石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年6月14日

(平成28年6月14日(火) 9:20~9:40  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 今夕、配布資料のとおりのメンバーで、「地域の課題解決のための地域運営組織に関する有識者会議」第5回会合が開催されます。
 3月1日の第1回のときにも申し上げたのですが、地域住民が主体となりそれぞれの地域の今後の在り方を考え、介護や買物、交通などの住民の暮らしを支える活動が、全国様々なところで出てきております。小さな拠点というのは、地域の拠点を作り、それぞれの集落をネットワークで結ぶという取組とともに、地域を支える活動を行うソフトと言うべき組織が必要であると考えております。この会議では、このような地域運営組織について、どのようにして量的・質的な拡大・向上を進めていくのか、どのような法人格がふさわしいか、人材や資金の確保はどうであるべきかなどについて、検討を行っているところであります。
 本日は、県市町村の取組についてヒアリングを行うとともに、これは高知県が先駆的に取り組んできたものでありますので、そういうようなヒアリングを行いたいと思っておりますが、これまでの論点整理に基づき議論を行っていただく予定であります。さらに議論を重ねまして夏の中間報告、そして年末には最終報告という予定になっておるものであります。
 大合併したところに限りませんけれども、合併前は町役場があり村役場があり、村長さんがいて町長さんがいて、議会があって行政組織があってということだったわけですが、それが町村がなくなり役場もなくなり、町長さんも村長さんもいなくなりということで、行政の光が当たりにくくなってきたという地域があることは、これは事実であって、それをどのようにしてカバーしていくかということを考えていかないと、一つの市町村で人口が減っているが、その合併された旧町村の減り方が極めて顕著であるという事例が、あちこちに見られるところであります。これも調査をする中において非常に大事なことだと思っており、小さな拠点というものは法律に基づいて整備をこれからしていくわけでありますが、ハード・ソフトあいまって地域の活力というものを維持していかねばならないと、そういう問題意識に基づいているものであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)舛添知事の問題についてお伺いいたします。
 本日、都議会で野党会派から不信任案が提出される予定でありまして、昨日の集中審議でも公明党が辞職を求めるなど都議会の追及が強まっています。東京都民に限らず全国で、舛添知事の去就について注目が集まっていますけれども、大臣はどう御覧になっているか所感を聞かせてください。
(答)これは私は都議会議員でもないし、事実をつまびらかに知っているわけではありません。また、テレビの報道等を全部見ているわけではありませんし、その他新聞、週刊誌も全部見ているわけではありません。そういうのが分からないままに国務大臣が、このことについて論評するというのは決して適当なことだと思っていません。
 個人として思うのは、これが政治資金の使い方として適当なのか、政治資金なるものの原資に税金というものがもし入っていたとして、細かく知らないのでこういう言い方になって恐縮ですが、とすれば、それはそのお金の使い道としてふさわしいものなのだろうかということが問われる。
 あるいは危機管理という意味で、これは私も防衛庁、防衛省でそういう職を務めてきましたが、部隊の視察あるいは行事等で地方に出張することはそれはあります。ですけれども、その場合には必ず3時間以内に市ケ谷に戻ってこられるということで、常にそういう態勢をとり、それぞれの地において衝にある者が待機しているという形をとっておりました。危機管理の在り方として正しかったのかどうかというそういう点が、昨日の都議会でも議論があったというふうに承知いたしております。それが正しくないとすれば、以後気を付けますという話なのか、それはそうではないと、以後気を付けるで済む話ではないということなのか、それは都政の主権者たる都民、その代表者たる都議会で決せられるべきものであって、私どもが言及すべきものではありません。
 お前ならどうなんだと言われて、私ならしませんということは言えますけれども、それ以上のことについて申し上げる立場にはないということでございます。お互いにお金の使い方あるいは危機管理の在り方について議論が交わされ、判断がなされるものだと認識いたしております。
(問)すみません、度々所管外のことで恐縮ですけれども、参議院選挙なんですけれども、大臣は今、参議院選挙に向けて応援演説にいろいろ入られていらっしゃると思うんですけれども、特に街頭などで何を重点的に御自身として訴えたいというふうにお考えでしょうか。
 あわせて水月会を率いての国政選挙は初めてになると思うんですけれども、大臣が応援に入る場所について、水月会との関係を含めて考えたりされていらっしゃるんでしょうか。
