改革事項を受け付けるいわゆる集中受付期間を年に2回少なくとも設けるということになっているわけであります。
 今回の提案募集につきましては、先般閣議決定いたしました「日本再興戦略2016」に基づきまして、経済団体とのより密接な連携の下、事業実現を図るための窓口としての機能強化。成長戦略のモメンタムでありますところの「改革2020」のプロジェクトとの連携。というような新たな要素を加えて、規制改革を通じた個々の事業・プロジェクトの実現の具体化に、より一層の注力を行うものであります。
 たとえ特区に指定されなくても、事業が実現できる場合がございまして、多くの民間事業者、自治体から御提案を頂き、特区というのはこういうことなんだという御理解をいただきたいと思っておりますが、なおよく分からないという実態もございますので、より周知に努力し、理解の促進を図りたいと思っております。
 6月21日、来週火曜日虎ノ門ヒルズにおきまして、「地方創生セミナー」を開催するものであります。これは、地方創生におきまして、伸びしろのある分野として期待されます観光を中心に、地方への人の流れを作る取組を進めるものであります。地方公共団体や民間企業の皆さんに対して、私からもお話をしたいと思っております。
 定員は450名でありますが、700名の御応募をいただいておりまして、有り難いことだと思っております。詳細はお手元の資料にあるとおりであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)役所の人事異動についてお尋ねします。今回、地方創生総括官の山崎さん、総括官補の佐村さん、あと当初地方創生の立ち上げのときから関わってこられた次長の方等がかなり大規模に交代されることになっております。
 これまで、大臣と一緒にやってこられた方々のこれまでの仕事をどう見ていらっしゃったかということと、あと今回これほど大規模に幹部の方が替わられることについて、継続性という意味で懸念がないのかという観点ではどうお考えでしょうか。
(答)山崎さんはじめ多くの幹部が異動いたします。これは、例えば定年とかそういうものもあります。定期異動というものもありまして、プロパーの職員という方が極めて少ないのが内閣府の特色で、これはうちに限ったことではございませんが、総務省、経済産業省、農林水産省、国土交通省、それぞれの親元という言い方は私は余り好きではないのですが、そのローテーションの中で異動もやむを得ないという部分もあろうかと思います。
 このまち・ひと・しごと創生というのか、地方創生というのか、これが2年弱ですが、前にスタートして、それぞれの省庁が良い人材を出していただき、立ち上げ以来、2年近くにわたって非常に良い仕事をしていただいたと思っております。
 私自身、防衛省、農林水産省、幾つかの役所で大臣を務めましたが、内閣府で特命担当大臣というのをやるのは初めてでしたが、非常に山崎さん以下意欲を持ち、熱意を持ち、それぞれの見識でもって本当に良い仕事をしていただいたと思っております。
 私として、お預かりする国務大臣として、心から感謝を申し上げたいと思っております。
 この仕事に限らずそうなんですけれども、どうしてもそれぞれの役所の事情があって、この人を返してもらいたいということがあるわけで、新任の方を全部存じ上げているわけではありませんから、そういう方も素晴らしい方々だと思いますが、立ち上げ以来、チームワークというのか意思の疎通というのか、そういうものを持ってやってきたチームなるものが相当変わるということは、私自身としては残念なことだなと思っております。
 これはうちに限らず内閣府の仕組み全体に言えることだと思っておりまして、これはどういうふうにしていくのか。これは政府全体で考える必要があるんだろうなと思っているところであります。ただ、この地方創生の重要性というものはいささかも減ずるものではなく、自治体が非常に自覚を持ってやっていただいて動き出していただいているところもたくさんあるわけで、そうすると内閣府の陣容はみんな変わりましたと。今まで、意思の疎通があった人のところに全く知らない人がやってきましたということで、混乱が生じないように、私自身よくお願いをしているのは、引継ぎを濃密にやってくださいということであります。
 お客様である自治体の側、あるいは企業の方、それぞれ個々の方がこっちの都合で担当者が変わって、話が全然前に行かない。これは民間企業でもよくある話です。係替えというのを私も民間企業にいたころよくありましたが、そのときに業務の引継ぎというのは1週間ぐらいかけました。特に、銀行でお客様相手の商売をしていたものですから、その引継ぎはそれぞれの会社のファイルがあって、これはこういう会社でということを事前によく前任者から引き継いで、それからお得意様、そういうところを回って顔つなぎをしてというような、やはり民間であれば、そういうのは当たり前のことであります。
 やはり役所における引継ぎというのは、とにかくユーザーである国民の皆様方にいささかでも不利益がないようにこれから先も努めてまいりたいと思っております。
 良い仕事をしていただきました。感謝申し上げております。
(問)国家戦略特区についてお尋ねします。