(答)最初のお尋ねに関しましては、まだ公示にはなっていませんが、昨日も神戸市に行っておりました。その前は滋賀県そして高知県と、週末もあちこち回らせていただいたところであります。
 一つは消費税の引上げを延期するということは、これは我々もそして民共というのか野党も、同じ消費税の引上げ延期ということを言っているわけです。そうすると社会保障の充実と消費税率引上げを2年半先送りするということを、どう両立させるのか。岡田代表の言うように、それは赤字国債、ということになりますと、結局次の時代がそれを負いますということになるわけでございます。
 私どもは、経済成長を図ることによって、その果実でもっていろいろな手当てを行うということを考えており、そして消費税率引上げを延ばす期間においていかにして経済を成長させ、いかにしてその原資というものを確保するか、そしてプライマリーバランスの黒字化というものをいかにして図るか、財政規律というものをどのように維持するのかということを、訴えていかなければいけないので、単に赤字国債というそのような無責任なことは申しませんが、いかにして経済を成長させ、金融をどのようにハンドリングしということを御説明しなければいけない。もちろん決定権者ではありませんので、これを具体にどうするということではございませんが、そういうものを全て組み合わせながらやっていくということになるはずでございます。
 ついては滋賀県なら滋賀県、高知県なら高知県、神戸市なら神戸市において、その地域の産業構造がどのようになっているのか、そしてその地域における就業構造あるいは生産年齢人口の動態、だから神戸市で言えば国勢調査で155万人という数字が出ている。前回の国勢調査であれば154万人ということである。大して人口が動いていないじゃないかというふうに見られるけれども、65歳以上の方の人口が20%増えているのに対して、生産年齢人口あるいはそれよりも下の世代が大きく減っているということで、人口が変わっていない、それで良いというお話にはなりませんねと、そして新しい神戸港の在り方、あるいは新しい産業としての医療産業のこれから先の伸び、あるいは神戸市に客船がたくさん入ってくるようになっても、そのお客さんが必ずしも神戸市にお金を落とさずに大阪、京都に落としているという構造を、どう変えるかとか、その地域にきちんと適合したようなお話をしていかなければなりません。そしてそれが日本経済にどういう寄与をするのかというお話を具体的に語れるのは、私どもだと思っています。
 ですから同じ消費税の引上げを猶予しますよということで、どっちが正しいんだみたいな話をしても仕方がないので、それぞれの具体策をそれぞれの地域に即してどう語るかという点で我々は、さらに努力をしたいと思っていますし、「戦争法案廃止」というかぎ括弧付きで申し上げれば、なぜ「戦争法案」なのか、集団的自衛権を限定的にせよ認めるということが戦争に直結するというロジックであるとするならば、それを引き延ばせば国連総会において国連憲章から集団的自衛権を削除することを求めると言わないと、論理は整合しないはずなのであって、そこまで考えて言っているのかどうなのか、これだけ国際社会の協調がうたわれる中にあってそのような御主張が、どのような意味を持つものなのかということを、我々は訴えて、これが戦争法案などでは断じてないということを、有権者の方お一人お一人に実感をしていただく。ロジックだけではなくてそれがどういうことなのかということを、一人一人の有権者の納得がいくように説明をしていくというのが、我々政府与党の参議院選挙におけるやり方ではないかと思います。
 水月会について申し上げれば、我々21名の同志でやっているわけですが、それぞれの地域において当然参議院候補はいるわけであって、そこにおいて参議院候補が勝利をするようにということは当然考えていかなければならない。しかし、水月会の所属議員がいるところでなければ行きませんなどという、党全体を見ないようなことは、当然申し上げたことはございませんので、そこは党本部のいろいろな統制の下に私どもはあるというふうに考えておる次第でございます。
(問)先ほどの大臣のお話ともちょっと関連するんですが、今回の参議院選挙、総理は会見でアベノミクスを進めるのか退けるのかということを争点にということで、信を問うとおっしゃっていますが、所管の地方創生というのも、国会に名前が付くぐらい大きな問題だと思いますので、今回の参議院の選挙の争点というのは、今おっしゃった消費税の財源というところが一つお話がありましたが、選挙で訴えていくにおいては有権者にはどういったところが、ぱっと大きな違い、選挙の争点になっていくとお考えでしょうか。
(答)それは私、思うんですけれども、それぞれの地域の問題について政府与党としてどう考えるんだということが、大事だと思っています。アベノミクスを採るか採らないかという非常に大局的な訴えを総理がなさっているわけで、我々は地域を本当に細かく回っていって、先ほど申し上げた神戸市の例もそうでございます。