 今週1回目の集中受付期間ということですけれども、大臣もおっしゃっていますが、規制改革メニューの提案、活用する自治体や常連が大体決まっているということで、今後広がりが課題であると拝見しておりますけれども、この辺りにもっと特区の理解や活用を広めるために例えば先月の国家戦略特区諮問会議ですと、有識者議員から広報官を政府に置いてはどうかという提案もありましたけれども、その後の検討状況はどうなっていますでしょうか。
(答)これは新設のポストですから、そう軽々に、広報官を作りましょうという話にはならないのですが、職名はともかくとして、そういう周知を図るような仕組みというものを構築しなければいけないのはもう間違いないなと思っております。
 1日で分かる国家戦略特区とか、何が国家戦略特区で何が地方創生特区で、何が総合特区でというのをきれいに説明してみろと言われて言える人はなかなかいない。ましてユーザーが分かるわけがないという御指摘もないわけではない。
 そうすると、1日で分かる特区制度みたいな、そういうものを作り、出来れば与党でも野党でも良いのですけれども、国会議員がこれを使ってみませんかということを国政報告会や座談会で言えるようにしたいなと思っておりまして、これは大臣のときにいろいろな部会で試みてみるのですけれども、議員がこれ面白いな、資料をもっとくれ、うちの選挙区で配りたいというようなものを作らないといけないと思っていまして、これは大きな課題だと認識いたしております。
(問)自民党の公約の関係でお伺いしたいのですけれども、参院選の公約で地方創生に関する位置付け、大臣の御認識はどのようなものかお願いいたします。衆院選での位置付けとの比較などについてもお願いできればと思います。
(答)どういうふうに位置付けが変わったとあなたは認識しているのですか。自民党の公約を全部子細に見ているわけではないので。
(問)前回は特に前面に出ていたと思うんですけれども、今回やや縮小されたのかなという気もするんですが。
(答)それは選挙のメインの公約が前回の総選挙のときは「地方こそ、成長の主役」だったかな。今回は、一億総活躍社会とキャッチフレーズが変わっているわけで、選挙の担当者としてみれば、その選挙、その選挙ごとにインパクトにある標語を使って、国民の皆様方、有権者の皆様方に新しい印象を持っていただき、イメージを持っていただく選挙をやるということになるわけでございます。
 そういたしますと、一億総活躍社会ということで、GDP600兆円、あるいは女性、子育て、若者、介護、高齢者ということになっていますから、そうするとこの中に地方創生の実現というのがスペース的には5分の1ぐらいでしょうか。
 ただ、地方において、地方創生がどうなったんだ、みたいな声が随分あるので、これをきちんと書けというような御指摘が党の中であったと聞いております。
 これは党が作るものなので、政府としてああのこうのうという立場ではございませんが、やはり今度のキャッチフレーズが一億総活躍ということである以上、そこを重点的に書くということはやはりそのとき、そのときのイメージ戦略として必要なことではないかと。かつて党で広報戦略等を担当した者からすれば、そういう印象を持っております。
(問)所管外のことで恐縮なんですけれども、舛添都知事が辞職を表明されて、間もなく都知事選になると思います。次の都知事について大臣はどういう資質を持っていらっしゃる方が適当だとお考えなのかということと、あと与野党で仮に相乗りするような候補、そういう方がいた場合というのは、その是非についてはいかがでしょうか。
(答)やはり行政の長ですので、都道府県知事なり市町村長なりというのはですね。行政に対する高い識見が必要ではないだろうかと。基本的な地方自治法なりそういう基本的な法令、あるいはそれぞれの自治体が持っている条例等々について、何も知らないということではこれはいけないだろうと思っております。
 あるいは予算書が全然読めませんとか、地方財政の仕組が分かりませんとか、そういうことになりますと、主権者たる住民の意思を反映して、それぞれの行政部局というものを統制することは不可能でございますので、基本的な知識というものが当然必要だということだと思います。
 もう一つは、これも自分も反省しなければいけないことが多々あるのですが、それぞれの行政組織というものを掌握出来る、そういう能力というものも求められると思います。
 ただもう一つは、これはこの大臣をやって、あちこちの行政を見て思うことですけれども、やはりそれぞれの官僚組織と住民の意向の間に齟齬(そご)があることがあって、あるいは首長と官僚組織の間に齟齬(そご)があることがあって、そういうときにものすごく軋轢(あつれき)があるわけで、ときに住民があの知事の言うことだったら、あの市長の言うことだったら、あの町長の言うことだったらという、そういう共感を得るというのは大事なことなのではないでしょうか。
 特に、改革をやろうと思ったときに、あるいは議会のいろいろな軋轢(あつれき)があった場合に、やはり住民との直接的なコミュニケーション、上辺だけではないそういうものが必要だと思います。であればこそ大統領制の地方行政の長の意味があるのではないだろうかと私自身思っております。
 大前提として、どんなに質を兼ね備えた人であっても、その任に就かなければどうしようもないわけで、それを猪瀬知事のときも舛添知事のときもそうでしたが、極めて短期間に都民の皆様方に御支持を頂くという非常に時間的に切迫した状況がありました。
 これを日本でやることは、日本人のメンタリティ、あるいは財政的な負担等から難しいことかもしれませんが、合衆国においてどうしてあんなに大統領選挙が長いんだろうねと。実際の選挙はそんなに長くないんだけれども、共和党の予備選挙、あるいは民主党の予備選挙が何で1年も掛けて行われるんだろうと考えたときに、その膨大な資金をどうやって負担するかという問題がもちろんあるんですけれども、その間にその候補者はいかなる人かということが有権者にかなり了知されるというメリットがあると思っております。
 舛添さんがどうの、猪瀬さんがどうのということではなくて、有権者の方々にこの人はどんな人なのか、後になってあんな人だとは思わなかったみたいなことで、それぞれの行政が混乱し、それぞれの地域において不利益が生じるということを回避する仕組というのは何だろうか。
 先ほど申し上げたようなそれぞれの質を兼ね備えながらも、なかなか知名度が足りないとか、そういうことで能力のある人がその任に就けない弊害をどのようにして防止していくかということについては、また皆様方においてもいろいろな御議論をいただき、御示唆を頂きたいと思うところでございます。
(問)ふるさと納税の関係なんですけれども、15年度のふるさと納税が前年度の4.3倍となりまして、一方で一部の自治体に寄附が集中していること、高額返礼品の問題もありますが、地方創生の観点で言いますと、この増加というのはどのようにとらえていますでしょうか。
(答)それは制度というものがかなり定着し、自治体においてもいろいろな創意工夫がなされていることだと思っています。
 今回のふるさと納税を見ましたときに、この上位にランキングされているところというのは、相当数実際に自分で行ってみたのですけれども、本当に知恵を絞っていて、とにかく豪華な返礼品さえ出せばお金が集まるという考えだと私は思っておりません。
 都城市にしても焼津市にしても、あるいは天童市、佐世保市にしても、常連であります平戸市、浜田市にしても、それぞれの自治体においてどうすれば多くの納税、いわゆる寄附がなされるか。そしてそれがまた一過性のものではなくて、その地域の産業の振興、あるいは住民の所得の増加にいかに寄与するか等、単に高額の返礼品さえ出せばそれで良いというふうなところは余り上位に上がっていると私は思っておりません。
 これはそれぞれの自治体において、例えば都城市で言えば、除く交付税ですが、市税収入の4分の1ぐらいを占めているのであって、そのことによってまたいろいろと地方創生に資するような、そういう取組がなされるということで、いかにしてふるさと納税の寄附額を増やすかということと、それをどのように活用するかというのは、私はかなり一体のものであるような気がいたしております。
(問)所管のこととは違うんですけれども、イギリスのEU離脱の国民投票が近づいておりますけれども、昨日の事件との直接の関係は分かりませんけれども、EUの残留を求めている議員が銃撃されたり、ちょっと混沌とした状況になっておりますけれども、国民投票の結果が、日本にとってどのような影響を与えると大臣としてはどのように見ていらっしゃいますか。
(答)これは多分50年たち、100年たち、歴史の検証を経て、あれはどういうことだった、と分かるんだと思います。今、あれこれたられば論を言っても、それは飽くまでたられば論に過ぎないものだと思います。
 イタリアの憲法だったと思いますけれども、租税に関すること、あるいは外交案件に関することは国民投票に付してはならないというような、ちょっとうろ覚えで恐縮ですが、そんな条文がイタリア憲法にあったかと思います。
 さっきの首長選びもそうなんですけれども、メリットであれデメリットであれ、それがどれだけ多くの有権者に御理解をいただき、移民がけしからんとか、あるいは経済的にそういう先進工業国がデメリットを受けるではないかとか、そういうどちらかというと政策論というよりは現実に即した判断で結果が出てくるということがどうなっていくのか、そこは私もよく考えたいなと実は思っているところでございます。
 イタリアにおいて、条文を全部読んでいるわけではありませんが、そういうことがあるのも一つの見識なのかもしれないと思います。
 普通に考えれば、EUから離脱をするとか、そういうことは望ましくないと。これから先経済の安定にとって、EUの一体性というものが保たれるべきだというのは、それはその通りだと思います。ただそれがイギリス国民の投票において、そんなことを言ったって、俺の暮らしがねと、そういう投票動機も当然あるわけで、そこは私どもとして外国のことですから、あれこれ申し上げる立場にはありません。
 背景も何もよく分かりませんが、国会議員の殺害ということになって現れるのは、かなり私たちには分からないいろいろな問題があるんだろうなというふうに思います。殺害は許されざることは百も承知の上で、何でそのようなことが起こるのかということ、そこは私ども冷静によく分析してみなければいけないというふうに思います。

(以上)