 山梨県で申し上げれば、山梨県というのは東京都の隣ですよね。人口はしかし減っているという状況にある。さすればどうするのかということを考えたときに、山梨県の空き家率というのは全国第1位であるということなんです。第1位が山梨県、第2位が長野県と言うと、「ははぁ」と、別荘が多いからだよねと。だから山梨県が1位なんでしょうという話なんですけれども、「除く別荘」でも山梨は第1位なんです。そして山梨県は、しかし、いろいろな手助けを借りないでいろいろな日常の活動ができる、いわゆる健康寿命と言いますが、これが日本で一番長いのは山梨県でございます。全国47都道府県で移住希望が一番多いのが去年が山梨県だった、今年は第2位になっていますが。そして山梨県において空き家は多いんだけれども、実際にそれがマーケットに出てくるというのは極めて少ないということを考えたときに、では、山梨県はどうしてやっていくんでしょうということを考える。全国から移住したいという人がたくさんいますと、家もいっぱいありますと、でも、マーケットに出ていませんと、でも、山梨県は健康寿命が日本一ですということを皆さん方お考えになって、これから先、新しい経済を目指す総理の政策の中で、では山梨はどうあるべきなんでしょうかということを訴えていかないと、それは納得にならないんです、自分たちにとってどうなのかということが分からないと。そして自分たちは何をすべきなんだろうかと、政府に何を求めるんだろうかということは、実は全国47都道府県、1,718市町村全部違うんです。
 地方創生というのは、それぞれの地域のことはそれぞれの地域でなければ分からないということをベースにしていますので、分からないからあなた方考えてでは駄目なんです。我々がその地域をどう認識しているかということをきちんと持った上で、そういう訴えが意味を持つのであって、いいかげんな気持ちで参議院選挙に臨んではいけません。地域を我々政府自民党は、あるいは自公政権は、どのようにしようと考えているのかということを、一人でも多くの方に御納得いただくということが肝要だと私は思っています。
(問)所管外の質問で恐縮なんですが、もともと自民党の幹事長をされていたり、それとか要職を務められていた時代のころから、今の舛添知事の問題にまた戻らせていただきますが、今、都議会の話ではあるんですけれども、都知事が誕生されたときの自民党・公明党が都連ということで、党組織ではないんですけれども、推薦したことに、自民・公明与党の責任というのを、今、世の人は見ていると思うんですけれども、そうした誕生させたときの自民党としての責任というのがどうあるか、また、世論の人からどうそれが今受け止められているというふうにお感じでしょうか。
(答)自由民主党というのは責任転嫁をしないということが美風だと私は思っています。これは党本部が悪いんだとか、これは都連で決めたことでしょうとか、そんなことではございません。党中央とそれぞれの支部組織というのは常に一体のものだと思っています。舛添氏は自由民主党を除名されたという経緯がございます。我が党は除名された人を公認ないしは推薦したことは一度もございません。
 そういうことはやらない党でございますが、あのときの状況に鑑みて、誰ならば我々の政権に一番近い御主張をしておられるのだろうかと。共産党が推しておられる宇都宮さんであるのか、あるいは原発ゼロを目指す細川さんであるのか、あるいは歴史認識において異なる立場をお持ちの田母神さんであるのかということを考えたときに、我が党としていかなる選択をすべきかということについて、これは都連が決めたことだとか、いやいや、党本部がどうだとか、そんなことを言う党ではうちはないと思っています。それは共通に都民に対する責めを負うべきものなのであって、そこにおいて私も街頭に立ちました。総裁も立たれました。そのことは事実としてございます。それをどう認識するかということであります。
 責任の押し付け合いをしても仕方がないし、そして自分たちが、そのことによって良い立場を得ようと考えることがあってはならないのであって、都民、それは23区の方々も伊豆諸島の方も、あるいは小笠原の方も多摩の方も、私は選挙の応援演説に立っていて、きっと就任されたらばそういう島嶼部あるいは多摩の地域、そういう地域の、東京とはいいながらも23区とは違っているそういう地域に、足を運んでいただけるものだろうなというふうに思っておりました。
 それがどのように実行されたか私は存じません。ですけれども、選挙のときに都民の方々が抱かれた思いということに、都政が忠実であったかどうかということも、また問われるのであり、私どもがそこで舛添氏が一生懸命真剣に訴えたことが実現されていたとするならば、それはそれでまた都民の御評価もいただけると思いますけれども、それが具体にどうであったのか存じません。そこは舛添都政2年間というものを、また都議会の場において都民の皆様に対して検証する責任は、推した側もあるいは他の方を推された側も共通して持っている。それは私ども党中央の任にあった者も同じでございます。

(以上)